ガールズ&パンツァー みほのお見合い大作戦   作:ジャーマンポテト

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第13章 試合の申し込みと豚カツ定食

 陸上自衛隊中部方面隊男子戦車道選抜チームとの試合が終了して、尚弥は記者たちに囲まれていた。

 

「天満さん。取材は、よろしいでしょうか?」

 

 記者の1人が代表して、取材の許可をとった。

 

「いいですよ」

 

「今回の試合も、無撃破で完全勝利しましたが、勝利の要因は何でしょうか?」

 

 記者の質問に尚弥は、即答した。

 

「私は何もしていませんよ。ただ、後方で、各中隊の行動を調整し、必要な指示を出していただけです。勝利の要因を聞くのでしたら、私では無く、実戦部隊の指揮官である各中隊長たちに聞くべきでしょう」

 

「天満さんの考えを、お聞かせください」

 

記者の質問に対して、尚弥は何の迷いも無く答えた。

 

「私は。隊員1人1人を信頼し、彼らの判断や行動を尊重し、その行動や判断が、うまく行くように他の隊を調整しています。他の隊も私を信頼しているからこそ、自分の判断や行動を率直に行えるのです。勝利の要因は私と部下との信頼関係にあります」

 

「そうですか、信頼関係ですか・・・ですが、信頼関係といったら、他の男子戦車道の方々も、隊長と部下の信頼は厚いと思いますが、その件に関してはいかがでしょうか?」

 

「確かに、貴方のおっしゃる事も一理あります。しかし、信頼関係と一言と言いましても、そんな簡単な事ではありません。例えば、メディアの世界で例えますと、貴方は現場に出た記者の言葉だけを信じ、それを日本中に流す事ができますか?」

 

 尚弥の質問に、質問された記者は難しいそうな顔をした。

 

「それは難しいですね。いくら記者が優秀で、信頼出来る者でも、裏をきちんと取らなければ、放送する事は難しいです」

 

「それが信頼のレベルです。私は、現場に出た記者の言葉のみを信じ、裏を取りません。そんな人でなければ、役目は任せられません」

 

「なるほど、天満さんの隊員を信じる気持ちの高さは、理解しました」

 

 記者が、マイクを下げる。

 

「もう1つ、よろしいでしょうか?」

 

「何でしょう?」

 

「大洗女子学園の功労者とも言える西住みほさんに、無理やり結婚を迫ったというデマ情報が流れましたが、その件に付いては、いかがでしょうか?」

 

「子供のする事ですから、大目に見てはいかがでしょうか、それに、それだけ西住みほさんが友人や後輩だけでは無く、他校の生徒たちに信頼されている証拠です。私としては、それが、とても嬉しいです」

 

「お優しい判断ですね」

 

 記者も、微笑んだ。

 

「ですが、何もお咎め無しというのは、それはそれで問題ですね・・・では、こうしましょう」

 

 尚弥が、ポンと手を叩いた。

 

「高校戦車道連盟に対し、我々、男子戦車道社会人選抜チームは、試合を申し込みます」

 

 記者たちが、ざわめいた。

 

「試合の結果に関係無く、それでお互いの遺恨を断ち切ろうではありませんか・・・まあ、これは本音では、ありませんが」

 

「それでは本音は、何でしょうか?」

 

「それは、我々に匹敵する実力を有するのは、西住みほさん率いる戦車道チームです。彼女の隊長としての器は、それなりに高く、私に匹敵・・・いや・・・上回るかもしれません」

 

「貴方以上に隊長としての器を持つ者等、この世のどこにもいません!」

 

 後ろに控えていた記者の1人が、声を上げた。

 

「それは貴方の考えです。私の考えは別にあります」

 

 

 

 

『高校戦車道連盟に対し、我々、男子戦車道社会人選抜チームは、試合を申し込みます』

 

 観客席正面に設置されている巨大モニターから、尚弥の取材映像が流れた。

 

「た、大変な事になった!」

 

 みほが、目を丸くする。

 

「ど、どうするんですか、武部殿!!尚弥さんを、怒らせてしまったじゃないですか!?」

 

「わ、私!?」

 

 沙織が、自分に指を指す。

 

「当然だ。そもそも沙織が、ありもしない内容を、自分の主観で世界中に流したんだからな。尚弥さんが怒るのも当然だ。法的に言えば、名誉棄損で訴えられても、文句は言えない案件だ」

 

 麻子が沙織に顔を向けて、断言する。

 

「だ・・・だから、私は・・・それに、大洗だけの話を世界中に流したのは、私じゃ無いもん!」

 

「今更だ。結果として、そうなったのは沙織が発端だからな」

 

「うぅぅ~・・・だから、反省しているもん」

 

 麻子の厳しい指摘に、沙織は涙目になる。

 

「ですが、試合で決着をつけるというのは、尚弥さんは怒っている訳では無いかと・・・むしろ、心無い第三者からの誹謗中傷を、みほさんや、沙織さんが受けないように、配慮して下さっているのでは?」

 

 華が落ち着いた口調で、告げる。

 

「そうですね。試合という形で、当事者同士で問題の決着を図るから、外野は文句を言わないで欲しいという、意志表示とも考えられます。これは、ワクワクします。男子戦車道チームと対等に試合が出来るなんて!」

 

 優花里は、燃えてきたという感じで、小さくガッツポーズをする。

 

「対等なんて、随分と自分たちを、過大評価しているね」

 

 前席に座る佑真が、冷ややかな口調で告げる。

 

「君たちは、尚弥さんの試合の何を見ていたの?あれ程の芸当が出来る試合をするんだよ。君たちのような、おままごとのような試合をする人たちが、尚弥さんと対等に試合が出来ると思っているの?」

 

 佑真は、みほ、沙織、優花里、華、麻子の5人に向かって毒舌を吐く。

 

「そうだ!君たちの試合の結果は、見るまでも無い!結果は見えている!」

 

 恭一郎が、頷く。

 

「完全敗北だ!!」

 

 恭一郎が最後のアメリカドックを食べながら、断言する。

 

「あの~尚弥さんの情報を、詳しく教えてくれませんか?」

 

 みほが、恭一郎に質問する。

 

「ドカンと撃って、バカン!バカン!で、勝利だ!」

 

「・・・・・・」

 

 恭一郎の言葉に、みほが言葉を失う。

 

「では、恭一郎さん。男子戦車道の極意を、教えてくれませんか?」

 

 華が恭一郎に、質問する。

 

「ドカンと撃って!バカンと倒すだ!」

 

「・・・・・・」

 

 恭一郎の回答に、華も言葉を失う。

 

「まさかと思うけど、尚弥さんに勝つ気でいるの?」

 

「え?」

 

 みほが、目を丸くする。

 

「そんな考えだったら、止めた方がいいよ。さっきも言ったけど、尚弥さんに勝つ事は出来ないよ」

 

「そうかもしれません」

 

「西住殿!?」

 

 みほの言葉に、優花里が目を丸くする。

 

「尚弥お兄ちゃんは、とっても強い。私の実力や経験では、とても敵うものではありません。ですが、だからこそ、尚弥お兄ちゃんをがっかりさせたくないの。試合をする以上は、ある程度に尚弥お兄ちゃんを苦戦させないと、試合を申し込んだ尚弥お兄ちゃんに失礼だから」

 

「ふ~ん」

 

 みほの言葉に、佑真は鼻を鳴らした。

 

「ある程度には、自分の力量を把握しているんだね」

 

「さすがは尚弥さんが認めた女性だ!俺も、西住君を選んだ尚弥さんの気持ちがわかる!」

 

 そう言って、恭一郎が立ち上がる。

 

「西住君!そして、戦車道の面々!腹ごしらえをしよう!敗北を祝して、とんかつ定食を1人5人分奢ろう!!」

 

 恭一郎の言葉に、みほたちが目を丸くする。

 

「ど・・・どこから、突っ込んだらいいんでしょうか・・・」

 

 優花里が、考えながら口を開く。

 

「最初からだろう」

 

 麻子が、断言する。

 

「みほさん」

 

 ダージリンが、声をかける。

 

「みほさんなら、勝てますわ」

 

「え?」

 

 みほが、目を丸くする。

 

「そうよ!みほ!」

 

 ケイが、みほの背中を叩く。

 

「何といっても・・・」

 

 カチューシャが、ノンナに肩車された状態で告げる。

 

「私たちが、西住の下で戦うからな」

 

 アンチョビが胸を叩いた。

 

「ですが・・・」

 

「今回の試合申し込みは、戦車道連盟に申し込まれた。つまり、戦車道連盟に加盟する高等学校の戦車道が相手にする、という事だ」

 

 まほが、告げる。

 

 

 

 

 日本原演習場近くにある定食屋にみほたちを連れて入店した恭一郎は、天ぷら定食10人分を注文し、みほ、沙織、優花里、華、麻子、杏、柚子、桃、典子、妙子、忍、あけび、カエサル、エルヴィン、左衛門佐、おりょう、梓、あゆみ、紗希、桂里奈、優季、あや、そど子、ごも代、パゾ美、ナカジマ、スズキ、ホシノ、ツチヤ、ねこにゃー、ももがー、ぴよたん、お銀、ラム、ムラカミ、フリント、カトラス、麻希、美咲、紬、唯花、亞美、まほ、エリカ、小梅、ダージリン、アッサム、オレンジペコ、ローズヒップ、ルクリリ、ケイ、ナオミ、アリサ、アンチョビ、カルパッチョ、ペパロニ、カチューシャ、ノンナ、クラーラ、西、福田、ミカ、アキ、ミッコ、マリー、安藤、押田、愛里寿の68人に、とんかつ定食(1人につき5人分)を、注文した。

 

「申し訳ございません」

 

 応対したウェートレスが、顔を青くした状態で、頭を下げた。

 

「約450食分のとんかつ定食を用意するのは、当店では、無理があります。1人2食分でしたら用意できますが・・・よろしいですか?」

 

「そうか!ならば仕方ない!それで頼む!」

 

 恭一郎が、振り返った。

 

「すまない!皆!俺が不甲斐ないばかりに、1人5人分のとんかつ定食は、用意出来ないそうだ!1人2人前で我慢してくれ!」

 

 恭一郎が、頭を下げる。

 

「いえいえ、そんなに食べる事は出来ませんから、謝らないでください」

 

 みほが、慌てる。

 

「そうです。第一、とんかつ定食はカロリーが、とても高いですから、1人分で、私は結構です」

 

 沙織が、ほっとしたように、告げる。

 

「とんかつ定食5人分食べられないですか・・・それは、残念です。私、お腹がペコペコで、背中とお腹が、くっつきそうです・・・」

 

 華が、残念そうに、つぶやく。

 

「いえ、五十鈴殿。5人前ですよ!5人前!試合中も焼きそばに、たこ焼きを食べていたではありませんか!?」

 

 優花里が、引き気味に叫んだ。

 

「焼きそばと、たこ焼きだけでも5人分は食べていたな・・・だが、秋山さん。突っ込む人が、もう1人いるぞ」

 

 麻子が、恭一郎に顔を向けた。

 

「ホットドック、焼きそば、アメリカンドック、各10人前を食べていた各務さんが、天ぷら定食10人前を、注文したんだ。そこには誰も、突っ込まないのか?」

 

「麻子。各務さんは、男の人なんだから、男の人ならそれぐらい食べるよって、女性週刊誌に書いてあったよ」

 

「そうなのか?」

 

 沙織の説明に、麻子が眉唾ものと言った感じの表情を浮かべる。

 

「どうでもいいけど、早く席に着きなよ。後ろが混雑しているよ」

 

 佑真が、恭一郎に告げる。

 

「そうか!それは、後ろの人に悪い事をした!西住君!それから付き人たちよ!早く席に着こう!」

 

 恭一郎が、奥の席に座る。

 

「それから、男の人が大食いだと勘違いしているけど、僕は小食だから、その女性週刊誌は信用しない方がいいよ。第一、男の人全員が恭一郎さんのように、大食いという訳がない。まあ、尚弥さんは、あの体格で、大食いだけど、それでも平均的な大食いだよ」

 

 佑真の言葉に、沙織がショックを受けたような顔をした。

 

「そうなの!?私の読んでいる女性週刊誌は、結構、信憑性のある内容だったのに~・・・全部嘘だったの~!?」

 

「読んでいる、読者層の好みに合わせて記事を書いていると見た方がいい。沙織好みの記事を書いている時点で、一面の野原に花が咲き誇っている女性週刊誌だというのが想像出来る」

 

 麻子がチクリと、つぶやく。

 

 

 

 そんなこんなで、一同の前にとんかつ定食が運ばれて来る。

 

「結構ボリュームがあるね」

 

 みほが、出されたとんかつ定食を見て、驚きの声を上げる。

 

「うまい!」

 

 恭一郎の叫び声が、響く。

 

「これは、うまい!うまい!」

 

 恭一郎は、天ぷら定食の天ぷらを1つ食べる事に、感想を連呼する。

 

「この衣のサクサク感といい、海老や野菜等の素材といい、ここの天ぷらは最高だ!」

 

 天つゆに、海老天をつける。

 

「最高だ!!」

 

 一口食べるたびに、何かと感想を連呼する。

 

 その隣で、佑真は刺身定食を食べていた。

 

「わかったから、静かに食べてくれないかな」

 

 佑真が迷惑そうに、恭一郎に向かって苦言を言っている。

 

「あははは・・・」

 

 みほは、その光景を見て、苦笑するのであった。

 

「みぽりん。食べないと冷めちゃうよ」

 

 沙織が、とんかつを一切れ食べながら、みほに告げる。

 

「あ、うん・・・」

 

 みほも、とんかつを一切れを箸で挟み、それを口に持っていく。

 

「・・・おいしい」

 

「・・・ですが、武部殿。それを全部食べるつもりですか?」

 

「沙織さん。食べられないのでしたら、私が頂きますが・・・」

 

「ちゃんと全部食べるわよ。じゃないと折角、奢ってくれた各務さんに、失礼じゃない」

 

「食べた分の結果は、身体に出ますよ」

 

「大丈夫!今晩から、ダイエットするから」

 

「絶対に無理だな」

 

 麻子が味噌汁を飲みながら、つぶやく。

 

「あははは・・・」

 

 みほが、苦笑する。

 

 他の席でも、様々な事を話ながら、食事を楽しんでいた。

 

 カチューシャは・・・

 

「カチューシャは育ち盛り!だから、一杯食べないと、大きくならないの!」

 

 と、がつがつと、とんかつ定食を食べている。

 

「西住殿」

 

 優花里が、話しかけて来た。

 

「優花里さん。どうしたの?」

 

 優花里は、ひどく真剣な表情になっている。

 

「男子戦車道の日本選抜チームの1つである、社会人選抜チームの天満尚弥殿と試合をする事になりましたが、あの試合結果を見ると、私たちが連合を組んでも尚弥殿率いる社会人チームには敵いません。どうしますか?」

 

「そうなの!?私たちは大学選抜との試合で、他校と連合を組んだけど、それに行けたじゃん。今回も行けるじゃないの?」

 

 沙織の楽天的な言葉に、優花里は頭を振った。

 

「前回の試合でも、数だけは互角になりましたが、実力や経験では、私たちは劣っていました」

 

 愛里寿率いる戦車道大学選抜チームは、経験においても実力においても、大洗連合チームを上回っていた。

 

 それは、そうだ。

 

 彼女たちは、その時に編成された急造チームでは無い。

 

 事前に編成されて、これまでの試合にも何度も出場し、試合に勝っている。

 

 それどころか、戦車道社会人チームも、経験や実力では大学選抜チームを上回っていたが、愛里寿の卓越した指揮の下、大学選抜チームの各中隊長及び車長たちが迅速に指示に従い戦車を運用した。

 

 そのため、実力や経験で劣る大学選抜チームが、社会人チームに勝利する事が出来た。

 

「でも私たちには、みぽりんがいるじゃん!みぽりんがいるから、絶対に勝つ事が出来るよ!」

 

 沙織は、自信があるかのように公言する。

 

「正直言って、私も自信無いかな・・・試合をする以上は、尚弥お兄ちゃんを、がっかりさせるような試合は、しないけど・・・お兄ちゃんに勝つには、それなりの準備がいるかな」

 

「準備?」

 

「そう、準備。まず、チームの編成、チームの練度向上のための練習、ルールをチーム全員に周知させる事等かな・・・」

 

 他にもいろいろがあるが、みほは、必要な事を述べた。

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