まず、説明の前に謝罪と言い訳ですね。
11月投稿できなくて申し訳ありませんでした! 言い訳(この当時の時事ネタ含む)として2つあります。1つは今回の話の区切りが単純に長くなったことです。「シンフォギア」本編だと切ったところを目玉にしたので普通に文章が多くなったこと。2つ目は、政府のやってた某キャンペーンでアレが爆発的に増えた結果、休みが消し飛んだことです。この2つが連鎖して投稿が遅れました。
さて、今回から説明(愚痴)が前後半に分かれます。もっと、文面上でですが皆さんとお話ししたいからですね(徒然なるままに)。それに、ネタバレ関係は前書きに書けないので。
次に、アンケートありがとうございました! 「欲しい!」が「別にいらない」の倍の票を取っていて、嬉しかったです。「別にいらない」に投票した方は、原曲を大切にしているのだと思って少し悲しかったですが、そこまで気にしてないです。
あと、前話投稿後に「ガオガイガー」の次回予告にあった「これが勝利の鍵だ!」がなくて悲しいというコメントをいただきました。確かにと思う反面、絵ありきのセリフだから言葉だけだったら何なのかわからないのでは? そもそも全部勝たせないし。とあれこれ考えた結果、「次回もファイナルフュージョン承認!」の部分をある回の前だけ変更することにしました。ある回についてはお楽しみということで。
では、オープニングどうぞ!
ガガガッ ガガガッ ガオガイガー!
ガガガッ ガガガガッ ガオガイガー!!
叫べ 光のエヴォリュダー 赤いたてがみ 金の腕
光り輝くGストーン 人々の心 照らすため
今こそ 立ち上がれ
人の 心に潜む闇が 星を覆う前に
ガガガッ ガガガッ ガオガイガー!
ガガガッ ガガガガッ ガオガイガー!!
ファイナルフュージョン承認だ!
今だ! 超人合体だ!
空曲結界! プロテクト・シェード!
不屈!闘志!情熱!勝利!
再誕!奇跡の くろがねの巨神 ぼくらの勇者王!
ガッガッガッガッ ガオガイガー!!
[これは勇者と奏者が織り成す、戦いと成長の物語である]
ある平日の午前中
キイ⋅⋅⋅ギイ⋅⋅⋅キイ⋅⋅⋅ギイ⋅⋅⋅
少女が一人、授業をサボって公園でブランコをこいでいた。
少女「お父さん⋅⋅⋅お母さん⋅⋅⋅」
事の発端は二年前の「ツヴァイウイング」のライブ。応募の抽選に見事当選し、ワクワクしながらライブ会場に行ったあの日から全てが狂い始めた。
ノイズの出現による混乱。
人波に押されなんとか脱出できた会場。
明後日のニュースに載る死者とその意外な事実。
何故か当然のように起きるバッシング。
窓という窓は割れて、その飛んできたコンクリのブロックでお父さんは⋅⋅⋅。
それを追ってお母さんは⋅⋅⋅。
被害総額、十数万は超えたっけ。
割れたところから来る冷たい風が身に染みる。
でも、私は生きていた。
いや、親戚に生かされていた。
お金の魔力によって。
学校だって行きたくない。
でも、お父さんとお母さんとの幼い日の約束。
呪いでもあってたった一つのすがれる光。
たくさんの人を救うために賢くなるっていうそんな約束。
でも、賢くなっても救う人なんていないことに気付いた。
⋅⋅⋅⋅⋅⋅
あいつらに復讐したい。でも、何人殺せばいいんだろう? 何人殺せば私は報われるんだろう? 無関係な人なんて殺してもしょうがない。一体、何人殺せば私は――
???「復讐する力が欲しい?」
少女「ッ!? だ、だれ!?」
驚いて左を向くと黒で服装を統一させた女性がいた。
???「親を、自分を惨めにしたやつらに復讐したい?」
少女「⋅⋅⋅⋅⋅⋅したい」
???「フフフッ⋅⋅⋅正直ね。私が力を授けてあげる。貴女をきっと助けてくれるわ」
そう言うと手に持っている紫の物体を近づけてくる。
少女「待ってください」
???「⋅⋅⋅どうしたの?」
少女「その力、いつ使えるんですか?」
???「⋅⋅⋅時を待つの。そして、あなたの怒りや憎しみが心という器から溢れた時に、この力は発揮するわ」
少女「⋅⋅⋅⋅⋅⋅なるほど、わかりました。じゃあ、お願いします」
???「フフ、自分に正直で、賢い子ね」
そして、紫の光で何も見えなくなって――
気がつけば誰もいなかった。
少女「⋅⋅⋅ありがとう。私、待ってみる。あいつらを心の底から殺したがるその時を。根絶やしにしたくなるその瞬間を。
⋅⋅⋅さてと。学校行く気もうないし、家に帰ってアレ、極めよっと」
そして、少女は公園を後にした。
/
ある別の日
特異災害対策機動部二課指令室にて
弦十郎「全員、異常はなしか⋅⋅⋅」
あの怪物から出てきた人間を精密検査してその結果をリストにしたものを見ていた。
特に唯一意識があった「
そして、捜査の結果で力を与えたある一人の女性がいるということだけがわかった。
ただ記憶を映像とする機械を用いてもその女性の姿が映る前まで酔っていたのか妙にふにゃふにゃしていたり、その瞬間だけ砂嵐だったりと曖昧だった。しかし、あの日のことを他の社員に取り調べをすると彼は上司をミスを全て背負ってクビにされたということがわかった。何人か違うことを言っていたがその全てがお偉いさんだけだったので、彼の上司が何かしらの操作を行った可能性が高い。
だが、一番気になったのは彼の精神状態及び性格の変化だった。まるで彼は人間の悪と呼べる部分を全て引っこ抜かれたかのように聖人のような性格になっていた。他の社員の話からして彼は善人のような性格だったが、少々野心家でもあったという。俺も話して少し気味が悪くなった。
一方で、あの日のことを奏者から聞くと多くのことがわかった。
まず、あの怪物の名前を「ゾンダー」というらしい。とりわけ、アンノウン改めエヴォリュダーはあれを「NEI-01」と呼んでいたという。
次に、ある組織に所属しているということだ。それが何かは明かさなかったが、あのガオガイガーというロボットの背面にあった金のエンブレムがそれと関係があると睨んでいる。
さらに、エヴォリュダーには仲間がいる。通信で誰かと会話していたという。
最後に、あのライオンは「ギャレオン」というらしい。と、これくらいだ。そのどれもがシンフォギアの解除によって常時の中継通信が途絶していたのが悔やまれる。
弦十郎「もう小言はいいと言いたいが、この結果じゃ上は誰も満足しないな。今、大変なのはわかるが⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
今、日本政府は大混乱の渦中にあった。
謎の怪物に謎の巨大ロボット「ガオガイガー」の対応に追われている。憲法違反だという声も上がって、「正体不明の巨人で、我が国の知るところではない」という政府の言葉は常に忘れられている。
あの次の日の新聞には『謎の怪物出現! 対するロボットの名はガオガイガー?』というような見出しがどの新聞の一面で踊っていた。しばらく経った今だって、どこの新聞にもガオガイガーに関係する記事が載っている。中には政府関係者をパパラッチまがいな追跡をして逮捕させた事例だってある。
緒川「失礼します。報告書をここに」
弦十郎「ああ、ありがとう。先に聞くが、状況は?」
緒川「⋅⋅⋅監視カメラに映っていた人数から出た結果ですと、全体の7割以上が死亡でその内半分以上の遺体がありませんでした」
弦十郎「あの火力だ。当然だと言いたいところだが、まさかそれほどとはな⋅⋅⋅。緒川、負傷していない人はいたのか?」
緒川「残念ながら⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
弦十郎「そうか⋅⋅⋅」
予想を上回る被害だ。このままでは被害の波紋が政府の地盤を揺るがしかねない。
弦十郎(何か手は⋅⋅⋅そういえば、エヴォリュダーはあれを『NEI-01』と呼んでいた。ということは『NEI-02』が出現する可能性があるということじゃないか?
その時にコンタクトを⋅⋅⋅いや、メディアにヤラセだと言われればそれまでだ。一体、どうすればいいんだ⋅⋅⋅⋅⋅⋅)
弦十郎「とりあえず、秋永和幸以外のAtomの社員の拘束を解くように伝えておいてくれ。念のために箝口令をしくのを忘れるな」
緒川「はい、わかりました。では、失礼します」
ガシャンと扉が閉まる音を聞いてから、深いため息をつく。
弦十郎「ノイズと聖遺物以外ではお役に立てないとは⋅⋅⋅。まさに、お荷物状態だな」
自虐しながら、正体不明のヒーローであるエヴォリュダーへの期待することしか今はできなかった。
/
一方、その頃
凱と命の部屋にて
凱「⋅⋅⋅まったく、どういう物なんだろうなこれ?」
命「わからないけど、とにかくここを押すと⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
凱「おお、開いた⋅⋅⋅確かにコンソールはあれと似てるな」
以前の戦闘の際に出現した謎の機械について話しをしていた。
凱「他に何ができるんだ?」
命「このヘッドギアと連動してレーダーとしても使えるみたい」
凱「それにしてもこれ、今意識して出したんだろ?」
命「うん。あの時はこれが自分から現れたけど、今は私が現れろって念じてみたんだ」
凱「なるほどな、確かに謎だし見たこともないけど今はこれがないとファイナルフュージョンできないから使わざるを得ない⋅⋅⋅か。⋅⋅⋅なあ命、提案なんだけどさ」
命「提案?」
凱「名前を付けないか? あった方が何かと便利だし」
命「まあ⋅⋅⋅⋅⋅⋅確かにあった方が便利だね」
凱「よしそれじゃあ、何にしようか」
命「言い出しっぺなんだから、何か候補があるんでしょ?」
凱「ん? まあ、名前を付けるヒントみたいなのはあるけど、候補は⋅⋅⋅」
命「ちなみにヒントって?」
凱「携帯できるコンソールだからcarryとかportableとかかなって」
命「なるほど。じゃあ、携帯型っていう色が強いからportableの方を採用して後は⋅⋅⋅基地にあったコンソールと違っていろんなことを平行してできるからmultipleを採用して⋅⋅⋅よくわからない物だからunknownも入れて⋅⋅⋅⋅⋅⋅え~と、あんまり長いと覚えられないからPortable Multiple Unknown Consoleだから頭文字から取ってPMUCだからピームック?」
凱「それでいいんじゃないかな?」
命「よし、まだまだわからないことが多いけどこれからは私の相棒! よろしくねピームック!」
凱「命をよろしく頼むぞ」
/
その一方、今頃
二課のある通路にあるベンチ
響(甘いってそんな⋅⋅⋅私はただ翼さんと一緒に戦いたいって思っただけなのに⋅⋅⋅⋅⋅⋅)
きっかけはほんのちょっと前。あのゾンダー戦後しばらくの精密検査の結果を聞いた後、驚いた顔をしていた翼さんに話しかけた時に起こった。
響「翼さん! 私、戦います! 慣れない身ですけど、頑張ります! 一緒に戦えればと思います! その⋅⋅⋅良かったら握手を!」
差し出された右手を睨み付け、次にその主を睨み付ける。
響「あ、あの⋅⋅⋅握手は流石に、図々しいですよね⋅⋅⋅。でも、一緒に⋅⋅⋅戦えれば⋅⋅⋅と⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
翼「そんな甘いことでは戦場で生き残ることなんてできないわ」
そう言って去って行ってしまった。その言葉にショックを受けて、近くにあったベンチに座って考えていた。自分の何が甘いのかを。
すると、目の前にオレンジジュースの缶が現れた。見上げるとそこにはニカッと笑う奏さんがいた。
奏『好み、知らなかったから無難な物にしたんだが、飲めるか?』
響「あっはい、いただきます」
隣に座った奏さんはもう片方に持っていたお茶のペットボトルの栓を開けた。つられて、私も自分のを開ける。ふと、奏さんに肩を叩かれてそっちを向く。
奏『あっと、すまんな。こいつ、音が出ないから用がある時は一旦こっちに注意を向けないといけないんだよ。あっ、呼び方、響でいいか?』
響「あっ、はい、いいですけど⋅⋅⋅。それで用って――」
奏『あいつのこと少しそっとできないか?』
響「えっ?」
奏『2年前、あたしはガングニールとの適合が低かったばっかりにシンフォギアを纏えなくなって、何より翼を悲しませて、そして何の関係もなかった響がこんな所に来ちまった。
⋅⋅⋅全てはあたしのせいだった。でも、翼は優しいから一人で戦うために、いままで以上の努力をしていたんだと思う。そこに響が現れて、ちょっと混乱してるんだろうさ。それに、あたしが戦う理由を聞いた映像を櫻井博士が見せるって言ってたしな』
響「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
奏『ノイズより人助けっていう響の姿勢が気に入らなかったんだろうな』
響「じゃあ、奏さんも――」
奏『前はな。まだ纏えてた頃だったら甘いって翼とおんなじこと言ってたかもな。あたしは親を殺された復讐心で戦ってたから、言われてたらそこらの節で反発してた。
でも、一歩引いた今のあたしは響の姿勢でもいいと思うぜ。
だから頑張れよ、な?』
響「⋅⋅⋅⋅⋅⋅はい! 頑張ります!」
そこにノイズ出現のアラートが鳴り響く。慌ててジュースを残りをがぶ飲みして、
響「じゃあ、行ってきます!」
奏『ああ、頑張れよ!』
と指令室へ急いだ。
/
指令室に着くとノイズいる場所と規模を教えてもらう。翼さんはもう先に行ったということも。
響「わかりました! 行きます!」
と飛び出して行った。彼女が扉の奥に消えてからふと呟く。
弦十郎「彼女は翼のように戦士として鍛練を前々から積んでいたわけではない。
でも、誰かの助けになるということだけで日常から戦いに赴けるということ、それは⋅⋅⋅⋅⋅⋅それは歪なことではないだろうか?」
櫻井「つまり、あの子もまた私たちと同じ、こっち側ということね」
/
夕方にさしかかった頃
現場では
目の前の視界を埋め尽くす程のノイズ。数はざっと80は下らないらしい。だが、
翼(戦場に立てるのは防人のみ。あのような覚悟のない者を戦場に――)
「Imyuteus amenohabakiri tion⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
(立たせるわけにはいかないッ!)
手にした得物で果敢に攻め込み、得物から繰り出す数々の技でノイズを確実に葬る。
1
10
20
やがて、数えるのを止めて、なお集中して攻めるも周りの景色は一向に変わらない。
翼「くっ、キリがないな⋅⋅⋅⋅⋅⋅。だが、いくら数が増えようともこの防人の剣に斬れぬものは無いと思い知れッ!」
自らの言葉で檄をとばし、気合いを入れ直すがその根底には焦りがあった。だが、響のことといつまでも変わらない景色に苛立ち、その結果いつもより力み、エネルギーの浪費を知らず行っていた。
翼「はあッ、はあッ、はあッ⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
(調子が出ない⋅⋅⋅いつもの戦場を思い出せ、風鳴翼!)
集中しようすればあの奏のガングニールを受け継いだ者の顔がちらつき、気が散る。そしてとうとう、
翼「――しまった!?」
一回り大きいノイズの間合いに深く入り過ぎ、ノイズは好機とばかりに攻撃を仕掛ける。
翼(これは
まともにくらえばギアが解けると考えていたその時だった。
「こぉんのぉぉぉぉぉおお!」
ふいにノイズ横へと倒れる。上からの蹴りに対応できなかったためだ。そして、蹴った者が地面に着地する。そう、誰であろう奏の力を受け継いだ立花響だった。
響「翼さん! よかった、間に合ってッ! 私も手伝います!」
最悪の援軍に思わず悔やむ。
翼(私の無力がこんな⋅⋅⋅!
⋅⋅⋅だが、今は目の前のノイズを斬り伏せること先決ッ!)
二人になった奏者による反撃はみるみるノイズを数を減らし、
翼「これで終わりだ! はああああッ! 〈蒼ノ一閃〉!」
一振りが生んだ斬撃波はアスファルト造りの道路に深く切り込みを入れながら最後のノイズを両断した。
戦闘終了。
上空からカラスの鳴く声がして、お家に帰れと鳴く。だが、翼はその場に立ちつくし狼狽えていた。
翼「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
(倒しはした。倒しはしたが⋅⋅⋅。あの時あいつが来なければ私は⋅⋅⋅⋅⋅⋅いいやッ! 私は一人でも――)
響「翼さん! 私、今は足手まといかもしれませんけど、一生懸命頑張りますッ! ⋅⋅⋅だから、私と一緒に戦ってくださいッ!」
先刻よりもはっきりと共闘を申し込まれたことがさらに、翼の中の何かを掻き立てた。が、今は一人でノイズに対処できなかったダメージの方が大きく、彼女を無視して一人帰路につく。
それは、エヴォリュダーという第三者が今回はいなかったことを失念する程だった。
今日はやたらと、夜にさしかかろうとする頃の風が冷たかった。
/
同刻
現場から少し離れた丘にて
少し離れた見晴らしの良い丘。そこで凱と命は、奏者の戦闘を観察していた。きっかけは凱の、
凱「少し見てみたいことがあるから、今回は戦闘に参加しないで観察しようと思う」
という言葉からだった。だから、命はヘッドギアのバイザー、凱はIDアーマーのマルチアイで戦闘を観ていた。ちなみに、凱が二課のレーダーで感知されるのは今は着けてない、腕にあるカインのGストーンが原因なので二人はレーダーで感知されない。
命「凱、本当に大丈夫だったの? 結構危なっかしかったけど⋅⋅⋅」
凱「ああ、これでよかった。おかげで見たいものが観れた。⋅⋅⋅近いうちに二人の間で争いが起きる。きっかけは多分、風鳴翼の方からだろうな」
命「彼女、何か引きずってたように感じたけど⋅⋅⋅⋅⋅⋅。それより、どうするの?」
凱「説教をしたいところだけど普通のじゃ無理だ。⋅⋅⋅あまりやったことがないけど、優しさを全部
危惧。
それはもうすぐ的中すると二人は感じ、そして恐れた。
/
一方その頃
ある一軒家では
少女が画面に釘付けになっていた。ある瞬間をしっかりとその目に焼き付けるために。
少女「この瞬間のために準備してきたんだから⋅⋅⋅! あと少しあと少しあと少しあと少し⋅⋅⋅やった~! やっとHARDモードのセフィロスを倒した! ねえねえ、見てたお父さ――あ、そっか。⋅⋅⋅もういないんだったね」
お父さんが投げたことを私が叶えるのを私自身が、そして何よりお父さんが楽しみにしていた。
もしいたら、きっと私以上にうるさく喜んでいただろう。
そして、お母さんに「うるさい」と怒られていたんだろうな⋅⋅⋅⋅⋅⋅。
後ろのテレビからの騒がしさなんて、この目の前に佇むかつての日々の欠片も無い空虚の前には、何の力もなかった。
少女「⋅⋅⋅さて、晩御飯作らないと」
そう言ってゆっくりと立ち上がる。まあ、親戚から送りつけられた賞味期限切れの冷凍食品を温めるだけだが。
ふと、今日はやたらと夜風が冷たかった。
/
翌日の午後
今日も地獄に勇猛果敢に挑む。
そうでなければ、出席日数不足で留年だから。
耐え抜いた。
今年で卒業だから。
教科書を墨だらけにされても。
体育服を切られても。
物が無くなっても。
耐えていた。
ただひたすらに。
でも今日はダメだった。
昨日休んだからオモチャがいなくてイライラしていたのだろう。
獲物の見つけた鷹のようだった。
今日もいろんなことをされた。
けど、一番は。
生徒手帳の中にあった写真。
お父さんとお母さんとで撮った入学式の写真。
一番新しい写真。
それもたった一枚の。
それを踏んづけた挙げ句ライターで火をつけた。
慌てて奪い返して火を消した。
でも、お父さんの顔は燃えて無くなり、お母さんの顔はシワでぐちゃぐちゃになった。
その場から急いで離れた。
そして、隠れて泣いた。
多分、二人の葬式よりもずっと。
最後の思い出を踏まれ燃えて傷ついたことに。
⋅⋅⋅⋅⋅⋅
怒りよりももっと黒い何かを
許せないという言葉で表現できる度を軽々と超えた。
リアルだけどファンタジーを欲した。
今、何かの弾みで特殊な力に目覚めてあいつらを皆殺しにしたいと。
それはもう残酷かつ残虐に。
ふいに心が軽くなってうっすらと紫の光が胸から漏れ出す。
あ、
思い出した。
あの言葉。
「心という器から溢れた時」
それが今ならば。
そうだ、ありったけの憎悪を私からプレゼントしよう。
そう思って少女は目を閉じた。
旋舞女学園は変わった。奇天烈な変形した。
細く頼りない脚を浮かせ、左半分はちゃんとした装甲を纏い純白に。右半分はそれがもらえなかったのか黒く鈍く光り、パイプなどが剥き出しのままになっている。
さらに、右腕の肘から下はどこかで見たような無骨な造形をした大剣になっている。ただし、一点違うのが切先が刺し易いようになっている所だろう。その長さは優に30mは下らない。
頭部は左半分は兜に覆われ、右半分はあるヒヨコモチーフのモンスターをおぞましくしたようであり、紫の眼光がギラギラとしている。次いで、頭頂部より上に光輪が一つあり、左の肩甲骨の辺りからは純白の翼が生えていた。どうやら、それらの力で浮いてるようだ。
そして、その人型の怪物は周りのけたたましいサイレンの音など気にも留めないでその場に静かに佇んでいた。
/
一方
凱・命side
リディアンから南西7km離れた場所にゾンダーが現れたのを感じ、俺は急いで現場の方に、命は家にあるIDアーマーの射出準備に取りかかった。学生・生徒で言うなれば今は放課後。大部分の人はゾンダーコアに取り込まれることなく最寄りのシェルターに避難したはずだ。
ふいに、現場よりも向こう、つまりもっと南西の空の何かに太陽光が反射してキラリと光る。それも五ヶ所で。普通の人間なら見えないその正体もエヴォリュダーの並外れた身体能力ですぐに気づく。
凱(まさかあれは自衛隊の戦闘機か!? 一体政府は何をするつもりなんだ!?)
命『凱、準備できたよ!』
凱「よし、イークイィィップ!」
走る凱の背後にバラバラに装甲の群れが近づき、そして凱のジャンプに合わせて脚に胴に腕に肩に頭部に装着される。さらに加速する凱はある事を感じた。が、それは彼女達の方が長けている。そう思ってその任を心の中で彼女達に託して現場へと加速する。
/
一方
二課side
友里「南西7.1キロの地点にあった旋舞女学園が変形、ゾンダーになりました!」
弦十郎「なんだあれは!?」
櫻井「姿が一風どころか全然違う!?」
藤尭「あれはバスターソー――いやちょっと違うか。
⋅⋅⋅⋅⋅⋅指令、防衛省から連絡です! ⋅⋅⋅戦闘機を五機出撃させたと!」
弦十郎「何だとッ!? あの報告書を見てないのか!」
あのゾンダーという怪物は常にバリアを張っていて、それは奏者の一撃をもってしても破れなかった。つまり、ミサイルや機関銃でどうにかなる話じゃない。
弦十郎「離れた所に奏者を配置させろ! 逃げ遅れた住民の安全確保を――」
友里「指令!」
弦十郎「今度は何だ!」
友里「南南西7キロにて中規模のノイズの発生を確認!」
弦十郎「チッ、そっちに回すしかないか。奏者はそっちの方に向かわせろ! 防衛省には撤退の通告をしておけ!」
藤尭「了解!」
櫻井「たまたまかしら? それとも⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
奏(NEI-02が出てきた。さて、どうでる、ガオガイガー?)
/
現場に向かう車内
翼・響side
緒川「はい、了解しました。⋅⋅⋅二人とも、ノイズが現れました」
響「えっ?」
翼「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
緒川「今から二人はそっちの方に移動、ノイズを掃討してもらいます」
響「わかりました!」
翼「⋅⋅⋅⋅⋅⋅了解」
響(翼さん、車に乗ってからも全然顔を合わせてもくれない。私と一緒がそんなに嫌なのかな⋅⋅⋅?)
走る車はもちろん規定速度を遥かに超えて爆走し、もう一つの現場に急行していた。
/
ゾンダーの現場に戻って
約20分経ってからNEI-02は動きだした。
ゆっくりと空中を移動し、足元に最寄りのシェルターがくるように動く。
そして、着くと大剣の中から関節が引き出され、大剣の切先が真下を向くようにする。そしてついに、その刃を下ろして易々とシェルターの防壁を貫通し、突き刺す。
さらに、その後少し浮かせてその隙間に左にしかない五指から赫いビームを撃ち込む。
たちまちそれは、シェルター内のガスボンベに引火し、結果大地を大きく揺らした。
一方でこの光景を自衛隊が黙って見ているわけがなく、機関銃やミサイルで撃てども、例のバリアがそれを阻み、NEI-02からすればずっとうるさいハエが五匹飛び回っているようにしか見えなかった。
凱が着く頃には既に二つ目のシェルターの元へ移動していて戦闘機が既に攻撃を開始していた。
凱(ま、まずい⋅⋅⋅! もしNEI-02が彼らに攻撃すれば⋅⋅⋅⋅⋅⋅! 事態は一刻を争っている急がなくては!)
「ギャレオーーン!!」
左腕から召喚のシグナルを放ち、空気と混ざり獅子の顔が映しだされる。すると、東京湾から金属でできた巨大な獅子ギャレオンが姿を現す。そして、ギャレオンが着くなり、
「フュージョン!!」
と叫び、ギャレオンの内へ飛び込む。そうすることで隠された拳が現れ、頭部が動き中から人型の頭部が現れ、脚のまっすぐにして腰を反転する。
獅子の面影は胸に移った顔のみであとは全て人型となる。その名も、
「ガイガー!!」
さて、フュージョンしてもすぐに攻撃しない。
もちろんゾンダーを倒すことももちろん重要だが今一番重要なのは、もし戦闘機が撃墜された時のパイロットの救助なのだ。それに、戦闘機がNEI-02にまとわりつくことでガオガイガーになった後、思う存分闘えないというのもある。
だから、動かずに命の指示に従う。今、彼女に戦闘機の動きを予測してもらい、常に撃墜時の最適な対応ができるように演算してもらっている。
しかし、ガイガーが動いてはその指示が実を結ばない可能性が高い。本来、彼女の職務はオペレーターであって、演算は全てピームックに依存している。よって、ガイガーが動いている際の柔軟な対応ができないのだ。
一方、NEI-02はとうとうこのうるさいハエを撃ち落とそうと指からビームを放つ。しかし、流石はスペシャリスト。ビームを難なく避ける。
が、なんとビームが
そう、誰であろうガイガーが助けたのだ。方法は至ってシンプル。機体は爆発する前にコックピットのある先端部を強引に引きちぎるだけ。だが、これが可能なのは命による指示のおかげであり、凱の宇宙飛行士だった頃に学んだ知識の賜物なのである。
ここで、なぜ宇宙飛行士の頃の知識が役立つのかというと、宇宙飛行士となる過程の中で戦闘機を用いて複数の計器のチェックをこなす訓練がある。そして、それを可能にするのは経験はもちろん、その戦闘機を事前に良く知っていなければならない。
だからこそ、その際に乗っていた戦闘機の後継機もしくは改良型が今回の戦場に現れたからこそ、その知識が生きたのである。機体の最もスパークしにくい所をピンポイントで狙ったのだ。もっとも、形でそうと判断したまででもし違っていたら大爆発だったかもしれないが。
場を戻して、引きちぎった五本のコックピットをそっと置いて一声「逃げろ」と伝え、再びNEI-02と対峙する。二つ目を潰し三つ目のシェルターを攻撃しようとしていた所を寸前で剣を蹴って狙いを大きくずらす。そのまま剣は的外れな所に突き刺さる。ここで初めてNEI-02はガイガーの方を見た。片方しか見えない紫の眼光が一層恐ろしさを引き立てている。
凱「ジェネシッククローッ!」
獅子の爪を装備した鋭い一撃がバリアを貫通し、右胸に入ろうとしていたが割り込んできた大剣に阻まれる。大剣は易々とジェネシッククローの一撃を弾く。その強度は校舎が変形したとは到底思えないほどだ。反撃と言わんばかりに五指からビームを放つ。当然予測できていた攻撃なのでサッと空中でかわす。しかし、ビームは軌跡を描いてガイガーに襲いかかる。そこをジェネシッククローで応じ、ビームを一本ずつ相殺する。
ここで、大剣が横薙ぎで左から迫る。そこをジェットを噴射して上に逃げようとしたその時、ふいに振られた大剣が加速した。
凱「何ッ!?」
慌てて空中で一回転を試みて斬撃を避ける。脚がちょうど水平にあるところで背後から凶刃が空を裂く音が聞こえる。大剣の後を目で追っていた時ある秘密に気がついた。
凱(刃の反対側にスラスターが埋め込まれていたのか!)
大剣の厚い刀身に等間隔で青い炎がいくつも見える。
凱(これ位のポテンシャルがあるとなると、もうガイガーでは限界だな⋅⋅⋅)
凱がわざわざガイガーのままでやっていたのは分析。
すぐにガオガイガーになって闘うことももちろん可能だが、今の彼らにはいつも助けてくれる勇者ロボやハイパーツール、損傷しても次の戦闘までに一生懸命整備してくれるメカニックといった仲間が誰一人いない。
故に、唯一の対抗策であるガオガイガーを無闇に使うわけにはいかないと考えていた。そこで、考えたプランが今のこれだ。
ガイガーでギリギリまで相手の力を推し量り、なるべくガオガイガーを無傷且つ敵を圧倒して倒すというもの。
しかし、ガイガーが限界となるとやることはもう一つしかない。
凱「ガオーマシンッ!」
スピーカーモードをオフにしている時はガイガーが口をパクパクしているという非常にシュールな光景だが、その口から発せられた超音波に込められたボイスコマンドは、三機のガオーマシンを呼ぶに至らしめる。バラバラの方角から来たガオーマシンに向かってNEI-02がビームを放つがそれを器用に掻い潜り、ガイガーの前まで誘導してジェネシッククローで相殺させた。
凱「命頼むッ!」
命『了解! ファイナルフュージョン! プログラムドラァァァイブ!!』
凱「いくぞ! ファイナル! フュージョォォン!!」
かけ声と共に腰からEMトルネードを放ち、渦状にする。
一瞬面食らったNEI-02が渦を貫通させようとビームを何発を放つがそんな攻撃では妨害のぼの字にもならない。次に大剣を使おうとしたが背後から迫っていたドリルガオーの一撃が頭部にクリティカルヒットして態勢を大きく崩す。
当然、ガオーマシンたちはこの隙を逃さない。
ドリルガオーは脚部の一部となり、ライナーガオーはガイガーを横から貫き肩部になり、ステルスガオーは背後に合体しそのまま翼になりそのエンジンはライナーガオーから現れた二の腕と合体し拳が回転しながらせり出し一本の腕となる。
最後にステルスガオーにしまわれていた兜が上から被さり、マスクがガイガーの口に装着され、額にGクリスタルがせり出し、その双眸に一層の光を灯す。
凱「ガオッ!ガイッ!ガーッ!」
/
一方、ノイズの現場は
刀から放たれる斬撃は一度に多くのノイズを屠り、未熟な拳から繰り出す一撃はそれでもノイズを一体一体倒す。たった二人の奏者では到底対処は厳しいが二人しかいないのでやるしかない。
戦況は二人の無双というわけではなく五分五分の状況を繰り広げていた。いや、奏者側は厳密に言えば風鳴翼の独壇場だった。
立花響のことをいないものと決めこんで、彼女が巻き込まれるとわかっていながら〈蒼ノ一閃〉や〈千の落涙〉を使ったりとかなり無茶苦茶なことをしていた。それは、「アームドギア」を出せない彼女の未熟な覚悟への苛立ちもあったが、無意識に「このまま巻き込まれれば」という黒い願望によるものでもあった。
しかし、立花響もただ指を咥えて見ていたわけではない。確かに風鳴翼に比べれば目立った活躍はしてないが、そういう彼女は風鳴翼のサポートに徹していた。特に技を使った直後の無防備になる彼女を守るために動いていたのが一番の活躍だろう。例え、繰り出される技に巻き込まれても風鳴翼を信頼している彼女にしかできないことだった。
翼(いくら数が増えようとも全て、
響(街の人たちは絶対に
数にものをいわせるノイズに対して途中、地面が揺れたり爆発音が聞こえたりと妨害があって時間こそかかったもののなんとか掃討することができた。
弦十郎『お疲れ様と言いたいところだが、そのままガオガイガーのいる現場に向かってくれ。正確な場所はナビするが、襲われたシェルター内の調査及び人命救助に従事してくれ』
さっきの戦闘中に翼が響を巻き込む度に怒号を飛ばしていたとは思えないほど意外に優しい声音でそう言った。最寄りで襲われたシェルターはここから約400m位のところにあり、未だに黒煙が上がっている場所だろうと二人はなんとなく予想していたその時だった。
空気が震えた。
そこからでも見える巨大ロボの闘いは今まさにガオガイガーの圧倒的劣勢になっていた。
響(ガオガイガーが⋅⋅⋅! 行かなきゃ⋅⋅⋅助けに行かなきゃ!)
風鳴翼が本当に空気だと思ってその存在を放置していた時に、立花響は駆け出した。
策は、もちろん何もなかった。
/
少し時を戻して
ガオガイガー VS NEI-02
凱(初手はこいつだッ!)
「ブロウクンッ! マグナムッ!」
赤く回転する拳を敵の胸めがけて発射する。対してそれを大剣の横腹でガードする。そして、それをどかそうと流すように大剣を動かすとブロウクンマグナムはNEI-02の横を通り過ぎて行ったが、
凱(その動きを待っていた!)
拳が帰って来る前に左膝のドリルを回転させながら懐に飛び込む。ブロウクンマグナムはあくまでもフェイント。大剣を動かし、胴ががら空きになる瞬間を待っていた。
胴にドリルニーをめり込ませて大ダメージを与えるのが狙いだ。
凱「ドリルニー!」
確実に右の脇腹を抉ったと思っていたのだが、
凱「何ッ!? ⋅⋅⋅⋅⋅⋅これは!」
ドリルニーは敵に当たる直前で止まっていた。なんと、奴はバリアを一点に集めドリルニーを完全に防いでいたのだ。
バリア一層ならばブロウクンマグナムはもちろんガオガイガーすら通れる程無力だ。しかし、そんなバリアも一点に集めれば強固な盾になる。「塵も積もれば山となる」とはよく言うが、山は平坦な道より遥かに越えづらい。塵のように通すバリアも積もればどんな攻撃をも通さない絶壁となる。
防がれたことに面食らっている時右から衝撃が走る。NEI-02のパンチが頭部に直撃する。態勢を整えるのも忘れてしまい、そのまま軽く吹っ飛ばされた。なんとか倒れる寸前で態勢を整え、発射していた拳が帰って来る。追撃のビームを三連射する。迫るビーム15本に対して、
凱「ジェネシックオーラ!」
獅子の咆哮から発せられる見えない衝撃波が一瞬の内に打ち消す。
プロテクトシェードでも良かったが、それだと足が止まってしまう。そうなると、あの大剣の一撃を受けなければならない。そして多分、プロテクトシェードではもたない。そう考えると動くことのできるジェネシックオーラの方が良いと判断した。対して、次に敵になんと後光が差す。
凱「うっ、眩しい⋅⋅⋅⋅⋅⋅!」
あの光輪と翼がしていることなのかと思案していると、
命『凱、上から攻撃が来る!』
飛び込んできた危険を知らせに反応して両手を挙げる。次の瞬間、ズドンと来た凄まじい衝撃が全身を貫く。徐々に目眩ましから回復して凱が確認したのは、上から振り下ろされた大剣を両手で受け止めている状況だった。
凱(くっ、これじゃブロウクンマグナムもプロテクトシェードも使えない!)
命『凱、その攻撃を絶対に通さないで! それを通したら、ギャレオンまで深刻なダメージを負ってしまうわ!』
凱「だが、このままじゃ⋅⋅⋅!」
厳密に言えば、ガオガイガーの両手は大剣の刃に重ねられたバリアを掴んでいた。
一方でガオガイガーはジェネシックアーマーを強くしたり弱くしたりすることはできるが、一点だけに集めるというそんな器用なことはできない。この状態でできることと言えば飛んでくるビームをジェネシックオーラで打ち消すことだけだ。
さらに、この状況は拮抗状態でない。大剣のスラスターによる加速でジリジリと押されて状況なのだ。
ふと、打開策を模索しようとして辺りを見渡していた時、ある人を視界に捉えた。
凱(響君!? 何をするつもりなんだ?)
響(鎧を着けてない方が柔らかそうだから、あの鶏頭を狙って⋅⋅⋅)
道路から建物の屋上にジャンプし、次に敵の右の二の腕に跳び移る。
バリアは刃の部分に全て集約しているため難なく着地できた。そのまま駆け上がって顔の真横に着く。
対して、敵はガオガイガーに夢中で響の存在に気づいていない。
そして、
響「くらえぇぇぇぇ!」
剥き出しの目にパンチした。
一般常識だが、目潰しは痛い。それはもしかしたら、ゾンダーも例外ではないのかもしれない。明らかに痛がってバリアの層が分散して薄くなる。
凱「今だッ! プラズマホールド!」
大剣をがっしり掴んで唯一の拘束技を使う。何故、さっき使わなかったかというと、ガオガイガーは刃ではなくバリアを掴んでいた。バリアにプラズマホールドをしても本体を拘束することはできないのだ。掴んだ敵をそのまま背負い投げの要領でNEI-02を地面に叩きつける。
次に、NEI-02に振り落とされて空中でバランスを崩しながら落下する響君を助け、地面にそっと下ろす。
そして、やっと立ち上がったNEI-02を正面にして、
凱「ヘルッ! アンド⋅⋅⋅ヘブンッ!」
[説明しよう! ヘルアンドヘブンとは攻撃と防御、二つのエネルギーを一つに合わせ、相手にそのエネルギーをぶつけるガオガイガー最強の必殺技なのである!]
凱「おおおおおおおっ!」
ガオオォォォォ!
その拳を合わせた必殺技が敵の胸にめり込む。
凱「てやあぁぁぁぁ!!」
そのままその中心にあるゾンダーコアを引っこ抜き、敵の残骸を背に向ける。コアを失った体はすぐに爆発して自ら木っ端微塵になった。
凱(被害が大きかったが今回もなんとかなったな⋅⋅⋅。あの時、響君が助けに来なかったらと思うと⋅⋅⋅⋅⋅⋅慢心していたつもりはなかったんだけどなあ⋅⋅⋅)
もし、ガオガイガーが倒されればこの世界はおしまい。
そのことがこの世界に留まる足枷になっていると自覚はしている。しかし、皆と分断されたのははっきりと覚えている。おそらく、仲間がやって来る確率はほぼゼロだろう。
さて、そろそろ浄化をと思っていた時だった。ふと、かなり遠くからローター音が聞こえ、まっすぐこちらに向かって来る。
命『凱、あれ民間のヘリよ』
凱「民間の? ちなみに、あの二人は?」
命『それぞれ近くのビルに隠れてる。あれをやり過ごすみたい』
凱「わかった。多分コンタクトが目的だろうから、念のために通信を切っておいてくれ」
命『わかったわ』
だんだんと近づいているローター音をバックにさっさと浄化を済ませておかなくては。ガオガイガーをフュージョンアウトして、あの少年がやっていたのをまねる。
凱「クーラティオー! テネリタース・セクティオー・サルース⋅⋅⋅コクトゥーラ!」
振り下ろされた右手から見えない雫が一滴ゾンダーコアに波打たせ、みるみる紫の球体は縮みその跡に涙を流す女の子とその周りに気絶している人、約20人が姿を現した。
ガオガイガーの手のひらの地面に置いて気絶している人たちを近くのビルに隠す。民間のメディアということはおそらく生中継。
浄化が済んでそのまま手のひらに置いていたらモザイク無しで全国にその姿を晒すことになる。それは避けねばならないことだ。
凱「君もここにいて。多分、助けが来るからそれまでここで待ってて欲しい。君たちのことを世間に知られないためにも。⋅⋅⋅聞いてくれるかい?」
これに対して女の子はゆっくりと頷いた。それを確認して再びガオガイガーにフュージョンする。ガオガイガーまでおよそ150mのところまで近づいていた。そして、ゆっくりと立ち上がったタイミングでヘリのドアが開き、カメラマンとリポーターの姿が目に映る。
リポーター「現場の
ガオガイガー「ええ、いいですよ。(よし、長官の声に上手く変わっているな⋅⋅⋅)」
命(あのボイスチェンジャーのマスクを解析しておいてよかったぁ・・・)
リポーター「わっ、しゃ、喋った!? え~単刀直入に言います! ガオガイガーさんは日本政府の軍備ロボットなんですか!」
凱(えっと、ここは嘘をでっち上げつつも、なんとか自分たちの立場を確立させないと⋅⋅⋅)
ガオガイガー「いえ、違います。私はこの星とは別の星で組織された者の一員です。この国の政府は何ら関係はありません」
リポーター「それを証明できますか!」
ガオガイガー「証明と言われると少し違いますが、私は二年前に今しがた戦っていた機械生命体「ゾンダー」を追ってこの星に来ました。あの不思議な流星の日⋅⋅⋅私はその日にやって来ました」
リポーター「なるほど⋅⋅⋅。そのゾンダーとは一体何なのですか!」
ガオガイガー「ゾンダーとは先ほども言いましたが機械で構成された生命体です。
奴らは人の強く黒い感情につけこみ、それをエネルギーとして先ほどのように巨大化するのです。姿が違うのは寄生した人が強く描くイメージに依存するためです。そのため、姿も性能もそれぞれ違います。
奴らの目的はこの星の知的生命体である人間をゾンダリアン化、つまり奴らと同じゾンダーにすることです」
リポーター「⋅⋅⋅⋅⋅⋅わ、わかりました。そのゾンダーの対処方はありますか!」
ガオガイガー「奴らには核があります。それを引き抜けばいいのですが、これを無理に壊そうとすると、少なくとも今いるこの街は跡形も無くなる程のエネルギーが一気に放出されます。かといって、そのまま放置すれば新しい肉体を得て、再び皆さんに被害をもたらします」
リポーター「し、しかし、前回も今回もそのような大爆発はありませんでした! 何かしているのですか!」
ガオガイガー「ええ。その核は私たちの星の民だけが持つ浄化の力を使うことで核を消滅、寄生された者を救出しています。核の形はあなた方は遠くから撮影していたのでお分かりでしょう」
リポーター「どうしてバレて⋅⋅⋅あ、えっと、こ、今回の戦闘も甚大な被害が出ました! もう少しどうにかできませんか!」
凱(随分個人的な質問だな⋅⋅⋅)
ガオガイガー「それに関しては謝罪をせざるを得ません。どうしても、巨大化からの対処しかできないので、後手に回らざるを得ないのです。私たちの星だったら、ある道具を使って一時的に物がない空間を創りだすことができるのですが、調べたところこの星の地盤ではそれを使うのは無理だとわかりました。できるだけ善処したいところですが、被害を出さないのはとても不可能なことです。申し訳ございません」
リポーター「えっと、ガオガイガーさん! 最後に何かコメントを!」
ガオガイガー「⋅⋅⋅皆さん、このゾンダーの力はある者から核を渡されることで寄生します。
当たり前ですが、改めて怪しい者からの誘いは断るようにしてください。
次に、今回の被害を受けた方々は政府が安全の調査をするはずなので、今日はシェルターより出ないでください。
最後に、メディアからのインタビューはこれで最後とさせていただきます。今回は一社だけでしたが、次回からはもっと多くの会社が来ることでしょう。そして、互いに争い合うでしょう。私は決してそれを望みませんし、できるだけコンタクトは避けたいと思っているからです。⋅
⋅⋅⋅⋅⋅以上です。さあ、もう帰ってください」
リポーター「わ、わかりました。え~以上、現場からでした!」
ドアが閉まりヘリはその場で方向を変え、とんぼ返りして帰って行った。十分に離れたら、自分も上に飛んで曇天を彩る雲を突き抜け合体を解除する。
三機のガオーマシンはそれぞれの方向に飛び去り、残ったガイガーも空の彼方に飛んで行った。
/
翼・響の視点に戻る
翼「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
響「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
帰路について歩いている蒼と黄の鎧の纏う少女たち。未だにシンフォギアを纏っているのは、帰路の途中で助けを呼ぶ声が聞こえたら即座に対応するためだ。その二人の間に言葉はなく、陰鬱な空気だけがあった。
しかし、その胸中にあるのはそれぞれ違った。
翼(未熟な覚悟を持つこいつから一体どうしたらガングニールを引き剥がせるだろうか⋅⋅⋅⋅⋅⋅)
響(あのシェルターの跡に生存者は誰もいなかった。もっとたくさんの人を助けるにはどうしたら良いんだろう⋅⋅⋅⋅⋅⋅)
時刻は夕暮れだったが、雨の兆しを見せるこの曇天はまさに彼女たちの心情を如実に表していると言っても過言ではないだろう。通信機の向こう側では、
弦十郎『緒川、あの核から出た人たちの保護を頼む! 藤尭は一課に応援要請、友里は一帯にあるシェルター内の通信機器の稼働チェックだ!』
三人『『『了解!』』』
櫻井『今回もなかなかに荒らしてくれたわね、どっちも』
とそっちもそっちで事後処理に忙しくしている。一方で奏者の片方はあることを思いついていた。
翼(⋅⋅⋅そういえば、昨日こいつは『一緒に戦ってください』って言っていたな。一緒に戦う⋅⋅⋅そうだな)
翼「そういえば⋅⋅⋅」
響「え⋅⋅⋅?」
翼「昨日の返事、まだしてなかったわね」
「あなたと、私。⋅⋅⋅⋅⋅⋅戦いましょうか」
響「え⋅⋅⋅ふえ⋅⋅⋅⋅⋅⋅? ⋅⋅⋅⋅⋅⋅そ、そういう意味じゃありませんッ! 私は翼さんと力を合わせて――」
翼「わかっているわ、そんなこと。⋅⋅⋅私があなたと戦いたいからよ」
当然、このやり取りは二課本部に、その様子も音声も筒抜けている。
弦十郎『な、何をやっているんだ! おい、やめるんだ翼ッ!』
翼「⋅⋅⋅⋅⋅⋅私はあなたを受け入れられない。力を合わせ共に戦うことなど、風鳴翼が許せるはずがないッ!」
弦十郎『チッ、馬鹿者が⋅⋅⋅ッ! モニターは続けろ、俺は止めに行く!』
通信を切っていることに気がつき、急いで飛び出して行く。だが、そうしてる間にも二人の会話は進む。
翼「あなたもアームドギアを構えなさい。それは常在戦場の意思の体現⋅⋅⋅。あなたが何者をも貫き通す無双の一振り、ガングニールのシンフォギアを纏うのならば⋅⋅⋅⋅⋅⋅その胸の覚悟を構えてごらんなさいッ!」
得物の切先はピッタリと胸の傷の部分を指していた。それは、なぜガングニールを纏えるのかという理由を既に理解しているということを暗示していた。
響「か、覚悟とか、そんな⋅⋅⋅私、アームドギアなんてわかりません⋅⋅⋅わかってないのに構えろなんて、それこそ全然わかりません!」
[彼女はわかっていないが、君たちに説明しよう! アームドギアとはシンフォギア奏者の主武装であり、奏者の意思によって様々な形態に姿を変える。その形状・性質は奏者の心情と元となる聖遺物に影響され決定する。
例として、風鳴翼が使用する天羽々斬は『古事記』において
対して、立花響はまだアームドギアを発現できないため、風鳴翼や天羽奏と比較すると戦闘力は劣る。さらに、奏者の心情も関係することから、風鳴翼に覚悟がないと言われているのだ]
翼「覚悟を持たずに、のこのことお遊び半分で『戦場』に立つあなたが⋅⋅⋅奏の⋅⋅⋅⋅⋅⋅奏の何を受け継いでいるというの!」
響「奏さんの⋅⋅⋅受け継ぐ⋅⋅⋅⋅⋅⋅ハッ!?」
翼「あなたがその身に奏の力を、心を受け継いだというのなら⋅⋅⋅今、ここで証明しなさい!」
と言い、本当に攻撃し始めた。
奏(翼⋅⋅⋅。頼むダンナ、あいつを止めてくれ!)
戦うことを望む者とそうでない者が戦うとどうなるか。
答えは、目の前で繰り広げられる一方的な展開、いや迫害だろう。
容赦無しに攻める翼に対して、避けて必死に攻撃をやめてと叫ぶ響。
どちらも条件は同じ、ノイズならびに爆発したシェルターの調査後。
しかし、両者の間には決定的な差がある。それは、鍛練の差だ。ノイズに対抗するために鍛えた翼に対し、そんな事は全くやってない響。その差がじりじりと響を追い詰めていく。
響「はあッ、はあッ⋅⋅⋅⋅⋅⋅もうやめてください翼さん! 私、翼さんとなんて⋅⋅⋅戦えませんッ!」
翼「何の覚悟も無い力ならば⋅⋅⋅今ここで、手折らせてもらう!」
響「え――ああッ!?」
突如、空中にジャンプした翼を呆気にとられて動きが止まってしまう。それを見逃すはずはなく、
翼(そこだッ!)
響(!! あの技はまさか⋅⋅⋅!?)
巨大化した刀を自身が指針兼推量となって相手に突き刺す〈天ノ逆鱗〉。咄嗟に目を瞑って両腕で顔を守ろうとする。生命の危機に対する防衛本能である⋅⋅⋅〈天ノ逆鱗〉の前には全くの無力だが。
目を瞑れば聴覚が鋭くなると言うが、それは本当なのだろう。聞こえてくる音の中で何かが風を切る音が聞こえ、まっすぐに向かってくる。
グオォォォォォ
ギュュュュン
シュッ
ガッガガガガガガガガガガ
ガガガ
ガガ
ガ ガ
⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅
響(⋅⋅⋅⋅⋅⋅あ、あれ? 音が止まっ⋅⋅⋅た)
音は止まった、でも自分はまだ生きてる。予想もしていなかった事態だ。ゆっくりと腕を下ろし、瞼をおそるおそる開けてみる。
響「――ヒッ!」
目を開けると1mもしない空間にまで切先が迫っていた。が、進みをせず後退もせずにその場で止まってる。上を見上げると、
響「ガイガー⋅⋅⋅」
翼の攻撃を止めたのはガイガーことエヴォリュダーだった。
右手で刀身を掴み、これ以上の進行をさせまいとしていた。ストンと腰の力が抜けてしりもちをつき、シンフォギアも解けて元の制服姿に戻る。
ガイガー掴んでいた刀を乱暴に振り回して、翼を振り落とす。
ガイガー『大丈夫かい、立花君?』
あのインタビューからは考えられない程抑えられた音量と元に戻った声音でエヴォリュダーが尋ねる。
響「は、はい! 大丈夫です!」
ガイガー『そうか、なら良かった。さてと⋅⋅⋅風鳴翼、君は何をしようとしていた』
翼「戦う覚悟の無い者から戦う力を奪おうと思っていた」
ガイガー『そう。じゃあ何故、この技を使ったんだ?
まさか、これをくらって死なないとは思うまい』
翼「それは⋅⋅⋅」
ガイガー『じゃあ答えやすいように質問を変えよう。何故、君は彼女を殺そうとしたんだ?』
響「!!」
翼「わ、私は別にそんなつもりは――」
ガイガー『無いとは言わせない。でなければこんな殺傷力の高い技を使おうとしないはずだ。君は紛れもなく彼女を殺そうとした。その理由を聞いているんだ』
翼「か、彼女は⋅⋅⋅奏のガングニールを使っている。だが、彼女は覚悟が無い。そんな者はすぐ死ぬし、足手まといになる。だから私は――」
ガイガー『覚悟が無いか⋅⋅⋅それは大変だな。ところで君は、いつからこの戦いのために心身を鍛え始めた?』
翼「そんなの必要――」
ガイガー『必要だから聞いている』
翼「⋅⋅⋅幼少期からだとだけ言っておく」
ガイガー『なるほど。じゃあ立花君、君はいつから?』
響「私は全然⋅⋅⋅だってノイズには何も効かないって教えられてきたから――」
ガイガー『そう、覚悟も鍛練もポンと出てくるものじゃない。じゃあ君は何か目標があるかい?』
響「はい、私は一人でもたくさんの人を助けたいです!」
ガイガー『風鳴翼。彼女が最近戦いに参加していることは知っている。おそらく、戦いに身を投じる前はごく普通の女の子だったはずだ。君は判断の基準を「普通の女の子」ではなく「鍛練を積んだ風鳴翼」としている。だから、覚悟が無いなんて言える。
それに、「奏のガングニール」と言ったな。「奏」というのは二年前まで活動をしていた天羽奏のことだろう。確かあのライブ事件の時まで一緒だったな』
翼「何故、奏の名前を⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
ガイガー『二年前のライブ会場にいたからさ。それに、戦闘を強制的に終わらせたのも俺だ』
翼「じゃあ、奏をあんな風にしたのも⋅⋅⋅」
ガイガー『ああ、俺のせいだ。今のこの世間の混乱を恐れてギャレオンを出すのを躊躇った挙げ句、立花響という無関係の人間が戦いに出てしまった。君の悲鳴を聞いて急いで対処したらあのザマだ』
翼「奏は! 奏はあの力を纏うために激しい痛みにも耐えて! それをあなたの臆病でその実りを潰して! そして、あいつも大した事もしないで奏の力と心を受け継いで!」
ガイガー『すまなかった。⋅⋅⋅それと、君が何に怒っているのかようやくわかった。君は、天羽奏の力を受け継いだ立花響が君の考える天羽奏の枠組みにはまらなかった。
だから、殺そうとした。すぐ死ぬから取り上げるというのは建前で、本音は天羽奏の枠にはまらない彼女が許せず、その力を持つに相応しくないと思って、殺してでも力を取り返すということだったんだな』
翼「⋅⋅⋅! そ、それは――」
ガイガー『違うとは言わせない!
だからこそ、今日のノイズ戦だって彼女を巻き込みながら平気で技を繰り出していたんだろう? 君は今日、立花響の信頼と命を犠牲にしてでも「天羽奏のガングニール」に拘って取り返そうとした』
翼「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
ガイガー『要するに君は過去に囚われているんだ。天羽奏と一緒だった頃に。そこにたどり着くまでに何があったのかは知らない。だが、その懐古が執念となって一人の仲間を殺す寸前までに至った。一つ聞くが、立花響の持つガングニールに天羽奏って名前が書いてあるのか?』
翼「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅無い」
ガイガー『そうだろうな。ガングニールのみならず聖遺物は持つ者の力じゃないのか。それに、立花響は大した事もせずに受け継いでと言っていたが、あの日彼女は受け身ながら致命傷を以て天羽奏の力を受け継いだ。どうだ、激しい痛みを乗り越えたんじゃないのか?』
翼「う⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
暗く日も入り果てて真っ暗になり外灯が少ない中で、獅子と頭部の双眸、そして額の宝石の緑が闇に負けじと輝き、気のせいか胸の獅子が低く唸っているように聞こえる。
ようやく到着した風鳴弦十郎はその光景とガイガーから漏れ出る激情を感じ取り、殺気に近い何かだという感想を抱いた。そして、それは彼女達を同じだった。
ふいに、視線が弦十郎の方に移る。
ガイガー『あなたは?』
弦十郎「俺は風鳴弦十郎。この子達の⋅⋅⋅保護者のような者だ」
ガイガー『彼女達の組織の、上級職の人間か。これを見てどう思う』
弦十郎「⋅⋅⋅凄惨と言えるな」
ガイガー『なら、次に何をするべきかわかっているな?』
弦十郎「ああ⋅⋅⋅」
ガイガー『近いうちに協力関係⋅⋅⋅と成りたかったがこんな組織に背中を預ける馬鹿はいない。彼女のように味方をも裏切るような存在が闇討ちしに来たっておかしくないからな。協力したかったなら諦めろ』
弦十郎「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
ガイガー『だが、もしも――』
弦十郎・響「⋅⋅⋅?」
ガイガー『この二人が仲直りして仲間だと認識している上でその時が来たら⋅⋅⋅その時はこちらから協力を頼もう。それまではお断りだ』
弦十郎「⋅⋅⋅⋅⋅⋅わかった」
ガイガー『立花君』
響「は、はい!」
ガイガー『アームドギアが何なのかは俺も知らない。知らないが、それがいつか現れるからって何もしないのはおかしい。今は素手のという現状なら、それで立ち回れるように誰かに習った方が良い。
丁度、今来た人は近接格闘に秀でた体つきをしている。その人から習うのもいいと思う。保護者だから拒むことも無いだろうしな』
響「はい! わ、わかりました!」
弦十郎「一つ聞きたいことがある。あなたは二年前のあの日、聖遺物を見なかったか!」
ガイガー『⋅⋅⋅知らない。聖遺物の実物をまだ見たことがないからな。それに、今の言い方だと一般人を巻き込んでそんな事をしていたということになるが・・・。流石に驚きだな』
弦十郎「う、そうか⋅⋅⋅」
ガイガー『さて、最後に見せてあげるよ』
ふっと持っていた大剣を持ち上げた。
響「?」
翼「な、何を⋅⋅⋅?」
ガイガー『よく見ておくんだ』
そう言うとギューッと片手で大剣を握りしめ始めた。
ガイガー『過去に拘り、過去だけを信じ――』
ピシッ
ガイガー『今を見つめず、多様さに目を向けず――』
ピシッピシッ
ガイガー『己の懐古で人の信頼と命を犠牲にしようとする者の剣はこんなにも――』
ピシッピシッピシッピシッ
響「あ⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
ガイガー『脆い』
バリン
大剣は粉々になった。それは、傍から見れば目だけを妖しく光らせた破壊の巨人の所業にも見てとれた。降参の意なのか翼のシンフォギアも解かれていく。
ふいに、天から水滴が滴り落ちる。そういえば今日の夜は雨だ。今は小雨だけどじきに本降りになる。スラスターをふかす音がさらに大きくなって、ふわりと浮きながら去ろうとする。
凱(う~ん⋅⋅⋅キャラ作りって案外難しいなあ⋅⋅⋅⋅⋅⋅)
響「あ、あの、エヴォリュダーさん!」
ガイガーの中で反省していた時、背後から自分を呼び止める声が聞こえ、顔だけ彼女が見えるように動かす。
響「ありがとうございました!」
凱(⋅⋅⋅どういたしまして)
それに対して笑顔を浮かべたものの、ガイガーに表情が反映してしまうので、真顔を作って何も言わずに飛び去り、空中で獅子に変形して海に潜って行った。
すると、それと入れ替わるようにとうとう雨が本降りになった。それは、これからのことを大きく暗示していたのかもしれない。この先大荒れ、と。
降りしきる雨の中、翼は怒り、唖然としていた。
立花響に対する怒り、エヴォリュダーが「知らない」と一言で済ませた怒り。また一方で、エヴォリュダーに彼女を殺すつもりだったと指摘されて、どうしてそんな簡単な事に気づかなかったのか、そしてそれを心のどこかで肯定した自分に唖然となっていた。
弦十郎「⋅⋅⋅⋅⋅⋅らしくないな、翼。⋅⋅⋅お前、泣いて?」
翼「――泣いてなんかいませんッ!」
かけられた疑問を真っ向から否定する。泣いているのかもと考える余裕すらなかった。でも認めたら、自分が積み上げたものが音をたてて崩れるような気がして、必死に否定した。
翼「涙なんて、流してません⋅⋅⋅⋅⋅⋅。私、風鳴翼はその身を剣と鍛えた戦士です⋅⋅⋅だから⋅⋅⋅⋅⋅⋅ッ!」
弦十郎「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅そうか。立てるか?」
響は傍から見て、風鳴さんの手を差しのべることの是非よりも、明らかに衰弱した翼を見て何か声をかけたいと思い、そして奏から『そっとしておけ』と言われたにも関わらず声をかけた。
響「翼さん。あの! 私、自分が全然ダメダメなのはわかっています。だから、これから一生懸命頑張って――奏さんの代わりになれる位になってみせます!」
翼「――ッ!」
パチン
ぶたれたとわかったのは頬がヒリヒリし始めた時。音が雨で響くことなく墜落したからすぐにはわからなかった。
響「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅えっ?」
戸惑った。それは、ビンタされたことにではなく、風鳴さんの言葉通り泣いていたことだ。そして、その時こう感じた。
響(翼さんにぶたれた頬は熱くて、でもそれ以上に――涙を流す翼さんの姿が、胸に、痛いぐらいに響いてきた⋅⋅⋅⋅⋅⋅)
どうも、また会いましたね。ゲッター線を浴びた叔父様の出番は無し、だって誰から見てもぶっ壊れなんだもん。
今回のゾンダーは前話のような完全創作じゃなく、様々な作品のアイディアを取っています。中でも一番大きなのが「FF7R」ですね。劇中では語ることは無いですが、後々に出たバージョンを合わせた豪華版という設定があります。あとは下半身のプロポーションは「ガンダムTR-6 ウーンドウォート」、鎧のデザインは「ゼノブレイド」の白い顔つきから得ています(今、絵無いけど)。
それじゃ、次回予告です。どうぞ!
君たちに最新情報を公開しよう!
粉々になった風鳴翼との関係の回復を図るべく奮闘する立花響。しかし日常との両立は難しく、その両方に暗い影が落ちるのであった。
NEXT「砂城の日常 影の荒波」
次回もファイナルフュージョン承認!