ガールズ&パンツァー みほのお見合い大作戦   作:ジャーマンポテト

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第10章 高校戦車道チーム集結

 大洗女子学園戦車道の受講生及び卒業生たちが、日本原駐屯地の近くにあるホテルに向かうと、見知った人たちが顔を揃えていた。

 

「みほさん」

 

 金髪の女性が、声をかけてきた。

 

「ダージリンさん?」

 

 聖グロリアーナ女学院を卒業したダージリンを中心に、アッサム、オレンジペコ、ローズヒップ、ルクリリ。

 

 サンダース大学付属高校のケイ、ナオミ、アリサ。

 

 アンツィオ高校のアンチョビこと安斎千代美、カルパッチョ、ペパロニ。

 

 ブラウダ高校のノンナ、クラーラ、ニーナ、アリーナ。

 

 継続高校のミカ、アキ、ミッコ。

 

 BC自由学園のマリー、安藤、押田の姿があった。

 

「私も、いるぞ」

 

 ドイツの大学に留学している、西住まほの姿もあった。

 

「エリカさん。勝手にいなくなっては、困ります」

 

 黒森峰女学院戦車道副隊長の赤星小梅が、まほの後ろから、ひょっこりと顔を出す。

 

「悪かったわね。小梅」

 

 エリカが、詫びた。

 

「それより、ダージリンさんやお姉ちゃんたち、どうしたんですか?それにみなさんも?」

 

 みほの質問に、まほを含めた卒業生たちが、ダージリンに顔を向ける。

 

「みほさん。ごめんなさい」

 

 ダージリンが、頭を下げる。

 

「この度、ローズヒップのデタラメな情報が流れて、各学校どころか世界中に広がってしまったの」

 

 ダージリンが詫びながら、説明する。

 

「みほ。私はお母様から、尚弥お兄様とお見合いする話は聞いたが、それが突然、政略結婚させられるという話を聞いて、居ても立っても居られず、大学を休学して、ここに来た」

 

「沙織さん・・・」

 

 みほが、沙織に視線を向ける。

 

「沙織!」

 

 麻子が、沙織に視線を向ける。

 

「沙織さん!」

 

 華が、沙織に視線を向ける。

 

「武部殿・・・」

 

 優花里が、沙織に視線を向ける。

 

「武部ちゃん・・・」

 

 杏が、沙織に視線を向ける。

 

「わ、私!?」

 

 いつの間にか沙織に、大洗女子学園の卒業生及び戦車道受講生と知波単学園の戦車道チーム、カチューシャとエリカから、ジトーという視線を向けられた。

 

「私!悪くないもん!!これに関しては、ローズヒップさんが、悪いんだもん!!!」

 

 沙織が、必死に弁明する。

 

「お前が一番悪い!そもそも事の始まりは、お前が良からぬ情報を、新聞部にリークしたのが問題だろう!」

 

 麻子が、的確に指摘する。

 

「うっ」

 

 沙織が、言葉を詰まらせる。

 

「でも、彼女が言っている事も、一理あるわ」

 

 ケイが、告げる。

 

「ケイ?」

 

 まほが、顔を向ける。

 

「ああ、確かにな」

 

 アンチョビも、頷く。

 

「どう言う事っすか?姉さん?」

 

「ペパロニ。少し考えてみてください。そもそも武部さんは、仲間内に話しただけです。まあ、変に捏造をされたり、嘘が盛り込まれたりしましたが、武部さんは、世界規模で、その情報が流れるとは考えなかったはずです」

 

「そうです」

 

 アッサムが、ローズヒップの首根っこを掴んで叫ぶ。

 

「情報を正しく確認もせず、そのまま聞いた内容を、ネットに拡散するなんて・・・」

 

 アッサムは、怒り心頭と言った口調で、ローズヒップを睨む。

 

「うぅぅ~申し訳ありません、アッサム様」

 

 ローズヒップが、涙を流しながら、謝罪する。

 

「まったく、オレンジペコ。貴女がいながら、何をしていたのですか?」

 

「申し訳ありません。アッサム様」

 

 オレンジペコが、しょんぼりした状態で頭を下げる。

 

「みほさん・・・及び皆様、この度は、うちのローズヒップが、取り返しのつかない事をしました。誠に申し訳ありません」

 

 ダージリンが、再び頭を下げる。

 

 

 

 

「ダージリンさん。もういいですから」

 

 みほが、ダージリンに駆け寄る。

 

「ローズヒップさんも悪気があって、そんな事をした訳では無い事は、わかっています」

 

 みほが、優しく笑みを浮かべて、ダージリンに声をかける。

 

「そもそもの原因は、沙織さんですから・・・」

 

「ちょっと!!みぽりん!!!」

 

 沙織が、声を上げる。

 

「事実だろ。沙織!!」

 

 麻子が、沙織を抑える。

 

「うっ・・・事実は事実だけど・・・私にも、言い分があるんだから!!」

 

「はて?どんな言い分ですか?」

 

 優花里が聞く。

 

「詳しく聞きたいですね。沙織さんの言い分」

 

 華が、沙織に迫る。

 

 その笑みは悪魔のようであった。

 

「うっ・・・それは、その・・・」

 

「それは?」

 

「その?」

 

 華と優花里が、迫る。

 

「うぅぅぅ~麻子、華、ゆかりんのイジワル~」

 

 沙織が、ベソをかく。

 

「いや~どえらい事になったね~私たちも、その被害者だけど・・・」

 

 杏が、他人事のように、つぶやく。

 

「まったく、とんだ迷惑をかけるわね」

 

 アリサが、吐き捨てるようにつぶやく。

 

「とか、言っているけど・・・アリサ。私たちは貴女の情報で、飛んできたのよ」

 

「うっ!」

 

 ケイの言葉に、アリサが狼狽える。

 

 何故、こんな事になったのかを説明すると、沙織が新聞部に個人的感情を盛り込んだ特ダネを流し、新聞部が、さらに内容を誇張した記事を新聞で公表。

 

 それを知ったローズヒップが、ネットに拡散し、アリサが情報の成否を確認せず、それを卒業生たちに直接流したのが、今の結果である。

 

「通信のエキスパートが、ガセネタに踊らされた・・・なんて、通信士の名折れだな」

 

 ナオミが呆れたように、風船ガムを膨らませる。

 

「そんなガセネタに踊らされた私たちも、人の事を笑えないと思うけどな・・・」

 

 ポロン・・・

 

 ミカが、カンテレを鳴らしながら、つぶやく。

 

「とか何とか言って、ミカが一番、狼狽えていたじゃない!」

 

「文科省の陰謀で、みほさんが連れていかれる~・・・大変だぁ~・・・」

 

 アキとミッコが、からかうように、ミカに言う。

 

「・・・・・」

 

 ポロン・・・ポロン・・・ポロロロン・・・

 

 ミカは何も言わず、カンテレを鳴らすのであった。

 

「まったく、とんだ人騒がせな話っすね。姉さん!」

 

「バカロニ!私は、もう少し様子を見てから行動に移れと言っただろうが、それを、みほさんの一大事だ!一大事だ!と人の話を聞かずに、学校を飛び出すんだからな!!」

 

 アンチョビは、ご機嫌斜めな口調で叫ぶ。

 

「ドゥーチェ・・・申し訳ありません。私も止めたのですが・・・」

 

 カルパチョが、頭を下げる。

 

「お前も止めはしたようだが・・・たかちゃんに会える口実が出来たと思って、力強く止めなかったな」

 

「バレましたか・・・テヘ」

 

 カルパチョが、舌を出す。

 

「お前等・・・」

 

 アンチョビが、握り拳に力を入れる。

 

「でも、まほさん」

 

 小梅が、前隊長に顔を向ける。

 

「みほさんの事を良く知っている。まほさんが、どうして大学を休学してまで、日本に戻って来たのですか?」

 

「・・・恥ずかしい限りだ」

 

 まほが、小さくつぶやく。

 

「最初は私も、誤情報を疑ったのだが、確認しようとお母様に連絡すると、くだらん事で国際電話を使うなと、怒られてな。情報の成否を確認出来なかったのだ。そんなこんなで、みほが心配になり、大学を休学した・・・という訳だ。面目ない」

 

「ポンコツですね」

 

「こら!小梅!隊長に何て事を!」

 

 ゴン!という拳骨音が響いた。

 

「いったい~エリカさん、少しは加減してください!」

 

 小梅が、抗議する。

 

 

 

 

「みほちゃんがいると、やっぱり賑やかね~・・・ねぇ、紫子(ゆかりこ)、美信(みのぶ)」

 

「そうですね。姉さん」

 

「はい」

 

「「「?」」」

 

 背後から聞こえた女性の声に、みほたちが振り向く。

 

「薫子(かおるこ)従姉様、紫子従姉様」

 

 まほが、2人の女性を確認すると、2人の名を呼んだ。

 

「従姉ちゃんたちも、ここに来ていたんですか?」

 

「そうなの~天満流家元から、面白い事があるから、すぐに来てって、言われたの~・・・」

 

 どこか抜けているかのような、明るい口調と表情で、薫子は、みほとまほに、簡単に説明した。

 

「みぽりん」

 

「みほさん」

 

「西住殿」

 

「西住さん」

 

 沙織、華、優花里、麻子の4人が、声をかける。

 

「この方たちは誰かな?西住ちゃん」

 

 杏が、一同を代表して、聞く。

 

「あ、はい」

 

 みほが薫子、紫子、美信の前に行くと簡単に説明した。

 

「従姉さんたちは、天満流家元傘下で戦車道をしている東雲(しののめ)薫子従姉さんと、その妹の紫子従姉さん。それと・・・」

 

「美信は、初めてですよね。私たちの義理の妹で、八柳(やなぎ)美信です」

 

 紫子が説明した。

 

「まほちゃんもみほちゃんも、立派になったね!」

 

 薫子が、我慢出来ないと言った感じで、みほとまほに抱き着く。

 

「あ~・・・2人とも、かわいい~私の妹にしたい!」

 

「それは無理です。姉さん」

 

 紫子が、呆れた口調で言う。

 

「あっ!!薫子従姉さん、紫子従姉さん。2人が来るなんて聞いてなかったから、お土産を用意してないんです。お姉ちゃん、ある?」

 

「いや、私は急いで来たから・・・」

 

 それを聞いた薫子は、ワザとらしい顔で、悲しそうにした。

 

「ええ~!?ひどい~!!みほちゃん、まほちゃん。お土産を楽しみにしていたのに~!!!」

 

「まあ、どうせ、足高蜘蛛でしょう?」

 

「違います!」

 

 紫子の言葉に、みほが叫んだ。

 

 因みに足高蜘蛛というのは、家蜘蛛とも呼ばれる日本で生息する徘徊性の蜘蛛としては最大級の蜘蛛の事である。

 

「どうして、みんな、みんな、私の子供の頃の悪戯を思い出させるんですか!私のイメージが崩れるじゃないですか!」

 

 みほの主張に、優花里が突っ込む。

 

「西住殿。すでに崩れていますから、安心して下さい」

 

「優花里さん!」

 

 みほが、優花里を睨む。

 

「ひぃぃぃ!?」

 

 優花里が、狼狽える。

 

「西住さん。秋山さんに当たるな。昔の事は、どんな事をしても変えられない」

 

 麻子が、庇うように優花里の前に立つ。

 

「それに、みぽりんの昔話を聞くのは、もう飽きたしね」

 

 沙織が、華に顔を向ける。

 

「そうですね。みほさんが子供の頃は、かなりお転婆で悪戯っ子、という事がわかりましたし、足高蜘蛛なら、予想がつきます」

 

「そう?」

 

 ケイが、反応する。

 

「貴女たちは、みほの何を知っているのか知らないけど、私たちは初めてなの。是非、聞きたいわ」

 

「確かに!」

 

 アンチョビも、頷く。

 

「みほさんの、お従姉様方、是非、私たちに蜘蛛の話を、聞かせて下さいませ」

 

 ダージリンが、ワクワクした様子で、上品にお願いする。

 

「西住さんの昔話は、貴重だ」

 

 ミカがカンテレをポロンと鳴らしながら賛同する。

 

「ケーキを食べながら、聞きますわ」

 

 マリーが、どこから出したか、わからないケーキを出して、一口を食べる。

 

「うんうん、好奇心は大事、大事」

 

 薫子が、うんうんと頷いた。

 

「じゃ、説明するわね」

 

「ワー!ワー!お願い!薫子従姉ちゃん!説明しないで!私の悪評を他校に教えないで!」

 

「おとなしくしなさい。みほ」

 

 ケイが、みほを拘束する。

 

 

 

 

「それではお願いするわ。みほさんの、お従姉様」

 

「は~い!」

 

 ダージリンのお願いに、薫子は気が抜けるような返事をする。

 

「みほちゃんとまほちゃんが、幼い時にね。うちに遊びに来たの~私と、紫子が出迎えると、まほちゃんが、私たちからのお土産ですって、私と紫子に箱を渡してくれたの~そしたら、紫子が、はしゃいじゃって、すぐにお土産を空けたのよね」

 

「そしたら・・・」

 

「「「・・・そしたら?」」」

 

 ダージリン、ケイ、ミカ、アンチョビが興味津々と言った感じで、つぶやく。

 

「箱の中から、足高蜘蛛が3匹出てきて、紫子の腕を這いずり回ったの~そしたら、紫子が、この世の終わりと言った感じで、悲鳴を上げたの~その悲鳴が、ご近所中に響いたから、ご近所の人が警察に通報して、警察が出動する騒ぎになって、ものすごい大騒ぎだったの~」

 

「みほさん」

 

「みほ」

 

「西住さん」

 

「みほさん」

 

 ダージリン、ケイ、ミカ、アンチョビという順で、みほを見る。

 

「・・・いや、実は、この悪戯は私だったんだ」

 

 まほが、手を上げる。

 

「お前だったんかい!!?」

 

 アンチョビが、叫ぶ。

 

「いや、みほが尚弥お兄様たちに、いろいろな悪戯をしていたからな。とっても楽しそうに思えたから、私も悪戯を仕掛けようと思ったんだ。みほと相談して、どんな悪戯がいいか、話していたら、ネズミ、ムカデ、カエル、カマキリという順であったから、蜘蛛にしようという話になったんだ」

 

 まほの説明に薫子が、そうなんだ、という感じで声を漏らした。

 

「へぇ~みほちゃんじゃ、無かったんだ」

 

「ですが、姉さん。尚弥さん、虎次郎さん、家元の話を聞いていたので、てっきりみほさんだと思っていました」

 

「お従姉ちゃんたちは、知っていたでしょう?」

 

「そうね~」

 

「そうですね」

 

 薫子と紫子が頷く。

 

「でも!どうして、みなさんは、私の昔の悪戯を、計ったように思い出すんですか?私は高校生です。幼い時よりも成長しました!」

 

「だってぇ~」

 

「みほさんの悪戯のインパクトが、物凄く印象に残っていますから、それ以外の出来事は、一切記憶にありません」

 

「そうね~紫子。みほちゃんは悪戯っ子という事が、記憶に鮮明に残っているよねぇ~」

 

「みなさん。私をイジメて、楽しいんですか?」

 

 みほが沈んだ口調で、薫子に言った。

 

「これはイジメじゃないよ~」

 

「イジメでは無いです」

 

 薫子と紫子が、揃って否定する。

 

「これは単に、みほさんの身から出た錆というものです!」

 

 紫子が、きっぱりと言った。

 

「アハハハハ!!」

 

 ケイが、爆笑する。

 

「いいじゃない。みほ!」

 

 ケイが、みほの背中を叩く。

 

「誰にも、今の自分とは違う何かを過去に持っているわ。それを暴露されたからと言って、沈む事は無いわ。ドンと構えていたらいいの!」

 

「そうだぞ。みほさん、まほさんを見てみろ。自分のイメージが崩れるかもしれない事を、自ら暴露しても、ドンと構えている!」

 

「誰もが、人に知られたくない過去の1つや2つを持っているものさ。しかし、それを隠し続けるのはいけない。過去の出来事は絶対に変えられないからさ。でも、それを信頼できる人たちに話す。そうすれば、もっと仲良くできるさ」

 

 ポロン・・・

 

 ミカは、カンテレを鳴らしながら哲学を語った。

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