内気な少女がこのすば世界に行ったようです   作:心紅 凛莉

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視点アリス+「アリスの台詞付」の形にしてみます。形式がコロコロ変わってすみませんm(*_ _)m






五章 ―勇者と賢者―
episode 58 再び王都へ


 

 

 

数日後。

 

私とゆんゆんは王都に来ていました。…と、いうのも本来私とゆんゆんはカズマ君達と同じパーティではないので前回のような魔王軍幹部とか絡めば一緒するケースもありますが普段はそうもいきません。

理由としては少し前のミツルギさんと同じで、レベル差です。私のレベルはバニル討伐もあり44に。ゆんゆんは41になっています。

とはいえカズマ君達も低いわけでもないのですが、カズマ君のパーティで1番レベルが高いのは意外にもめぐみんだったりします。そのレベルなんと33。

どうやらデストロイヤーにトドメを刺した際に一気に上がったようです。その次のカズマ君が26。カズマ君に関しては暇を見てウォールと狙撃を使い例の初心者殺しをやっていたんだとか。

 

閑話休題(それはそれとして)

 

「アリス…その…本当に大丈夫かな…?」

 

「心配しすぎですよゆんゆん、何時ぞやのようなことにはなりません」

 

ゆんゆんの心配している事は数日前にバニルに言われた事がきっかけ。それは衝撃的なものだった。

 

『せいぜい気を付けるのだな、蒼の賢者と呼ばれし少女よ。王都での襲撃、狙いは汝なのだから』

 

 

私が聞くまでもなくバニルはこのように言ってきた。問い詰めたところでそれ以上教えるとなると対価が必要になると言われてやめておいた、悪魔と取引とか怖すぎますもの。何よりも狙いが私と分かっただけでも収穫だ、それならさっさと自分を餌にして犯人を捕まえてしまいたい、そんな想いが強かった。私を狙ったことも気になるけどあの事件のせいでアイリスは週に1度しかない貴重な時間を潰されたんだ、絶対に許さない。

 

勿論無策ではありません、まずはスキルで対策。

アークプリーストはクルセイダーと同じようにスキルに聖なる加護という1部の状態異常耐性があります。とはいえこれは耐性値を25%程度あげる微妙なものですがそれでも呪いや睡眠、麻痺、沈黙などの異常耐性をあげられる以前までは数値が微妙なことでとってなかったのですが今はしっかりとりました。ないよりはマシというやつです。

 

更に沈黙などを回復するポーションも常備するようにして、準備は万端いつでもかかってきなさいなのですよ。

 

「とはいえ…いつ来るかわからないような襲撃を待つ暇もありません」

 

「う、うん…」

 

狙いが私と分かったところで、いつ襲撃に来るかまではわからない。だったら今まで通り王都でクエストを受けて活動してればそのうちやってくるのではないか、という目論見で私とゆんゆんは2人で冒険者ギルドへと足を運ぶことにしました。

 

 

 

 

……

 

 

 

 

午前中の冒険者ギルドとあって中はそこそこに強そうな冒険者の面々が存在する。依頼を探そうと提示板に移動すると見知った顔を見かけた。

 

「ん?…アリスにゆんゆんか、久しぶりだね」

 

こちらに気が付くなり軽く手を振ってきたのは青い鎧が印象的なミツルギさん。未だに私はこの人には頭があがらないのだけど彼はそんなことお構い無しに絡んでくるから少し苦手だったりする。嫌いとかではないのだけど、男の人にあまり慣れてないからかもしれない。カズマ君はそーいう対象に何故か見れないというか周りに美少女いっぱいいるからね、とりあえず除外。

 

「お久しぶりですミツルギさん、今日はクエストです?」

 

「うん、丁度いいクエストを見つけたから今はメンバー待ちかな、君達が来てくれたら心強いのだけど良かったらどうかな?」

 

そう言うなりミツルギさんは私達に依頼書を見せてくれた。

 

 

 

 

 

ティラノ・レックスの討伐依頼

 

 

 

 

王都とエルロードの中間地点にあたる街道にティラノ・レックスが現われ、エルロードまで行く旅人や商人が通行困難な状況になっています。

おそらくはぐれであり、確認された討伐対象は一体になります、至急討伐お願いします。

 

 

 

 

討伐報酬 180万エリス

推薦討伐レベル 42 (3人以上のパーティ推薦)

 

 

 

 

 

 

私はそれを見て異常に感じた。私は見たことは無いが調べた限りではティラノ・レックスとは本来魔王領付近に生息する獰猛な恐竜だ。エルロードとは逆方向に位置するのでそんな所にいるのはどう考えてもおかしい。

 

ちなみにエルロードとはカジノで栄えた王国らしい。

 

「何故こんなところにティラノ・レックスが…?」

 

ゆんゆんも同じ感想を持ったようで考えるそぶりを見せている。

 

「そこまではわからないがこのままでは人々が満足にエルロードまでの行き来ができなくなってしまっているからね、それで良かったら…」

 

「分かりました、よろしくお願いします、ミツルギさん♪」

 

「うん…わかった、それでは仕方ないね、また今度にでも…え?」

 

私の答えを聞くなりミツルギさんは分かっていたかのように呟き、踵を返して去ろうとしたところでピタリとその足を止めた。一体どうしたのだろう?

 

「えっ?う、受けてくれるのかい!?」

 

「?…えぇ、断る理由はありませんし、ゆんゆんも構いませんよね?」

 

「う、うん、私は大丈夫だけど…」

 

推薦レベルも問題ないしこれは上手く行けば1日か2日で終わるような美味しい依頼だ。ティラノ・レックスがどれくらい強いかわからないけどまさか魔王軍幹部より強いことはないだろう、それも一匹だけだし楽なお仕事だ。

それなのにまるで私達が断ること前提でいるミツルギさんの様子は首を傾げるしかできない、本当になんなのだろうか?

 

「あ、いやその…僕が誘う度に断られていたからね、もしかしたら嫌われているのかと…」

 

「…えっ」

 

どうやら思ったよりミツルギさんはナイーブだったようだ。私としては今まで数回誘われて断っていた理由はレベルが離れすぎていたりミツルギさんが持ってくるクエストの推薦レベルが足りなかったりしたから断っていただけで別に彼が嫌いだから避けていたわけではない。

 

「そんなことはないですよ?何より嫌いになる理由がないですし」

 

「そ、そうですよ、感謝はしてますけどそんな風には…」

 

「そ、そうかい?ありがとう、それじゃ今日はよろしく頼むよ」

 

どうも思い込みが激しい性格は変わっていないようだ。カズマ君に聞いた話だとアクア様を無理矢理拉致したと勘違いした上に難癖つけて決闘を申し込んだらしいのだから、それも当時37のソードマスターがレベル1桁の冒険者に。

彼の名誉の為にせいぜい美化させてもらうとミツルギさんは思い込みが激しいのでカズマ君を女神様を攫った悪党くらいにしか思っていなかったのだろう、思い込みの激しい故に。

更に一緒にいるダクネスやめぐみんも弱みを握られていると勘違いしてミツルギさんは引き抜きをしようとしたらしい、思い込みが激しい故に。

おかしいなぁ、生前そんな噂は聞いた事なかったはずだけどここまで空回りした残念さであそこまでモテるのだろうか?…まぁルックスだけでモテていた説もあるけど多分生前はその思い込みの激しさがプラスに働いていたのかもしれない。それにその思い込みの激しさ故の行動力に私は当時助けられたのだからそこまで悪くも言えないまであったりする。

 

 

その話はこれくらいにしといて、忘れてはいないけどミツルギさんには私が狙われる事を話しておくべきなのだろうか。

 

…うん、不安だ。

 

何故なら彼の持つ残念性である思い込みの激しさにある、私が狙われることを話したらどうなるだろうか?

おそらく私に何気なく近付いた無関係の人にまで剣を向ける可能性すらある、向けるだけならまだいいけどその相手に怪我までさせてしまったら【魔剣の勇者、辻斬り】と明日の朝刊の三面記事に載ってしまうことは避けられないし元はと言えば私が原因なので私のせいでそんな余計な罪を着せる訳にも行かない。

以上の事を考えると彼に私の事を話すのはやめておいた方がよさそうだ。

 

思わずため息が出てしまう、なんか私の周りって変な人多すぎません?今更?そうでしたよちきしょー。

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

ティラノ・レックスの目撃地点までは馬車で半日近くかかるので今から行けば目的地に付くのは夕方くらいになる。そこで探索して見付けたら討伐、見付からず夜が深けてくるようならゆんゆんがその場でテレポート登録した上で王都までテレポートで飛べば次の日はそのままテレポートで現地まで飛べる。

 

そんな訳でこれなら食料はお昼ご飯だけあれば充分なので日持ちする食材に拘らなくて済む、馬車の中でおいしいご飯を食べて帰りはテレポートだからそれ以上の荷物はいらない。まさにテレポート様様である。

 

「なるほど、確かにそれは楽しい移動になりそうだね、本当にテレポートは便利で羨ましいよ」

 

「便利な女ゆんゆんですね」

 

「なんかそれ嬉しくない!?」

 

最近私のゆんゆんへのからかい方がめぐみんに似てきている気がするけどあそこまで悪意はないのできっと許してくれる、うん。

 

そんな訳でギルドに頼んで冒険者移動用の馬車と御者さんを依頼する。アクセルにはこんなシステムはないけど王都では普通にある。地味に馬車の貸出料と御者さんの人件費としてお金はかかるけどメンバーの中に馬車なんて動かせる人がいないのだから仕方ない。

 

「よろしく頼むよ、っておいおい、若くて可愛い女の子2人にイケメンが1人か?まったく羨ましい限りだな、ははっ」

 

御者さんは気楽な感じの30手前くらいの青年だった。人当たりのよさそうな様子はこちらとしても安心できる。

 

「道中よろしくお願いします」

 

「あぁ、任せてくれ、ただ俺は戦えないからな、悪いが魔物が来たら守ってくれよ?」

 

「は、はい!頑張りますっ」

 

ミツルギさんが対応して握手をし、ゆんゆんも元気に応える。私もまたぺこりと頭を下げると同時に御者さんの身なりなどを怪しまれない程度に確認する。

 

私はあくまで狙われている。だからこうやって初対面の人に気を許すつもりはない、本当に戦えないのか?どこかに武器は隠してないか?

見れば腰に小さな短剣が見えるがそれだけで疑うのも失礼な話だ、これから魔物の生息地に行くのだから戦えなくても最低限の武装はするだろう、短剣1本で恐竜相手に何ができるかはわからないけど。

 

この件が解決するまでこうやっていちいち初対面の人を相手に警戒しなければいけないのかと思えばそっとため息を吐きたくなる、気疲れするし相手に対しても申し訳ない。

 

…何よりもこうして考えたところで私を狙う理由が思い浮かばない。あるとすれば私の魔法くらいだろうか?でもだからと言って攫おうとするのはやはりわからない。

 

「アリス、馬車の準備できたみたいよー!」

 

考え込んでいたらゆんゆんの声が聞こえてきた。見ればミツルギさんが御者さんとともに荷物を積むのを手伝っている。

 

「ごめんなさい、すぐいきますー!」

 

私はそう告げると様々な想いを隠すように馬車へと乗り込んだ。

 

 

 

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