学校でいろいろあってから早一週間が過ぎた。
あの日から毎日部屋の模様替えはされるし大量にびっくり箱は落ちてるしでほんっと大迷惑。
そもそもそんなことして誰が笑うんだ。カカオの感覚は間違ってる。
「ふふっ…」
ほら今も私が笑わないか見てる。
きっとどこかに仕掛けが…
「あー…」
なんかクマの人形の首から下がブタになってるんですけど…
「おい、そこの虫」
「虫!?なんか初日ぶりだねその呼び方!」
「この人形直して」
ぐいっと人形を目の前に突き出すとカカオはぷっと吹きだした。
「あ、気付いちゃった?面白いでしょー!笑っちゃったよね!
顔に出さなくても心で笑ったでしょ!」
「なにが『気付いちゃった?』だ。直してよ。
そもそも笑わないって何回言ったらわかるの!」
「むー、じゃあどうやったら笑うのさー」
「笑わないって言ってるんだけど。」
「あたしは林檎を笑わせようとしてあげてるのよ!?
笑わないからそんなひねくれた性格になっちゃったんじゃないの?
あたしなんて笑ってるからこーんなにいきいきとしてるのよ」
私はそれは一里あるかもと思った。
でもやっぱりカカオにバカにされたくなかったので反論しようと思った矢先
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。
そう。今日は休日。そんな日に家のチャイムが鳴るなんてあいつら以外ありえない。
まあでも待たせるのも悪いので走ってドアへ向かった。
「林檎ー、遊びに行こー」
出ると椿が何かをひらひらさせながら言った。
そう、案の定いたのは椿とあけびだった。
「何それ?」
「遊園地のチケットですよ。お父さんがくれたんです。
4人分あるんですけどお姉さまも行きません?というか行きましょう!」
「林檎はお姉さまでお父さんはお父さんなのか。」
私はあけびにひきずられて(もちろん持つ物は持って)近所の遊園地へ行った。
「――ところでさっきも言った通りこのチケット4人分あるんですよね。
あそこは近いのにあんまり行けないですし、
使わないのはもったいないと思うんですが。」
あけびが遊園地に行く途中言った。
「確かにねーでも誰にする?」
私はもちろん友達なんていないので――まぁ、ね。
「こんにちはっ」
突然知らない子が話しかけて来た。
2人の知り合いかな…
「誰?」
「さあ?椿先輩の知り合いじゃないんですか?」
「私の知り合いじゃないよ。」
2人も知らないみたいだった。
人違いかな?
「やだなー、林檎ちゃん忘れちゃったの?」
「はぁ?」
その子はぷぅっと頬を膨らませた。
私はこんな子知らないし。思い出そうと記憶を辿る。
「ほら、昔アパートのとなりの部屋だったでしょ?」
私アパートに住んだ事ないんだけど――もしかして…?
「そっかそっか。林檎の友達か。私は椿。」
「あけびはあけびです。あなたは?」
「私はカカオ。」
やっぱり。
「カカオか。変わった名前だね。ま、よろしく。」
「よろしくお願いしますね。カカオちゃん。」
2人はすんなり受け入れちゃってるよ…
普通こんな名前ありえないでしょ。
「そうだ!カカオちゃんも遊園地行きませんか?」
「いくいく!」
カカオは、ぱあぁっと顔を輝かせた。
「ちょっと…」
私が呼んでもわいわいと楽しくやっている3人には聞こえていないようだった。
「ねえ。」
歩いてしばらくした時、椿とあけびがしゃべり始めたのでカカオを呼んだ。
「なあに?林檎ちゃん。――なんてねっ☆」
ぱちっとウインクをした。
「なんてねじゃないんだけど。」
「貴方の思った通り!
私は天才で聡明な美少女妖精カカオちゃんなのでしたー♪
天才なあたしは擬人化もこのとおり!」
「うるさいよ。」
2人に聞かれたら困るだろうが。
私はカカオを帰らせる作戦を考えだした頃、
「着きました!」
着いてしまった。
大きな門の後ろにはジェットコースターや観覧車が見えていて、
そこに楽しそうな家族連れが吸い込まれるように入って行った。
「なつかしいなー。昔、家族で来たっきりだな―。」
椿が昔を思い出して楽しかったなー、とつぶやく。
カカオは初めての遊園地にキラキラと目を輝かせていた。
ちなみに私は来た事がない。
だからどうせなら普通に楽しみたいと思ったんだけど…
「…うふふふふふ…お姉さまと遊園地…」
「おおーっおいしそうな物がたくさんあるなーっ全部食べたい。」
「林檎を笑わせるには丁度良さそう。さてどうしようか…」
絶対普通とか無理だ。
諦めてこんなのでもいいじゃないか、と自分に言い聞かせる。
「よし、じゃあ始めはあれ乗りましょう!」
「えー…あれー?」
あけびが指さしたのは見るからに絶叫系。
キャアアアアアっと女の人の叫び声が聞こえる。
「よーし!乗ろう!」
「行くぞー!」
「楽しみですねっ!」
3人とも乗り気。
はあ…まあいいか。
と、思ったんだけどなあ…
「「いやあああああああ!」」
「うふふふふふふふふふ…」
「お、落ち着いてって!」
カカオが魔法で速さをすごい事にするし、
怖さで元に戻せなくなるし、
私は隣のあけびが怖すぎるしで全然まあ良くなかったよ。
「はああ~楽しかったですねー。
見た目からして予想以上の面白さでしたー!」
「あう…もう…無理…」
あけびはもうピンピン。
それ以外はダウン。もちろん私も。
「次はあれにしましょう!」
あけびが指さすのはやっぱり絶叫系。
「もう嫌…あけびっち強すぎ…観覧車にしようよ…」
椿がそう言ったので観覧車に乗ることになった。
―――が、そううまくはいかない。
「これは遅すぎる。何もないのー?」
カカオが言った瞬間観覧車のスピードが速くなった。
ジェットコースター程ではないものの景色が見えない。
「ここの観覧車って速いね。」
椿とあけびはさっぱり気付いてないみたい。
あっという間に1周。
そして降りようとしたんだけど…
速すぎて降りれない。遊園地の人もお客さんもびっくりしてる。
「この観覧車2周のっていられるのかな。」
「ちょっと変わってますね。速いですし。」
「楽しいしいいじゃん!」
「……。」
まったく気付いてない2人とそれに合わせるカカオ。
大丈夫かこの2人は。まあそっちの方が都合いいけどさあ…
やっと観覧車を降りれたと思ったらまた絶叫系に乗らされるし、
(今度はカカオも懲りて速くしなかった。)
お化け屋敷でカカオが本物の幽霊にするし、
コーヒーカップで目は回るしで本当に疲れた…
あと食べ物もすごい食べたし。主に椿が。
もちろん他にもいっぱい乗ってあっという間に夕方。
「あーっ楽しかったねーっ」
帰り道、カカオが言う。
「そうですね。」
「私も楽しかったー!」
「まあ楽しくなくはなかった…かな?」
すごく疲れたけど楽しくなかった、と言ったら嘘になる。
「ふふふ、お姉さまも楽しかったんですね♪」
「そのまま笑っちゃえ!」
「昔から林檎は笑わなかったのか?」
「え…ま、まあね!」
私はそこまで昔から笑わなかったわけじゃない。
あの時から…
「さ、早く帰ろ!あたしもうくたくただよー」
カカオがあくびをする。
「そうだな。じゃ、また明日ね!」
「また会いましょうねー」
「じゃーねー!」
2人は別々の方向へ帰って行った。
2人が別の道へ行ったすぐ後。
ふうっとカカオが息をはき、消えた…と思ったら元の妖精に戻っていた。
「あーこの姿って疲れるんだよねー1日しか持たないや。」
「1日持つ方がすごいと思うけどね。」
私がそう言うとカカオはぱあっと顔を輝かせた。
「林檎が褒めてくれた!初めてかも!」
と言ってからはっとした顔になった。
「まさか偽物!?林檎が褒め言葉を言うなんてありえない!」
「失礼だな。」
まったく…そんなにおかしいかな…
ま、褒めることはなかったか…褒めるような事しなかっただけだけど。
「今日は楽しかった?」
帰ってから、カカオが聞いてきた。
「別に…楽しくなくはなかった、ってところ。」
「本当?林檎楽しそうだったよ。」
「え…」
楽しい顔した覚えはなかったけど…
するとカカオはにっこり笑って言った。
「やっぱり楽しかったんだね。
これで笑ってくれたらもっと良かったんだけど…ま、いいか。」
カカオも笑わせる事しか考えてないわけじゃなかったんだな…
一瞬少し微笑みかけた。
でもカカオは気付いてないみたい。
笑う、か。私もいつかまた笑える日がくるのかな…
投稿がかなり遅くなりました。
まだ4話目ですし終わらないつもりなんですけどね。
ネタがもう無くなりそうで…
がんばります。