クリス兼エリス様の誕生日は25日!!つまり昨日でした。さぁ全国のエリス信徒の皆様、宴じゃー!()
このファンクリスマス記念のの無料10連。☆4サンタダクネスでした。
ダクネスは好きなんですが性能が……ぐぬぬ。アイリスが初期アイリスしかいないのでアイリスが欲しかった…。
楽しい時間は本当にあっという間に過ぎて行く――。
こうして見ていると思うのは誕生日パーティと言うよりも完全に宴会になっていたことだろうか。ノリが冒険者ギルドで普段行われているのとあまり変わらなかった、だけどその方が気楽で楽しめるし私達向きではある。
アクア様の宴会芸から始まってカズマ君とダスト、キースのシュワシュワの早飲み対決が起こったと思えばダストとキースに引っ張られて強引にミツルギさんが参加することに。なお勝者は途中乱入したアクア様でした。酔っ払ったダストが罰ゲームと自ら全裸になろうとしたところテイラーさんとリーンにより全力で阻止された。ナイスラリアットだった。
このノリはアイリスにはあまりよろしくないような気もしたけどアイリスは楽しそうにしていた。付き人がクレアさんじゃなくて良かった。レインさんは貴族と言っても下級貴族らしく、庶民の話が分かる人だ。まぁ終始苦笑していたけど特に何か言う事もなかった。本当にやばいと思ったらそうなる前に私とゆんゆんが止めてたのも大きいのかもしれない。
プレゼントもいっぱいもらえた、これもまた生まれて初めての経験かもしれない。過去の誕生日を思い出すと誕生日プレゼントとか両親からしか貰ったことは無い。そう思えば寂しい前世だったぁとも思うし、いやいや普通そんなもんでしょと脳内で2人の私が言い争う。まぁ昔のことをいちいち考えても仕方ないのでこの辺で。
その中でもっとも衝撃を受けたのはアイリスからのプレゼントだった。
「お友達にこういったことをするのは初めてでしたので…宝物庫で凄く悩んで選びました!気に入っていただけると…私、嬉しいです!」
目を輝かせて私に両手に収まる程度の大きさの箱を手渡してくれた。箱と言っても宝石箱のような丁寧な造りでもはやこの箱がプレゼントでもいいのではと思えるほど。
そしてさりげなく宝物庫で選んだとか言ってるのが流石のアイリスである。普通はお店で相手の好みや予算などを考えながら選ぶような気がする。少なくとも私がゆんゆんを祝った時はそうだった。予算は気にしてなかったけど。
とりあえずアイリスの初めては私が貰ったらしい。勿論プレゼント的な意味で。正直高すぎるものを受け取るのはかなり気が引けるのだけど何が入っているのだろうとそれを開けてみれば中身は金属特有の光沢を見せる鉱石のようなもの、それがまるで宝石のように綺麗に加工されていた。
「…アイリス、これは…?金属っぽいですが魔力を感じます…」
「…おそらくそれはアダマンタイトではないか?そこまでの輝きだとかなり高純度だと思うが…」
アダマンタイト…、聞いた事はある。確かダクネスが新調した鎧にも一部使われている非常に堅い鉱石だったはず。主に高級な防具に使われていることが多く、加工が難しいが熟練した鍛治職人によって剣などの武器も作られているらしい。耐久性は何も防具に限った話ではない、武器であっても必要なのだ。武器が壊れてしまえば職業によってはそれが危機になってしまうのだから。
「ララティーナの言う通りです♪アリスさんは杖に属性の入った魔晶石を使うと聞いたので、もしかしたらそれも使えると思いまして」
ただここまで魔力がこもっているとかなり希少かと思われる、アダマンタイト自体が希少なのだからお値段にしたらかなりの額になりそうで聞くに聞けない。…それにこんな高すぎるものはいただけませんと返してしまえばアイリスはきっと悲しむだろう。
「…ありがとうございます、大事に使わせていただきますね♪」
「……っ!…はい!」
気付けば難しい顔をしていたであろう私を不安そうに見つめていたので頑張って笑顔にしてこう答えれば、まるで花が咲いたかのようなアイリスの笑顔が見れた。正直この笑顔だけで幸せである。
アイリスが来た事でギクシャクしたものにならないかと思ったがよく考えたらそんなことを気にする人はこの中では少数だろう。主にダストあたりの動きにテイラーさんとリーンが細心の注意を払っているようだ。ならせっかくだし任せてしまおう。
こうして誕生日パーティという名の宴会は深夜まで続き、途中アイリスとレインさんは名残惜しそうにレインさんのテレポートにより帰ったものの、他の人は酔い潰れてそのまま眠ってしまう始末。シラフなのは私とクリスだけでしたとさ。
…
「こりゃまた皆すごい飲んだねー」
「…私は絶対にお酒は飲まないと固く誓いましたけど…、クリスも結構飲んでましたけど大丈夫なのですか?」
「あははっ、お酒には自信があるからねー、それに飲んでみたら結構楽しいと思うよ?」
確かに楽しそうではある。だけど今現在のこの惨状を見ても飲みたいとは思えないのが本音だ。男女構わずリビングの床にそのまま寝てるし、とりあえず風邪ひかないように毛布を持ってこないと。…こういう時飲まない人は損なんだけどね。なら私も飲もうとはならないけど。味覚がお子ちゃまな私にお酒の味はどうも好きになれない。前世で興味本位で飲んだチューハイとかでも無理だったし。どうやら私はアルコールそのものの味が苦手らしい。
「…私のいた国ではお酒は20歳にならないと飲んではいけないという法律がありましたからね」
「えー、カズマ君やミツルギさんは飲んでるのにー?」
そう言われるとなんとも言えないところもあるが何も二人が悪い事をしている訳ではない。今のこの世界では14歳で成人なのだ。更に言えばこの世界でお酒に関する法律は特に無い。なので赤ん坊が飲もうが法律上は問題はない、勿論基本大人が飲むものという概念は日本と変わらないらしいのであからさまに子供に飲ませる大人は滅多にいないのだけど…、と、ちょっと待ってほしい。
「……何故二人が私と同じ国の出身だと思ったのです?」
「……ぁ」
自然な流れで聞き返してみればクリスは口を濁す。冷や汗ダラダラで必死に目線を逸らすその姿は怪しさ満点だ。そう思えばクリスに関する疑問は次々と出てくる。どうせ今は私とクリス以外寝ているのだしこの際だから聞いてしまおう。
「疑問はそれだけではありません、クリスは私と話す度に不可解なことを言っているのですよ、それは自覚していますか?」
「え…えぇ!?」
クリスは思わず後退していた。酔いも完全に覚めたような感じで焦っている。そして無自覚だったのかと思えば思わず溜息が出てしまう。
「例えば私とクリスが初めて出逢った時です、あの時はそれどころではありませんでしたが…クリスは言いましたよね?『今の君はアリスなんだ』と」
「…そ、そんなこと言ったかなぁ?覚えてないなぁ…」
「私はしっかりと覚えてますよ、それは私が元々『アリス』では無いことを知っていないと出ない言葉だと思いますし疑問はまだあります」
「……」
「ダクネスやクリスと初めてクエストに行った帰りに、クリスは私のマナリチャージフィールドのデメリットを知っていました、どこで知ったのですか?あの魔法のデメリット…魔法攻撃力を半分にすることを私は誰かに話した事はありません。…とある事情からアクア様だけが知っていますがあの人も私の魔法の細かい特性まではあまり覚えていないと聞いています」
私は思わず後退するクリスに距離を合わせるように半歩詰め寄った。ちなみに言うまでもなくアクア様が知っているのは当然だ。私がそれを使えるようにした張本人なのだから。
こうして次々と質問する姿は私がクリスを一方的に責めているようにしか見えないかもしれない。勿論私はクリスを責めているつもりはない、ただそれらをどこで知ったのかを疑問に思っているだけだ。普通に考えたら私やアクア様が言わない限り知る由もないことばかりなのだから。
「…えっと…そのね…今から言う事は秘密にしておいてほしいんだけど…」
「勿論です、ですから是非聞かせてください」
はっきり言おう。私としてはクリスの事を実はエリス様ではないかと疑っている。流石にありえないと思ったりもしたけどその想いが強くなったのはアレクセイ邸でのバニルとの一件からのアクア様のあの態度だ。あのアクア様が、悪魔やアンデッドを見れば激昂するアクア様がクリスを止めに行ったのだ。未だにバニルやウィズさんへの風当たりは冷たいアクア様がそれよりと優先してだ。私としてはアクア様が動いたと気付いた時はクリスに加勢するものとばかり思っていたし。
何よりそう思えば私の疑問の全てが納得のできるものになる。私やカズマ君、ミツルギさんのような転生者の事情も知っていて当然。ダクネスへの加護もそのひとつに上げられるし、バニルに激昂するあのクリスの様子はアクア様に近いものを感じた。そう思えば思うほどそうとしか思えなくなる。
私は言いにくそうにしているクリスの答えを待っていた。相変わらず焦っているような様子ではあるけどどこか決意したような視線を私に向けたと思えば、クリスはそのまま口を開いた。
「…前に私はエリス様の神託を受けているって話はしたよね?実はそれ以前からエリス様とはよく頼まれ事をされるんだ、そしてその中に…異世界からの転生者の面倒を見たりすることも言われてるんだ」
「…っ!…それはつまり…私達のことは全てエリス様から聞いている…そういう事で宜しいのですか?」
「そ、そうそう!でもまさかそんなことを言う訳にもいかないし、なんか変な誤解をされたのかもしれないね、そ、その、ごめんね?」
「…いえ、私は責めている訳ではなく単純に疑問に思っていただけですから…」
クリスに言われた言葉を無意識に私の疑問と照らし合わせていく。…確かにそういう理由なら一応筋は通っているかもしれない。魔法のデメリットなんて細かい事をわざわざ話すのかなどの疑問はさておきだ。
最初はアクア様が実際にいて、こうしてこの世界にカズマ君の仲間として存在しているのだからエリス様もそれは有り得るのではないか、そんな想いからだったものの、伝承通りならエリス様はこの世界の死者を導く役割を担っているらしい、日本の死者を導くアクア様のように。ならばこんなところで呑気にしている暇はないだろう。
ただ私個人がそれで納得できるかと聞かれたらそうでもない。今話した事以外にもクリス=エリス様説を後押しする事柄はまだまだある、それもふと考えただけでも複数の理由が上がる程度には。
だから今はとりあえず…クリスは実はエリス様だけど正体を必死に隠しているので私はそっと知らないふりをしておく…ということにしておく。
別にクリスの正体が女神であるエリス様であれ、それが私に対して何か問題がある訳でもない、女神様なら既にアクア様という前例がいてしまっている、つまりは二番煎じだ。それに私の中で確信はしているものの、クリスの言う通り全てエリス様から聞いたという話も嘘だと断言はできない。
結論を出せば、クリスがどんな存在であっても、こうして私の誕生日を祝ってくれるくらいには友好的な存在なのだから、それでいいではないか。種族云々を持ち出したら人外な存在などアクア様を筆頭にバニルやウィズさんもいる。今更な話なのだ。
「…しかし女性陣を男共と一緒に寝かせておく訳にもいきませんね、運びたいのですが手伝ってもらえます?」
「え?あ、うん!」
クリスの顔を見ればどうにかごまかせたという達成感が垣間見れてしまっていた。前にも思ったが隠し事が下手すぎである。逆にこんな感じなのに今まで気が付かなかった私も私ではあるけど。
とりあえずアクア様、ゆんゆん、めぐみん、ダクネスはそれぞれ自分の部屋があるからそっちに運んで、リーンは私の部屋にでも寝かせておこう。その後に食器などの片付けをするべきか。…それにしても
(自分の誕生日パーティの片付けを自分でやるというのも…なんだか笑い話ですね…)
そんな事を思えば乾いた笑いが出てしまう。別に嫌な訳ではない。普段から屋敷の掃除は私がやることが多いし。料理は苦手だけど掃除は好きなのですよ。それにこの誕生日パーティをみんなで準備してくれたと思えば片付けなんて苦にもならない。
……
片付けも終わり、それを手伝ってくれたこともあって泊まることを勧めたけどクリスは帰って行った。私にダクネスの持つものに似たネックレスを残して。
ソファに腰掛けて未だに雑魚寝している男連中を横目に溜息をつきながらもそれを眺める、私への誕生日プレゼントらしい。銀色の光沢はとても美しいのだけどこれは私にエリス教徒になれと言う事なのだろうか。正直宗教に興味はないので勘弁していただきたいのが本音である。というよりこれを身につけているのがアクア様にバレたら面倒なことになりそうだ、アクア様とエリス様は先輩後輩の間柄らしいけどこれをアクア様が知ればあんた何人の信徒に手を出してんのよ!?とご立腹なアクア様の顔が安易に浮かんでしまう。別にアクシズ教徒でもないのだけど。
思いのまま欠伸をする。時間も大分遅い時間帯だ。アルコールが入っていなくても眠くなるのは当然と言える。本来ならお風呂にはいりたいけど今入ればそのまま寝てしまいそうだと、お風呂は朝入ろうと私は自分の部屋へ戻ることにした。
…部屋にはいるなり聞こえるのはすうすうと静かな寝息をたてて私のベッドで眠っているリーン。そういえばリーンにベッドを貸したままだっただと私が寝れないではないかと後悔するも後の祭り、私も一緒に寝るとなればちょっと狭いし今夜は部屋にある背もたれのついた椅子に座って寝るしかないか。
それだけ睡魔が迫ってきていた。とりあえず寝てしまおう、後は明日考えればいいか、と。
……
それは夢の中だとすぐに自覚できた。
「……またですか…」
お馴染みの真っ白な空間。私以外何もいない。そんな場所にも関わらず私は独りうんざりするように呟いた。呟かざるを得なかった。
既にマクスウェルはいない。ならまたもやもう一人の私でも出てくるのだろうか?そう思っているものの何も出てこない。このまま何もないのならそれでもいい、目が覚めるのを待つだけなのだけどこうなったのは既に三回目、何も起きなかったことはない。
――そう思っていたら、瞬間的に景色が一変した。
星空の広がる空間、床は紺色と白のタイル。そこに椅子が向き合うようにあって、その片方には私が座っている。
……あれ?ここってあそこだよね?私が死んだ時にアクア様と出逢ったあの場所。ベルディアにやられて気を失っている時にも来た。何故ここに来る事になったのか軽く困惑して考えてみる。
もしかして私はまた死んでしまった?死因がさっぱり思いつかない、幸せすぎて死んだのだろうか、どんな死因だと独り思い巡らせる。
「こんばんは、アリスさん、お会いするのはおそらく2回目になりますか」
透き通ったような声はとても耳障りがよく、心地よい。そんな歌声のように形容できた声の持ち主は、気が付けば私の目の前の椅子に座っている。
「…………エリス様?」
「…ふふっ、そういえばまだ名乗ってはいませんでしたね、改めて自己紹介しましょうか。私はエリス、この世界を担当する女神です」
私が巡り巡って導き出した答えにエリス様はお淑やかに片手で口を隠して笑っていた。どうやら正解らしい……というよりも。
美しく長い銀色の髪、術士にでも見える大人しめの容姿。確かにこれは一目見てクリスと分かる人はいないだろう。髪の長さ、服装の露出度など、何から何まで正反対だ。
だけどその顔をよく見れば僅かに面影はある。頬に傷がないものの、目だけを見たら非常によく似ている。
「…あ、あの…そんなに見つめられると恥ずかしいのですが…」
「す、すみません、そ、それで、私は何故死んでしまったのでしょうか…?」
俯きがちなエリス様から素早く目を逸らして話題を変えてみる。幸せすぎて死んだなんて素敵な死に方ではあるけど納得はできない。何より以前名乗れないと言っていたエリス様が今は名乗っている、ならばこれは私が死んだことは確定してしまったのだろう。今の私は死んだと思えば私がいなくなってゆんゆんは大丈夫だろうかとか、傍で寝ていたリーンはショックを受けないかとか、無駄に色々考えてしまっていた。一種の錯乱状態に近いかもしれない。
エリス様の答えを待つだけなのに、その返答が怖くて、恐ろしくて、いっぱいいっぱいな私は気付けば錯乱から放心するしかできなかった――。