久しぶりに会話多めに書いた気がします。やっぱり会話は書いていて楽しいですねぃ
―アクセルの街・カズマ君の屋敷のリビング―
「お前ら何てことしてくれたんだぁぁ!?」
アイリスと謁見したその日の夜、私はカズマ君達に今回アイリスにお話したことを全て説明した。すると即時にカズマ君からこの怒号である。突然のカズマ君の怒りの叫びに私とゆんゆんは目と耳をふさいでいた。ちなみにミツルギさんは王都住みなので現地解散した。
「何を怒っているのですかカズマは、大体合ってるではないですか」
「全然合ってねぇよ!!どこの英雄譚だよ!?ハードルあげすぎて既に雲の上だよ!!越えようがねーよ!!」
「…で、ですがカズマ君、私達は嘘は一切言ってませんし」
「アリス、それもう一回言ってくれるか?ちゃんと俺の目を見て言ってくれるか?」
「……え、えっと……」
ギロ目で顔を寄せるカズマ君に私は冷や汗ながらも思わず目を逸らしてしまう。そりゃ実際アイリスと話している時すら嘘をついているような罪悪感があったのだから面と向かって言える訳もなく。
「…しかし危惧はしていたが冒険者という職業だけであのアイリス様がそこまで激怒なさるとはな…これが3日後にカズマの目の前で起こっていたらとんでもない事になっていたぞ」
「それ怒っていたらと起こっていたらをかけてんのか?全然うまくねーからな?…ったく、なんで勝手に期待と誇張されて職業だけでそこまで蔑まれなきゃならないんだよ…」
「なななっ!?そ、そんなつもりはない!?」
ダクネスの言葉にカズマ君は反論しながらも、明らかに声のトーンが下がっていた。そしてカズマ君の意見もごもっともな話なのだがそういったことが通用するのならこちらも苦労はしない。あとかけてるのかどうかわからないそれはスルーしておく。
「アイリスはまだ12歳ですからね…まだ子供なのですよ。大変だったのですよ、『冒険者』という職業をかぶせてカズマ君を良く見せること…」
「魔王軍の幹部を倒した功績はそれ程までに重いということだ」
ベルディア討伐から散々言っているが魔王軍の幹部の討伐はここ数百年成し得ることのなかった快挙である。それが立て続けに3回、更に私は関与していないが機動要塞デストロイヤーの討伐もある、あれもまたもはや天災と呼ばれて諦められていた事象のひとつ。ここまでの偉業を達成しているのだ、まるで英雄譚に登場するような人物像を想像されてしまっても仕方ないのである。それは何もアイリスだけに限った話ではない、私達を知らず話だけを聞いたこの世界の人々がアイリスのようにカズマ君のパーティを英雄視して見ているのはほぼ間違いないと思われる。つまりは
「ようは子供の夢を壊さない大人であれということになりますね……な、なんですかその目は!?言いたい事があるなら聞こうじゃないか!」
めぐみんが言うと微妙な空気になっていた。そりゃ仕方ないよね、この中で一番子供ですし。
とりあえずカズマ君達には本番で当たり障りなく無難に過ごしてもらうしかないだろう。…もっとも、カズマ君のパーティの場合それが何より難易度が高いのだけど。
――翌日。
―王都ベルゼルグ・冒険者ギルド―
私とゆんゆん、ミツルギさんはクエストを受ける為に依頼が貼られた掲示板の前にいた。とはいえめぼしいクエストがない。ひとつ気になるものをと手に取って見たのは最近貴族の屋敷から金品を盗む盗賊の調査、可能ならば討伐もとい捕縛というものがあった。
「これは最近噂になっている義賊のことだろうね」
「義賊…ですか?」
「知らなかったのかい?それならあそこに新聞の記事が貼られているから見てみるといいよ」
ミツルギさんが近くに貼られていた新聞の切り抜きを指差す。私とゆんゆんは首を傾げつつその前に行くなりそれを閲覧することにした。
――王都を騒がせる義賊、銀髪の義賊に迫る―
こんな見出しから始まった内容はこうだ。
最近王都の一部の貴族の屋敷から金品などが盗まれている。そしてその盗んだ金品は孤児院や貧しい村などに配られているらしい。
その貴族も、調べてみればいい噂を聞かない悪徳貴族のようで、それなら孤児院などに贈られた金品を回収すればいいのだがそうもいかないらしい。
というのも盗まれた金品は主に脱税など非合法なことで得た物がほとんどだ、それを自分の物だと回収しに向かえば即時に国から逮捕されてしまう。だから悪徳貴族は泣き寝入るしかないらしい。
実際、この依頼も貴族によるものだった。アホなのだろうかこの貴族様は。
こんな依頼出せば自分もこのように盗られる危険がある悪徳貴族ですよと明言しているようなものだ。
「……確かにあちこちに寄付してるからと言っても…盗みは良くないからなんとかしたい気持ちがなくはないけど…」
「…流石に気乗りはしませんね、それに私達の得意分野とはかけ離れてますし」
ミツルギさんも同意見のようで頷いていた。得意分野とは言うまでもなくモンスターの討伐に当たる。王都に来てから依頼のほとんどは討伐絡みだしこの依頼を受けるとなると同じ穴の狢がほしいところ。
つまりカズマ君のような盗賊職に近い人材である。目には目を、盗賊には盗賊を。クリスがこの場にいたなら一緒に受けるのもありかもしれないがいない人を当てにすることもできない。
仕方ないので適当な近場の討伐クエストを受ける事にした。何もしないよりはいいかなと、そんな理由で。
…それにしても…銀髪の義賊……?
ふとクリスの顔が頭に浮かんで、そしてすぐに心の中でクリスに謝罪した。何を考えているのか私は。
共通点が銀髪と盗賊というだけでまさかクリスではないかと思ってしまったのだ、これは流石にクリスに対して失礼な話である、別に銀髪も盗賊もそこまで珍しい訳では無い。
「…蒼の賢者、アリスさんですね。ちょっと宜しいでしょうか?」
「…はい?」
クリスのことを考えていたらギルド職員から声をかけられた。ふいな出来事に少し身構えてしまうがもしかしたら以前の合成モンスターについて何か情報がはいったのかと瞬時に予測した。ギルド長も何か分かればすぐに私達に知らせてくれると言っていたし。
「こちらをお納めください、アリスさん個人に宛てた依頼のようで」
ギルド職員のお兄さんはそう言うなり丁寧な創りで模様が描かれた封筒を私に差し出した。これは王城のものとは違うがそれでも高価そうな見た目である。
「…私……個人に、ですか?」
そこが一番の疑問だった。私達パーティに、では無く私個人だなんて冒険者になって初の出来事である。戸惑ってしまうのも無理はない。
「一個人に依頼…?そんな話は僕も聞いた事はないな…差出人は誰なんだ?」
そんなやりとりの中、封筒を渡したことで役目を終えたとギルド職員は軽く頭を下げて引き下がって行った。私はそんな職員さんに戸惑いを隠せないまま軽く頭を下げ、同時に封筒を見てみる。
一番目立つのは私への宛名だと分かるように冒険者 アリス様へ と書かれている。だがそれ以外の文字は見当たらない。見た事のない紋章が封筒の模様のように描かれているだけだ。
封を切り、中を開けると、そこには1枚の手紙。文字数は少なく簡素なものだった。要件と差出人は…
「……っ!?」
「アリス…?」
手紙を持つ私の手は震えていた。つい先日怪しいと勘ぐった人の名前が書いてあるのだから無理もない。しかも私個人の呼び出し…、下手をしたら敵中に単身で乗り込むようなことになってしまう。
「…アレクセイ・バーネス・アルダープ…?この名前は確かアクセルの領主の…?何故アクセルの領主がアリス個人を呼び出すんだ…?」
ミツルギさんは怪訝な表情でアリスの手紙を見つめていた。ゆんゆんも不安そうだ。
手紙の内容はとても簡素なもの、明日、正午にアクセルにあるアルダープの屋敷に来いとのことだった。
「……手紙には1人で来いなんて書いてはいない、僕も同行しよう」
「私も!!」
「ミツルギさん…ゆんゆん…」
心強い2人の言葉に私は軽く泣きそうになっていた。ふと気が付けば震えていた手は収まっていた。
「それにしても噂通りこちらの都合は一切考えてくれないんだな…、王都からアクセルまで…それを明日行くとなるとテレポートしか手段はない、ゆんゆんがいるからいいものの、これをテレポートサービスで行くとなればかかる費用も安くはない、そんな配慮も一切ないんだな…」
「…で、でも…貴族相手だと無下にできないよね…」
「…そうですね、無視したい気持ちしかありませんが後程面倒なことが起こる気もしますし」
それにしても何故アルダープが私個人に依頼など出したのか全く見当も付かない。だがこれは仮に私1人で行ったとしても危険はないはずだ。何故ならこの手紙が冒険者ギルドを経由しているから。例えば私が明日アルダープの屋敷に行って捕まりそのまま帰ってこないなどということになれば即座に冒険者ギルドが動き出す。つまりはギルドを経由した時点で完全に足がついてしまっているのだ。アクセルの街の領主ともあろう人がこんな小娘一人をどうこうしたいが為に自身の地位を脅かすような真似をするはずもないのだ。
それにまだアルダープが以前の襲撃の黒幕と決めつけてしまうのも早計である、勝手に私が動機はあると思ったものの、証拠は何もないのだから。
それにミツルギさんが言うように、1人で来いとはどこにも書いていない。こちらとしてはパーティとして出向き、アルダープの話を聞くつもりである。
そうなると今からクエストを受ける訳にはいかなくなってしまった。なんらかのアクシデントで日を跨いでしまっても困るし、この依頼は明日アルダープとの話を終えた後に行くしかないか。
そんな話を2人とした後に、この日は解散となった。それにしても明日…、明後日は王城でアイリスとの会食があり、それにアルダープは呼ばれていないのだろうか?貴族も参加すると聞いてアクセルの領主という肩書きならまず参加すると思ってはいたが、…もっともこちらとしてはいない方が助かるのだけど。多分カズマ君達も同意見に違いない。
―アクセルの街・冒険者ギルド―
私達3人はクエストを受注するだけした後にゆんゆんのテレポートでアクセルへと戻っていた。ミツルギさんもまた、王都にいると翌日テレポートサービスでこちらに来ることになってしまうので今夜はアクセルで適当に宿をとるそうな。アクセルで一般的な部屋を一泊するのと王都のテレポートサービスを1度使うとでは金額的にも圧倒的にアクセルの宿賃の方が安く済む。本当ならカズマ君の屋敷の空いてる部屋を提供したかったのだ、カズマ君もそれは許可を出していたし。だけどミツルギさんに遠慮されてしまった、本当に律儀な人だ。
とりあえず時間はお昼時だったので冒険者ギルドで食事を摂ろうとなった。相変わらず賑やかなギルド内では冒険者達の騒ぎ声が聞こえていた。
「おや?アリス、今日は王都に行ったんじゃなかったのか?」
食事を摂っていると声がかかってきた。振り向けば声の主はダクネスだ。いつもの鎧を身に纏っていてこれからクエストなのだろうか?だけど他のメンバーは見当たらない。
「あれ?久しぶりだねアリス、ゆんゆんも!」
そんなダクネスの後方から顔を出したのは銀髪の盗賊少女…クリスだった。なんだかこの2人が一緒なのは久しぶりに見る気がする。同時になんとなく初めてダクネス達と出逢った時の事を思い出して懐かしくも感じる。
「クリスさん、お久しぶりです!」
「お久しぶりですよ、ダクネスとクリスが一緒なのは久しぶりに見ますね」
「あぁ、カズマ達は相変わらず家にいるからな、どうしようかと思っていたらクリスが尋ねてきてな。久しぶりに2人でクエストでも行かないかとなったんだ。カズマ達とパーティを組んでからクリスと組む事はほとんどなくなっていたからな」
「そーいうことー、って、あれ?そっちの人ってもしかして魔剣の勇者さん?」
クリスが健気な笑顔でそう告げるなり、ミツルギさんは爽やかに笑って対応した。
「あぁ、ミツルギだ。よろしく頼むよ」
「私はクリス、見ての通り盗賊だよ!…ねぇダクネス?せっかくだしアリス達と一緒にお昼食べようか?」
「む?私は構わないが…」
「なら決まりだね!」
なんだか賑やかになってきた。大勢で囲む食事は楽しいものである、最近それはカズマ君の屋敷で共同生活をすることで慣れてきてはいたけど、メンツが変われば新しい話題に事欠かない。私達は席を詰めることで歓迎を表していた。
話は思った以上に盛り上がり、クリスには私とゆんゆんがミツルギさんと出逢いパーティに入るまでの話や、ミツルギさんには私とゆんゆん、クリスの関係など紹介したりと、話のネタは中々尽きる事はなく、結果的に一時間以上酒場で雑談に興じることとなっていた。
「そういえば先程聞きそびれたが…3人は何故アクセルにいるんだ?王都でクエストを受けると朝出ていったのを記憶しているが…」
「え、えっとそれは…」
ゆんゆんは気まずそうに私に目配せした。とはいえ何も隠すことはないしむしろダクネスは貴族だ。私らよりもアルダープについて詳しいに違いない。私はダクネスの問いの答えの代わりに、アルダープからの手紙をダクネスへ提示した。
「…この模様はアレクセイ…アルダープの家のものだ…何故アリスがこれを?」
流石に貴族なだけあって封筒を見ただけでダクネスはアルダープからの手紙だと理解してしまった。
「今日、王都でクエストを受けようとしたらギルドの職員に渡されたのです、内容は見れば分かりますが…明日の正午、アルダープの屋敷に来るように、と…私個人に宛てて…」
「アリス個人に…?私にならまだ分かるが何故…?」
「…ダクネスさんになら分かる、とは?」
「……そ、それはだな…」
ミツルギさんの問いかけに、ダクネスは小声になって口ごもってしまった。少し顔が赤い気がするけどどうしたのだろう。クリスは手紙を眺めながら不機嫌そうにしていた。
「アルダープって…確か熱心にダクネスに求婚していたやつよね…私あの人苦手かな…」
「き、求婚!?」
聞けば物凄い答えが帰ってきた。流石にそれは予想していなかっただけに私達3人は騒然としていた。
「も、もちろん私は毎回断っているんだ…、流石に年齢差がありすぎるからな…」
いやいや年齢差とかそんな些細な問題ではない、あのアルダープですよ。私なら勢いでフィナウ撃つくらい嫌です。ゆんゆんも同意見のようで軽く身震いを起こしていた。ミツルギさんでさえも流石にそれはないとでも言いたそうに苦笑していた。
私達の無言の牽制にダクネスは居心地が悪そうに咳払いをしていた。…どうでもいいけど貴族令嬢様はみんな咳払いがお好きなのだろうか。
「コ、コホン、兎に角ギルドを通したものなら危険はないとは思うが…用心はした方がいいかもしれないな」
「そうですね…内容を聞かない限りは何も分かりませんし…」
やはりそれしかないか、と私はがくりと項垂れた。ミツルギさんもゆんゆんも着いてきてくれるからまだ気が楽ではあるけど、それでも嫌な予感は拭えそうにない。
その後も雑談は続き、キリが良い場面でダクネスとクリスはクエストへ向かっていった。食事代は全額ダクネスが払ってくれるそうな。少し悪い気もするけどこーいうのは断る方が失礼だと聞いた事があるので有難く戴いておこう。
――そして、そんなダクネスとクリスは。
「……クリス」
「分かってるって。明日の正午だったね」
街を歩きながら2人は目立たない程度に話していた。その顔つきは真剣だ。
「…頼む。もしも何か裏付けが取れたらすぐに私に知らせてくれ、お父上に相談してみよう」
そんな会話がなされていたことは、私達は知る由もなかった。
「それにしても今回のクエスト…エビルプラントは楽しみだな…前のポイズンプラントよりも触手が太いらしい…実に…楽しみだ…」
「……たまには最後まで真面目に締めようよ…」
「勿論だ、真面目に締められるつもりだぞ」
「……私、帰っていい…?」
「帰る……?…ハッ!そうか!私が触手責めに苦しむ中、罵倒と冷たい目線…仲間から見捨てられた私はエビルプラントの触手にどんどん絡め取られて……よひ!しょれでいごぉ!!」
「…………誰か助けて…」
そんな会話がなされていたことは、私達は知る由もないし知りたくもなかった。
屋敷でのアクア様→自分の部屋で酒瓶抱いてご就寝。女神(笑)
屋敷でのちょむすけ→めぐみんの帽子の中。
クリスから見たダクネス→ちゃんとしたパーティに入れば少しは性癖が改善されるかと期待していたけどむしろ悪化しててカズマに同情してる。ちゃんとしていないパーティだったのでやむ無し。
最近のゆんゆん→やっぱり積極的にお話するのはまだ無理なようで聞き手に周りがち。というか積極的に話すゆんゆんはゆんゆんではない。なおアリスと2人きりなら割と話せるようにはなってる。
ミツルギさん→少し自重するようになったイケメン。ただミツルギらしいかと聞かれたらちょっと違う気がする。作者として扱いに困ってるキャラの1人。
はやく紅魔の里に行きたい…構想は練ってますが悪魔の話が決着してからになります(ネタバレ)ようやくアルダープの名前が出てかなり近付いた感じはしますね、しますよね?(必死)
次回もなるべくはやく投稿できるように頑張ります。感想は↓から書けますよ(小声)