笹の葉の少女は普通に生活を送る
えー。突然ですが、皆さんに聞きたいことがあります。
目の前で倒れている竈門炭治郎とこちらを威嚇してくる竈門禰豆子がいたらどうすればいいのですか?
............意味が分からないと思うけど、私もよく分からないんだよねー。まあ。とりあえず、これまでのことを話しておこう。
私は
まあ、つまり転生者ということです。
前世の未練?...あるよ。いっぱいある!
だって、もうすぐで高校卒業だったんだよー!大学生活を満喫したかったよ!それに、私の高校はバイト禁止だったからバイトしたかったーーー!
......死因?.....もう忘れたよーー!だから、今世は寿命まで絶対生きるぞーーーーー!
...............という心意気で生きていたけど.....この世界が『鬼滅の刃』の世界だと知った時は今世も終わった...って正直思ったよ......。
ここが『鬼滅の刃』の世界だって知ったのは、私が四歳の時だ。私と父と母は三人で山の上で暮らしていた。父親は薬草とかで薬を作るのが仕事で、私達が住んでいる山はそういう薬草がたくさん採れる山だったから、両親はこの山で暮らすことにして、私が生まれたそうだ。
私は四歳になるまで山を降りたことがなく、四歳になってそろそろかと言われ、ようやく家族で山を下りることができた。初めて山の麓の町を見た時、私は興奮した。
だって、今世の私は薄い黄緑色の着物....和服を着ている。両親も同様にだ。つまり!令和ではない別の時代ということ!暮らしは前世より不自由だけど、なんか京都などに来たような感じに思えて興奮してくる!
私は町の人達に挨拶して、色々なことを聞いてまわっていた。中身は二十一歳だが見た目が四歳なので、小さな女の子が初めて見る町に好奇心旺盛に走りまわっているようにしか見えない。
だから、遠慮なくはしゃげる。私が町の人達に話しかけると、両親がすみませんとその人に謝ると、『もしかして娘さん!?』と毎回驚かれた。親しく話しているのを見て、どうやら両親は町の人達と親しくしているのが分かった。
良く効く薬を作ってくれて、色々な人に優しく接してくれる........本当にいい両親の間に生まれて良かったよ。
私が町の人達に話しかけては時々甘菓子を貰っていると、空が赤みがかっていた。もうすぐ夕焼けだ。
「おい。早く帰らねえと鬼が出るぞ」
聞き捨てならない言葉が聞こえたような気がした。
えっ、鬼?そら耳であってほしいけど......。
「おじいさん。おにって?」
「鬼は夜になると現れ、人を食う。もう暗くなるから、さっさと帰った方がいい」
「はーい」
お爺さんに返事をして、私は両親の元に戻った。山を登っている間、お爺さんの言葉を何度も頭の中で繰り返す。
鬼....人喰い鬼...。
「おとうさん」
「なんだ?」
私は背負ってくれている父に話しかけた。父は優しく聞き返してくれた。
「いまって、なにじだい?」
「うん?大正だがどうしたんだ?」
「ううん。なんでもない」
不思議そうな父に私は首を横に振ると、父は納得していなさそうな様子だが、そうか?とだけ言って何も聞かなかった。
人喰い鬼.....夜に活動........大正時代......間違いない。
私は大きく息を吐いた。そうでもしないと、私の心の声が漏れてしまうからだ。
この世界は』『鬼滅の刃』の世界なのかーーーーーーーー!!
私の内心はもう発狂したかのように大騒ぎしていた。
あの後、どうすればこの世界で長生きできるか必死に考えた。とりあえず山の中を探索し、藤の花を見つけた。藤の花は鬼が嫌う物なので、両親に頼んで家の近くに藤の花を植えてもらった。
私の突然の我が儘を聞いてくれた両親に親孝行をしたかったから、よく両親の手伝いをしていた。町に行く時も藤の花を懐に入れて、両親の手伝いをして、その様子を見た町の人達に『本当に仲の良い家族ねー』と言われて凄く嬉しかった。
このまま幸せな時間が続いてほしいなー。そう思っていたんだけど.......
私が八歳の時に両親は他界した。
鬼に喰われたとかではない。町に流行った伝染病を治すために、その薬を渡しに行った両親がその病気にかかり、亡くなったそうだ。
私は鬼のことで精いっぱいだったから、この時代が前世よりも昔の時代...そして自然の脅威......そういうことで亡くなることを考えていなかった。伝染病が流行った町に子供の私を連れていけないのは分かっていたから、何日も帰ってくるのを大人しく待っていたが、来たのは町の人だった。
そこで両親の死を聞かされ、箱を二つと遺品を渡され、私は届けてくれた町の人に何て言ったか覚えていない。
その後、町の人が帰ってから二つの箱と遺品を抱えて泣いたことだけは覚えている。
そして、今、私は十三歳になった。
「いってきます!」
私は誰もいない家に向けて元気良く言い、箱を背負って走り出した。
両親が亡くなってからも私はこの家に住んでいる。前世より不自由だけど、この家が好きで愛着もあるからというのもあるが、親戚が誰もいないというのが一番の理由だ。
祖父母は私が生まれる前に亡くなったと聞いてたし、両親とも兄弟とかはいなかったということも聞いてた。幼い私を見かねて一緒に暮らさないかと町の人達に誘われたが、迷惑になるし、この家がいいと言って断った。
まあ、精神はもう大人だからね。ちなみに、走っているのは逃げ足と体力を鍛えるためだ。もしもの時のためにね。損はないし。
でも、いつまでも山の中に引きこもっていると、食べ物やお金とかがなくなるので、こうやって町に降りている。
「おお!彩花ちゃん!」
「おはようございます!いつものですかー?」
「ああ。いつもありがとうね」
そう言って背負ってた箱を下ろし、箱の中から紙で包んだ薬を出して渡し、お金を受け取った。
私は両親から色々なことを教えてもらっていた。母からどれが薬になるか、どれが食べれるか、どれが毒なのか等の薬草の見分け方を教えてもらい、父から薬の作り方を教わった。精神が二十歳以上だからかのみ込みが速く、父は私を褒めてはそれを自慢して、その薬を売る。親バカだったのかもしれないが、このことがあったから、薬を作ることに自信を持つことができた。
私の作った薬を使って、『よく効いたよー。ありがとう』とか言ってくれるので、私はとても嬉しかった。薬を買ってくれる人がいるので、私は両親が亡くなった後、薬を作って売ることで稼ぐことができた。
「彩花ちゃん!塗り薬ちょうだい!」
「こっちは飲み薬を!」
「はーい!あ!おばちゃん!このお魚ください!」
「はいよ!」
私は週に三回、薬を売っては町で買い物をする。この先、何が起こるか分からないので、私はあまり贅沢をせず、安い物を買っている。
着ている物も薄い黄緑色の安っぽい着物と母の形見の笹の葉が描かれた白色の布地の羽織だ。髪も父が薬を作る時に裾をたすき掛けするのに使った赤い紐で一つに結んでいるだけだ。髪が緑っぽい黒色......オリーブのような髪色なので、赤い紐は合うと思っている。ちなみに、私の瞳は黒色だ。
せっかく綺麗な色の髪をしているんだから、もう少し綺麗にしたら、年頃なんだから等と言われるが、笑って誤魔化している。
「彩花ちゃん。おにぎりだけじゃよくないって毎回言ってるでしょ?」
私がいつものように持ってきたおにぎりを食べていると、町の人達は両親を亡くして一人の私を心配して声をかけてくれる。
この町の人達は本当に優しい人達だな.......。
うん?....そういえば、鬼殺隊に入ったりしないのかって?
......無理。入らない!鬼殺隊でやっていけると思えない!だって、人が何人も死に行くようなところに行って、生き残れる自信がない!
それに、鬼を殺すことができるかが不安だ。平和な時代だったから、鬼とはいえ殺すことを躊躇うかもしれない...。一瞬の迷いが生死を分けることだってある.....。
「あと、今がどの時期か分からないんだよね....」
そう。今が原作のどの時期なのか全く分からない。ひょっとしたら、もう原作が始まっているのかもしれない......。
本当によく分からないから、私は関わらないようにしよう。関わって原作が色々おかしくなったら大変だし.....。
.........って、思ってたんだけどね。
人生色々あるって、本当なんだな....って、私はそう思ったよ。
私がいつものように薬を売って買い物をした帰りに二つの人影を見つけた。一人は気を失って倒れていて、もう一人は...たぶん女の子はその人を心配して駆け寄っていた。
誰か倒れてる!?
私は急いでその人達のところに走り出した。
「大丈夫ですか!」
私が声をかけると、女の子が私の方に振り向いた。すると、その女の子は私を見るなり威嚇してきた。私は驚いて立ち止まった。
その女の子が威嚇してくるからというのもあるが、それよりも威嚇してくる女の子にも倒れている人にも見覚えがあったからだ。
女の子は長い髪を部分的に結んで額を出していて、麻の葉模様の桃色の着物に市松柄の帯を締めている。しかも、その女の子の爪は鋭く、目はまるで猫のような縦長だ。
倒れている人は赤が混じった色をした赫灼の髪をしていて、市松模様の緑と黒の羽織りを着ていて、耳に花札のような耳飾りをしていて、額に痣がある少年だ。
.........うん。間違いない。
なんでここに竈門炭治郎と竈門禰豆子がいるんだよ!!
鬼滅の刃の主人公とヒロインだよ!!どうしてここにいるの!!?
本当に誰か.......一体どういうことか説明してほしい!!
切実に誰か教えて〜!!