ガールズ&パンツァー みほのお見合い大作戦   作:ジャーマンポテト

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 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。


第2章 乙女たちの四方山話

 しほとの話を終えたみほたちは、みほの部屋にいた。

 

「何なの!勝手に結婚相手を決めるなんて!!みぽりんの気持ちは、どうなるの!!?」

 

 沙織は、みほの部屋に入った途端に、感情を爆発させた。

 

「あの役人!うちの学校を廃校にできなかったらって、今度はみぽりんに狙いをつけるなんて!!」

 

 沙織の爆発は、収まる気配を見せない。

 

「落ち着け、沙織」

 

 麻子は、使用人が用意したケーキに、フォークを刺しながら告げる。

 

「そうですよ。沙織さん」

 

「華も麻子も、平気なの!!?」

 

「平気と言いますか、家元の娘である以上、このように親同士の合意の上で、結婚相手が決められるのは当然の事かと・・・それに西住流家元も、先ずは、お見合いをしてからと仰っていましたし・・・みほさんの意志を無視してという事にはならないでしょう」

 

「名家である以上、家の名に恥じないようにと、こういう風に結婚が決められるのは当然だ。本人同士の相性も大事だが、それと同等に、家と家との繋がりも重要視される場合もある」

 

 華と麻子が、出されたケーキを食べながら言う。

 

「ぐぬぬぬぅ~!!」

 

 沙織としては、納得がいかないようだ。

 

「あの~・・・」

 

 優花里が、恐る恐る手を挙げる。

 

「武部殿。まずは西住殿の気持ちを考えてから、感情を爆発させるべきでは・・・西住殿の気持ちを無視しています」

 

 優花里の指摘に沙織は、はっ、となった。

 

「ごめんね、みぽりん。私、みぽりんの気持ちを、考えてなかった」

 

「いいの、いいの。沙織さんのその気持ちは、とてもうれしいものだから・・・」

 

 みほが、手を振る。

 

「みほさん。お相手となる殿方は、どう言った方ですか?みほさんとお母さまの話を聞いていますと、まったく知らない殿方ではありませんようですし、差支えがなければ教えていただけ無いでしょうか?」

 

 華が聞くと、みほは立ち上がり、本棚から1つのアルバムを取り出した。

 

「尚弥お兄ちゃんは、お母さんが戦車道で、唯一、頭が上がらない人の息子なの。戦車道を始めた時は、師範であり、姉のような存在だった人なの。そんな人でもあって、息子の尚弥お兄ちゃんとも交流があったの」

 

 みほが、手に取ったアルバムのページを開いていく。

 

 アルバムには、みほと姉のまほが幼い時の写真があった。

 

 そして、その写真にみほの結婚相手となる予定の少年の姿があった。

 

「ずいぶんと歳が離れているようだが・・・」

 

 麻子が、つぶやく。

 

「うん。10歳ぐらい離れているかな」

 

「10歳!?離れすぎじゃん!!」

 

 沙織が反応する。

 

「あの・・・天満尚弥殿って、あの天満尚弥殿ですか!?」

 

 優花里が、アルバムを見ながら、叫んだ。

 

「知っているの?ゆかりん」

 

「知っているも何も・・・武部殿も知っています!男子戦車道の月刊誌には、必ず載る人物ですから!」

 

「え?」

 

 沙織は、カバンから男子戦車道の月刊誌を取り出した。

 

「持っているんだ・・・」

 

 みほが、苦笑した。

 

「もしかして、この人!?」

 

 沙織がページを開き、写真に写っている人物を指差す。

 

「うん」

 

「そうです」

 

 みほと共に、優花里がうなずく。

 

「でも、この人か~・・・まあ、そこそこイケメンには分類されるけど・・・普通だね」

 

「何気にひどいな・・・」

 

「沙織さん。いくらなんでもその言い方は、ありませんよ」

 

 麻子と華が、肩を竦める。

 

「だって、男子戦車道の隊長と言えば、この人でしょう!」

 

 沙織が別のページを開き、1人の人物を指差す。

 

「沙織の好みだな・・・」

 

「・・・ですね」

 

「そうですね・・・」

 

「あははは・・・」

 

 麻子、華、優花里、みほが、やっぱりかと言った感じの表情になった。

 

「だって、カッコいいじゃん!」

 

 沙織が叫ぶ。

 

「ですが・・・この方は、男子戦車道日本代表チームの中隊長です。大隊長は、西住殿のお相手の方でして・・・」

 

「そうなの!?顔は普通なのに、そんなに強いの!?」

 

「沙織。顔で判断するな!」

 

 麻子が、突っ込む。

 

 

 

「このお写真を見る限り、みほさんも、みほさんのお姉さんも、大変楽しそうですね」

 

 華が、お菓子を食べながら、アルバムを見る。

 

「ん?新しい男が現れた」

 

「え!?」

 

 沙織が、反応する。

 

「どこ?どこ?」

 

「ここ」

 

 沙織が、食いつくかのようにアルバムを見る。

 

「この男の子ですね」

 

 優花里が、指を指す。

 

「ああ、虎次郎お兄ちゃんだね」

 

 みほが、答えた。

 

「また、みぽりんのお母さんの、知り合いの息子?」

 

「ううん」

 

 みほが、首を振る

「虎次郎お兄ちゃんは、従兄だよ」

 

「従兄!?」

 

「西住さんの、お姉さんに似ているな」

 

 麻子が、虎次郎の写真を見ながら、つぶやく。

 

「本当ですね。西住殿のお姉さんに、かなり似ていますね」

 

 優花里が、うなずく。

 

「みぽりん」

 

 沙織がジュースを飲みながら、みほに顔を向ける。

 

「何?」

 

 みほが、顔を上げる。

 

「こんなに男の人と面識があるんだったら、私に1人紹介してくれてもいいじゃん!」

 

「あははは・・・そうだね・・・」

 

 沙織の言葉に、みほが苦笑した。

 

「みほさん」

 

 華が、顔を上げる。

 

「面識があるのでしたら、一度、お会いになってみては、いかがですか?」

 

 華が、提案する。

 

「そうだな。西住さんがよければ、見合い相手の男に、会うべきだろうな」

 

 麻子も、うなずく。

 

「もちろん!私たちも、同行します!」

 

 優花里が、声を上げる。

 

「は~い!私も!私も!」

 

「沙織は、どちらかというと、男子たち・・・特に、このイケメンに、会いたいだけだろう?」

 

「ひど~い!私だって、みぽりんが心配だし、男だらけの世界に、みぽりん1人を行かせる訳がないじゃん!」

 

「確かに、そうだな」

 

「男だらけじゃ、無いかな・・・」

 

 みほが、肩を竦める。

 

「それで、どうします?西住殿?」

 

 優花里が、顔を近づける。

 

「そうだね。その方が、いいよね」

 

 みほも、覚悟を決めた。

 

「お母さんに言って、尚弥お兄ちゃんに会えるかどうか、聞いてみる」

 

「あ~、質問!男子戦車道って?私たちの戦車道と、何が違うの?」

 

 沙織が、手を挙げる。

 

「月刊誌を、読め!」

 

 麻子が、即答する。

 

「・・・・・・」

 

 沙織が、言葉を失う。

 

「麻子のいじわる~」

 

「すまん、すまん。その事については、秋山さんに聞いたらいいじゃないか」

 

「ゆかりん。教えて」

 

「わかりました」

 

 優花里が、簡単に説明した。

 

 男子戦車道は、戦車道の試合とは違い、フラッグ戦又は殲滅戦では無い。

 

 拠点制圧戦である。

 

 拠点制圧戦とは、双方のチームに本拠点と支拠点があり、これを制圧するのがルールだ。

 

 基本的には、本拠点を制圧すれば試合が終了する。

 

 本拠点を制圧及び制圧阻止のために、戦車戦を行う。

 

 このため、ルール上、一回戦及び二回戦は、戦車を20輌まで使用可能、準々決勝からは50輌までの使用が可能になる。

 

 そのため、戦車道とは違う激戦が繰り広げられる。

 

 勝利条件は拠点制圧であるが、3つの勝利条件がある。

 

 1つは、単に拠点を制圧する。

 

 2つ目は、補給部隊を殲滅する。

 

 3つ目は、敵戦車をすべて撃破する・・・である。

 

「前の2つは違いますけど、3つ目は、大学の戦車道の殲滅戦と、同じなのですね」

 

 華の言葉に、みほが頷き、捕捉を加える。

 

「でも、もう1つ・・・極めて難易度が高い勝利方法があるんだよね」

 

「その通りです。西住殿!」

 

 優花里の説明に、力が籠る。

 

 

 

 

 男子戦車道の勝利条件で、もっとも難易度が高く、極めて不可能に近いものがある。

 

 それは、双方の参加戦車に、1輌たりとも撃破判定を出さず、相手の拠点を制圧する事である。

 

「何それ~!?」

 

 沙織が、首を傾げる。

 

「つまり、相手チーム及び自分のチームの戦車を、撃破せず、撃破されずに、相手の拠点のみを制圧する事です」

 

 優花里の説明に、沙織が驚きの声を上げた。

 

「そんなの無理じゃん!!」

 

「それですから、難易度が高いのではありませんか?」

 

 華が、沙織に告げる。

 

「西住さんなら、できそうな気もするが・・・?」

 

 麻子に言われて、みほが考え込んだ。

 

「う~ん。理屈や理論は理解しているけど、それを実践するのは難しいかな・・・」

 

「やっぱり、みぽりんでも、無理なんだ・・・」

 

 沙織の言葉に、みほがうなずく。

 

「うん」

 

「それが・・・ですね」

 

 優花里が、胸を張る。

 

「その不可能を実現させた隊長が、いるのです」

 

「もしかして・・・」

 

 沙織が、察しがついた表情を浮かべた。

 

「そう」

 

 麻子が、うなずく。

 

「天満尚弥殿です」

 

「それも、五連覇を成し遂げたんだよね」

 

「五連覇!?」

 

 みほの言葉に、沙織が声を上げる。

 

「男子戦車道の月刊誌に、大きく書かれていますよ」

 

 華の言葉に、麻子が言った。

 

「五十鈴さん。沙織は、男子戦車道については、イケメンにしか目がいっていない。他に目がいかないから、そんな事を言っても無駄だ」

 

「ですが、無撃破で五連覇という文字は、男子戦車道の月刊誌の表紙に大きく書かれていましたし、ニュースでも放映されました」

 

「無駄だ。男子戦車道に関しては、イケメンしか頭にない」

 

「ううう~・・・麻子のいじわる~」

 

「すまん。沙織」

 

 ず~んと、沈む沙織に、少し言い過ぎたと反省する麻子だった。

 

「ゆかりん。でも、どうやって、相手チームや味方チームの戦車を撃破せずに戦えるの?」

 

「それも書いているんだけど・・・」

 

 みほが、肩を竦める。

 

「それはですね。相手戦車の履帯や砲身に砲弾を撃ち込んで、一時的に行動不能又は攻撃不能にするのです」

 

「そんな神業のような事が、できるの!?」

 

「はい、私も、最初に読んだ時は、まったく信じられませんでしたが、それが可能なようです」

 

 華が、言う。

 

「是非とも、天満尚弥さん率いる男子戦車道の選抜チームの砲手には、ご教授を承りたいと思います」

 

 華は、砲手であるため、そのような芸当ができる砲手たちに会ってみたいと考えていた。

 

「みほさん。宜しければ、天満尚弥さんに砲手の人と面会する時間を、設けてくださいますよう、お願いできますか?」

 

「うん。私のお願いなら、尚弥お兄ちゃんは、絶対に引き受けてくれるから、お願いしてみるね・・・あっ!」

 

「どうしました西住殿?」

 

「尚弥お兄ちゃんの地元には、そこだけしか売っていないボコのぬいぐるみがあるって、愛理寿ちゃんが言っていた。ついでに、お願いしておこう」

 

「西住さん。ついでにいいか?」

 

 麻子が、手を挙げる。

 

「何?麻子さん」

 

「天満尚弥さんの地元には、介護用品や健康維持のための品物が数多くあると聞く、何かオススメがあるか聞いてくれないか?」

 

「そうだね。尚弥お兄ちゃんの地元は、高齢化問題に積極的に取り組んでいて、そういった品物が数多くあるものね」

 

 みほが、うなずく。

 

「あっ!じゃあ、私も!!私も!!」

 

「無理かなぁ・・・」

 

「無理ですね」

 

「武部殿。さすがに無いと思います」

 

「沙織。そんな都合良くはいかない」

 

 みほ、華、優花里、麻子という順で、沙織が言う前に否定した。

 

「グス・・・グス・・・」

 

 沙織が、落ち込む。

 

 

 

 

「こうして見ると・・・男子戦車道の試合は、実際の戦闘に近いな」

 

 みほの部屋の隅で、沈んでいる沙織を放っておいて、麻子がつぶやく。

 

「男子戦車道は、私たちの戦車道とは違い、戦術の研究や、各国の国家間の関係を良好にする目的が強いですから」

 

「戦争は、とても悲しいものです。悲しい事を起こさないために、代わりのもので、互いを競い合い、関係を築いていくのは、素晴らしい事です」

 

 華が、両手をポンと叩いて告げた。

 

「うん。私たちの戦車道は競技としての意味合いが強いけど、男子戦車道は国際平和を維持するための目的だから、すごいよね」

 

 みほが、感心したようにつぶやく。

 

「しかし、あの文科省の役人は、男子戦車道の認知度を高めるとか言っているが、男子戦車道の認知度も、十分にあると思うが、何が目的なのだろう?」

 

「それは、ですね」

 

 麻子の疑問に、優花里が答える。

 

「男子戦車道は、世間一般的には軍事演習として認識されています。私たち戦車道のように単純なスポーツ・・・武道として見られる事がありません。まあ、これは文科省の管轄では無く、防衛省の管轄、という事が大きいですが・・・」

 

 優花里の言う通り、世界的に見ても戦車道は、女子の嗜みとして、武道として扱われているのが一般的である。

 

 そのため、各国の教育機関が管轄している。

 

 男子戦車道は、戦技研究等の軍事目的が強いため、各国の軍事機関が管轄している。

 

「前生徒会が言っていたけど、戦車道の世界大会が行われる事も、関係しているのかな?」

 

 いつの間にか、沙織が復活していた。

 

「おぅ。復活したか、沙織」

 

「それも関係しているかもしれません。男子戦車道も、近年は人も少なくなっていますから、多くの人に、男子戦車道の認知度を高めるためにも行われるでしょう」

 

「でもでも、男子戦車道は、中学生からでも見習い自衛官としての身分が、与えられるんだよね」

 

「はい、高校や大学を卒業後、一定期間の自衛官として勤務する事が義務付けられていますが、基本的には中学生から見習い自衛官としての身分が与えられ、男子戦車道をしながら、自衛官としての教育も受ける事になります」

 

「じゃあ!天満尚弥さんも、自衛官として勤務した事があるの?」

 

「それも、書いていますが・・・」

 

 華が、肩を竦める。

 

「うう~・・・華のいじわる~」

 

 沙織が、悲しそうな顔をする。

 

「ええ。天満尚弥殿は、陸上自衛隊の2等陸佐の階級が与えられ、戦車部隊の大隊長を務めていたそうです」

 

「年齢を考えれば、かなりの大抜擢だな」

 

 麻子が、驚く。

 

「そうだね。20代後半で、2等陸佐と言うのは、かなりすごいかな」

 

 みほが、うなずく。

 

「質問!私たちの戦車道の講師、蝶野教官の階級は、どのくらいだったけ?」

 

「1等陸尉だね」

 

 沙織の質問に、みほが答える。

 

「あんまり気にした事無いから、今まで気にした事は無かったけど・・・それって、どのくらい?」

 

 沙織の質問に、優花里が答える。

 

「それはですね。1等陸尉も2等陸佐も自衛隊の幹部に区分される階級です。幹部は尉官、佐官、将官の3つがあります。蝶野教官は、尉官の最上級である1等陸尉。天満尚弥殿は、佐官の中間である2等陸佐です」

 

「なるほど」

 

 わかりやすい説明に、沙織はフンフンとうなずいている。

 

「ちゃんと、月刊誌を読んでいれば、普通にわかる事なんだが・・・」

 

 ボソッと麻子が、つぶやく。

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