内気な少女がこのすば世界に行ったようです   作:心紅 凛莉

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このすばでトレジャーハンターと言えば知っている人は知っているこのファンキャラのあの人です。

そしてこのすば3期、さらに爆焔のアニメ化おめでとうございます⸜(*ˊᗜˋ*)⸝⋆*今からとても楽しみですしまだまだこのすば熱が冷めることはなさそうですね!






episode 173 トレジャーハンター、アクセルに来る

 

 

 

―アクセルの街・正門入口―

 

「此処が駆け出し冒険者の街、アクセル…ね…、中々良さそうな街じゃない」

 

正門を越えて入口の噴水広場を見渡しながら、ひとりの女性が周囲を見渡しながらもそうごちる。黒と紺色の髪で身長は女性にしては高め、闇に紛れやすそうな黒などのダークな色が目立つ身軽そうでありながらその大きな胸をあえて目立たせるような大胆な服装。美人でありながら、どこか近付きがたい印象を持つ女性は、仄かに口元を緩ませた。

 

この街に来るまでの荷物なのか、片手には白い皮袋を持ち、それを肩にかけていた。それを見るからに旅人のようにも見受けられる。

 

「あ、あの…すみません、少しよろしいでしょうか?」

 

「…何か用かしら?」

 

そんな中、金髪で鶯色の衣装を纏った内気そうな少女、アクセルハーツのシエロがおそるおそる話しかけてきた。女性から見ればこちらを怪しんで声をかけたとかではなさそうなこともあり、女性は特に表情を崩すこともなく話を聞いていた。

 

「子猫を探しているんです、黒くて蝙蝠のような羽根の生えた…」

 

「…羽根って…猫にそんなの生えてないわよね?…悪いけど知らないわ。この街には今来たばかりなの」

 

「来たばかり…?そ、その、街の外にもいたりは…」

 

「知らないわよ、私は今馬車で此処に来たけど…そんな珍しい猫がいたら覚えていると思うわ」

 

「そ、そうですか…、わかりました、情報ありがとうございました」

 

シエロは複雑な様子で頭を下げると、そのまま去っていく。そして近場にいた別の人に話を聞いて回っていた。

 

「……羽根の生えた子猫…ね、少し気になるけど…」

 

少しと言いながらも女性の様子はかなり気にしているようにも見える。何せ子猫に羽根が生えているのだ。想像すれば可愛らしくない訳がない。

 

(……もし探すのに協力してあげて見つかったら…触らせてもらえるかしら…?)

 

そんな事を考え出したせいか、その表情は少し危ない。先程までのクールな表情が全くなくなってしまった。

 

「すまない、少し話を聞いてもらえるだろうか?」

 

広場を抜けようと歩き出すも、またもや声がかかり慌てて表情を元に戻す。来たばかりの街で妙な醜態を晒すつもりもないと、冷静を繕っていた。

 

「…何かしら?」

 

「…急いでいたなら申し訳ない、実は迷子を探しているんだ。6歳くらいの女の子でライトグリーンの長い髪に黒と桃色のローブを着た子なんだが…」

 

「…ライトグリーンだけならその辺に何人かいるわね…、だけど小さな子としたら…わからないわ。私は今この街に来たばかりなのよ」

 

「…そうか…、すまない。情報感謝する」

 

「……」

 

おそらくもう何人もの人に聞いて回っているのだろう。金髪の騎士、ダクネスの言い方はとても慣れた様子だった。軽く頭を下げてから去ると、先程のシエロのように他の者にも聞いている様子だ。

 

(子猫の次は子供の迷子…?そんな立て続けにそんな話が出てくるものかしら…?)

 

ペットや小さな子供が迷子。聞けばそこまで珍しくもない案件かもしれない。だがそれは個別で聞いた場合だ。一般的に考えて迷子の話をこの短時間の間に2件も聞くことは中々経験することでもないし実際女性にとっては初めてのことだった。

 

そんな中、思案しながら歩いているとピンクのツインテールの少女ととんがり帽子にローブを来た少女の話し声が聞こえてきた。

 

「ここにも見た人はいないみたい、自由気ままそうだし…屋根の上にでもいるんじゃない?」

 

「何を言ってるのですか、あの子がそんなところに行く訳ないでしょう」

 

「そうなの?普通に登ったりしそうだけど…」

 

「…まぁ貴女があれくらいの歳の頃ならそれくらいはしていそうですけどね、あの子に限ってはありえませんよ」

 

「…いや…人間と比較されても…」

 

「……あの子は元々は人間なんですよ…、ですからそんな言い方はやめてください。少なくとも私達は同じ人として接してますし」

 

「え…えぇ!?…そ、そうだったんだ…」

 

女性はそれを聞いて気になって仕方なかった。何かが噛み合っていない。そんな印象を受けたのだ。

 

「そこの2人、ちょっといいかしら?」

 

「…お姉さんは?」

 

「メリッサよ、今アクセルに来たばかりのトレジャーハンターってところかしら」

 

「これはご丁寧にどうも。…我が名はめぐみん!アクセルに住まうアークウィザードであり、爆裂魔法を操る者!!

 

「…エーリカよ。冒険者兼踊り子」

 

「…そっちの子が紅魔族なのはよく分かったわ」

 

めぐみんの自己紹介があまりに圧倒的なのもあり、エーリカは渋々大人しくなった。張り合うのもいいが何かが違うと感じたのだろう。結果地味な自己紹介になったことを後悔しているエーリカであったが、そんなエーリカはそっちのけで話は進む。

 

「貴女達も何かを探しているのかしら?さっき違う子にも聞かれたわ」

 

「あぁそうでしたか、おそらく私達の連れでしょう。聞いているとは思いますが私達は子供を探しています。ライトグリーンの長い髪に頭には花飾りをつけた小さな少女なのですが…」

 

「えっ、ちょっと待ちなさいよめぐみん。貴女達って猫を探してたんじゃないの?確かちょむすけっていう…」

 

「……は?」

 

我に帰ったエーリカの疑問にめぐみんは凍りついた。同時に紅魔族故の知力のおかげで先程までの違和感が綺麗に払拭されていく。パズルのピースが瞬く間に埋まるように。

 

「…一応聞きますよエーリカ。そのちょむすけを探していることはどこで誰に聞きましたか?」

 

「さっきも言ったじゃない、冒険者ギルドでエシリアからよ。…あーそのエシリアは一緒にいたアンリから聞いたみたいだけど…え?じゃあめぐみん達は猫を探してた訳じゃ…?」

 

「っ!?違いますよ!私達は初めからアンリを探していたのです!大体ちょむすけなら今も私の部屋にいます!」

 

「え、えぇ!?」

 

空気が変わったのは誰の目にも明らかな事だった。エーリカは動揺していて、それを聞いたメリッサは腕を組んで首を傾げた。

 

「……あらあら、なんだかそっちの中で急展開になった感じかしら?」

 

「…ええ、貴女のおかげですよ。エーリカ、アンリはまだ冒険者ギルドにいるのですか?」

 

「え?結構時間が経ってるしどうかな…?朝ごはんを食べたら屋敷に送るみたいなことを言ってた気がするけど…」

 

それを聞いてめぐみんはマントを翻して方向転換、そのまま助走をつけて走り出した。その方向は来た道を戻るように冒険者ギルドへと行く道だ。

 

「エーリカはダクネスとシエロに今の話を伝えに行ってください!」

 

「ちょ、ちょっと!?もう…なんなのよぉ」

 

エーリカはメリッサを一瞥するなりそのまま広場の方へと走っていき、その場にはメリッサだけが残る。メリッサは無言でただ佇んでいた。

 

(アンリって言ったわよね…?その名前は確か……)

 

ひとつ思い出せばメリッサは不敵に笑う。そしてゆっくりと歩を進めた。

 

「ふふっ、アクセルって言っても広いし、いつ見つかるかと思っていたけど…これなら目標達成も近いわね」

 

それだけ小声で呟くと、メリッサもまためぐみんを追うかのように歩いていった――。

 

 

 

 

 

 

――

 

 

 

 

 

 

―アクセルの街・商店街―

 

一方商店街に来たカズマとアクアは、周囲を見渡しながらもアンリを探して歩いていた。

商店街と一言で言ったものの、今カズマ達がいる商店街はダクネス達がシエロ達と出会った場所とは異なる。アクセルの街には商店街が二箇所存在していて、それは冒険者ギルドが近い位置と住宅街が近い位置でと別れているのだ。

ダクネス達が通っていた商店街は冒険者ギルドに近く、駆け出し冒険者向けの品物が充実しているが、今カズマ達がいる商店街は一般的な生活の為の品物が多い。用途が分けられているのだ。

 

「一体何処に行ったのかしら…?それはそれとしてこれってあの子と仲良くなるチャンスだと思うのよ、独り外にいてあの子はきっと泣いているわ、そこで一緒に住む私が見つけてあげたら…」

 

「…お前さ、確かアリスにアンリの服を作るのを頼まれているんじゃないのか?それさえ作ってやればそれだけでも距離は縮まるんじゃないか?」

 

「うっ…そうなんだけど…」

 

「……なんだよ?」

 

カズマの言葉にアクアは気まずそうに自身の人差し指同士を合わせていた。これについてはカズマも疑問符を浮かべるしかできない。

 

「何か問題でもあるのか?確かに作るのは大変そうなデザインだけどお前ならそう難しくはないだろう?」

 

「……いや、その……お金が……」

 

「…は?金って、服を作るのに必要なお金はアリスが出してくれるって言ってたじゃないか。実際前金でって結構な額を貰ってただろ?」

 

「……使っちゃいました」

 

「……は?」

 

カズマのアクアを見る目がありえないものを見る目に変わる。アクアは震えたまま目を逸らしていた。

 

「……そ、そのね、王都行った時に結構高いお酒買ったりしてたら……」

 

「いや待てよ!?最近シルビアの討伐報酬が入ったばかりだろ!?」

 

「それももうなくて……それで今はバイトして服の素材代を稼いでまして……」

 

「……」

 

カズマは思わず頭を抱える。駄女神とは思っていたがここまでとは、と。

 

「……で?どうすんだ?」

 

「お願いカズマ様!!服の素材代だけでもいいからお金貸してください!!」

 

すかさず前に出て頭を下げるアクア。もはや女神もへったくれもあったものではない。

 

「ふざけんな!貸す訳ないだろ!!素直にアリスに謝るんだな!」

 

「だ、駄目よ、それだけは駄目!!そんなことしたら嫌われちゃってアリスがアクシズ教徒にならなくなるかもしれないじゃない!」

 

「……それがあってもなくてもそれだけはありえないから安心しろ」

 

カズマは以前アリスとそんな話をしたこともあった。アリスはこの世界に来た初日にアクシズ教の怖さを身をもって知っている事もあり、それだけはありえないだろう。アリスとしてはせめてアクシズ教が世間体の悪いものでなければ考えたかもしれないが、実際世間体は最悪である。

 

 

 

それはそれとして、カズマは考えていた。どうして今日に限ってアンリは外に出るような事をしたのだろうか、と。

今日に限っていつもと何か違いはなかっただろうか。確かに誘拐などの線もありえるが、カズマの屋敷は地味にアクアによる結界が張られている。よって悪魔などは勿論、悪意を持った者は侵入できないようになっているらしい。

だからこそカズマは困っていた。何故ならば屋敷に招きたい悪魔がいたから。

 

ひとりはバニル。商談などで話をすることがあるが、それはアクアと顔を合わせただけで戦争待ったナシになりかねないので商談どころではない、よってカズマ側がバニルの元に行く事で解決している。

 

そしてまだカズマには招きたい悪魔がいる。それは絶対に屋敷の他の住人に知られる訳には行かない存在だ。というよりもアリスが屋敷にくる前に一度呼んでは見つかり大ピンチとなっていたこともあった。

 

その存在はサキュバス。その能力によりどんな夢でも見せてもらえるというアクセルの男性冒険者なら多くが利用しているサービスである。

実は今日、カズマは久しぶりにサキュバスを呼んでいたのだ。

確かに屋敷の中にまで侵入すればすぐに結界によりアクアにバレてしまうが、外の窓際からならどうだろうかと。

 

そう考えてのカズマの行動ははやかった。まず部屋の窓際に自身のベッドを移動して実際にサキュバスに外から来てもらい夢を見せることが可能かどうか別料金まで支払いチェックしておいたのだ。

実験の結果は大成功。これならば結界の影響も受けずにアクア達にバレることもない。それで早速その夢サービスを呼んだのが昨日の夜なのである。

 

 

(……多分サキュバスの子は今朝にそのまま帰ったはず。となるとそれを見つけたアンリがそれを追いかけて…ってのは…ありえる、のか…?)

 

可能性としてはなくはない。仮にそうでなくても、もしかしたらサキュバスの子が出ていくアンリを目撃したかもしれない。ならばサキュバスの子に話を聞いてみるのは悪い手ではない。

 

しかし、それには問題もある。

 

「お願いかじゅまさぁん……もうお酒買ったりしないでちゃんと服を作るからー……」

 

この駄女神の存在である。悪魔を嫌うこの女神をサキュバスの店に連れて行ったりしては、最悪全員もれなく退治されてしまう危険性すらある。それだけは避けなければならない。

 

「……はぁ、わかったよ」

 

「……え?ホントに?」

 

となるとこのまま別行動を取りたいわけで、そのまま別れるのは不自然だ。アクアもそこまで単純ではないだろう。

 

「…とりあえずここに20万エリスある。確かアリスからの前金がそれくらいだっただろ?お前はこれでこのまま商店街で服の材料を買いながらアンリを探せ、このまま2人で行動しても効率が悪いだろう」

 

「か、カズマしゃん……ありがとう、本当にありがとう…」

 

疑うどころか涙を流して喜んでいるアクアを見て、カズマはそこまで警戒することもなかったのかもしれないと若干の後悔をした。

 

「…お、おう、それじゃ俺は別の場所をあたってみるから、服の材料を買ったらお前は屋敷に帰ってちゃんと服を作るんだぞ」

 

「任せておきなさい!アンリに似合う完璧な服を作ってみせるわ!」

 

アクアはカズマが差し出した財布をそのまま受け取ると、意気揚々と商店街の奥へと走っていった。それを見てカズマは再び溜息をついた。

 

「……とりあえずこれで大丈夫そうだな。俺は店の方に行くか…」

 

 

 

 

 

 

 

そしてアクアは――。

 

 

 

 

「そこのお嬢ちゃん、ちょっと見ていかないかい?とっても珍しいものがあるんだ」

 

「あら?何かしら?」

 

カズマは再び後悔することになる。安易にアクアにお金を持たせた事を――。

 

 

 

 

 






アクアをアホにし過ぎた感があるけど、原作でもこんな感じですよね()

アクアとしては悪気は全くありません。ただお酒などを目にすると元々の事を忘れているだけなのです()
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