ガールズ&パンツァー みほのお見合い大作戦   作:ジャーマンポテト

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 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。


第1章 男子戦車道

「はぁ~・・・突然、家に呼び出されるなんて・・・何の用だろう?」

 

 大洗女子学園2年生であり、大洗女子学園戦車道の隊長兼アンコウチーム・リーダーである西住みほは、つぶやいた。

 

 時期は、3月中旬である。

 

 もうじき、春休みを迎える時期である。

 

「まあ、忙しい時期ではありませんから、良かったじゃないですか?」

 

 大洗女子学園2年生であり、大洗女子学園戦車道のアンコウチーム・装填手の秋山優花里が、苦笑しながら告げた。

 

「そうだよ、みぽりん。春休み期間中も忙しんだから、こういう息抜きも大事だよ」

 

 大洗女子学園2年生であり、大洗女子学園戦車道のアンコウチーム・通信手の武部沙織が、陽気な口調で言った。

 

「でも、早いに越した事は無いが、出来るだけ急いで熊本の実家に顔を出しなさい。というのは、どういう事でしょうか?急ぎなら、『すぐに来なさい』ですみますのに・・・?」

 

 大洗女子学園2年生であり、現生徒会長である大洗女子学園戦車道のアンコウチーム・砲手の五十鈴華が、頬に手を当ててつぶやいた。

 

「急いでいるが、そんなに急いで無い、というヤツだろう」

 

 眠そうな顔をしながら大洗女子学園2年生であり、大洗女子学園戦車道のアンコウチーム・操縦手の冷泉麻子が口を開く。

 

「何それ~?」

 

 沙織が、意味がわからないと言った顔で言う。

 

「ごめんね。皆・・・」

 

 みほが、4人に謝罪する。

 

「私だけで来ればよかったのに、付き合わせちゃって・・・」

 

「いいの、いいの。私たちが勝手に付いて来ただけの事だから」

 

「そうですよ。西住殿」

 

「西住家元にも、お会いしたいですし、私たちも気になりますから」

 

「気にするな」

 

 沙織、優花里、華、麻子の4人は、優しそうな笑みを浮かべながら首を左右に振った。

 

「でも、本当にいいの?華さん、沙織さん、優花里さんは生徒会の役目があるし、麻子さんは、私のいない間、戦車道の事務的役目があるのに・・・」

 

 華は生徒会長、優花里は副会長、沙織は広報の仕事がある。

 

 麻子は、戦車道の隊長である、みほの補佐として、事務処理等がある。

 

「前会長さんたちが、大方の仕事をやってくれましたし、新しく入った生徒会役人の人たちが頑張ってくれていますから、結構、暇なのです」

 

 華が言う。

 

「戦車道については、副隊長に就任した磯部さん、澤さんが頑張ってくれているからな。私だけ残っても意味は無い。2人で、どうにかやっていける」

 

 麻子が言う。

 

「ありがとう」

 

 みほは、4人に礼を言った。

 

 4人は、みほの礼に、はにかんだ。

 

 彼女たちの言う通り、3年生の卒業式も終わり、期末試験も終わった。

 

 そのため、春休みを待つだけの日々を送っているのが現状だ。

 

 もっとも戦車道の方では、少し変わった事態が発生していた。

 

 3年生だった者たちが卒業したため、いくつかの戦車が空きになり、定員が不足している状態だった。

 

 さらに文部科学省から、大洗女子学園戦車道チームに、何輌かの戦車の無償提供が行われた。

 

 そのため、その戦車の定員も、確保しなければならない。

 

 無限軌道杯後に、戦車道受講希望者も出たが、それでも人数は足りない。

 

 新年度に向けて、様々な準備も必要だ。

 

 ある意味では戦車道の方が、忙しい状況だ。

 

 みほとしては自分がいない間、信頼できるアンコウチームの友人たちに、2人の副隊長を補佐して欲しいと考えていたが、4人は、みほと共にいる。

 

 

 

 

「西住みほさん、それにアンコウチームの皆さん。お久しぶりです」

 

 みほの実家である西住流家元の屋敷の前に到着すると、1人の背広を着た男性が、立っていた。

 

「あ~!!!貴方は!!?」

 

 声を上げたのは、沙織だった。

 

「文科省の役人!?」

 

 優花里も続く。

 

 みほたちを出迎えたのは、大洗女子学園を廃校するように、あの手この手を使った、役人だった。

 

「こんなところで、何をしているのですか?」

 

 華が尋ねる。

 

「また、私たちの学校を廃校するように、企んでいるんじゃ!!?」

 

 沙織が、叫ぶ。

 

「沙織さん。落ち着いて・・・」

 

 みほが、親友を落ち着かせる。

 

「私には、もう、そんな権限も力も、ありませんよ・・・」

 

 役人は、眼鏡をくいと上げながら、口を開いた。

 

「大学選抜チームに勝ったら、廃校は撤回する。前生徒会長と約束したのですから、まあ、大学選抜チームとの試合については、私も思うところがありますが・・・貴女がたの勝利です。もう、大洗女子学園を廃校にしようと考えている者は、私の後任を含めて、まったくいませんよ」

 

「後任?」

 

 麻子が、役人の言葉に反応した。

 

「ええ、あの1件で、私は更迭されました。まあ、更迭だけですんで、幸いでしたが・・・」

 

 役人の言っている通り、大洗女子学園を廃校にするという文部科学省の企みが、世間に流れてしまった。

 

 学校を廃校にするだけでは無く、大洗女子学園戦車道を受講する西住みほ以下、他の生徒たちを戦車道の世界大会で、レギュラーにする等の裏事情が内部告発され、文部科学省のイメージが下がった。

 

 文部科学省では、事態を収束させるために、責任者を含めて担当者たちの更迭等が行われた。

 

「でも、まだ文科省にいるんですよね」

 

 優花里の言葉に、役人は顔を曇らせる。

 

「今は、男子戦車道を世間に広める活動をする仕事をしています。まったく、文科省のエリートだった私が、このような仕事をする等・・・」

 

「男子戦車道?」

 

 沙織が、首を傾げる。

 

「武部殿。男子戦車道ですよ。私たちの戦車道の、男子版です」

 

「ルール等の細かい部分が、私たちの戦車道とは違うが、戦車道の男子版だ」

 

「知っているわよ!そんな事は。だって、毎月、発売されている男子戦車道の月刊誌に、目を通しているもん!」

 

「では、ルール等、女子の戦車道と違う部分を、説明してみてください」

 

「・・・・・・」

 

 華に質問され、沙織は固まる。

 

「え~と、あれよ!あれ。ルールは、その・・・あれ、で、男子だけで戦車に乗って、ドカンとやられてバンと撃ち返す!」

 

「説明になって無い・・・」

 

 みほが、肩を竦める。

 

「前半は、『あれ』しか言っていない上に、後半の説明は、蝶野教官のようです・・・」

 

 華も、肩を竦める。

 

「恐らく、あれだろう。その月刊誌に乗っている男子戦車道に、超イケメンの中隊長が映っているから、そればかり見ているだろう」

 

 麻子が、指摘する。

 

「麻子だって、読むでしょう!?」

 

「私は操縦関係が、メインだな」

 

「私は隅々まで、目を通しています」

 

 麻子と優花里が、口を開く。

 

「あれ?」

 

 優花里が、ある事に気づいた。

 

「そう言えば、男子戦車道は、文科省管轄では無く、防衛省の管轄では?」

 

「・・・・・・」

 

 優花里の指摘に、役人が言葉を失う。

 

「そうなの?」

 

「はい、武部殿。戦車道は乙女の嗜みであり、武道として一面が強いですが、男子戦車道は、武道は武道なのですが、日本を含めて世界各国では、軍事的意味合いが強いのです」

 

 優花里が言った後、みほも続く。

 

「それに男子戦車道を受講する男子生徒は、見習い自衛官として身分が与えられ、給与の支給だけでは無く、学費や生活費の一部も防衛省が負担するのよね」

 

「何それ!?すごい、いいじゃん!」

 

「沙織。まったく読んでいないな」

 

「はい、その程度の事でしたら、男子戦車道の月刊誌には、必ず書いています」

 

 麻子と華が、やれやれと言った感じで告げた。

 

 

 

 

「それで・・・左遷された文科省の役人が、こんなところで、何をしている?」

 

 麻子が聞く。

 

「西住流家元に、用があって来たのですよ」

 

「お母さんに?」

 

 みほが、首を傾げる。

 

「それに、西住みほさんにも、用があります」

 

「みぽりんにも?」

 

 沙織が、首を傾げる。

 

「西住みほさんは、どうして家元に呼ばれたのか、御存じですか?」

 

 文科省の役人が、尋ねる。

 

「いえ、お母さんは、何も教えてくれませんでした」

 

「まさか!?」

 

 優花里が、声を上げる。

 

「西住殿を、大洗から再び黒森峰に、転校させるつもりでは・・・」

 

「そんなの認められないよ!!」

 

 沙織が、声を上げる。

 

「みぽりんは、絶対に転校なんてさせないから!」

 

「違うと思うぞ」

 

 麻子が何かを察したような口調で、猫のようにフーッ!!と、髪を逆立てて役人に詰め寄ろうとする沙織を止める。

 

「役人さんが、前の部署でしたら、その可能性もありますけど、ハズレハズレの部署ですから、その可能性はあり得ません」

 

 華も察したような、口調で告げる。

 

「どういう事よ!?」

 

「どういう事ですか!?」

 

 沙織と優花里が、聞く。

 

「何ですか!?屋敷の前で、口論とは!!」

 

 みほの母親であるしほが、門柱から姿を現す。

 

「申し訳ありません。西住流家元」

 

 文科省の役人が、頭を下げる。

 

「ごめんなさい。お母さん」

 

「すみません!みぽり・・・みほさんの、お母さん!」

 

「申し訳ありません。みほさんの、お母様」

 

「すみません」

 

「・・・・・・」

 

 みほ、沙織、華、優花里が、それぞれ謝罪する。

 

 麻子は黙って、頭を下げる。

 

「みほ、来たのね。さあ、そんなところで突っ立てないで、家に入りなさい」

 

「う、うん」

 

「みほの、お友達のみなさんも、家に上がりなさい」

 

 しほが、沙織、華、優花里、麻子という順で顔を見回し、告げた。

 

「貴方も」

 

 最後にしほは、文科省の役人に告げる。

 

 使用人に案内され、みほたちは、待合室に案内された。

 

 文科省の役人は、別室に案内された。

 

「みほお嬢様の御友人方、お飲み物とお菓子を用意します。後ほど、家元の元に案内しますので、しばらく、ここでお待ちください」

 

 使用人が、お辞儀しながら言った。

 

 しばらくしてから、使用人がジュースとお菓子を持って現れた。

 

 テーブルの上に、5つのジュースとお菓子が置かれた。

 

「では、ごゆっくりと」

 

 使用人が頭を下げて、退室する。

 

「何ていうか・・・」

 

「何といいますか・・・」

 

 沙織と優花里が、同時に口を開いた。

 

「とても堅苦しいね・・・」

 

「五十鈴殿の御実家には、何度か伺う機会がありましたが、西住殿の御実家は、御実家で、五十鈴殿の御実家とは違う意味で、空気が重いですね・・・」

 

 沙織と優花里が、それぞれ感想を述べる。

 

「ははは・・・」

 

 みほは、苦笑する。

 

 華は落ち着いた動作で、出されたジュースを飲んでいる。

 

 麻子も落ち着いた様子で、お菓子を食べている。

 

「そんなに、気構えなくていいよ」

 

 みほが、にっこり微笑みながら、4人に言った(もっとも、2人には必要が無いが・・・)。

 

 沙織も優花里も、落ち着かない様子で、ジュースを飲む。

 

 

 

 

 待合室で、待つ事しばし・・・

 

 使用人が再び入室して来て、みほたちを呼んだ。

 

「わたくしたちも、行っていいのですか?」

 

 華が代表して、尋ねた。

 

 みほを除くと、こう言った場所に馴れているのは華だけである。

 

 そのため、基本的な会話等は、すべて華が担当する事になっている。

 

「はい。家元は、みほお嬢様の御友人たちも、お呼びするように申し付けられました」

 

 使用人が、華の質問に答える。

 

 使用人に案内され、みほたちは、しほがいる客間に、案内された。

 

 客間には、しほだけでは無く、文科省の役人の姿もある。

 

「そこに座りなさい」

 

 しほが、勧める。

 

 みほたちが、それぞれの座布団に座る。

 

 使用人は、みほたち5人に、お茶を用意する。

 

 しほと役人には、淹れ直したお茶の入った湯飲みに交換する。

 

「失礼します」

 

 使用人が、下がる。

 

「みほ、大洗では元気にしている?」

 

「はい、お母さん」

 

「お友達の方々も、みほが、大変お世話になっています」

 

 しほが、頭を下げる。

 

「いえ、家元様。むしろ、わたくしたちが、みほさんにお世話になっています」

 

 華が、頭を下げる。

 

「お、お世話になっています!」

 

 沙織が、慌てて頭を下げる。

 

「こちらこそお世話になっていますぅ」

 

 優花里も、がちがちな動作で頭を下げる。

 

「・・・・・・」

 

 麻子は、何も言わず頭を下げる。

 

「そんなに、かしこまらなくてもいいわ」

 

 しほが、沙織たちに言う。

 

「五十鈴華さんを除いて、他の方々は、こういった場所に馴れていないのは承知しています。普段通りで構いませんよ」

 

 しほに促されても、沙織と優花里は、かなり緊張している。

 

「では遠慮なく」

 

 麻子が、湯飲みに口をつける。

 

「ま、麻子」

 

「れ、冷泉殿」

 

 まったく動じない麻子の姿に、沙織と優花里は小さく声を上げた。

 

 しかし、麻子のおかげで緊張が多少解れた。

 

「みほ。お友達の緊張が解れたところで、本題に入ります」

 

「はい」

 

 みほの返事を聞くと、しほは、特大の爆弾を炸裂させた。

 

「貴女が大学を卒業したら、天満流家元の御子息の天満尚弥殿に嫁いでもらいます」

 

「「「!?」」」

 

 みほ、沙織、優花里が声にもならない驚きの声を上げた。

 

「まあ」

 

「・・・・・・」

 

 華と麻子は、予想していたのか、まったく驚かなかった。

 

 華は口元に手を置き、麻子は湯飲みに入ったお茶を、ちびちびと飲んでいる。

 

「お、お母さん・・・天満尚弥って、尚弥お兄ちゃんの事?」

 

 みほは、驚きながらも冷静に尋ねる。

 

「そうよ」

 

「西住みほさん。まったく悪い話では無いでしょう」

 

 文科省の役人が、告げる。

 

「家柄としても実績として申し分ありません。さらに、西住流だけでは無く天満流と男子戦車道の認知度を上げる事もできます」

 

「なっ!?」

 

 沙織が何か言おうとしたが、華が止めた。

 

「華」

 

「いけません」

 

 華が、首を振る。

 

「私も言いたい事がありますが、ここは押さえてください武部殿」

 

 優花里も、沙織の手を握って、囁く。

 

「・・・・・・」

 

 麻子は何も言わずお茶を飲んでいるが、さっきと比べると乱暴に飲んでいる。

 

「お、お母さん。その・・・私、まだ結婚とか、想像ができないんだけど・・・」

 

「わかっています。ですから、嫁ぐのは、大学を卒業してからです。それに、天満流家元の御子息尚弥殿と、先ずお見合いをしてからという事になります。正式にお見合いをするまでに、直接会って親交を深めるのも良いでしょう。天満流家元からも、いつでも遊びに来て良いと言われています」

 

 しほが、お茶をゆっくりと飲む。

 

 みほは、「はい」と、小さく返事をするだけだった。

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