IS 月華の剣士   作:雷狼輝刃

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第5話  放課後の一幕

 

 

  1年3組 放課後

 

 初日の授業も無事に終わり、クラスの生徒達は部活に向かう準備をする者、自主連に向かう準備をする者、帰寮する準備をする者と様々だ。 

 そんな中、零也は部活に入らないので帰宅する準備をしていた。 IS学園は全寮制だが男性である零也の部屋は入学までには、準備が間に合わないという話だったので暫くは自宅からの通学となっていた。

 勿論、紫も自宅からの通学でその間はシュテルが護衛につくのだ。  そんな3人に3組の副担任であるオータム・シーズンが声をかけた。

 

 「月村兄妹、それに高町、少し待て。本来ならもう少しかかる筈だった寮の準備が何とか間に合った。そこで本日から入寮してくれ。これが鍵だ。」

 

 そう言って3人にカードキーを渡す。 カードキーを見れば、そこに印字されている部屋番号は3人とも同じ【00000】となっていた。 その意味するのは、つまり

 

 「「「オータム先生、これって・・・」」」

 

 「お前たち3人は同室だ。今回特別に用意された部屋でな。ちなみに荷物は、家族の方に用意してもらい届けてある。もう部屋にある筈だ。」

 

  紫とシュテルは納得したものの、零也は

 

 「いやいや、流石に妹や護衛とはいえ、男女同室は不味く無いですか?」

 

  てっきり一人部屋と思っていたので慌てて訴える。

 

 「残念だが今更変更は出来ねえ。3年間は同室だから頑張れよ青少年!」

 

 そう言って零也の背中を叩いて教室を後にするオータム。 教室を出て暫くしたところで

 

 「私は何も3人部屋とは断言して無いぜ。」

 

 やや意地の悪い笑顔を見せて呟き立ち去るのだった。

 

 一方、残された3人はカードキーをポケットに仕舞う

 するとまるでタイミングを測ったかのように零也のスマホにメールが届くのだった。 そこには楯無から生徒会室に来るように書かれていた。

 

 「楯無が生徒会室に来て、だってさ。」

 

 そう零也が告げると紫が

 

 「兄さん、悪い予感しかしないんだけど。」

 

 「・・・・・・・だからといって無視すると後で何が起きるか解らんしな・・・・・はぁ~、仕方ない行くとするか。」

 

 そう言って零也達は生徒会室に向かうのだった。

 

 

 

 

 

   

 

   同時刻  1年1組 

 

  此方も全ての授業が終わり、生徒達はそれぞれ目的の場所へと向かう準備をしていた。 千春も一応帰宅するための準備をしていたのだが、そこに千冬と真耶が来て

 

 「織斑くん、突然で申し訳ありませんが急遽本日から学園の寮に入寮して貰う事になりました。」

 

 「とりあえず荷物は私が最低限の物を揃えて持ってきた。他に必要な物が有れば、休日に外出届けを出して取りに行け。」

 

 真耶と千冬がそう言ってきたので千春は

 

 「は、はいわかりました。」

 

 「ところで織斑、お前に再確認したい事がある。参考書の事だ。」

 

 その瞬間、千春の顔は青ざめていく。千冬は持ってきたバックから一冊の分厚い参考書を取り出す。

 

 (な、何で参考書が!)

 

 「さて、織斑。確かお前は授業の時に参考書は間違って捨てた、と言っていたな? だが家を警護していたSPに確認した所、ゴミとして参考書が捨てられた形跡はなかったと言っていた。 そして私が着替えを取りに帰り、お前の部屋に入ったところ参考書がマンガ雑誌の下敷きとなってベッドの横にあった。」

 

 千春に参考書を見つけた時の状況を淡々と告げる千冬。千春は次に帰宅した時に、読まなくなった漫画雑誌と一緒に捨てようと思っていた。一応念のために漫画雑誌の一番下に分からないように重ねていたのだが、それを千冬が荷物を取りに行った時に見つけてしまったのだ。 

 そして今の千冬は無表情な顔とは引き換えに見ているだけで確りとわかる怒気は感じとれた。 それは千春にも十分伝わっていた。

 

 「山田先生、申し訳ありませんが織斑の同室の者に本日は織斑は部屋に戻らないと伝えて貰えますか?」

 

 「は、はいわかりました。織斑先生の仕事の方は私が出来る範囲の物は処理しておきます。」

 

 「ありがとうございます山田先生、それから夕食の手配もお願いしてよろしいでしょうか?」

 

 「はいわかりました。え~と、寮監室でよろしいでしょうか?」

 

 「そうですね・・・・はい、お願いします。さて織斑、お前には色々と話したい事が山のようにある。今日は私がマンツーマンでじっくりと話をし、更に勉強の方も時間が許す限り指導してやる、有難いだろう。」

 

 そう言って千冬は千春の制服の襟を掴み引き摺りながら教室を後にするのだった。

 

 余談だが、この日寮監室からは夜遅くまで千冬の怒鳴り声と千春の悲鳴が聞こえたとか。

 

 

 

   生徒会室

 

 

 生徒会室の重厚な扉の前に零也達はいた。扉をノックすると、扉が開かれて

 

 「お待ちしておりました。」

 

 そう言って虚が迎え入れてくれた。 そのまま零也達が室内に入ると、そこには楯無と本音の姿があった。

 

 「いらっしゃい、待ってたわよ。」

 

 机の上に重ねられた書類の山と格闘しながら出迎える楯無。

 

 「・・・・・えらく仕事が溜まっているな。さてはサボったな。」

 

 零也の指摘に楯無のペンの動きが止まる。

 

 「毎度の事です。本気になって毎日やっていれば、こんなに溜まる事は無いのです。なのに毎回毎回、目を離した隙にサボったり、エスケープしたりして、こんな事になるんです。」

 

 虚の背後に般若の面影が見える。 それを感じ取ったのか、何も言わずにひたすら書類に目を通していく楯無。

 

 「そ、それで俺達を呼び出した用件は何なんだ?」

 

 「それなんだけど、まず最初にIS学園に所属する生徒には何かしらの部活動に参加する義務があるの。そこで零也と紫に生徒会への所属をお願いしたいの。ちなみにシュテルさんにはその任務上、部活動への参加義務は無いわよ。」

 

 「なんで生徒会?」

 

 「生徒会に所属しておけば、よほどの事が無い限り他の部活からの勧誘は無いわ。それに生徒会に所属しておけば週に2回、特別にアリーナの特別使用許可が与えられるのよ。お得でしょ?」

 

 笑みを浮かべて、そう言ってくる楯無。

 

 「まあ俺の場合はマスコットや雑用係にされるのがオチだからいいけど。」

 

 「私も特に入りたい部活が無いからいいよ。」

 

 二人の答えを聞き笑みを浮かべる楯無。

 

 「「ただし、自分の仕事は自分でしてね!」」

 

 その瞬間、机に額を打ち付けて落ち込む楯無。どうやら二人に仕事の手伝いをしてもらう算段をしていたようだ。

 

 「やはりそんな事を考えておられたのですね。残念ながら私がそんな事はさせません。自分の仕事は自分で処理なさってください。」

 

 追い討ちをかける虚。

 

 「それで用件はそれだけ?」

 

 「あ~と、実はあと2つほど面倒な用件があるの。」

 

 零也の問いかけに答える楯無。

 

 「最初に、日本政府というか、一部の議員達から零也に石動重工が作る専用機に変更しろという話がきたの。こっちの方は色々と手をまわして白紙にしたわ。ただ、それを逆恨みしてちょっかいをかけてくる可能性があるから気をつけてね。」

 

 「めんどくさいな。」

 

 「次に、来週1年1組がクラス代表を決める為の模擬戦があるのは聞いてる?」

 

 「あぁ、本音から聞いたけど、それがどうかしたのか?」

 

 「実は国際IS委員会の方から、その時に零也も一緒に公開模擬戦をするように命令がきたの。対戦相手は織斑君よ。」

 

 「なんで?」

 

 「表向きの名目は早い段階で男性操縦者の実力を把握しておきたいという事。でも実際には色々と思惑が絡んでいるの。」

 

 「国際IS委員会と言っても組織です。様々な人間の集まり、派閥というものが出来ます。女性権利団体の関係者が集まった【女権派】、男性の権利を向上を目指す【男権派】、ISの技術を民間にフィードバックして治安維持や災害救助や復興に関する物の発展を目指す【革新派】と、現状を維持して急激な変革を求めず、緩やかな発展もしくは衰退を望む【穏健派】これら以外にも派閥が幾つもあります。」

 

 楯無の話を虚が補足する。

 

 「そして派閥も決して1枚岩じゃないわ。例えば【女権派】内では、男性操縦者の存在その物を無くしたいと思っている者達もいれば、自分達の象徴である織斑千冬の弟の存在だけは例外にしようと思う者達もいるわ。」

 

 「なるほど、そういった思惑が絡み合った結果が入学早々に俺と織斑との模擬戦という訳か、迷惑な話だ。」

 

 「ということで、来週月曜日の模擬戦までの間にアリーナが訓練で3回使用できるわ。火曜木曜は一般アリーナでの訓練、土曜の午前は教員専用アリーナでの訓練よ。教員専用アリーナは特例として使用許可がおりたわ。」

 

 「了解、それじゃあ今日は帰るわ。荷物を整理しないといけないしな。」

 

 そう言って零也達は部屋を出ようとする。そこに楯無が

 

 「そうそう、最後に私も零也達と同じ部屋だからよろしくね♥」

 

 そう言ってウインクする楯無。それを聞いて手で顔を覆い溜め息をつく零也であった。

 

 

 

 

 

  

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