ガールズ&パンツァー みほのお見合い大作戦   作:ジャーマンポテト

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第22章 大洗連合チーム対中学選抜チーム その2

『大隊副長車より、あさがお中隊。敵、1個小隊が、地雷原を突破!全速でこちらに向かって来ます!』

 

「OK。ラビット!彼女たちが地雷を設置したから、地雷の隙間は把握済みよね!このまま、距離を保ちながら、私たちのところに連れてきて!」

 

『了解しました!』

 

 ケイが通信を切ると、信号拳銃を取り出した。

 

 そのまま、信号弾を装填すると、信号拳銃を空に向けた。

 

 信号弾が、発射された。

 

 

 

 

「みぽりん!信号弾が上がったよ!」

 

「うん!」

 

 みほは、地図に印をつける。

 

 

 

 

「あさがお全車!左右に展開!西!いつでも後方を塞げるように、突撃の準備を急いで!」

 

「突撃ですか!?わかりました!」

 

 あさがおは、大きく左右に展開した。

 

「見えたわ!砲撃準備!」

 

 ケイが、手を挙げる。

 

 うさぎさんチームのM3[リー]が、そのまま、あさがおの側を突破すると、うさぎさんチームを追撃して来た中学選抜の1個小隊が、キルゾーンに入った。

 

「ファイアァァァ!!」

 

 ケイが、手を振り下ろす。

 

 M4、M4A1、ファイアフライ、九七式中戦車、九五式軽戦車が、一斉に砲撃を開始した。

 

 4輌のⅢ号戦車とⅣ号戦車D型の、正面装甲や側面装甲に、徹甲弾が直撃した。

 

 バッ!!

 

 白い旗が、連続で上がる。

 

「Ⅲ号戦車3輌、Ⅳ号戦車D型、走行不能!」

 

 亜美の声が、響く。

 

 

 

 

「やったぁぁぁ!!」

 

 梓が、叫ぶ。

 

「地雷原があった時は、どうなる事かと思ったけど、取り敢えず、こちらが先制出来たね!!」

 

 あやが、喜ぶ。

 

 

 

 

「みぽりん!5輌を、撃破したよ!」

 

「うん!」

 

「これで、こちらが数の上では、有利になりましたね!」

 

「だが、油断はできない。拠点制圧戦である以上、1輌でも野放しにしたら、厄介だ」

 

「ですが、最初の5輌を撃破出来たのは、こちらに風が吹いたという事です」

 

 沙織、みほ、優花里、麻子、華という順で、それぞれの思いを言葉にする。

 

「でも、麻子さんの言う通り、油断する事は出来ない。相手は天満流家元の教え子たち、どんな罠を張っているのか・・・わからない」

 

「プラウダ戦のように、最初に私たちに撃破させておいて、私たちを包囲殲滅しようとしているのでしょうか・・・?」

 

「まだ、わからない・・・」

 

 優花里の言葉に、みほは、首を振る。

 

「あじさい中隊!」

 

 みほは、通信を開いた。

 

『こちら、あじさい中隊』

 

 愛里寿が、返答した。

 

「相手チームの大隊長だけど・・・どう思う?」

 

 みほは、とある違和感を、愛里寿に聞いた。

 

「私も・・・多分、同じ事を思っていた」

 

 どうやら愛里寿も、自分と同じ違和感を、感じている様だ・・・

 

「恐らく、八柳さんは、私たちと試合出来て、いつも以上に浮かれている気がする。悪い意味では無く、いい意味での事。これほどの強豪校ばかりで編成されたチームで、自分よりも上の高校や大学の選抜チーム。恐らく、そんなチームと試合が出来て、嬉しいんだと思う。それが、他のメンバーたちに伝わってしまい、冷静な行動が出来ていないんだと思う・・・」

 

「ありがとう。愛里寿ちゃん。意見を聞けて嬉しいよ」

 

「どうするの、みほさん?」

 

「ほかの中隊の意見も聞かなきゃいけないけど・・・私の考えは、決まっているよ」

 

 みほは、愛里寿との通信を切って、他の3人の中隊長の意見を聞いた。

 

 3人の中隊長たちも、愛里寿と同じ意見を告げた。

 

「どうするの、みぽりん?」

 

「今なら、チャンスです!」

 

「このタイミングを、逃す訳にはいきません!」

 

「敵が浮かれているのなら、そこを突くのが基本戦術だ」

 

 

 

 

『こちらC中隊!D小隊が、全滅しました!』

 

「なっ!?」

 

 美信は、驚いた。

 

 1個小隊が、全滅した事についてでは無い。

 

 自分たちの実力では、大洗連合チームには、まだまだ遠く及ばない事は把握している。

 

 しかし、男子戦車道の拠点制圧戦のルールでは、こちらが経験においても知識においても上である。

 

 こちらが、先手を取れると思っていた。

 

「そう簡単には、いかないのね・・・」

 

 美信は、つぶやく。

 

『大隊長。指示をお願いします!このままでは、大洗連合チームに各個撃破される可能性もあります!』

 

 言われなくても、それは美信にもわかっている。

 

 すでに地雷原の設置状況は、80パーセント程である。

 

 地雷原の突破には、それなりの時間がかかる。

 

 地雷処理車の使用は認められているため、地雷処理車は、当然のごとく使ってくるだろうが・・・それでも時間は、かかる。

 

 みほ達が、地雷原を突破したところで、小隊単位で各所に配置させた各部隊に、ゲリラ戦を仕掛けさせる事が、美信の当初の基本戦術であったが、1個小隊が全滅した以上、その戦法は西住みほに、読まれているだろう。

 

 全滅した小隊が使用した、地雷原の通り道も把握されているだろうから、そこを橋頭保に中学選抜チームの勢力圏内に、侵入してくるだろう・・・

 

「いや・・・」

 

 相手は、西住みほである。

 

 その方法を採用するのなら、自分たちは、地雷原の通り道出入口付近に全部隊を配置させている。

 

 それを突破する事は、困難である。

 

 左右は地雷原、通り道は一本道で、隠れる場所は存在しない。

 

 簡単に、撃破できてしまう。

 

 西住みほは、そんな無能な指揮官では無い。

 

 だとしたら、どうするのだろうか・・・?

 

(私なら・・・)

 

 美信が西住みほであるなら、自分のチームの1個中隊を、全滅した小隊が使用した地雷原の通り道に移動させ、突破させる。

 

 ゲリラ戦を受ければ、待機している車両が、援護射撃を行えばいい。

 

 その地雷原で戦闘を開いている段階で、別の中隊が各地で、地雷処理車を使って、地雷原の通り道を作り、地雷原を突破させる。

 

 そうなってしまったら、本隊を一ヶ所に集結させた、美信が不利になる。

 

 男子戦車道ルールでは、勝利条件は、3つである。

 

 

 

 

 本拠点を制圧する。

 

 敵戦車を全滅させる。

 

 補給部隊を壊滅させる。

 

 

 

 

 もしも、西住みほが、その方法を採用した場合、その3つの条件すべてが行使可能である。

 

「全部隊に、通信を繋いで」

 

「はい、わかりました」

 

 通信手に指示を出した美信は、通信機を持った。

 

「中隊長各位に告ぐ。小隊を集結させて、一度本拠点に移動!偵察隊は、今から言う座標に向かって」

 

 美信の戦法は、こうだ。

 

 本拠点に主力部隊を集結させて、偵察機能を有する偵察車に各地雷原に配置させ、敵チームの動向を見る。

 

 みほなら、地雷原を突破し、中学選抜チームの勢力範囲内に侵入したところを見計らって、そのまま前進させるか、突破した中隊を合流させるか、各中隊で前進させるか、どちらかの方法で行動を開始するはず・・・

 

 もしも、中隊を合流させれば、本拠点に1個中隊のみを残し、他の中隊をゲリラ部隊として編成し、ゲリラ戦を続ける。

 

 各中隊で前進させた場合は、同じく1個中隊のみを残し、他の中隊は各中隊と正面戦闘を行わせる。

 

 そして、どちらの方法を採用しても、偵察隊は地雷原を高速突破し、補給部隊を叩く。

 

 恐らく西住みほも、本拠点の防衛には精鋭を配置させているだろう。

 

 

 

 

「こちらアヒル、現在、地雷原を突破!」

 

 典子が、八九式中戦車の車長ハッチから上半身を出した状態で、通信機に叫ぶ。

 

「これより、偵察を開始します!」

 

 典子は忍に微速前進の指示を出し、偵察を開始する。

 

「停車!」

 

 典子は気配を察し、忍に停車の指示を出した。

 

「近藤!行くぞ!」

 

「は、はい!キャプテン!」

 

 典子の指示で、近藤が車外に出る。

 

「キャプテン!」

 

 車外に出た典子を、あけびが、引き止める。

 

「どうした?」

 

「銃を、忘れています!」

 

「あっ!」

 

 典子は、銃を持って行くのを、忘れていた事に気付く。

 

「どうぞ、キャプテン」

 

 あけびが、一○○式機関短銃を渡した。

 

 男子戦車道の公式試合のルールでは、地雷原の設置だけでは無く、歩兵戦も容認されている。

 

 歩兵戦と言っても、歩兵がいる訳ではでは無い。

 

 あくまでも戦車の搭乗員たちが、小銃や短銃、拳銃等を携行して、相手チームの下車した搭乗員と、歩兵戦を行うだけである。

 

 支拠点及び本拠点の制圧には、歩兵でなくてはならないというルールが存在する。

 

 そのため、戦車が撃破されていたとしても、撃破される前に戦車から下車した場合は、試合に継続して参加する事が出来る。

 

 ルールブックに書かれていないが、戦車搭乗員が徒歩兵となり、対戦車火器を持って、相手チームの戦車を撃破しても、撃破判定が出る。

 

 使用される弾丸は、安全で簡単に洗い流せるペンキ弾であるため、きちんとゴーグルを携行していれば、まったく害は無い。

 

 被弾した戦車搭乗員は、被弾箇所にもよるが、戦闘不能又は死亡判定が出る。

 

 戦闘不能、死亡判定がされた搭乗員は、その後の戦車戦に搭乗員として参加出来なくなるため、予備の搭乗員を搭乗させるか、人員が不足した状態で戦車を運用する事になる。

 

 そのため、歩兵戦は使いどころが難しい。

 

 因みに大洗連合チームの銃火器は、すべて男子戦車道連盟が用意した小銃、騎銃、短銃、拳銃、対戦車火器である。

 

 典子は、一〇〇式機関短銃を構えた状態で、慎重に前進する。

 

 その背後を妙子が、三八式騎銃を構えた状態で守る。

 

「ここで待て」

 

 典子が妙子に止まる指示を出し、匍匐状態で、前進を開始する。

 

「あっ!?」

 

 典子が、小さく声を上げる。

 

「近藤。来い」

 

「はい、キャプテン」

 

 妙子が匍匐前進で、典子の元に駆け付ける。

 

「Ⅳ号戦車D型1輌、Ⅲ号戦車4輌に携帯式対戦車火器がありますね・・・」

 

「ここで、待ち伏せをする気だ・・・」

 

 その時、銃声が響いた。

 

「伏せろ!」

 

 典子が、妙子の頭を押さえる。

 

「いたぞ!敵の偵察員だ!」

 

「逃がすな!」

 

 中学選抜チームの生徒たちが、ライフルを発砲する。

 

「八九まで、後退!」

 

 典子が、一〇〇式機関短銃の引き金を引く。

 

「はい!キャプテン!」

 

 妙子は、三八式騎銃を発砲しながら、後退を始める。

 

「敵は3人だ!慎重に狙って撃てば当たる!」

 

「はい!キャプテン!」

 

 妙子は少し息を吸って、呼吸を止める。

 

 手振れが無くなった所を見計らって、三八式騎銃の引き金を引いた。

 

 バン!

 

 ペンキ弾が、相手チームの1人の頭部に被弾した。

 

「はぁぁぁ!!」

 

 典子は、向かってきた相手チームの1人の袖と胸倉を、掴んだ。

 

「やぁぁぁ!!」

 

 典子は、背負い投げで相手を投げ飛ばす。

 

 背負い投げを受けた中学選抜チームの子は、そのまま地面に叩きつけられた。

 

 典子は、男子戦車道を始めるに当たり、柔道の技術も習得していた。

 

 彼女の運動能力を見た大洗女子学園の柔道部の生徒は、有段者レベルに短期間で、成長したと驚いていた。

 

 

 

 

「すごいな・・・歩兵戦なんて、戦車道のルールには無いのに、短期間で収得しているなんて・・・」

 

 モニターで、それを見た浩太が、感嘆の声を漏らす。

 

「確かに、彼女たちのレベルは高い。僕も教官として彼女たちに接するようになって、色々と考えさせられるようになったよ。最初は僕が、コテンパンにやっつけたけれど、彼女たちは、ただでは起き上がらない。敗戦から何かを学び、それを次に生かそうとする。天満師範や、尚弥さんが、西住みほさんに一目置いている理由が良くわかったよ。それでも、まだまだだけれどね」

 

「そうなんだ・・・」

 

 なかなか、他人を褒める事の無い佑真に、そこまで言わせるみほの存在に、浩太は、再びモニター画面に視線を移す。

 

「俺も、西住みほさんから、色々と学ばなきゃ・・・」

 

「そうだね。浩太は性格的に、みほさんと相性が良いと思う。彼女の指揮や戦術を学ぶのは、浩太にとっても良い影響を受ける事になると思うよ」

 

「そ・・・そう?」

 

「俺は、俺は?」

 

「そうだね・・・衛は・・・わからないや」

 

「えぇ~!!?」

 

 佑真の言葉に、衛は叫んだ。

 

「じゃあ、俺は?」

 

 圭太も聞いてくる。

 

「そうだね・・・圭太は、知波単の西さん・・・かな」

 

「俺も、突撃大好きだが、あそこまで猪突猛進タイプじゃないぞ!」

 

「以前の西さんなら、お薦めはしないよ。でも、西さんは変わった。動く時と、留まる時、それを明確に判断し実行に移せる。優秀な参謀役が付いているっていうのもあるけれど。西さんは、まだ成長途上だから、今後、どんな化け方をするか、予想が付かない。同じように、行動が予想出来ない君が手本にするには、うってつけだと思うよ」

 

「・・・そうかぁ~?」

 

 いまいち、圭太は納得出来ないようだ。

 

「まあ、騙されたと思って、彼女の行動を注視してみてよ」

 

「・・・・・・」

 

 佑真に諭されて、少し不満そうな表情をしながらも、西が中隊副隊長を務める、あさがお中隊をリサーチしようと、自分の携帯端末を調整している。

 

「ねえ!俺は!?」

 

 自分だけアドバイスを貰えなかった衛が、涙目で訴えてくる。

 

「君に、アドバイス出来ないのは、君が彼女たちの、どのタイプにも当てはまらないからだよ・・・でも、そうだね・・・君は、鋭い洞察力と直感力を持っているから・・・強いて挙げるなら、アンチョビさんか、カチューシャさんかな・・・2人とも、鋭い洞察力と直感力を持っていて、的確で最適な指示を出したりするからね」

 

「ツインテールの美人のお姉さんか、わかった!」

 

 笑顔を浮かべて、地味に片方を除外している衛だった。

 

「・・・カチューシャさんは?」

 

「俺、ロリコンじゃないから」

 

 悪意は無いのだろうが、その発言には問題がある事に、衛は気付いていないようだ・・・

 

「逆に佑真さんが、お薦めしたくない人っています?」

 

 莉子の質問に、佑真は渋い表情を浮かべた。

 

「誰とは言わないけれど、1人いるね」

 

 

 

 

「「「「「クシュン!!!」」」」」

 

 

 

 

 その頃、みほと西、アンチョビとカチューシャ、何故か沙織が同時に、くしゃみをした。

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