ガールズ&パンツァー みほのお見合い大作戦 作:ジャーマンポテト
アンチョビたちが宴会の準備を行っている頃、マリーとダージリンが中心となって、ティータイムとケーキタイムが始まった。
「うわぁお!急な準備にも関わらず、随分と立派なモノが用意出来たじゃない!」
ケイが、テーブルに並べられたケーキやクッキー等の皿を見て、声を上げる。
「さすが、抜かりはないね」
ポロンとカンテレを鳴らしながら、ミカが、つぶやく。
「これがケーキという物ですか!?」
西が、声を上げる。
「西隊長!私、これだけの種類のケーキがあるのを見たのは、初めてであります!」
福田が、挙手の敬礼をしながら、告げる。
「おぉぉ!ケーキが、こんなにたくさん!これ全部食べていいのか?」
麻子が、目を輝かせる。
「もちろんですわ。皆様のために、最高級のケーキを用意いたしましたわ」
マリーが、早速ケーキを一口食べながら、告げる。
「皆さん。ケーキだけに気を取られなくて、いいですわよ。紅茶も、イギリス本国から取り寄せた最高級の茶葉を使っています」
ダージリンも、オレンジペコが淹れた紅茶を飲みながら、自慢をするかのように告げた。
「何?僕は疲れているんだけど、まだ夕食の時間な訳が無いでしょう?僕に対する嫌がらせ?」
佑真が、迷惑そうな顔をしながら、ぼやく。
「佑真君。これからティータイムなの!ケーキやクッキーもあるよ!みんなでお茶をしながら楽しみましょう!」
沙織が、目をキラキラさせながら叫ぶ。
「ティータイム?もうじき晩ご飯でしょう。こんな時間に、これだけのケーキやお菓子を食べたら、晩ご飯が食べられなくなるよ。みんなバカなの?」
「あ~・・・佑真君に、ここまできつい事を言われるなんて・・・快感」
うっとりした沙織が、つぶやく。
「おい!誰か医者を呼べ!恋愛バカが、本当のバカになった!!」
「バカにつける薬は、ありませんかと・・・」
麻子の言葉に、華が突っ込んだ。
「うん。無いね」
「はい!武部殿に効く薬は、無いかと・・・」
みほと優花里が、頷く。
「まあ、いいや。僕の分もあるんだったら、食べるね。それで・・・どこに座ればいい?」
「もちろん!私の隣!私が、『はい、あ~ん』で、食べさせてあげる!」
「バカ者!」
麻子が、どこから出したかわからないハリセンを、振り下ろす。
パン!
という、でかい音が響く。
「いったい~!痛いよ~麻子!」
「バカには丁度いい薬だ!バカ者!」
パン!
再び麻子が、ハリセンを振り下ろす。
「ひどい!私、そんなバカじゃないよ!折角男の子と、お話が出来る機会なんだもん!少しは、羽目を外してもいいじゃない!」
沙織の抗議に、麻子はきっぱりと言う。
「羽目を外し過ぎだ!バカ!少しは自重しろ!自重!そんなじゃ、男の子が逃げるだけだぞ!男の子に軽蔑されたいのか!?」
「大丈夫。軽蔑のラインは、既に通り越したから・・・」
麻子の言葉に、佑真が、きっぱりと答える。
「あ~佑真君に冷たくされるの、すごい快感だな・・・こんな気持ち、私には初めて~・・・」
「目を覚ませ!沙織!」
パン!パン!
麻子が、ハリセンでの連続攻撃を行う。
「本当に、バカにつける薬はないね?」
「はい!バカにつける薬は、ありません!」
「みほさん、優花里さん。もはや沙織さんは、何もかもがピンクに染まる病気になっています。もはや治療は不可能かと・・・」
みほと優花里の会話に、華が的確な答を出す。
「そろそろ、おバカな茶番から解放してくれるかな。僕は疲れているんだ。僕の席に案内してくれるかな?」
「はい!只今!」
優花里が、挙手の敬礼をする。
「姐さん。いいんすか?」
「何がだ?」
アンチョビが、パスタを茹でながら、隣でパスタソースを作っているペパロニの話に耳を傾ける。
「だって、姐さん。恋愛小説が好きですよね。男の子と話せる機会なんて、今を逃せば滅多にありませんよ」
「私は大学生だ。大学に行けば、嫌でも男子と話す事になる。ここで、私が出しゃばる必要は無い・・・そろそろ、いいか」
アンチョビが、コンロの火を止める。
パスタを笊に取って、湯切りをして、オリーブオイルを絡ませて、用意した器に盛る。
「ペパロニ・・・察して上げなさい」
カルパッチョが、助け舟を出す。
「何を察するんだ?」
「隊長は、男の子と話すのが、とても、とっても~!恥ずかしいのよ」
「なっ!?」
カルパッチョの言葉に、アンチョビの顔が真っ赤になる。
「お前!何を言うんだ!?私は、恥ずかしくないぞ!男子と話すぐらいが何だって言うんだ!!」
顔を真っ赤にしたアンチョビが、叫ぶ。
「姐さん。図星のようっすね」
「ええ。隊長は、やっぱり男の子と話すのが、恥ずかしいのよ。年下とはいえ・・・」
「お前等・・・」
アンチョビは、プルプルと拳を震わせた。
「姐さん。大丈夫っす!これから、たっぷり時間がありますから、男子と問題無く話が出来るようになるっす!」
「隊長。問題ありません。男の子と話すのは、当たって砕けろです!何度も男子と話すうちに、素敵な男性に出会う事が出来るようになります!突撃の精神が、大事です!」
「おう!知波単っすね!」
「それは女性では無く、男子の方じゃないのか?」
「古いっす!姐さん!」
「え?古い?」
「はい、恋愛小説を読み過ぎです。恋愛小説は所詮、恋愛に疎い人が、自分の理想を書いているだけですから・・・」
「いや、お前も恋愛未経験のはずじゃ・・・?」
「とにかく!」
カルパッチョが、アンチョビに顔を近付ける。
「最近の男の子は草食系で、昔や小説のように当たって砕けろ、という突撃精神は皆無です!いつかと期待して、男の子から話をかけられると思って待っているだけでは、一生、男子が寄り付きません!こちらからアプローチをしなければ、男の子をモノに出来ません!」
「そうっすよ!姐さん!男は弱い物!最近は強い女子に憧れる男子が多いと聞きます!ここは姐さんから、アプローチした方がいいっす!」
「それに、あの少年は、男子戦車道受講生です。同じ道を極めようとする者同士、話も合いますし、お互いの事を理解しやすいです」
「それは、そうかもしれんが・・・」
アンチョビが、狼狽える。
「いいんすか!姐さん!大洗の恋愛の達人に取られても!?大洗の恋愛の達人は、達人だから、すぐに男子をモノにしますよ!!」
「恋愛の達人と言いましても、レベルの低い低俗な女性週刊誌の情報を鵜呑みにしているだけですから、レベルに関しては、隊長と同じレベルですが・・・いや、もっと低いかも・・・ただ、このまま彼女を放置していましたら、佑真君がモノにされる可能性が高いですよ!」
「いや、あの様子では、その可能性は低いだろう・・・て、言うか・・・私も、同じ結末が待っている可能性が・・・」
「あれ、怖じ気づいたんすか?姐さん、さっきも言いましたが当たって砕けろ、です。突撃の精神が大事っす!」
「それに、彼女のように冷たくされるのが、とても快感になるんじゃないですか?」
「ん?」
「そうっすね。姐さんが佑真とか言う少年に冷たくされ、デレデレとなる光景が想像できるっす!」
「それは、ただの変態じゃないか!?」
「ゆかりんが、抜け駆けした・・・ゆかりんが、抜け駆けした・・・」
どす黒いオーラを出しながら、沙織がケーキを食べる。
「機嫌を直してください、沙織さん。このケーキ、美味しいですよ」
華が、チョコレートケーキを食べながら、告げる。
「すごく美味しい。沙織さん、機嫌を直して。優花里さんなら、大丈夫だから。佑真君の男子戦車道に、興味があるだけだから・・・」
「このケーキは、すごく美味いな。これなら晩ご飯が無くても、何個も行けるぞ」
苺ケーキを食べているみほと、麻子が、それぞれ満足そうに、つぶやく。
「あのな・・・沙織。あの状況なら、秋山さんの判断が正しい」
「どうしてよ!?麻子!?」
沙織が、テーブルを叩く。
「落ち着け、沙織。お前の横に佑真君が座れば、お前は、佑真君に食べる暇を与えず何でもかんでも話すだろう?」
「確かにそうですね」
「そうだよね」
麻子の言葉に、華とみほが頷く。
「そんな事ないもん!佑真君に、『はい、あ~ん』て、するだけだもん!」
「それを何度も、やるだろう。それだけですめばいいが、お前の場合、佑真君が食べている時になんやかんやで、話をするだろう」
「それは、そうかもしれないけど・・・」
沙織が言いかけたが、すぐにきっぱりと否定した。
「そんな事ないもん!私は、『はい、あ~ん』で、十分だもん!」
「あのさ。うるさいんだけど、少しは静かに食べられないのかな?」
佑真が、迷惑そうに抗議した。
「それから、さっきから聞いていると、僕の気持ちは完全無視だよね。そんな行動が許されるのは、恋人同士だけだから、好きでもない人にそんな事されても、迷惑なだけだよ。貴女は好きでもない男にそんな事されて、嬉しい訳?」
佑真の言葉に、沙織はうっとりした顔になった。
「あ~佑真君に、冷たい事を言われるの、幸せ~・・・」
「戻ってこい!沙織!」
麻子が瞬間移動でもしたのか、沙織の後ろに立つと、どこから出したかわからないハリセンを振り下ろす。
パン!
「あ~私、幸せだな~・・・もっと冷たくされないかな~」
「戻って来い!」
パン!
「いったい~!痛いよ。麻子、手加減してよ・・・」
「あ、戻った」
「戻りましたね。もう、戻って来ないのかと思いました」
みほと華が、ため息を吐く。
「お前には丁度いい力加減だ!バカ!ピンク色の世界に行く沙織を、現実世界に戻すにはこのぐらいの力が必要だ」
「ひどい!麻子!そんなにパン!パン!叩かれたら、私、バカになっちゃう!バカになったら、麻子の責任だからね!」
「すでにバカになっている。だから、これで、現実世界に戻しているんだ!」
「ご自分で言っているから、バカにはなっていないかと・・・」
「うん。沙織さんはすでにバカだから、これ以上バカになる事は、無いかな」
華とみほが、頷き合う。
「皆さん。ボロクソですね・・・」
「バカは、話が通じないと言うけど、本当だったね。こういう人には、近付かないようにしよう・・・」
「あ~また、佑真君に冷たくされた~こんな快感を味わえるのなら、私、死んでもいい~」
「戻って来い!」
パン!
再びハリセンが、振り下ろされる。
「イギリス人は、恋と戦争では手段を選ばない・・・」
「あの人たちは、イギリス人では無いかと」
ダージリンは、紅茶を楽しみながら事の一部始終を楽しむのであった。
「貴女たちも、イギリス人ではないわ」
ケイが紅茶を豪快に飲みながら、突っ込む。
「宴会の準備が出来たぞ!」
アンチョビの声が、響く。
「みんな!晩ご飯の支度が出来たよ!」
みほが紅茶を飲み干して、立ち上がる。
「え?いきなり晩ご飯を食べるの?休憩無し?」
「え?休憩?」
佑真の言葉に、みほがきょとんとする。
「晩ご飯は別腹さ」
ポロンとカンテレを鳴らしながら、ミカがつぶやく。
「それはデザートじゃないかな」
ミッコが、突っ込む。
「佑真君。私たちおかしいかな?」
みほがきょとんとした顔で、佑真に尋ねる。
「どう考えてもおかしいでしょう。あんなにケーキを食べたばかりなのに・・・この上、宴会までやるの?」
「みなさんの親睦を深めるために必要な事ですわ。イギリスの貴族階級は、お茶会を行った後に、食事会を行ったものですわ」
ダージリンが、紅茶を片手に哲学を言う。
「貴族階級だけでは無く、庶民の集会でも、お茶会の後に宴会を行っていました。この場合は、こちらの方が正しいかと」
オレンジペコが、ティーポットを持ちながら、告げる。
「何を話しているんだ?早く来ないと、料理が冷めてしまうぞ」
「「「は~い」」」
アンチョビが、みほたちを宴会場に案内すると、宴会場では、アンツィオ高校の生徒たちがテーブルの上に料理を並べている。
「うわぁ~どれも美味しそうです」
華が、目を輝かせる。
「こんなに、たくさん・・・」
愛里寿が、ポコのぬいぐるみを抱きながら驚きの声を出す。
「お酒は、あるのかしら?」
アズミが、つぶやく。
「もちろん、あるぞ。大人たちも参加するからな。ワインに日本酒、焼酎、ウィスキー何でも揃っているぞ」
「イェ~イ!!」
亜美が、嬉しそうな声を上げる。
「ほぅ~ガキのくせに、立派な宴会の準備をしたな」
東條が、うんうんと頷いている。
「未成年者が主催する宴会に、お酒があるというのは感心しませんが・・・まあ、大人が監督していますし・・・私は、もう文科省の役人では無いので、不問にします」
「そうよぉ~固い事は言わない~だって、みんな、いい子だもの~」
薫子が手を合わせて、とぼけたように告げる。
「姉さん。あまり飲まないでくださいよ。また、リバースするまで飲んだら、後輩たちに示しがつきませんから」
妹の紫子が突っ込む。
「紫子ちゃん。固い事を言わないの~こんなに、美味しそうな料理と、お酒が並んでいるんだから、リバースしないともったいないわよ!」
「理由がおかしい!」
薫子の言葉に、紫子が青筋を浮かべながら突っ込む。
東雲姉妹が、ぎゃあぎゃあ騒いでいるのを後目に、アンチョビがちょっと引き気味に、グラスを持った。
「まあ、何だ・・・大人たちは、大人たちに任せたとして、我らの隊長!乾杯の挨拶を!」
アンチョビが、みほに振る。
「え?え~と・・・」
みほが何を言おうか悩んでいると、まほがみほの肩を叩いた。
「みほ。いつものようにしたらいい」
「うん!お姉ちゃん」
「みなさん!尚弥お兄ちゃんとの試合に備えて明日から頑張りましょう!パンツァー・フォー!」
「「「フォー!!」」」
大洗連合チームと教官役の大人チームたちが、グラスを掲げた(因みに未成年者たちは炭酸のジュースであり、大人たちはお酒である)。
そのまま一斉に全員が、グラスを空けた。
「くぅ~このために、生きているなぁ~」
亜美が、ビールを飲み干しながら、叫んだ。
「やっぱ、最初はビールよね~」
薫子が、2杯目のビールを飲み干して、満足そうにつぶやく。