ガールズ&パンツァー みほのお見合い大作戦   作:ジャーマンポテト

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第20章 文科省の闇

 尚弥率いる男子戦車道社会人選抜チームとの試合に備えて、大洗連合チームと八柳美信率いる中学選抜チームとの練習試合が行われる。

 

 練習会場としての試合会場は、陸上自衛隊の某演習場を借りた。

 

 練習会場の観客席では、応援団旗を掲げて、大声で応援する者たちがいた。

 

「頑張れ!美信!頑張れ!」

 

「頑張って!美信ちゃん!」

 

「ファイトだ、美信!!」

 

「頑張ってね!美信ちゃん!」

 

 彼らは、中学生と小学生のようだ。

 

 すでに大洗連合チームと中学戦車道中学選抜チームが整列し、それぞれの隊長と副隊長が前に出ている。

 

「がん・・・」

 

「君たちも、来ていたのか!!」

 

 1人の少年が声援を送ろうとするのに被るように、背後から大声が響いた。

 

「あっ!?」

 

 少年が、嬉しそうに振り返った。

 

「名務さん!いらっしゃったんですね!」

 

「僕もいるよ。浩太」

 

 佑真が、今まで見せた事も無いような笑顔で、ヒョッコリ顔を出した。

 

「名務先輩!」

 

「先輩!」

 

「名務さん!」

 

 他の3人にも声をかけられたが、京一郎は、牛肉弁当を食べていた。

 

「佑真君も、美信の応援に来たの?あっ、大洗連合チームの教官になったんだよね。だとしたら、大洗連合チームの応援かな・・・?」

 

「僕が、あんな低俗なチームの応援に来る訳ないよ・・・教官だから、一応、試合の行方を見なければいけないから・・・」

 

「あははは・・・」

 

 浩太と呼ばれた少年は、乾いた笑みを浮かべるのであった。

 

「やはり、ここの弁当は最高だ!」

 

 京一郎が、牛肉弁当を食べ終えた。

 

「うむ!斎藤君!君も、やっぱり来ていたのか!」

 

「はい、美信の応援に来ました」

 

「ならば!美信君の勝利を祝して、この牛肉弁当を食べようでは無いか!」

 

 京一郎は、大量に買い込んでいる牛肉弁当を、斎藤浩太(さいとう こうた)と、一緒にいる少年2人と少女1人に渡した。

 

 浩太と一緒にいるのは、真田衛(さなだ まもる)、風間圭太(かざま けいた)、浩太の妹で、小学生の莉子(りこ)である。

 

 少年3人は、佑真と同年齢で中学生。

 

 妹は、今年小学6年生である。

 

「ありがとうございます。名務さん」

 

「ありがとうございます。先輩!」

 

「美味そうな弁当だ!!サンキュー先輩!」

 

「ありがとうございます」

 

「とっても美味いぞ!俺が、保証する!」

 

 京一郎が、佑真の方に目をやる。

 

「うん?鳴滝!まだ、食べていないではないか!欲しくないのか!?」

 

「そんな事は、無いけれど・・・」

 

 佑真は京一郎に言われて、牛肉弁当の蓋を開けた。

 

「・・・!!美味い!!」

 

 圭太は、早速牛肉弁当を食べながら、京一郎の口調を真似て叫ぶ。

 

「美味い!」

 

 京一郎が、2個目の牛肉弁当を食べながら、叫ぶ。

 

 浩太たちが牛肉弁当の蓋を開けて、牛肉弁当を食べるのであった。

 

「美味い・・・」

 

「先輩!最高です!!」

 

「とっても美味しいです!」

 

「そうだろう!君たちは育ち盛りだ!!美味いものをたらふく食べて、しっかりと身体を動かす!!それが、心身を健康に保つ秘訣だ!!」

 

 京一郎が、2個目の牛肉弁当を食べ終える。

 

 京一郎は、3個目の牛肉弁当の蓋を開けながら、佑真に顔を向けた。

 

「それで、鳴滝。西住君たちの実力は、どのくらいのものだ?」

 

「西住さんの実力・・・?戦車道のルール内で試合をするのであれば、かなり高いと思うけど、男子戦車道のルールとして、試合をするのであれば、まだまだかな・・・たぶん、浩太たちでも、十分に勝てると思うけど・・・」

 

「そうなの?」

 

「そうだよ」

 

 佑真は、頷く。

 

「浩太の実力は高いから、中学の男子戦車道で試合をしても、物足りないと思うけど・・・」

 

「俺、そんな強くないよ。いつも試合では、苦戦しているし・・・」

 

「それは、そうだよ。男子戦車道を志して、常に努力をしている対戦者を相手にするんだ。僕たちが勝利を目指して試合に挑むように、対戦するチームだって、勝利を掴むために挑んでいる。楽に勝てるなんて事は無いのが当然さ」

 

「そうだね」

 

 

 

 

「あら?名務さんじゃないですか・・・?」

 

 傍らから声がしたため、京一郎たちが顔を向けた。

 

 そこには、ビールを持った薫子と、ジュースを持った紫子が立っていた。

 

「隣いいかしら~?」

 

「いいとも!」

 

「ありがとう~」

 

「ありがとうございます」

 

 薫子と紫子が、京一郎の隣に座る。

 

「あら~ビールが無くなったわ~」

 

 薫子は、そうつぶやくと、手を挙げた。

 

「お姉さ~ん。ビール下さい~!」

 

「姉さん!飲み過ぎです!それで3杯目ですよ!」

 

「気にしない~気にしない~ビールなんて、ただのジュースよ~」

 

「ビールは、アルコール度数は低いけど、それでも、あるのよ!後輩たちがいるだけでは無く、一般のお客さんがいる中で、リバースしたら、示しがつかない!」

 

「紫子。固い事言わないの~お酒を飲む時は、リバースするまで飲まないと、飲んだ事にはならないのよ~」

 

「理由が、おかしい!」

 

「いや!紫子君!酒はリバースするまで飲まないと、美味い酒を飲んだとは言えない!リバースするまで飲むという事は、それだけ酒の席を楽しんだという事になる!」

 

「貴方も、理由がおかしい!」

 

 紫子が、青筋を浮かべるのであった。

 

「よし!俺もビールを飲もう!」

 

 京一郎が、立ち上がった。

 

「え?飲むの?」

 

 佑真が、物凄く嫌そうな顔をした。

 

「飲むぞ!薫子君がビールを飲んでいるのに、俺も飲まないという選択は、無い!」

 

「隊長って、お酒弱いでしょう。前回、宴会で飲んだ時、ビール1杯目で、つぶれたじゃないの?」

 

「安心しろ!鳴滝!俺は、その後、父と兄と一緒に、酒が飲めるように特訓をした!今では、かなりのビールを飲める!まあ・・・一番下の弟が、ものすごく嫌そうな顔をしていたが・・・!」

 

「それは、そうだと思うよ。お酒の後始末をする身にもなってよ。宴会が始まると、いつも、いつも僕が、後始末しているんだから・・・」

 

「うむ!いつも感謝している!鳴滝が、後始末してくれるから、俺は、倒れるまで飲めるんだ!」

 

「そうそう。お酒は、リバースして倒れるまで飲まないと飲んだ事にはならないよね~」

 

「姉さん!いつも、いつも、トイレでリバースして、ふらふらで帰る姉さんを介抱する私の事も考えてよ!」

 

「もしも介抱する僕がいなかったら、どうするつもりなの?僕がいるから、道端で眠るという事態を避けられるんだから」

 

「その時は道端で、しばらく寝る!」

 

「そうよ~最近は治安がすごくいいから~道路で寝ても問題無し~」

 

「人の迷惑を、考えてください!」

 

「貴方たちが、治安を悪化させているよね」

 

「まあ、そう言うな。酒は飲んでも飲まれるな、と言うんだ!俺は、飲んでも飲まれる事は無い!」

 

「不安」

 

 佑真が、ボソッとつぶやく。

 

「紫子。酒は飲んでも飲まれるな~という言葉があるのよ~私は、飲んでも飲まれるな~という事はないよ~」

 

「いつも飲まれている。姉さんが言うか・・・」

 

 薫子は、ビールの売りっ子が淹れてくれたビールを、ぐぅ~と飲んだ。

 

「ぷっは~!やっぱり、ビールは最高よね!」

 

「うむ!こういう熱気のある試合会場で、ビールを飲むのは最高だ!」

 

「2人とも、2人を尊敬している後輩がいるんだから、ビールは、ほどほどにして!」

 

「こんな事で~尊敬が崩れる程、後輩たちの尊敬は、弱くはないわよ~」

 

 

 

 

「両チーム、隊長、副隊長、前へ」

 

 審判長の蝶野亜美の言葉に、みほと梓が前へ出る。

 

「本日の練習試合の審判長を務めます。蝶野亜美です。よろしくお願いします」

 

 亜美が、一礼する。

 

 みほと梓が、一礼する。

 

 それと同時に美信と副隊長も一礼する。

 

「両校。挨拶」

 

 亜美の言葉に、みほが先導し、一礼した。

 

「よろしくお願いします!」

 

「「「お願いします!」」」

 

 挨拶を終えると、みほと梓は下がった。

 

 

 

 

 みほは、各中隊長及び直轄部隊の隊長、車長たちを集めている。

 

「本日の試合は練習試合ですが、男子戦車道のルールで行われます。私たちに馴染の無い試合ルールですから、もう一度、確認しましょう」

 

 みほは、男子戦車道のルールを確認した。

 

「男子戦車道は殲滅戦でも無く、フラッグ戦でも無く、拠点制圧戦です。拠点には、本拠点と、幾つかある支拠点があります。本拠点は1つですが、ここを制圧されてしまったら、試合は、そこで終了です。相手チームの勝利になります。支拠点は、補給や連絡等を行うための拠点であり、全部制圧されてしまったとしても、負ける事はありません。しかし、不利になる事は確かです。さらに、敗北の条件として、3つあります。1つ目は、参加した戦車が全部撃破される。これは戦車道の殲滅戦と同じですね。2つ目は、相手の本拠点を制圧する。これは当たり前ですね。3つ目は、補給部隊が撃破され、私たちの戦車が行動限界に達した時です。これは、かなり厄介です」

 

 みほは、簡単に説明した。

 

「相手は私たちよりも経験が浅い中学選抜チームですが・・・あの、天満流家元に育てられた中学選抜チームの1つです。経験が上でも、指揮能力、運用能力等の能力は私たちより上の可能性があります」

 

「第2の西住みほの、可能性もあるな・・・」

 

 まほが、つぶやく。

 

「第2のみほ・・・それは、最高に楽しみだわ!エキサイティングな試合を楽しみにしていいのね」

 

 ケイが嬉しそうに告げる。

 

「ふんだ!第2のミホーシャがいて、たまるものですか!ミホーシャが2人もいたら、試合の流れが変わるじゃない!」

 

 カチューシャが、ノンナの肩車をされながら、叫ぶ。

 

「西住みほが2人もいたら、アンツィオが優勝する可能性が低くなる。それに、みほは、この世で1人だ。第2のみほがいる事は無い」

 

 アンチョビが、つぶやく。

 

「みほさんが2人もいるというのは、嬉しい限りですわ。ティータイムの楽しみが2倍になりますもの」

 

 ダージリンが紅茶を飲みながら、つぶやく。

 

「あははは・・・」

 

 みほが、乾いた笑みを浮かべる。

 

「まあ、2人目のみほ・・・というのは、ほんの冗談だが・・・八柳美信の実力は、もしかしたら、大学選抜チームの隊長、愛寿里よりも強い可能性がある。そうだろう?」

 

 愛寿里が、頷く。

 

「もともと、彼女も大学に飛び級する候補の1人だった上に、大学選抜チームの隊長の席も用意されていた。だが、大学への飛び級を断り、大学選抜チームの隊長の席も蹴った。その理由を私も聞いた事があるが、どうやら、好きな男の子が中学に進学するから、同じ中学に入学したいと言ったそうだ・・・」

 

「沙織さんが、飛びつくような話だな・・・」

 

「そうだな」

 

 みほの言葉に、まほが頷くのであった。

 

「恋と戦争では、手段は選びません」

 

 ダージリンが、つぶやく。

 

 

 

 

「まあ、飲め」

 

 東條が、プラスチック製のコップを文科省の元役人に渡す。

 

「公務中ですので、アルコールは・・・」

 

 文科省の元役人が、手を挙げて制止する。

 

「俺も公務中だ。だが、ビールぐらい問題無い」

 

 東條は文科省の元役人に、強引にビールが入ったプラスチック製のコップを勧める。

 

「貴方は、いいでしょうけど・・・」

 

「いい度胸だ。俺のビールが飲めないなら、防衛省に囁いて、お前を防衛省の窓際役人から解雇させてやる。仕事をしないって・・・な」

 

「それだけは勘弁してください。文科省の上司や同僚たちは、私を首切り要員としか考えていませんから、そんな事を防衛省に囁かれたら、私は一発で、解雇されます!」

 

「じゃ、飲め」

 

「・・・はい」

 

 文科省の元役人は、渋々とプラスチック製のコップを受け取った。

 

 東條は、ビールの入ったプラスチック製のコップに、口をつけた。

 

「あ~うめぇ」

 

 東條は、ビールを一気に飲み干した。

 

「姉ちゃん!ビール、おかわりだ!」

 

「は~い」

 

 ブールの売りっ子の女性が、東條のコップにビールを注いだ。

 

「どうして、私が、こんな目に・・・」

 

「何だ、まだ気にしていたのか?」

 

 東條は2杯目のビールを半分ほど飲んだ後、元文科省の役人に振り返る。

 

「お前は、文科省エリートだったと思っているだろう?」

 

「思っているでは無く、実際、エリートでした!」

 

「ば~か、お前程度の奴、省庁の役人では腐る程いるわ。第一、エリートだったら、お前に大洗女子学園の廃校の決定を、生徒会長たちに伝える役を、任せる訳がねぇだろう。お前は最初から捨て駒だったんだ」

 

「ですが!私には、それなりの権限が、与えられていました!」

 

「ば~か、それが奴らの手だよ。低能を付け上がらせるためのな。本当に将来を約束され、出世街道を進む奴なら、廃校予定の学園艦の生徒会長に説明するような指示が出される訳がねぇだろう」

 

「・・・・・・」

 

 文科省の元役人は、チビチビとビールを飲むのであった。

 

「まあ、ここは真面目な話をしよう」

 

「ビール、飲んでいますけど・・・」

 

「だから、真面目な話が出来るんだ。ここからは、酔っ払いの戯言だ」

 

 東條は、ビールを飲み干した。

 

「姉ちゃん。ビールのお代わりだ」

 

「は~い」

 

 ビールの売り子の女性に、ビールを注がれた。

 

「実はな・・・お前に大洗女子学園廃校についての手続きを任せられたのは、西住みほが、大洗女子学園に転校した時から、決まっていたんだ」

 

「どういう事ですか?」

 

「文科省の幹部どもは、戦車道を使って政治的発言権を強化する事を目的としていた。そのためなら、文科省は戦車道連盟の決定等にも介入する事も辞さなかった。が・・・戦車道には、男子戦車道連盟理事長の天満さつきがいる。文科省も彼女には逆らえない。高校戦車道連盟、大学戦車道連盟は天満流家元の息のかかった者が理事を務めている。文科省としては面白くない。だが、彼らに転機が訪れた。西住みほが、十連覇目前の黒森峰とプラウダの決勝戦で、やらかしてしまった。西住みほは、責任を感じて黒森峰から大洗に転校した。そこで、文科省は考えた。西住みほの転校先の高校を廃校にする事で、西住流家元に圧力をかけようと・・・そして、そこで捨て駒に選ばれたのが、お前だ」

 

「そんな!?では、私が、これまで文科省のためにしていた事は・・・」

 

「ああ、無駄だったって事・・・」




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 次回の投稿は4月末を予定しています。
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