IS 月華の剣士   作:雷狼輝刃

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 主人公はまだ登場しません。


第2話  織斑千春

 

  4月某日 IS学園1年1組

 

 そこに集められた生徒達は落ち着きなく、ざわめいていた。何故ならば、本来なら女子生徒しかいない筈のクラスに男子生徒が一人いるからだ。

 その男子生徒こそ、世界初のIS男性操縦者の織斑千春だ。

 

 (・・・・・・クックックックッ! ようやく、ようやく原作が始まる! 思えば、ここまで長かったな~ だが、これからは俺の時代だ! ハーレム生活の始まりだ!)

 

 クラスの女子生徒達からの注目を集めながら、表向きは平然を装いながらも内心は、これから始まる学園生活に関して下衆な想いを抱いていた。 

 

 

 

    唐突だが、ここである事実を伝えよう。

 

 この、織斑千春という少年は転生者である。

 

 

 しかし自分が何時・何処で・どうして死んで、何故転生したのかは千春は、全く覚えていなかった。

 

 自分が転生者だと気がついたのは千春が3歳の頃。その頃には両親は既に居らず、千冬が篠ノ之家の支援を受けながら千春と一夏を育てていた。

 

 

  それは突然の事だった。

 

 

 何故か成人男性だったはずの自分がいつの間にか、子供になっており、しかもライトノベル作品・・ISの世界に転生していることに気がついたのだった。 しかし前世の記憶・・・自分の前世の名前に家族、そしてどういう人生を歩んできたか、というは殆ど残っていなかったが、どういう訳か一般常識とIS(ただし9巻まで)に関しての記憶だけが残っていた。

 しかし、そこで千春は自分が主人公である一夏ではなく双子の兄である千春という、本来なら原作には存在しない人物に転生していることに絶望した。

 

 (ま、不味い。このままだと主人公である一夏の引き立て役になってしまう)

 

 千春は自分が本来原作には存在しない人物ということで、原作が進んだ場合に主人公である一夏に光が当たることで、本来存在しない自分が全く原作に関われない、もしくはその引き立て役・・・踏み台になってしまうとどういう訳か考えてしまった。

 そこから千春はどうすれば良いのかを考えた。その時点で、不思議な事に何故か千春の中では自分はISを 動かせるという結論が出ていた。

 

 真っ先に思い付いたのは一夏を物理的に排除して自分がその位置につくことだったが、如何せん3歳児にはどうすることも出来ない方法だった。 

 そこで次に考えたのが普段の生活態度や勉強、スポーツで一夏より出来る事を周囲に見せて、自分が注目を集めることで一夏のマウントをとることだった。

 これは比較的に上手くいっていった。周囲の人達は千春の事を『天才児』『流石は千冬の弟』『優秀な方の弟』と評価していき、一夏は『凡才』『本当に千冬の弟か?』『不出来な弟』という評価が付けられていった。

 別に一夏が出来が悪い訳でも無いのだが、千春の凄さが余りにも目に付いた為に、そういうレッテルが貼られてしまったのだ。

 そして、その評価は千冬にも、少なからず影響を及ぼした。

 

 『手のかからない優秀な弟の千春』『手のかかる不出来な弟の一夏』、二人の評価が千冬の中でも位置付られた。それでも千冬は千春と一夏を別け隔てなく愛情を注いだ。 もっともその事は千春を大きく傷付けることになった。

 

 千春は、千冬が二人の弟の中で優秀な自分を優遇し一夏を冷遇すると思っていた。実際に千冬は口では

 

 「ぐずぐずするな!」

 

 「何でこんな事も出来ないんだ!」

 

 「千春を見習え!」

 

 と叱責はするものの、けっして一夏を見放す事なく寧ろ千春から見れば手のかかる弟ということで、優遇されているように写った。

 千冬の愛情を自分一人に一身に受けたかった千春は、その鬱憤を晴らす為に一夏を虐めることにした。

 だが千春は直接手をくだすことは無く、人伝に周囲を煽動して一夏を虐めた。 これにより虐めが発覚しても自分にはたどり着かないと千春は考えた。

 千春の思惑通りに虐めが幾度か発覚したものの千春がその黒幕であることがばれることはなかった。

 

 

 そして、小学校に入学する直前の事だった。突然一夏が行方不明となったのだ。 事故と誘拐の両方の線で捜査が行われ、その行方を捜索されたものの足取りは全く掴めず、捜査は難航していた。

 一夏が行方不明になってからは千冬の落ち込みようは酷いものだった。 千春は知るよしも無かったが、千冬は密かに束に一夏の捜索を頼んだものの、当時の束でも、どういう訳か行方を掴むことは出来なかった。

 兎も角、千春にとって最大の懸念事項だった一夏という存在がいなくなった事で自分が、()()()()()()()()()()()()()()()()という唯一無二の存在になった事に舞い上がった。

 もちろん、表面上は一夏が行方不明になった事を悲しんではいたが。 

 

 一夏がいなくなって暫くだった頃、千春は有ることに気づいた。

 

 (・・・・・あれ?・・・・一夏がいないってことは、本来一夏が起こさなければいけないフラグを俺がしないといけないのか?それに一夏の行動をトレースしないと原作通りの事が起きないんじゃ?)

実現するために。

 今更ながらに、その事に気づいた千春は箒と鈴とのフラグは勿論のこと、他の女性からのデートの誘いや告白も唐変木の朴念仁を通す為に(泣く泣く)ボケなければならなかった。

 更に中学進学後はしたくはなかったが、部活をせずにバイトに明け暮れた。

 自分の知る原作というシナリオ・・・アドバンテージを生かし、自分の望む未来・・・・ヒロイン達に囲まれてちやほやされるハーレム学園生活を実現するために。

 

  

 

     だが、千春は気づいていなかった。 

 

 

 

 原作通りの筋書きと自らが望む欲望が矛盾していることに

 

   

      そして知らなかった。

 

 

   その望みが永遠に叶う事が無いことを。

 

 

 

 

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