ガールズ&パンツァー みほのお見合い大作戦 作:ジャーマンポテト
「なになに?」
沙織が、興味津々と言った顔つきで、虎次郎に迫る。
「ん?みほの友達なのに、知らないのか?」
虎次郎が、みほの友達たちに聞く。
「まったく知りません!!」
西が、挙手の敬礼をしながら叫ぶ。
「そうか・・・それなら・・・」
「ワー!!!ワー!!!」
みほが、顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「言わないで、虎次郎お兄ちゃん!!!」
みほが叫びながら、止めに入るが・・・大洗女子学園戦車道受講生及び卒業生たちが、獲物を見つけた獣のように、みほに襲い掛かった。
「うぐっ!?ム~!!ム~!!!」
口を塞がれた状態で、ジタバタと抵抗するみほだったが、多勢に無勢では、どうにもならない。
「あ~!!西住隊長~!!」
梓が、みほを救出しようとしたが・・・
「梓。させないよ!」
ウサギさんチームを代表して、あゆみが梓に襲い掛かる。
ウサギさんチームに襲い掛かれた梓は、あっけなく拘束された。
「ム~!!ム~!!」
梓も抵抗するが、みほと同じく、多勢に無勢では、どうにもならない。
「それで、西住ちゃんの従兄さん。ムカデって、なんの話?」
杏が、わずかな抵抗を排除した事を確認して、虎次郎に向き直った。
「みほが幼い時、男子戦車道の試合で優勝したお祝いにと、紙袋に入った箱をプレゼントしてくれた。「お部屋で開けてね」と言われて、部屋で開けると・・・」
「・・・開けると?」
沙織が、みほを押さえながら聞く。
「ムガッ!!ムガッ!!」
みほが、口を押えられながら何かを叫ぶ。
「・・・中から、大きなムカデが、数匹出て来た・・・」
「うわぁ・・・」
桃が、足をガタガタと震わせながら、声を上げる。
「そのムカデが俺の腕を這いずり回って・・・今、思い出しただけでも、ゾッとするよ・・・」
「・・・もしかして、悲鳴を上げました?」
みほを押さえている、優花里が聞く。
「それは、もちろん。この世のものとは思えないぐらいの悲鳴を上げたよ。そのおかげで、俺は、現在までも、事ある事に、そのことについて、弄られる始末だ・・・」
「・・・それは、とんでもない経験でしたね!」
西が叫ぶ。
「それにしても、西隊長!」
「ん?何だ?福田」
西が福田に、顔を向ける。
「自分は西住隊長が、とても上品で礼儀正しく、おとなしい人だと思っていました!」
「そうか。それは、私も思っていた」
「ム~!ム~!」
みほが力尽きたように、地面に座り込む。
「あら?抵抗の意思は、もう無いようですね」
華が押さえていた、みほの口から手を離す。
沙織や優花里も、手を離す。
「礼儀正しくって、おとなしいのは、中学生になった頃くらいからだな」
虎次郎が、捕捉する。
「中学生くらいからなのか?」
麻子が、聞く。
「そう。昔は、活発で無邪気で、まるで少年のような、行動をしていた。昆虫類や両生類を捕まえては、人にプレゼントして、驚かせたり、どこかに黙ってフラフラと出て行って、西住流家元を騒がせたり等、さまざまな悪事を働いたものだよ・・・」
「お・・・お・・・お兄ちゃんの・・・」
みほが、身体を震わせる。
「バカァァァ!!!」
みほが、虎次郎の腹部に拳をめり込ませる。
「うぐぅ!!?」
強烈なパンチを受けて、虎次郎が地面に倒れ込む。
「みぽりん!?」
「みほさん!?」
「西住殿!?」
「西住さん!?」
みほの、思いもよらない行動に、沙織、華、優花里、麻子の4人が目を丸くする。
「そうそう。すぐに殴る。どうやら、それも変わってないようだな」
虎次郎の言葉に、みほは叫ぶ。
「そんな事はありません!虎次郎お兄ちゃんが、色々とみんなに知って欲しくない情報を教えたりするからです!!」
みほは、肩を震わせる。
「家元から話を聞いたが、みほは、昔のまま何も変わっていない、というのは本当だったな」
虎次郎が、お腹をさすりながら、つぶやく。
「ちゃんと変わりました!昔の私よりも、おしとやかで礼儀正しく、素直な子になりました!」
(((自分で言うんだ!!)))
大洗女子学園戦車道受講生及び卒業生たちが、心中でつぶやく。
「何?何か私の言った事に、間違いがある?」
みほが、ギロリと目を光らせて、大洗女子学園戦車道受講生及び卒業生たちを見回す。
「「「全然、間違っていません!!西住みほ様!」」」
大洗女子学園戦車道受講生及び卒業生たちの背中に、冷たい汗が流れる。
(怖い!怖い!)
(お母さまよりも、怖いですわ・・・)
(お母さん、お父さん。私は、とんでもない光景を、見ていますぅ~)
(この世は広いな・・・まさか、おばあよりも怖い人種が、いるとは・・・)
沙織、華、優花里、麻子の4人は、足をブルブルと震わせる。
「沙織さん・・・華さん・・・優花里さん・・・麻子さん・・・」
みほが、にっこりと微笑む。
「「「はひぃ!?な、な・・・何でしょうか?」」」
4人が怯えながら、返事をする。
「みんなが思っている事、理解したかな。そんな風に思っていたの?」
「「「す、すみません!!お許し下さい!!」」」
4人の声が、重なる。
「それに他の面々も、同じ事を思っているの?」
みほが、にっこりと大洗女子学園戦車道受講生及び卒業生たちと西、福田を見る。
「「「いえ、そのような事は、何も思っていません!!」」」
大洗女子学園戦車道受講生及び卒業生たちが、声を揃えて言う。
「はい!西住隊長殿が実は、とても怖い存在である等、微塵も思っていま・・・ムガッ!ムガッ!」
西が挙手の敬礼をしながら、余計な部分まで説明していると桃、お銀、福田の3人が、西を抑える。
「バカ知波単!死にたいのか!?ここは、そんな事を思っても、嘘をつけ!嘘を!!」
「桃さん!貴女も余計な一言が、多いです!」
「そうなんだ・・・」
みほの声がした瞬間、4人はゾクッとした。
「そんな風に、思っていたんですね・・・」
みほは、にっこり笑いながらゆっくりと4人に近付いて来る。
「待て!西住。私は、そんな事を、微塵も思っていないぞ!!!」
「・・・もう・・・遅いです」
お銀が回れ右をして、みほの視界から撤退する。
「フフフ・・・」
みほの形相は、ホラー映画に出て来るゾンビも裸足ですっ飛んで逃げる程、鬼気迫るものがある。
「ぎゃあああ!!ごめんなさい!ごめんなさい!」
桃が、涙を流す。
「誰か、助けてくれ!!!」
桃が、他のメンバーに、助けを求める。
しかし・・・
プイ!と、全員が顔を逸らす。
一方の虎次郎は・・・
「うんうん。昔のみほだ。やっぱり、高校生になっても、みほはみほだな。安心、安心」
と、何度も頷いていた。
「待って、西住さん。話せばわかる、話せば・・・」
「フフフ・・・」
「ミャアァァァ!」
「「「?」」」
みほの足が、止まった。
「おや美緒。お前の飼い主は、仕事が終わったのか?」
「ミャ、ミャ」
美緒と呼ばれたキジトラの猫が、「そうだよ」と言うように鳴く。
「あ、ミーちゃん!」
亜美が、美緒に近付く。
「ミャ」
美緒が、亜美の肩に乗る。
その後、頬をスリスリとする。
「あ~かわいい~うちの子にしたい!」
亜美が嬉しそうに、肩に乗った猫を撫でる。
「それは、困るな・・・」
隊舎の出入口から、1人の男が出て来た。
「あ!尚弥お兄ちゃん!」
みほが、駆け寄る。
「助かった・・・」
「助かりました・・・」
桃と西が、深いため息をする。
「美緒」
尚弥が呼ぶと、美緒は亜美の肩から、尚弥の肩に飛び移った。
「ミャ、ミャ」
美緒がゴロゴロと喉を鳴らしながら、頬をスリスリとする。
「かわいい!!」
沙織が叫ぶ。
「とても心が和みます」
華が飼い主に甘えるキジトラの猫を見ながら、つぶやく。
「尚弥お兄ちゃん。この子の名前、美緒って言うんですか?」
みほが、尚弥の肩に乗った美緒に手を出しながら、聞く。
「そうだよ。美緒だ」
「美緒ちゃん。おいで」
みほが手を差し出すと、美緒が飛んだ。
そのまま、みほの腕を伝って、肩に乗った。
「かわいい・・・」
みほが顎を撫でると、美緒はゴロゴロと喉を鳴らしながら、頬をスリスリする。
「くすぐったい~」
「あ~ずるいです。西住殿、私も肩に乗せたいです」
優花里が、手を差し出す。
「いいよ」
みほが、優花里の差し出した手に肩を近付る。
「ミャアァァァ」
美緒が一鳴きしてから、優花里の肩に乗った。
「うへへへ」
優花里が、美緒の頬を撫でる。
美緒もみほの時と同じくゴロゴロと喉を鳴らしながら、優花里の頬にスリスリする。
「ゆかりん!次、私!」
沙織が、手を挙げる。
「それなら、次は私ですわ!」
華が、手を挙げる。
「その次は私だ」
麻子も、手を挙げる。
すると、大洗女子学園戦車道受講生及び卒業生たちが、次々と手を挙げる。
「美緒。モテモテだな」
「甘えるのが好きだから、いい機会だ」
虎次郎と尚弥が、微笑みながら、その様子を眺めている。
「ん~・・・かわいいね~」
杏が美緒を肩に乗せながら、目を細める。
美緒も他の面々と同じく、頬をスリスリする。
「前会長。次は私です!」
桃が手を差し出すと・・・
「シャアァァァ!!」
「え?」
美緒が毛を逆立てて、威嚇の声を上げる。
「おや?」
「さすがに、全員に撫でられるのは疲れたか?」
虎次郎が首を傾げて、尚弥が納得したように頷く。
「み、美緒ちゃん。どうしたの?そんなに怖い顔をして・・・」
桃が、引きつった笑みを浮かべる。
そのまま手を差し出すと・・・
「シャアァァァ!!」
先程よりも、声を大きくした。
「ひいぃぃぃぃ!!」
桃が怯える。
「ゆ、柚子ちゃん~・・・」
「桃ちゃん。残念だね。さすがに、この数だと、美緒ちゃんも疲れるよね」
「いや~もしかしたら、美緒ちゃん。河島の腹黒い性格を見抜いたじゃ無いかな・・・」
「前会長~」
桃が、泣きそうな顔をする。
「そうだよね。美緒ちゃん」
「ミャアァァァ」
「み、美緒ちゃん。私は、そんなに腹黒くないぞ」
桃は、再び手を差し出す。
「シャアァァァ!」
美緒が毛を逆立てて、威嚇の声を上げる。
「美緒。戻ってこい」
「ミャ!ミャ!」
美緒は、杏の肩から飛び降りて、そのまま尚弥の肩に登る。
「しくしく・・・」
桃が、泣き出す。
「桃ちゃん。元気出して」
柚子が、桃の頭を撫でる。
「あ!尚弥お兄ちゃん」
「ん?」
「これ、お土産」
みほが、紙袋を手渡す。
「何だ?また死にかけのカエルか?」
「違います!」
「じゃあ、死にかけのカマキリか?」
「違います!」
「それなら食用虫が入った、おにぎりか?」
「全然、違います!!」
みほが叫ぶ。
「お兄ちゃんの、バカァァァ!!」
みほの拳が、尚弥の腹部に炸裂する。
「うぐぅ!?」
「なっ。すぐに殴るし、すぐに怒るだろう?」
虎次郎が大洗女子学園戦車道受講生及び卒業生たちに顔を向けて、告げる。
「さすがに高校生になっただけあって、拳の力も強いな・・・」
尚弥がお腹をさすりながら、つぶやく。
「死にかけのカエル!?何それ?聞きたい!」
沙織が叫ぶ。
「死にかけのカマキリも、気になります」
華が、興味津々と言った顔でつぶやく。
「お二人とも、さすがに3度目は、西住殿がキレるかもしれません」
優花里が怯えながら、2人を止める。
「何?ゆかりん。怖気づいたの?今更?」
「優花里さん。毒を食らわば皿まで、という言葉があります。今は、そんな状況です」
華の言葉に、優花里も決心したように、頷いた。
「わかりました。私も、食用虫が入ったおにぎりが、気になります」
「とか何とか言って、秋山さんも聞きたいんじゃないか?」
麻子が優花里の表情を見ながら、つぶやく。
「ええ、まあ。私の知らない西住殿の過去を知る事ができますから、これは願っても無い機会です」
優花里の言葉を聞きながら、みほは、深いため息を吐く。
「はぁ~もう、止めってと言っても、みんな聞くんでしょう?」
「うん!当然!」
杏が、頷く。
「みんな、西住さんの事が大好きだから、もっと深く知りたいんだよね!」
ナカジマが、うんうんと頷きながら、つぶやく。
「私たちは大学に行くけど、西住さんの存在は、永遠だから・・・」
そど子が、頷く。
「みなさん」
「さあ、西住さんの昔話を聞きましょう!」
柚子が、手を合わせて、告げる。
「・・・・・・」
みほは、言葉を失う。
「梓。もう止めないの?」
あゆみが、聞く。
「どうせ止めようとしても、私は拘束されるのよね」
「当然!」
紗季が、頷く。
「紗季が喋った!?」
あやが、わざとらしく驚く。
「大丈夫です!西住隊長。私、どんなに西住隊長の悪い話を聞いても、隊長を尊敬する気持ちは変わりません!」
梓が叫ぶ。
「澤さん。それは、逆に止めだ・・・」
麻子が、呆れたように、告げる。
「澤さん。後で、ゆっくり話をしようか。2人だけで・・・」
みほが、にっこりと笑みを浮かべる。
「ひぃぃぃぃ!?ごめんなさい!ごめんなさい!」
梓が、泣き叫ぶ。
「こらこら、みほさん。健気な後輩を、いじめてはいけない」
尚弥が、みほの頭を撫でながら、語りかける。
「誰のせいですか?」
みほが、ギロリと睨む。
「さあ・・・誰だろうな・・・」
尚弥が、まったく怯む事も無くみほの頭を撫でる。
「ミャアァァァ」
美緒がみほの肩に乗り、みほの頭をペチペチと叩く。
「痛い、痛い。美緒ちゃん、やめて」
みほが、痛がる。
「痛いのみぽりん?」
「痛くは無いけど・・・心がね・・・」
「それで天満尚弥さん。みほさんの昔話をお願いします」
「ああ、そうだったな」
尚弥は、懐かしく思いながら、死にかけのカエルの話をする。
「みほが物心がついた時、西住師範とまほさんと、一緒に家に来た事があった。その時、みほさんが太陽のような眩しい笑顔で、紙袋を渡した。だが、その時は、まほさんとみほさんが遊びたいと言い出して、紙袋を放置していたんだ」
「うわぁぁぁ」
沙織が、口に手を当てる。
「カエルさん、可哀想です・・・」
華が、つぶやく。
「一通り遊んだ後、まほさんとみほさんが疲れたのか、座敷で横になって寝ている時に、紙袋を開けた。すると小さな箱があった」
「あ~だいたい、わかった」
麻子が、察した。
「箱を開けると、死にかけのカエルがいた、という事だ」
「カエルは、災難だったね」
杏が、つぶやく。
「慌てて、水槽の中に入れて、蘇生させたよ。あの時は苦労した」