これはあれだ、夢なのではないか?
怖いテレビ番組を見てしまった後に見る夢と同じ、目覚めると嫌な汗をびっしょりとかいてるが、シャワーでも浴びてドライヤーで髪を乾かせば忘れているような物。
あるいは、小さい頃に夢に見ていたが大人になるにつれ現実的ではないと気付く憧れの職業。
時間が解決してくれるものはこの世にたくさんあるのだ。この状況がそうだとは限らないが、そうでないと言う事もない。
それもこれも全て時間が経ってから分かる事であるが、いま僕の置かれている状況の質の悪い所は僕に時間が経つ暇を与えてくれないことだ。
息は切れ、足はもつれ、転んで近くのゴミ箱に体をぶつけ中身をぶちまけて得たいの知れない液体だのをおっ被ったがそれでも足を止めれない。
身体中から異臭が漂い、息が切れているのに鼻がつまりそうだが呼吸に気をつかう暇がない。
「何なんだよアイツ……」
後ろから再び聞こえ始めた《カチカチ》という金属が軽くぶつかり合った音でアイツが近づいてくるのがわかる。
後ろを振り替えれば《天誅》とかかれた白いマスクを被った全身黒の格好をした男? が包丁とカッターナイフをかち合わせながらこちらに向かってくる。
「ちょっと待ってよー、道を聞きたいだけなんだからさー」
そんな話信じられるか!!
「交番ならそこの角曲がって真っ直ぐでーす!!」
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30分前
「……天誅マスク?」
天誅マスクなる聞いたこともない名前が目の前の後輩から聞かされる。可愛らしい声とともに、とても女子とは思えない死んだ目が輝きだし、寝癖だらけの髪の毛がふわりと一瞬浮かぶ。
「はい、灯馬《とうま》先輩はしりませんか? 《天誅マスク》」
いや、何で知ってる前提みたいな言い方なの? キン肉マンに出演してましたっけ?
「いや、しらないけど」
なんだろう、ネーミング的にキン肉マンに序盤で筋肉ドライバーされて負けてるイメージしかない。それかライダーキックで負けていても可だ。
「え──、いまや結構な有名人ですよ? 《天誅マスク》は」
そんなに有名人なの? そんなネーミングで? 地元の有名おじさん的な感じ?
「で、どんな人なんだその《天誅マスク》とやらは」
「何でも噂だと気に入った相手に道を聞くらしいんですよ、それでちゃんと道を案内できなかったり『知らない』って答えたりすると天誅を下されるんですって」
有名おじさんと言うよりは都市伝説や妖怪の類いのようだった。
「なんだその物騒なやつ、岡田以蔵に憧れでもあるのか?」
「いや、今時の高校生は岡田以蔵何て知らないと思うんですけれど」
そうなのだろうか? あの天誅の達人を世の人たちは知らないと言うのか。
まぁそんな僕もFGOをやってなければ知らなかっただろう。
「それにしても先輩がまだ《天誅マスク》に会ってないなんて以外ですね《悪運に愛された男》、《津季高校のジョン・マックレーン》と言われた先輩が」
「おい、誰だそんなあだ名つけたやつは。僕が直々にぶちのめしてやろう」
僕はあの映画の人物とは何ら関係がないのだ。もしもそいつに会えたならスポーツ用具と仲良くエレベーターシャフトを落っこちてもらおう。
「まあ私なんですけど」
「イッピカイエー、くそったれ」
こいつのラッキーな所はこの高校にはエレベーターが無いことだ。
「え──、先輩にぴったりじゃないですか。この前も川で溺れてる猫を助けようとして猫は助けれたから良いものの、そのあと川に足を持ってかれて溺れて死にかけてたじゃないですか」
そんなレベルの話でジョン・マックレーンを引き合いに出すなよ……。
「いやーあの後にたまたま枯れ木に引っ掛かっているところを、幼い頃に水泳教室に通っていて泳ぎが得意な私が通りがかってよかってですねー」
大袈裟に後頭部に両手を当ててニヒヒと口許を歪ませる。正直死んだ目と合わさって不気味だ。
やけに恩着せがましいのは何時ものことだ、あまり腹をたててはいけない。腹をたてた所でこいつに口喧嘩で勝ったことはない。
「て言うか、そもそもの原因は迷子になった猫の張り紙があったから探してあげようと明《あかり》、お前が言ってきたのが原因じゃないか」
「でも、猫の飼い主さん喜んでたじゃないですか。ほらお礼もたっぷり貰いましたし」
「その大半はお前がせしめていたろ……」
まあお礼と言ってもお菓子とかがほとんどだから別に良いけれども。もう少し溺れるまで頑張った僕に労いはないのだろうか?
「まあまあ、情けは人のためにあらずって言うじゃないですか。いつか巡り巡って私たちの元に帰って来ますよー」
その考え方って本当に質の悪い慈善家だよな。借金取りと同じようなもんだ。
「と言う訳で今回も人助けです」
……人助け?
「今度は誰を助けるんだよ? 訪問販売に騙された認知症のおばあちゃんでも助けるのか? クーリングオフを使わせとけよ」
「妙に例えが現実的で引きますね……。って何で今までの話の流れでそんな考えになるんですか」
……今までの話の流れ? 嫌な予感がしてきたぞ。
「《天誅マスク》さんに道案内をしてあげましょう」
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それで、こんな状況になってんだから冗談じゃねえ。実際に見ると都市伝説何てもんじゃない。猟奇殺人鬼以外の何者でもねえよ!!
「嫌、交番には要はないんだけどね?」
交番に行けって言う暗喩だよ。気づけよ。
「ちょっと道を教えてくれるだけでいいんだよー。なぜか皆僕の事を見ると逃げ出しちゃうからさー」
そりゃ逃げて当然だ。『ハロウィン』のシェイプにも、『エルム街の悪夢』のフレディにだって劣らねえ、『津季町』の天誅マスク……以外と似合わないな。
そんな化け物みたいなやつが道案内をしろと言うのだ。いったいどこに案内しろと言うのだ? 『地獄に案内しろ、一緒に付いてきてもらうがな!!』とか? ……俺にはシナリオライターの才能は無さそうだ。
「そんな怖い格好をしてたら誰だって逃げ出すに決まってるだろう……」
「そうかなー? 結構気に入ってるんだけどなー?」
どんなファッションセンスだよ……。それ気に入るってうちの妹と良い勝負だぞ。
しかし、こんな会話をしてはいるがいまだに両手の包丁とカッターナイフは下げられていないいつでも逃げれる準備をしておかなければ。
「えーと、津季高校ってどっちいけば良いのかなー?」
……ん? 今なんて言った?
「……津季高校?」
「あー、知らなかった?」
僕はここに来てまたしても難題を突きつけられてしまった。
こんな不審者を高校に、しかも僕が通う高校に案内をして良いのだろうか?
例えばここで案内をしたとしよう。すると当然こいつは僕の通う高校に行くだろう。そしてそこからどうなる?
考えられるのは高校に侵入後、目についた人からその包丁とカッターナイフで惨殺を開始そしてその後に警察なんかに逮捕される。
そして取り調べで『津季高校の生徒に案内されました』と告発、僕の存在がしれわたり、僕も共犯として名前が上がる。だめだこのルート以外を選ばなければ。
ならば適当なことを言ってごまかすか?
しかし、いま目の前にいるのは噂の『天誅マスク』。何でも正しく道案内をしないとその者に『天誅』を下すらしい。
だめだバットエンドルートしか思い付かない。このままではジェノサイドルートに巻き込まれるのは必死。マジに必死だ。
「津季高校は……」
悩みに悩んだ結果、僕が出した答えは……。
学園コメディ物として書こうとしてまたもやなんとなく挫折しました。かなり前に書いた物なので文章事態が稚拙だと思います。たいした違いはないと思いますけど。またよかったら感想をお願いします。