内気な少女がこのすば世界に行ったようです   作:心紅 凛莉

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episode 15 アークプリーストとしての依頼

ゆんゆんとお友達になってから1ヶ月が経ちました。

あれからはクエストに行く以外にも買い物とかにも付き合ってもらったり、リーンを紹介して一緒にお友達になってもらったはいいけど案の定リーンのゆんゆんへの反応が私とまるかぶりで流石親友と内心思ったり、流石に定員オーバーという理由でテイラーさんのパーティ加入は実らなかったけどリーンというお友達が増えたゆんゆんはとても嬉しそうでした。

 

さて、今の私はと言うと、冒険者ギルドの酒場にいます。

 

テイラーさんが持ってきた依頼書のメンバーを決める為に会議中だったりします。

 

今回の依頼は3人まで。それ以上だと報酬的な意味であまりおいしくない。

 

依頼を受けたテイラーさんは確定として、今いる残りのメンバー…リーン、キース、そして私の中で誰が行くか決めようとしてました。

 

これがリーンもキースも私も率先して行きたい!というほどではなく、どちらでもいいよって曖昧な感じだった為に、逆にテイラーは困っていた。そんな時だった。

 

「テイラー殿、話の中すまない。少しよろしいだろうか?」

 

テイラーにかかる女性の声に、私達は揃って声の主に目を向けた。

 

凛とした声の主は中世の女騎士を彷彿とさせる全体像。美しい金髪を後ろに編んでいて、その鎧も由緒正しき品に見えた。こちらから見た横顔は儚さと美しさを兼ね備えていて、女の私から見ても思わず見とれてしまうほどの美人だった。

 

「ダクネスじゃないか、どうしたんだ?」

 

珍しそうに聞き返すテイラーから目線をかえることなく、ダクネスと呼ばれた美人さんは丁寧な様相を崩さない。その有様は格式の高さをも現してした。

 

「聞き耳を立てていた訳ではない。ただそちらのパーティで1人あぶれる様子とお見受けした。もしよければ、その1人をこちらに貸して頂けないか?丁度クエストを受けようと思っていたのだが、私達は2人しかいない。もう1人いれば助かるところなのだ。それでその人物なのだが…」

 

ダクネスは一呼吸おいたと思えば、その目線だけを私に向けた。

 

「できたら、こちらのアークプリーストの子にお願いしたい。もちろん無理にとは言わない。そちらの意見を尊重しよう。」

 

突然のご指名に私は驚いた。とはいえ指名されること自体は初めてではなかった。理由はアークプリーストという職業上のことから。

アクセルの街は駆け出し冒険者の街。まれにプリーストくらいならいるのだけど、アークプリーストともなると私の知っている限りでは多分私を含めて2~3人しかいないだろう。

 

「ふむ…別に今回受けるクエストは、アリスが必要になるほど難易度が高いわけでもない。アリス本人が構わないなら、俺としては構わない。」

 

テイラーはそう告げるなり目線を私に移した。私としてもまったく問題はなかったので、そのまま頷く。ただこんな美人の騎士様と一緒にクエスト…流石に緊張する。嫌なわけではないけど、ギクシャクしたものになればめんどくさいとも思えてしまう。そんな中キースが口を開いた。

 

「心配すんなよアリス。ダクネスは話がわかるやつだからな。悪いようにはならないと思うぜ。……」

 

最後にめちゃくちゃ小声で何かを言った気がしたのだけどなんだったのだろうか。私がポカンとした様子で首を傾げてるとリーンが続いた。

 

「あー…うん。悪い人ではないのは確かだよ。うん、大丈夫大丈夫。」

 

何故か私と目線を合わせないリーンに不安になる。一体なんだと言うのだろうか。

 

「話は決まりだな、感謝する。アリスと言ったな、私はダクネス。今日はよろしく頼む。」

 

変わらず凛とした態度のダクネスに、私は失礼のないように緊張しながら、こちらこそよろしくお願いします。と告げた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

そうして私はダクネスさんに着いていき、酒場から提示板前へと移動していた。すると、こちらに向かい手を振ってる女の子が見受けられた。

 

「ダクネスー、こっちだよー!」

 

その女の子を直視した時、私はぞっとした。

こちらに向かってダクネスを呼ぶ銀髪の…頬に傷のある…マフラーとケープをつけた軽装の女の子…この子は確か…

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈夢の中で会ったような…

 

 

 

 

 

「ゆ、夢の中…?」

 

「どしたのダクネス?…あ、君は確か…」

 

私のふいにでた言葉にダクネスは困惑し、銀髪の女の子は目をパチクリさせてた。

 

「久しぶりだねアリス、元気そうでなによりだよ。」

 

銀髪の女の子は私のことを知っている。ということはあれはやっぱり夢ではなかったのだろう。私は不意にバツの悪い顔をした。初対面が初対面なので流石に気恥しすぎた。気が付けば自然な形で私は俯き銀髪の女の子…クリスから目を逸らしていた。

 

「クリス?アリスとは知り合いだったのか?」

 

「んー?まぁ、知り合いってほどではないけど、少し前に軽く顔を合わせただけだよ。」

 

クリスも流石に私が泣いてたので鍵をこじあけて勝手に部屋にはいり慰めたなんて言える訳もないだろう。私はそれにあわせるように小さく頷く。

 

「キミの噂は色々聞いてるよ。『初心者殺し殺しのアークプリースト』とかね。」

 

「そ、それはどう反応したらいい異名なんだ…?」

 

話題を変えてくれたのはいいのだけど変えた話題が微妙なものすぎて私はもはや何も言えなかった。正直その場で顔を覆い隠して蹲りたいだけあるのだから。

 

「素直に賞賛していいんじゃない?初心者殺しと言えば、名前通り駆け出し冒険者にとってかなり危険だし、一般の人も被害にあうんだし。」

 

「ふむ…確かにそうだな。」

 

「それに聞いたよ?少し前に腹痛の薬の材料を採集するクエストがでてたんだけど、儲けがほとんどないから埃を被ってたらしいけど、それをアリスが引き受けたってさ。依頼人が私の知り合いでさ、おかげで薬が作れたって、喜んでたよ。」

 

「ほう…そのようなことがあったのか。」

 

褒め殺しも正直慣れていないからやめてほしいのだけど。2人の見る私の目が本当に賞賛していて私は自分でもわかるくらい顔を赤くしていた。実際耳を触ると熱を持ってた。慣れない対応に居心地の悪さを感じた私は、今日受けるクエストの説明をお願いします、と半ば逃げ出すように言った。

 

「…あー、ごめんね。困らせるつもりで言ったわけじゃないんだ。」

 

「確かに褒め殺しは私も苦手だな。あれは気恥しい。それはそれとして、言う通りクエストの説明をさせてもらおう。これが依頼書だ。」

 

 

 

 

 

ポイズンプラントの討伐依頼書

 

アクセル南の湿地帯と森の間付近にポイズンプラントが発生しました。アクセルの木こりが木を切りにいくのに邪魔になってます。駆除をお願いします。

 

なお、ポイズンプラントは強い毒を持っているので毒消しポーションを持参するか、毒を治療可能なプリーストの方の同行を推薦します。

 

推薦レベル17 (推薦パーティ人数 3名以上)

 

報酬金 15万エリス

 

 

 

 

 

 

依頼書を確認する。なるほど。毒消しのポーションは安いものではないしそれならパーティの1人をプリーストにしたいということなら話はわかる。難易度的にも問題はなさそうだし、毒消しのスキルなら問題なく使える。私は依頼書をダクネスに返却すると、笑顔でおまかせください。と告げた。

 

「頼もしい限りだな。改めて自己紹介しておこう。私はダクネス、クルセイダーだ。」

 

「それじゃ私も。盗賊のクリスだよ。よろしくね、アリス。」

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

アクセルの街を出て約1時間。ジャイアントトードが生息する湿地帯が見えてくる。目的地はまだ先になるそんな場所で、ふとダクネスが口を開いた。

 

「そういえばアリス。貴女はアークプリーストという職業でありながら、アークウィザードにも引けをとらない攻撃魔法を使うと聞いたがそれは事実なのか?」

 

冒険者になってこの3ヶ月、私は自身の転生特典スキルをまったく隠すことなく使用している。なので色んな場所で噂になるのも仕方ない。私はダクネスの問いに、首を縦に振った。ポイズンプラントというモンスターが初見である以上、毒消しのスキルだけで済む可能性は低いので特に隠す必要性も感じなかった。

 

「そうか…それなら頼みがあるんだが…よければそのアークウィザードにも劣らない攻撃魔法、私に撃ってみてくれないか?」

 

 

 

……

 

 

 

 

 

……え?

 

 

 

私は耳を疑った。いや、違うよね。めちゃくちゃ自然な流れで言ってきたけど違うよね。疲れてるのかな?ダクネスさんが『私に撃ってみてくれないか?』って聞こえてしまった。違うよね?ポイズンプラントに向けての間違いだよね。

 

「む?いや、聞き間違いではないぞ。私は私に」「ダクネスーー!!」

 

 

私と同じように固まっていたのか、正気に戻った様子のクリスがダクネスの口を全力で封じにかかった。私は呆然とした様子でいたけどやっぱり気のせいだと割り切る事にした。さすがにその聞き間違いはないわー、と内心慌てながら。なので私は、機会があれば使わせて頂きます。と応える。 それを聞いたダクネスはクリスを力任せに排除すると、その目を輝かせた。

 

「本当か!?それは楽しみだ。期待しているぞ。」

 

嬉しそうなダクネスの言葉に私ははいっと返事をする。魔法スキルを見たいだなんて、割と子供っぽいところがあるんだなぁ、ダクネスさんって、なんて考えながら。そんな私とダクネスを後目に、クリスは無言で頭を抱えていた。

 

 

 

 

 

 

 

「本当に、本当に楽しみだ……ぐへへ…」

 

最後のダクネスの呟きに、私は気が付かなかった。

 

 

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