総統の弟   作:鈴木颯手

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第3話「暗殺未遂」

「無様だな。エリザ殿」

「くっ!」

 

煙が上がる総統府前の演説場にて俺は取り押さえられているエリザ・デスラーを冷徹に見下ろしていた。こいつはマティウスの妻であり現体制に不満を持つ者たちの一人だった。俺にとっては嫌いな人物の一人だ。

 

「ルーベル!目を覚まして!アベルトはただの独裁者よ!」

「だからどうした?」

 

俺はディッツ提督とタラン参謀次長に取り押さえられながらも喚くエリザの前に膝をつき銃を構える。

 

「貴様は反逆者だ。貴様の言葉に耳を貸すほど愚かではない」

「アベルトがやっている事は間違っている」

 

兄上が見ている前でここまで喚くことができるあたりこの女は阿呆だな。

兄上が導かなければ未だにガミラスは内乱状態だっただろう。そうなれば俺も死んでいたかもしれない。貴族の神輿として何も出来ない日々が続いていたかもしれない。

そんなのは……死んでもごめんだ。

 

「マティウスでなく、アベルトの方が死んでいれbっ!」

「黙れ!」

 

俺は容赦なく女の顔を蹴りつけた。女は口から血を吐き歯が数個口から出る。しかし、そんな事はどうでもいい。こいつは!今!兄上を侮辱した!しかもマティウスの代わりに死んでいればだと!?ふざけるな!

俺は心の中で叫びながら何度も、何度も!踏みつける。こいつは敵だ!生きてはいけない敵だ!ここで死ね!兄上に逆らった事を後悔して死ね!詫びろ!敬い称えろ!兄上は!最高の人物だと!出来ないなら死ね!今すぐ死ね!それが出来ないなら死ね!

 

「……ルーベル、そこまでだ」

「っ!?何故ですか!?こいつは!この女は!」

「皇族と言えどなんの地位も持たないお前に裁く権利は、ない」

「それは……!」

「もう一度だけ言う。それ以上は止めろ」

「……分かり、ました」

 

俺は青い血が大量に付着した足を退ける。女は顔が変形しており腫れ上がっていた。顔の周りには血がべっとりと付いている。女は辛うじて息をしている。……後少しで止めを刺せそうだがこれ以上は兄上を怒らせるだけだな。

 

「エリザ……。君の判決は追って降す。それまでは牢に、いや治療を行ってやれ」

「……死刑になる反逆者にそんなもの……」

「ルーベル、黙れ」

「っ!失礼しました」

 

俺は兄上の視線を受け謝罪する。どちらにしろ兄の決定だ。覆る事はないだろう。ならせめてあの女の最期ぐらい見ておこう。俺と兄上を捨てマティウスを取ったあの女の様に……。

部屋に戻るとミーゼラとミレーネルが怯えた様子で立っていた。部屋が隣と言う事もありたまに部屋に勝手に来る事もあった。今回もそうだったのだろうがどうやら外での出来事を知っているようだ。

俺は二人を無視して椅子に座り込む。そして二人には部屋を出るように言い二人が出てから壁を殴る。一回だけではなく二回、三回、四回!血が出ても殴り続ける。そうする事でしかこの怒りを抑える事は出来ないから。

俺はこの時ほど地位と言う物を求めた事はない。地位さえあれば兄上に意見を行える地位があれば!

俺は血で染まる手を握り締めながら必ず地位を手に入れると心に誓うのであった。

 

ガトランティスは2022のままか方舟のような蛮族風がいいか

  • 2022版で
  • 星巡る方舟版(2199劇場版)で
  • 作者におまかせ

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