内気な少女がこのすば世界に行ったようです   作:心紅 凛莉

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ちょっと短めです。ゆるちて_(:3」∠)_




episode 99 いざアレクセイ屋敷へ

 

 

 

6日後――。

 

―アクセルの街・カズマ君の屋敷―

 

「それじゃ、明日の作戦を説明するからみんな心して聞いてくれ」

 

お見合いとなる本番前日、リビングには今回のお見合い兼マクスウェル討伐作戦の打ち合わせが行われていた。今この場には私、ゆんゆん、ミツルギさん、そしてカズマ君、アクア様、ダクネス、めぐみん…更にクリスも出向いていた。

 

「まずアリスは悪魔に狙われる可能性があるから、できるだけアクアが傍に着いていてやってくれ」

 

「任せておきなさい!悪魔が狙ってこようものなら、すぐにゴッドブローで成敗してあげるわ!」

 

勢いのままアクア様が握り拳を上げる。申し訳なさもあるけどそれ以上に頼もしい。女神様が直々に護衛に着いてくれるのだ。それは嬉しくもあった。

 

「ダクネスはアリスの友人として付き添いで見学にきたってことで…、そのお付としてめぐみん、クリス、俺が執事なりメイドとして付き添うことにする、俺とクリスは潜伏スキルで屋敷の探索をすることが多くなると思うから、ダクネスに付きっきりなのはめぐみんがメインになるな」

 

「当初の予定通りならこちらとしても問題ない」

 

ダクネスがそう返せばめぐみんとクリスは黙って頷く。それを聞いていたミツルギさんは首を傾げている。

 

「…佐藤和真、僕とゆんゆんはどうしたらいいんだ?」

 

「今回俺達は勿論、アリスもロクな武器も持てないまま潜入することになるからな、ミッツさんとゆんゆんは別口でアルダープに無償で構わないからアリスが屋敷にいる間、警備として雇ってくれって頼んでみてくれ。それなら上手く行けばフル装備のまま堂々と潜入できるからな」

 

「…で、でも…上手くいくかな…?」

 

ゆんゆんの疑問はもっともだった。あのアルダープが余計な人間を簡単に自分の屋敷に入れることを許すだろうか。何も裏のない貴族ならともかく相手は秘密裏に神器を2つも所有している悪徳貴族。適当な理由をつけて認めない可能性は充分にあるのだ。

 

「私もそう思います、裏がある貴族だからこそ、警戒して最悪ダクネス達のことも認めない可能性すらあるかと…」

 

「それについては問題ない、既にアルダープの許可は得ているからな」

 

「えっ」

 

「私の父を通して正式に通達しておいたのだ、アリスの友人として私が仲人の立ち位置で付き添うことをな。無論私の付き人として数名連れて行く旨も伝えてある」

 

何とも根回しがはやいと私は素直に感心していた。確かに当日にアポなしで行くのはいくら同じ貴族のダクネスであろうが心象は良くない、事前に行く事を伝えておけば仮に断られていても他の対処方法を考えられる。

ゆんゆん達も同じように入ればいいとも思ったがそれでは全員丸腰になってしまうのであまりよろしくはない。

 

「それに、ゆんゆん達の件も俺はうまく行くと睨んでいる」

 

「…と、言いますと?」

 

「考えてもみろよ、今回のお見合いはこちらが提案したことじゃない、向こう側の提案なんだ。それに大金をもらったり豪華な食事を振舞ったりしてたんだろ?それはアリスからの心象を少しでも良くしようとしてやってたんだよ、だったら…最悪アリスが直にお願いすれば多分通ると思う」

 

「うーん…そういうものでしょうか…」

 

確かにあれらの理由が私からのアルダープへの心象を少しでも良くしようとしてなら話に筋は通るのだけどそう上手く行くのだろうか。こればかりは当日に賭けるしかない。

一方めぐみんは思い悩むように落ち着かない様子でいる。

 

「どうした?めぐみん」

 

「いえ…アルダープの屋敷はかなり広いと思われますがどうやって探すのですか?」

 

言われてみればあの屋敷はかなりの大きさだった。いくら潜伏してるとしても付人として入り込んでいる以上あまり長時間姿を消して捜索するのも無理があるだろう。そしてそんな疑問にはクリスが反応した。

 

「それも問題ないよ、私のスキルに宝感知っていうのがあってね、レアなお宝の在処を察知できるんだ」

 

「……?クリス、宝感知でどうやって悪魔を探すんだ?」

 

「…えっ、あ、えっとその…」

 

ダクネスの疑問にクリスはあたふたとしている。…とりあえず思うのはクリスは盗賊なのに隠し事が下手すぎではないだろうか。言うまでもなく、クリスが王都を騒がせている義賊ということはこの場では私しか知らないことだろう。

そしてクリスの真の目的はアルダープの持つ神器の回収、結果的に神器を回収することで悪魔の使役を止められるかもしれないのだ。だけどここにはそれを秘密として悪魔を探し出す助っ人としているのだから皆に神器狙いであると覚られるのはよろしくない。

 

…仕方ない、助け舟を出しておこう。

 

「皆さんよく考えてください、アルダープ自体は普通の人間です、悪魔を使役など普通は不可能でしょう。ですからクリスは悪魔を使役する為になにかしら…レアな魔道具などのアイテムを使っていると睨んでいる、そうですよね?」

 

「えっ?あ、そ、そうそう!だってそういうのを使ってるとしか思えないじゃない!だから宛もなく探すよりはそういった指針を持って探した方が確率は上がると思うよ!」

 

「…言われてみれば確かに一理あるが…」

 

私の言い分になんとか全員納得したようだ。カズマ君だけは何故か微妙な顔をしていたけど。一方クリスは罰が悪そうに舌を出して私に向けてアイコンタクトをしていた。先が思いやられるのだけど頼りになるのは確かだ、ここは頼らせてもらおう。

 

「…ここまではいい、私も貴族として出向くのだからアルダープも表面上は下手なことはできないはずだ。だが忘れないでくれ、私達は明日、敵陣のど真ん中に行くということを。今はこうしてお見合いなどという形でこちらを受け入れてくれてはいるが…元を辿ればアルダープは悪魔を使ってアリスやアイリス様まで攫おうとした重罪人だ、場合によっては…手段を選ばない危険性もある、だから皆は常に周囲に気を配っておいて欲しい」

 

ダクネスの言葉が深く心に刻まれた気がした。私達の目的は悪魔の討伐ではあるけど、バニルの例を考えたら討伐そのものが不可能な可能性もある。そうならばせめてアルダープの悪事を世間に暴かなければならない。悪魔自体はアルダープの命令で動いていたとなるとそれでも私としては目標は達成できる。

 

どうなるかはまだ分からないけど、後はやれるだけやるしかない。そんな想いを抱いていたのは、多分私だけじゃないと思う、…本当に、頼りになる友人達だ。

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

翌日――。

 

―アクセルの街・貴族住居エリア―

 

ついに今日という日が来た。この日の為にダクネスは貴族としてドレス姿で登場し、アクア様、クリス、めぐみんがメイド姿で後ろに続き、執事服のカズマ君も見えた。

そして私とゆんゆんとミツルギさんはいつも通りである。

 

「いやいやおかしいですよね!?」

 

「えっ?」

 

即座にめぐみんからツッコミが入った。何かおかしなことでもあったのだろうかと私は不思議そうに首を傾げてみた。

 

「なんですかその何もおかしなところはないですよねみたいな態度は!?ゆんゆんやミッツルギはともかく、何故アリスまでいつも通りの服装なんですか!?」

 

「えっ…?」

 

「まぁ…確かにその普段の格好でもドレスっぽいような感じもするけど、お見合いで着てくる服ではないかもな…」

 

「いやいやお二人して何を言っているのですか」

 

私は普通にキョトンとしていた。確かに『お見合い』としてここに来るのなら私の格好はおかしいものだとわかる。だけど悪魔が関与しているとなるとアクア様の加護が働いているこの服は外せないし、それに。

 

「そもそも私はお見合いを本気で成立させるつもりはありませんし、わざわざ会食の時のようなドレスを着るつもりはありませんよ」

 

もはやそれ以前の問題である。そもそも今回のお見合いはアルダープの懐に入り込む口実に過ぎないし本気でお見合いをするつもりは全くない。よって服装云々で相手を不快にさせようが知ったことではないのである。

 

「ぐぬぬ…私はこんな恥ずかしい格好をしているというのに…納得いきません…」

 

「そんな事ないですよ、めぐみん凄く可愛らしいですよ?」

 

「か…っ!?可愛いとかそういう問題ではありません!」

 

肩から肘辺りまで露出していたり妙に胸元を開けてたりおかしなメイド服ではあるけどとりあえず可愛らしいのは本音である。

 

「その辺にしておけ、確かにそもそもお見合い自体は破綻させるつもりだからアリスの服装は特に問題はないはずだ」

 

次第にアルダープの邸宅の入口が見えてきた。その前にやっておくこともある。

私は背中に携えていた杖を手に持つと、隣で歩くゆんゆんに手渡した。

 

「ゆんゆん、預かっておいてもらえますか?」

 

「…アリス?」

 

「流石に武器を携えたまま入る訳にもいきませんし、ゆんゆんならアークウィザードですから持ってても違和感はないでしょう?」

 

「…う、うん…、わかった」

 

とは言え普段短刀とロッド装備のゆんゆんに長杖は違和感しかないけどそこは仕方ない。いざマクスウェルと戦闘になった時に丸腰で挑む訳にも行かないし、屋内の戦闘となれば地形を無視できる私の魔法は役に立てるはずだ、素手でも使えなくはないけど威力がでないだろうし。

 

私がゆんゆんに杖を預けたところでようやくアルダープ邸宅に到着した。

 

「ダスティネス様、それにアリス様。お話は聞いております、どうぞお通りください」

 

門番の人は私達の姿を確認するなりすぐさま門を開けてくれた。ゆんゆんやミツルギさんが何も問題もなく入れているのだけどいいのだろうか。特に武器とか押収されないしこちらとしてはありがたいのだけど。

 

門をくぐるなり執事の人が見えたので足を止めた。執事の人はこちらを見るなり難しそうな顔をしている。まぁ門番が何も言わなかった時点で違和感しかなかったので当然なのだけど。

 

「ようこそいらっしゃいました、随分大所帯ですがこれは…」

 

「友人です、何か問題がありましたでしょうか?」

 

「…いえ…ダスティネス家のお嬢様は存じておりますが…、そちらの…」

 

執事の人は慌てるような仕草でミツルギさんとゆんゆんに目配せしている。まぁカズマ君達は執事やメイド衣装なのにこちら側はいつも通りのクエストに行く為のフル装備状態だ、とてもお見合いに来た格好ではないので言いたい事はわかる。

 

「領主様にお聞き願いたい、僕達はアリスのパーティメンバーです。今回のお見合いの邪魔をするつもりはございません、ですがせめて仲間として…共にいることを許して頂きたいのです、勿論必要な時は席を離れますし、なんなら無償で警備として私達を使ってくださっても構いません」

 

ミツルギさんの丁寧な応対に執事の人は何やら考え込む仕草を見せるが、次第に頭を下げて奥へと戻っていった。確認するのでこのまま待っていろと言うことなのか。

 

「…さて、どうなるか…」

 

「もし断られても僕達は近くで身を潜めているつもりだよ。何かあればすぐに中に押し入らせてもらうさ」

 

「あ、あまり無茶はしないでくださいね?」

 

下手したら新聞沙汰になってしまう。『魔剣の勇者、領主宅に襲撃』なんて見出しはこちらとしても見たくはない。

 

私達はアルダープに話を聞きに行ったであろう執事が戻ってくるのを、ただ立ち尽くして待っていた――。

 

 

 

 




書ききれないこの6日間のダイジェスト

ウィズ→しっかりハンスの討伐報酬5000万エリスを受け取る。なおすぐなくなり未来しか見えない。

ミツルギさん→同じくハンスの討伐報酬を渡すも自分は大したことはしていないと受け取りを拒否したので強引に渡した()

セシリー→ゼスタに報告したものの、やはりこちらからのお金は一切受け取らないとのこと。魔王軍と戦った聖地という新観光名所は大好評らしい。

※めぐみんのメイド服はこのファンでのリゼロコラボのレム衣装をイメージしていただければ()


次回遅れますm(*_ _)m
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