ガールズ&パンツァー みほのお見合い大作戦   作:ジャーマンポテト

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第24章 大洗連合チーム対中学選抜チーム その4

「うん?試合の流れが、変わった!」

 

「そうだね」

 

 京一郎の言葉に、佑真が頷く。

 

「え?何も変わっていないように、思えますけど・・・」

 

 莉子が、首を傾げる。

 

「莉子は、戦車道で試合の経験が少ないから、試合の空気を感じる事は、まだ出来ないと思うけど、これから、試合の経験を積むと、それがわかるようになるよ」

 

 浩太が、アップルジュースを飲みながら、妹に告げる。

 

「そうなんだ・・・私だけ、空気を読めないんだ・・・」

 

 莉子が、しゅんとした。

 

「あ~莉子ちゃん。大丈夫だよ!試合を、たくさん経験すれば、すぐにわかるようになるから・・・それに、みんなの空気を読む様子を観察していれば、その能力は、すぐに身に付くよ!」

 

 衛は、莉子を慰める。

 

「因みに俺は、肌で感じるようにしているから、空気を読む事は出来ないぜっ!!」

 

 圭太が、自信満々に叫ぶ。

 

「自信満々に、叫ぶなよ!」

 

 衛が、叫ぶ。

 

「それで、どんな風に試合の流れが変わるの?」

 

 莉子の質問に、浩太、衛、圭太の3人が押し黙る。

 

 非常に難しい質問であるからだ。

 

「う~ん。試合の空気を感じるのは、わかるけど・・・どんな風に変わったか、言葉にするのは難しい・・・かな?」

 

 浩太が悩みながら、つぶやく。

 

「確かに、それを言葉にするのは、難しいかな。圭太のように、肌で感じるっていうのが、言葉で表すには一番イメージしやすいかな」

 

 佑真が、フォローを入れる。

 

「何が、どういう風に変わって、試合が行われるか、わからないけど、見ていて損は無いよ」

 

 佑真の言葉に、莉子は鼻を鳴らす。

 

 まだ小学生では、経験の積み重なによって得られるであろう感覚は、今一つ理解出来ないのだろう。

 

 彼の事をある程度に知っている大洗連合チームの面々であれば、毒舌を吐かない佑真の姿を見ると、驚く事であろうが、佑真の真の姿を知っている浩太たちは、これが佑真である事を知っている。

 

「うむ、いくら経験があるとは言え!試合の経験数で考えれば、試合の空気を説明するのは難しいだろう!」

 

 京一郎が、つぶやく。

 

「そうよね!まだまだ若いから・・・言葉にして説明するには非常に難しいわね~でも、みんなかわいいから、いいの!いいの!」

 

「姉さん!理由がおかしい!」

 

「固い事を言わないの!紫子、可愛いものは可愛いの!」

 

「お姉さん!ビールのおかわりだ!」

 

「え!?まだ、飲むの?」

 

 佑真は、うんざりといった表情を浮かべて、京一郎を見る。

 

「当然だ!ここまで面白い試合になれば、ビールを飲まなければ、楽しめない!」

 

「そうよね。試合が、ここまで面白い物になると、ビールが進むのよね~お姉さん~私にもビールのおかわり~」

 

「姉さん!いい加減にしなさい!」

 

 紫子の厳しめの窘めも、酔っ払い2名には全然響いていない」

 

「紫子。きっと尚弥さんも、こういう試合を観ていれば、ビールを飲むと思うわよ~だから、止めない、止めない」

 

「ここで、尚弥さんの名前を出さないでくれる。尚弥さんが、酒癖の悪い人に勘違いされるじゃない!!」

 

 佑真が、抗議する。

 

「鳴滝!こういう面白い試合になれば、ビールがとても美味いのだ。お酒好きな尚弥さんの事だ!!きっと許してくれる!!」

 

「もう20杯目だよ。これ以上飲んだら、トイレに駆け込むだけでは無く、試合が終わった途端に潰れるよ!」

 

「姉さんもよ!姉さんも20杯目のビールを飲んでいるのよ!これ以上、飲んだら、悪酔いするだけじゃなく、アルコール中毒になって、病院に搬送されるよ!」

 

「そんなもの気にしない~」

 

「気にしてください!」

 

 紫子のこめかみには、怒りマークが何個も浮かんでいるのがわかる。

 

「あははは・・・」

 

 浩太が、苦い笑いをするのであった。

 

「貴方たち、こういう大人だけには、なってはいけませんよ!」

 

 怒り心頭の様子の紫子は、後輩たちに注意を促す。

 

「は、はい!」

 

 衛が、叫ぶ。

 

「俺は自信はねぇ!」

 

 圭太の宣言に、紫子のこめかみに、さらに怒りマークが浮かぶ。

 

 

 

 

「シャンパンも、ありますよ!」

 

 ビールの売り子が、新たなアルコール飲料を勧めてくる。

 

「お姉さん~!私に~シャンパンを下さい~!」

 

 薫子が、ビールの入った紙コップを一気飲みして、催促をする。

 

 すでに呂律が、怪しい状況になっている・・・

 

「姉さん!呂律が回っていないのに!もう十分でしょう!いい加減にしてよ!」

 

「紫子~まだまだ、これからよ~シャンパンがあるなら、ここで飲まないと損よ~」

 

「うむ!シャンパンか!それは飲まないといけないな!」

 

「え!?シャンパンも飲むの?」

 

「当然だ!シャンパンはシュワという炭酸が効いたワインだ!ここで、飲まなければ男がすたる!すでに、ビールで、準備運動ができているからな!」

 

 京一郎は、先ほどよりもテンション高めで叫ぶ。

 

「準備運動?すでに、ビールで頭の中までアルコールが回っているんじゃない。これ以上、飲んだら、全身にアルコールが回るよ」

 

 佑真は、迷惑そうだ。

 

「大丈夫だ!このぐらいのビールは、水のようなものだ!少し身体が軽くなったような気がする!気を抜くとフラフラだ!だから、問題無い!」

 

「問題、大ありでしょう。すでに、完全に出来上がっているんだよ。これ以上飲むと本当に宗一郎に、迷惑がかかるよ!」

 

「大丈夫だ!このぐらいの酒で酔いつぶれたりしない!俺は、父と兄に修行をつけてもらった!その時の酒の量と比べれば、大した事では無い!だから、大丈夫だ!」

 

「家で飲むのと外で飲むのは、状況が違うよ。家で飲む時は自分のペースに合わせて、ゆっくり飲んでいるから、ある程度に飲めると思うけど、ここで飲むのは自分のペースが試合の流れで乱されて、いつも以上のスピードで飲む事になる。そのため、すぐに悪酔いをしちゃうよ」

 

「そんな事は無い!父と兄も大量の酒を飲むだけでは無く、ペースも極めて速い!尚弥さんには匹敵しないが!その時と比べれば、今の俺は、かなり遅い方だ!だから問題無い!」

 

「京一郎さん・・・」

 

「何だ!斎藤君!」

 

 浩太が心配そうに、佑真の味方をする。

 

「佑真君の言う通り、そろそろお酒はお止めになった方が・・・先ほどよりもテンションが高くなっていますし、お顔も赤いですよ・・・」

 

「斎藤君!安心したまえ!まったく問題ない!このぐらいの量は父と兄と飲んだ時と比べれば半分ぐらいだ。父と兄に鍛えられている!まったく問題ない!」

 

「いや!すでに、問題だらけですから、すでに視線が定まらずに、あちらこちらを見ているではありませんか・・・」

 

「問題無い!斎藤君が、3人に見えるだけだ!どこに本物の斎藤君がいるのか、わからないだけだ!問題無い!」

 

「いや!問題だらけですから!」

 

「はい、お待たせしました。シャンパンになります」

 

「うむ!頂こう!」

 

 ビールの売り子から、シャンパンを受け取る。

 

「ありがとう~お姉さん~」

 

 薫子が、シャンパンの入った紙コップを受け取る。

 

「では、美信の勝利を願って~」

 

「乾杯!」

 

 2人の酔っ払いが、シャンパンを掲げた。

 

「うむ!とても美味い!」

 

「本当~とても、おいしい~」

 

「お姉さん!もう一杯だ!」

 

「お姉さん~おかわり~」

 

「はい、はい、只今」

 

「貴女たち2人は、何をしに来たんですか・・・?」

 

 紫子が大きく息を吐きながら、つぶやく。

 

「もちろん・・・!」

 

「もちらん・・・~」

 

「「応援だ(よ~)!!!!!」」

 

 

 

 

「シャンパンも、ありますよ」

 

「おっ!シャンパンを2杯くれ」

 

 ビールの売り子が東条にシャンパンを勧めると、文科省の元役人の分も注文した。

 

「私は・・・これ以上は・・・」

 

「なにぃ!?俺の酒が飲めねぇって言うのか!?」

 

「いえ、そういう訳ではありません。ですが・・・」

 

「ですが、何だ!?」

 

「この試合が終わったら、また大洗連合チームと一緒の、宴会があります。そこに酒が出ますので・・・ここで、出来上がる必要は無いかと・・・」

 

「そんな事か?」

 

 東條は、フフンと鼻を鳴らす。

 

「お前は、酒には強いって言って無かったか?ここで、飲む酒はジュースのようなものだ」

 

「確かに言いましたけど、大洗連合チームの宴会で出される酒は、かなりの量です。まあ、大酒飲みが何人もいますから、問題無いでしょうが・・・彼女も、この試合で、ビールとシャンパンを飲んでいます。大洗連合チームの宴会では、そんなに飲めないでしょう・・・」

 

「はっはっはっはっはっ、お前は、あいつの事を何も知らないなぁ!あいつは、そんなやわじゃない。ここで、飲む酒なんざ、宴会始まる頃には、トイレで吐いて、胃の中を空っぽにして、宴会を迎えるさ・・・まあ、名務の弟の方は、そういう訳にはいかないだろうが・・・」

 

「・・・と言いますと?」

 

「あいつは、酒に弱いんだ。前に父と兄に修行をつけてもらったと言って、俺と一緒に飲んだが、まったくだった」

 

「当然でしょう」

 

 文科省の元役人は、京一郎に同情した。

 

 東條は、大酒飲みである。

 

 それも超が付く程の・・・文科省の元役人も文科省の中では、それなりに飲める方ではあるが、彼と比べれば大したレベルでは無い。

 

 何といっても、大量に用意された酒瓶を、すべて必ず空けるのである。

 

「お待たせしました。シャンパンになります」

 

「おう!」

 

 東條が、シャンパンの入ったプラスチック製のコップを受け取る。

 

「まあ、飲め」

 

「は、はぁ・・・」

 

 文科省の元役人は受け取る。

 

 東條は、そのままシャンパンを一気に飲み干した。

 

「あ~このために生きているなぁ~これだから、酒はやめられない」

 

 文科省の元役人も、シャンパンに口をつける。

 

 冷たく冷やされたアルコールが入った炭酸が、口の中で爆発する。

 

 確かに、うまい。

 

「くぅ~」

 

「おっ!いい顔をするじゃねぇか!」

 

「いえ」

 

「姉ちゃん。おかわりだ」

 

「は~い」

 

 再びプラスチック製コップに、シャンパンが淹れられる。

 

「知っているか、シャンパンは、ワインを作る過程で、間違った製法で生み出されたものだ。ワインに炭酸を淹れるという発想は、誰も思い付かなった。しかし、間違った奴は大儲けだな」

 

「それは知っています。コーラも同じ様なものだったかと、コーラは最初、水で割って飲んでいました。しかし、店主が客からの注文を間違って、炭酸水で割ったら、とてつもなくおいしかったというのが、始まりかと・・・」

 

「おっ、それなりに物知りだな。そうだ。世の中には、間違いや、うっかりミスで生み出された物も多い。しかし、その逆もしかり・・・だ。お前もたった1つのボタンのかけ間違いで、文科省から防衛省の窓際部署に飛ばされた・・・」

 

「・・・・・・」

 

「辛気臭い顔をするな!」

 

 東條は、文科省の背中をバン!と叩く。

 

「どうぞ」

 

 ビールの売り子から、シャンパンを渡される。

 

 東條は、再びシャンパンを飲む。

 

「・・・・・・」

 

 しかし・・・

 

 自分の後釜として、文科省から派遣されて来た、この東條という男は、何を考えているのか腹の底が見えない。

 

 出向という名目の、事実上の左遷で防衛省の窓際役人にされた自分等、眼中にも無いのが普通だろう。

 

 言葉や態度は粗暴だが、何かと自分を気遣って叱咤激励(暴言やパワハラに近いが・・・)してくれている。

 

「・・・・・・」

 

 文科省の元役人は、無言でシャンパンの入った紙コップを傾ける。

 

 

 

 

「~♪」

 

「どうされました、天満師範?」

 

 会場のメインモニターを見詰めていたさつきの顔に、楽しそうな笑みが浮かんでいる。

 

 それに気が付いたしほが、声を掛ける。

 

「あれれれ~?しほちゃん、気付いていない~?」

 

 からかうような口調のさつきに、しほは、ムッとした表情になる。

 

「大洗連合チームは、作戦を変更したようですね。隊の再編を行っている様ですし・・・」

 

 扇子で口元を隠しながら、千代が告げる。

 

 それに同意するように、しほも頷いた。

 

「大隊の指揮系統を、変更したようですね。そのための各中隊の再編を、行っているようですね」

 

「うん、うん。2人共、さっすが~!指揮権を大隊副長に、移譲したみたいだねぇ~・・・みほちゃん、大胆~」

 

 自分の後輩の家元たちが、即座に変化に気付いた事に、さつきは満足そうに、つぶやいている。

 

「お母様、指揮権の移譲って、大隊副長の梓さんに、全体の指揮を任せるって事ですか?」

 

「そうだよ~」

 

「でも・・・」

 

 さつきの側で、同じ様にメインモニターの画面を見詰めていたやよいが、心配そうな表情を浮かべる。

 

「何か、心配~?」

 

「・・・いえ・・・」

 

 少し、言いよどんだものの、やよいは自分をジッと見詰めている母親に、視線を向けた。

 

「梓さ・・・いえ、梓先輩は確かに優秀な方です。大洗戦車道チームの隊長としても、十分にその手腕を発揮出来ると思います。ですが・・・いきなり、大洗連合チームの指揮を大隊長代理として行うのは、難しいのでは・・・各中隊長の皆さんは、優秀な方ばかりですし、それぞれの特異性があります。それを纏めるというプレッシャーは、計り知れないものがあります。そのプレッシャーに委縮して、かえって梓先輩の良い所を阻害する事になるのでは・・・」

 

「ふんふん・・・」

 

 娘の分析をニコニコしながら、さつきは聞いていた。

 

 やよいも、やよいなりに状況の変化を察知し、自分なりに考察を行っているのだろう。

 

「まあ、鬼が出るか蛇が出るか・・・じっくりと拝見しましょう~・・・」

 

 さつきは、楽しそうにつぶやいている。

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