IS 月華の剣士   作:雷狼輝刃

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 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いいたします。


第21話  ゴールデンウィークⅡ

 

 

 ゴールデンウィーク後半

 

 翠屋でのバイトも一段落し、予定通りに零也達はテクノスタジオジャパン・海鳴に来ていた。

 

   テクノスタジオジャパン・海鳴

 

 海鳴市郊外に昨年オープンした超大型テーマパークで、総面積4㎢にも及ぶ広大な敷地の中に、映画にアニメ、特撮、時代劇のセットを再現した施設に、関連した物を展示しているミュージアム、ショーを行う野外ホール、アトラクション施設、オフィシャルショップ、レストラン、ホテル等の施設がある。

 

 テクノスタジオジャパン・海鳴は四方を高さ25mの城壁で囲われている。 ちなみに、この城壁には幾つかのオフィシャルホテルと結婚式場、レストラン、会議室、事務所が併設されているのだ。

 

 

 

 

 「「「「「「うわ~、凄いね!」」」」」

 

 開園と同時に、城門を模した入場ゲートを潜って施設に入った零也達は、目の前にそびえ立つ物に歓声を上げた。

 

 地球を模した金属球を両手で持ち上げている、ネズミを模した巨大なマスコットキャラのブロンズ像があったのだ。

 

 昨夜のうちにテクノスタジオジャパンの入口側の城壁にあるオフィシャルホテルに宿泊していた零也達は、開園と同時に入園する事が出来た。

 既に零也達は遊ぶ為のスケジュールをたてていた。

 全員それぞれ行きたい場所があり、メインのパレードも見たい、マスコットキャラともあそびたい、アトラクションで遊びたい、ショッピングしたいと、やりたい事が沢山あり、また全員が同時に同じ場所に向かうと、時間がかかり回りきれない可能性もあるので、取りあえずグループに別れて回り、パレードや食事の時に集まる事にしたのだ。

 

 零也・雫・すずか・楯無はショッピングをしながら再現された映画のセット施設やミュージアムの見学。

 

 本音・虚・シュテルはマスコットキャラを探しながらアトラクションで遊ぶ予定。

 

 簪・紫・クロエは特撮ヒーローとアニメのミュージアムと特撮ヒーローショーを見学。

 

 それぞれ行く事になっていた。

 

 「それじゃあ、1時にレストラン〔アグリ〕に集合ね。アグリの特別テラス席の予約をすずか姉がしてくれたからランチを取りながら昼のパレードが見学出来るよ。」

 

 そう言って、それぞれグループに別れて行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃の翠屋は

 

 ゴールデンウィーク後半ということで、忙しいはずなのだが、この日はどういう訳か臨時休業の看板が掛けられており、店には誰一人としていなかった。 

 

 では何処に? その答えは高町家の居間にあった。

 

  高町家の居間、そこに集まっていたのは、高町士郎・桃子・なのは、ドイツから急遽帰国した月村恭也・忍、そして香港から帰国してきた御神美沙斗、高町美由希の7名。

 

 「それで美沙斗、態々日本に帰国してきて、僕達に店を休ませてしないといけない話というのは?」

 

 士郎が美沙斗に尋ねる。

 

 「これは私だけでなく兄さんや恭也にも関係する話だからだ············龍(ロン)の事を覚えてるか?」

 

 美沙斗の話に士郎と恭也が反応する。

 

 「「龍だと?!」」

 

 龍·······それは美沙斗・士郎・恭也にとって深い因縁のある名だ。 

 かつて、龍の起こした爆弾テロによって御神の一族は士郎・恭也・美沙斗・美由希の4人を残して全員死亡したのだ。

 

 当時、士郎は前妻と離婚した直後であり、少なからず心に傷をおった恭也を癒す為に全国修行の旅に出ている最中で恭也共々、難を逃れたのであった(但し、修行の旅が果たして恭也の癒しとして最適であったかは疑問だが)

 

 そして美沙斗は、幼い美由希が体調を崩し病院に入院し付き添っていた事で美由希共々、難を逃れたのだった。

 

 龍が御神一族を狙ったのは龍のトップにいた男の私怨だった。 自らの私怨を晴らす為にテロを起こしたのだった。

 

 その後、紆余曲折を隔て龍を倒し、御神一族の無念を晴らしたのだが、

 

 「以前から龍について気になる事があって、独自に追跡調査をしていたのだ。実は私達が倒した龍は四龍(スーロン)という組織の一端なのだ。」

 

 「四龍?」

 

 「そうだ四龍、アジアを中心に世界規模で暗躍する犯罪結社だ。武器・麻薬・臓器・希少&保護動植物・人身売買等の非合法商品を扱う闇商人の異名をもつ白龍(パイロン)、紙幣&証券偽造・窃盗・強盗・詐欺等の金品を目的とした犯罪を担当する黒龍(ヘイロン)、テロや暗殺等の武力行使を担当する紅龍(ホアンロン)、それぞれの部署の候補生を集めて、後継者として育成する事を目的とした青龍(ティンロン)の4つから成り立っている。」

 

 士郎の問いに答える美沙斗。

 

 「もしかして以前、俺達が倒したのは四龍の1つ、紅龍なのですか?」

 

 「そうだ恭也くん。私達が龍だと思っていたのは四龍の1つである紅龍。確かに私達は紅龍のトップと幹部達を倒した。だが組織その物を壊滅させた訳ではなかったのだ。私達はあれで、組織も壊滅したと思っていた。だが実際には先程言った青龍から紅龍の後継者が生まれ、組織は立て直されたようだ。」

 

 「美沙斗、俺達に四龍の話を持ち出してきたという事は何か重大な出来事があるんだな?」

 

 「そうよ兄さん。先ずは白龍がテロ組織指定になっている女性権利団体と武器売買をしたという情報を得たの。」

 

 「なるほど、女性権利団体と武器。目的は男性操縦者か。」

 

 「たぶん、その推察は合っていると思うわ恭也くん。それと幾つかの国でISコアの盗難が起きているようなの。此方は残念だけど未確認情報よ。まあ盗難された国からすれば、絶対に隠したい情報だから確認するのは事実上不可能だと思うわ。」

 

 「盗まれたISコアの行き先も女性権利団体か。益々零也の身に危険が迫っているという訳か。」

 

 「そうなの兄さん。日本の警察と更識家、そしてIS学園に、この情報を持っていく予定なんだけど、先にみんなにも聞かせておいた方が良いと判断したの。」

 

 「美沙斗さん、その四龍がかつての因縁を晴らす為に動いてくる可能性は?」

 

 恭也は四龍が、いくら当時の紅龍のトップの私怨による暴走とはいえ、トップと幹部達を倒し、組織を一時的とはいえ機能不全に陥れた自分達に何かしら仕掛けてくる可能性について尋ねる。

 

 「私もそれが一番気になっていて調べているんだが、そういった動きが全くない。警戒しておくに越した事はないが。」

 

 そう、美沙斗も四龍の事を知って直ぐに懸念を持ち調べていたのだが、いくら調べても自分達に対して、何かしらの動きを全く見せていなかったのだ。

 過去の事は水に流し、まるで自分達に何もしないという意思表示かのように。

 

「香港国際警防でも四龍の動きに関しては細心の注意を払っている。何かしらの動きがあれば直ぐに連絡が入るようにはしてある。」

 

 高町家での話し合いは続いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 薄暗い部屋の中、円卓を囲むように5人の男女が座っている。

 そのうちの1人、純白のビジネススーツ姿の女性の後方の壁には絡み合う四頭の色違いの龍が描かれていた。

 

 「さて定例会議をはじめましょう。」

 

 女性がそう告げると、右隣に座っていたノースリーブの紅いチャイナドレス姿の女性が

 

 「その前にひとつ聞きたいけどカテジナ、何故貴女がそこに座っているのかしら?」

 

 「確かに、王(ワン)の言う通りだ。その席は姿を隠された四龍の長であるマダム・ベラドンナが座る場所。勝手に座っていい場所ではない。」

 

 王の右隣に座る黒コートに丸眼鏡をかけた男が同意する。

 

 「マダム・ベラドンナが姿を隠されて数年、何時までも、この席を空席にしておく訳にはいきません。ですので妹である私が仮に座らせていただいたのです。ですが姉が戻られるか、新たな長が決まれば、何時でも明け渡しますわ、よろしいでしょうか王、ヴァーミリオン。」

 

 そうカテジナが言うと口を閉ざす王とヴァーミリオン。

 

 「それでは定例会議をはじめます。先ずはカラス、青龍の育成状況をお願いします。」

 

 カテジナの左隣に座るスーツ姿の初老の男性[カラス]が

 

 「今期のノービスクラスは全滅です。こう言ってはなんですが、あまりにも素質無しばかりで鍛えようがありませんでした。エキスパートクラスの方は、白候補生が2名、黒候補生が2名、紅候補生が1名残っております。この5名に関しては卒業試験に進めそうです。」

 

 カラスの報告にカテジナが

 

 「年々、エキスパートクラスに昇格出来る者が減ってますね。やはり質の低下が否めませんね。その辺りの対応策は?」

 

 「それに関してですが、ドイツで研究されていたデザインベイビーのデータを入手出来れば。」

 

 「なるほど、最初からそういうタイプの人間を生み出すというのですね。」

 

 「それともうひとつ、日本にプロジェクトモザイカという研究をしていた所があったそうなのですが、ただ此方は既に研究していた施設・研究員・データが殆ど失われており、入手するのが困難となっております。」

 

 「王、これらのデータの入手を頼みます。」

 

 「わかったわ。ドイツはともかく、日本の方はかなり困難だと思うから時間がかかるわよ。」

 

 「それでは、次にサイレーン、黒龍の報告を。」

 

 カラスの隣に座る胸元が大きく開いたブラウスをきた女性[サイレーン]が

 

 「とりあえず、組織への上納金に関しては昨年を大きく上回るわ。それと白龍からの依頼で行っているIS関係の物の入手に関してはコア以外はほぼ入手して引き渡しも終わりました。ただISコアに関しては、もう少し猶予が欲しいですね。」

 

 「わかりました。それで王、白龍の報告を。」

 

 「此方も今の所は問題無いわ。特に女性権利団体への武器等の販売が好調よ。それと最近では、各国のIS関連事業のデータが高値で売れているわね。」

 

 「白龍も問題無いようですね。それでは最後にヴァーミリオン、紅龍の報告を。」

 

 「漸く面子が揃って動けるようになるってとこだ。夏には本格的に動けそうだ。依頼に関してはまだ受け付けていないが、問い合わせがきてるようだぜ。」

 

 ヴァーミリオンの報告を聞き満足そうに頷くカテジナ。

 

 「ところでよ。紅龍を壊滅手前まで追いやった奴等に対する報復は無しって、本当か?確かに、ホーファイ爺の暴走による組織の私的利用は不味かったけどよ。」

 

 「ヴァーミリオン、それに関してはマダム・ベラドンナと私達が話し合い決めた事です。ですので、相手に関する調査も許可しておりません。ホーファイの暴走は四龍にとっても汚点なのです。寧ろ、裏切り者のホーファイと支持一派を始末してくれたと感謝しなればなりません。」

 

 「わかったよ。」

 

 四龍の話し合いも続いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テクノスタジオジャパン

 

 レストラン アグリ

 

 4階建てのレストランで、1階はお土産物やケーキや洋菓子等を販売、2階では手軽に食べれるパンにサンドイッチ、ハンバーガー等の販売、3階は和洋中が楽しめるビッフェ形式のレストラン、5階は個室やテラス席となっており、ビッフェのメニューをそれぞれの場所に配膳してくれるようになっている。

 

 その5階の特別テラス席。元々、テラススタジオジャパンが高台に作られていることもあり、園内のみならず、海鳴市の街並みや海を一望出来るようになっている。

 

 また、屋根もあり四方がガラス張りになっているので天候に左右されず景色と料理を楽しむ事が出来るのだ。

 

  その特別テラス席に零也達は集まっている。先ほどまでは、テクノスタジオジャパンのメインイベントのひとつ、マスコットキャラクターたちます総出のパレードが行われていた。

 

 それも見終わり、今はそれぞれの席に座り運ばれてきた料理に舌鼓をうっていた。

 

  ちなみにだが、集合したメンバーの一部はその格好が変わっている者がいた。

 

 虚・シュテルは頭にマスコットキャラの頭の形をしたカチューシャをつけ、そして本音はネズミがモチーフのマスコットキャラのなりきり着ぐるみスーツ姿になっていた。

 

 そして簪、彼女もまた服装が変わっていた。背中には[GSPO]のロゴ、要所には金色のライン、左胸はエンブレムのワッペン、右腕にはXとかかれたワッペンのついた白地のジャケットを羽織っていた。更に頭には、金色のお面を乗せていた。

 一緒に回った紫とクロエの服装は変わっていないものの、三人は食事もそこそこに回った先で買い集めたグッズを見せあっている。

 

  「食事が終わったら、また園内を回って、6時にここに集合して夕食。それからナイトパレード見学だ。」

 

 零也が今日の後半の予定を話す。

 

 「クロエ、紫、確か次のステージは3時からだったよね?」

 

 早速、ヒーローショーの事を話し合う簪達。

 

 「お姉ちゃん、シュテルン、次はこれとこれに乗ろうよ。」

 

 此方も次に乗るアトラクションの相談をはじめる本音達。

 

 「それで零也、私達は何処に行こうかしら?」

 

 楯無の問い掛けに

 

 「ウェストエリアに行こうよ。あの魔法使いの映画のセットとかを見てみたいし。」

 

 「確かあそこには、日本初出店のフランスのマカロン専門店とベルギーのチョコ専門店があったわよね。」

 

 雫も興味を持ち同意する。  すずかは口を挟まないが、零也達の行き先に不満はないようだ。

 というよりも零也と一緒に行動しているだけでかなりご満悦のようだ。 むろん、それは雫と楯無も同様のようだ。

 

 3人の様子を見ながら、零也は自分の置かれている状況を考えていた。

 

 (やっぱり、はっきりと答えなきゃ駄目だな。ずっと待たせているし。)

 

 

 直接的な血のつながりは無い姉、雫

 

 

 直接的には血のつながりは無い伯母、すずか

 

 

 幼馴染みである、楯無

 

 

 遺伝的には繋がりのある、紫

 

 

 4人の女性から好意を向けられているのは零也も理解している。

 だからこそ悩んでいた、誰か1人を選らばなければいけない事に。

 だが答えを出せずに、問題を先延ばしにしていた。

 

 

 すずかに関しては、間違いなく異性として好意を向けられているのはわかっている、自分も肉親以上の想いを持っているのも理解している。

 

 

 楯無は物心ついた時から過ごし、互いに異性として認識し、お互いに好意を寄せあっているのはわかっている。

 

 ただ、雫と紫に関しては肉親としての好意なのか異性としての好意なのか判断がつかなかった。

 

  因みに両親と祖父母には零也の悩みはばれており、色々とアドバイスをもらっていた。

 

 そんな中、雫と紫は自分達なりに、両親や祖父母からアドバイスを貰い、自分の気持ちを整理したようで、零也に対して

 

 「零也、私は貴方の事が好きよ。でも多分それは肉親としての親愛であり、異性としての恋愛では無いと思うの。もっともその親愛感情は、他の人より異常な位強いみたいだけどね。」

 

 「兄さん、私は兄さんの事が好きだ。だってこの世に唯一同じ境遇で生まれた存在だから。でもそれは、ずっと側に居続けたいという依存から来るものだと思う。だから私の事は気にしなくていいよ兄さん。」

 

 と雫と紫は、ブラコン宣言をして零也の気持ちの後押しをしてきた。

 

 

 そして、ゴールデンウィーク直前に理事長を通じて国際IS委員会で、男性操縦者特別保護法の成立がなされそうだという話を聞かされた。

 

 保護法には特例として一夫多妻を容認するというのがあると聞かされ、零也はある決断を下すことにした。

 

 (確かウェストエリアにはあれがあったはず。)

 

 事前に調べていた情報を脳裏に浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
という事で、色々考えた結果すずかと楯無がヒロインに決定しました。
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