始まりは何だったんだろう........。
「ち、違う!」
信じていたのに.......。
「な、んで....。」
一体何が起こったのだろうか...。
「ど、どう、して.....。」
俺は.........
「どう.......して........!どう、して、ね、ずこを.....!」
何を間違ったのだろうか.......。
....俺は鬼舞辻無惨に家族を殺され、残された妹の禰豆子は鬼になってしまった...。俺は禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊に入った。その中で同期の善逸と伊之助とカナヲと玄弥と友達になり、始めは鬼の禰豆子のこともその禰豆子を連れた俺のことも反対していた柱の皆さんにも認められ、親しくなっていた。俺も禰豆子も仲間達と協力し合い、強い鬼と戦って劣勢になっても諦めず.....色んな鬼達と戦って生き残ることができた。そして、禰豆子が日光を克服し、最後の戦いが始まった。鬼と鬼殺隊の全勢力をぶつけて戦い......
「これで終わりだ!鬼舞辻無惨!!」
「くっ....!おのれ!竈門炭治郎!!」
ついに鬼舞辻無惨を倒すことができた。俺が鬼舞辻無惨の封じることができ、鬼舞辻無惨は太陽の光を浴び、焼けて灰になっていった。
「や...やっと......無惨を倒した!!」
俺は無惨を倒したことを喜んだ。そして、無惨を倒したことを仲間のみんなに知らせようとした。仲間で力を合わせ、朝日が昇るまで無惨と戦って時間を稼いだ。無惨を倒したことで戦いは終わり、普通の生活に戻れる........はずだった.....。
「....お前は...誰だ?」
「.....えっ?」
仲間達が向けてきたのは俺に対する疑いの目と殺気だった。俺は困惑した。どうして仲間達が俺に疑いの目や殺気を向けてくるのか分からなかったからだ。
「....どう、したんだ...みんな.....?俺は炭治郎だ!」
「知らねえよ!」
俺が名乗っても仲間達は知らないと言い、俺を取り押さえた。どうやら俺から鬼の気配を感じるそうだ。俺が...違う!俺は鬼じゃない!人間だ!と叫んで抵抗すると...殴られたり蹴られたりされた。それでも、俺は何度も仲間達に話しかけるが、向けられるのは疑いの目だけで俺の話を聞いてくれない。俺はなんで、どうしてと訴えているが、仲間達からは罵られ、さらに殴られたり蹴られたりされた。そうしている間に、俺を殺す準備が整ったようだ。俺の敬愛していた兄弟子が刀を抜き、俺の首に刃を向ける。俺が義勇さんと名前を呼ぶと、義勇さんは黙れ、お前に呼ばれたくないと言い、刀を振り上げた。一緒に戦った親友も尊敬していた人も誰も助けてくれなかった。俺はそのショックで涙を流しながら刀を振り下げた義勇さんを見て、目を瞑った。
ザシュッ!
誰かが斬られる音がした。俺は斬られたんだと思った。....しかし、幾ら待っても体に痛みを感じなかった。周りからは仲間達の驚愕の匂いと...知っている人の.....大切な人の匂いと血の匂いがした。俺はその匂いに驚いて目を開けた。そこにいたのは........
「ね...ず.....こ......?」
俺の妹の禰豆子が....体中を真っ赤にして倒れた。それを見ただけで俺は分かった。禰豆子が俺を庇って斬られたということに........。
「お....にぃ...ちゃん.....。」
「禰豆子!」
弱々しく息をしている禰豆子が俺に話しかけてきた。右肩から斜めに斬られて...そこから血がたくさん流れている....。このままじゃ.....禰豆子が........せっかく....人間に戻れたのに........。
「ご...めん、ね.....。お、にぃ....ちゃん........。わた、しが、忘れてたから.....つらい、こと...ばかり、させて......。つら、かった、よね....。くる、しい...よ、ね.......。私...悔しいよ......。お、兄ちゃん...ばかり.....どうして....こんな目に、あうんだろう.......。」
禰豆子.....。謝りたいのはこっちだ。ごめんな....。兄ちゃんが駄目なばかりに大怪我を負わせてしまって.....。俺も悔しいよ....。こんな兄ちゃんで...本当にごめんな.......。
仲間達は禰豆子が俺を庇ったのを血鬼術のせいだと思ったようだ。俺と禰豆子を引き離し、俺を殴ったり蹴ったり.....刀で刺してきたりしてきた...。俺は腕や肩や脚を刺されながら再び仲間達に殺されそうになっているこの状況に絶望しかなかった。
同期や親友には疑いの目や殺気を向けられ.....尊敬していた人には罵られ......敬愛していた兄弟子には妹を斬られた。.........今も俺をすぐに殺さずに痛ぶっている.....まるで拷問じゃないか......。俺は....俺が...何をしたんだ.......。信じていた仲間にこんなことをされなければならないことを......俺はしたのか...?......俺は.......禰豆子を人間に戻して.....家に帰りたかったのにな...。なんでこんなことになったんだ......?禰豆子は大丈夫なのか?....血の匂いが濃いが.....まさか........。
しばらくして......拷問じみた時間が終わり、俺は再び刀を突きつけられた感覚がした。誰なのかは分からない....。俺は見ようともしなかった。誰が俺に刀を向けているかなんて見たくもなかった。悲しさで...何も見たくなかった。....何も受け入れたくなかった.....。目を開けても見えるのは残酷な現実ばかりだ。親友だと思っていた者達から疑いの目を向けられたこと.....尊敬していた者達から殺気を向けられたこと.......敬愛していた者に刀を向けられ、最愛の妹を斬られたこと......たった一人の家族である妹が死んだのではという予感.......そんな現実を頭の中に思い浮かんだ時、俺の中で何かが切れた音がした。妹の禰豆子のこと以外....もうどうでも良くなったのだ.....。そして、抵抗も動くこともできない俺は仲間の誰かに首を斬られ.......命を絶った......。
「....お...にぃちゃ........。」
私は首を斬られて亡くなっていったお兄ちゃんを見て、目の前が真っ暗になった。....お兄ちゃんが......鬼になった私を人間に戻すために頑張ってきたお兄ちゃんが亡くなった...。....殺された.......。目の前の.....信じていた......仲間だったはずの....あいつらによって!
「!...炭治郎!」
「起きて!......」
あいつらがお兄ちゃんに向かって何か叫んでいる.......。お兄ちゃんを殺した人達が....どうしてお兄ちゃんに近づいているの!一体何を叫んでいるの!これ以上、お兄ちゃんを傷つけないで!
「....うっ........!」
私はお兄ちゃんの隣に行きたかったが......体を上手く動かすことができない。私も肩の部分を斬られたから.......きっと....もう.....。
「禰豆子ちゃん!」
私の声が聞こえたみたい...。あいつらは私が危ない状態だということに気がついたらしい.....。あいつらが私に向けて伸ばす手を....私は叩き落とした。伸ばした手を叩き落とされて、あいつらは驚いたみたい。目を見開きながら私を見た。そんなあいつらに私は最後の力を振り絞ってこう言った。
「......このままで.....いい....。私は...お兄ちゃんを......お兄ちゃんを殺した人達に...治されたくない!」
私の最後の力を振り絞ってまで出した声......それがあいつらに届いたかどうかは知らないけど....あいつらは私にそれ以上手を伸ばさず、茫然と立ち尽くすだけだった。そうしている間に、私が最後に出した大声がきっかけなのか.....私の目の前が真っ暗になってきた。
お兄ちゃん...。せめて、たった一人の家族で....ずっと私を守ってきてくれたお兄ちゃんと.......最後まで一緒にいたかったな....。あいつらに最後.....引き離されちゃったから、ね...。でも......お兄ちゃんがいない...家族が誰もいない世界....そんな世界で一人になるのは.....私にはとても耐えられない.....。ごめんね......お兄ちゃん.....。...すぐにそっちに行くから.....ね.........。
私はお兄ちゃんのことを思いながら....静かに命を絶った。
「........ということが....あったんだ.....。これが俺と禰豆子の前世の話だ。前世で俺と禰豆子は鬼殺隊の仲間達に何故か裏切られ......あいつらに殺されたんだ...。」
「........ぐすっ.....。」
炭治郎と禰豆子の話を聞き、私は思わず涙が流した。私は涙を拭いながら頭の中で炭治郎と禰豆子の話を整理していた。
....色々と思うところがあるけど.....まずは...炭治郎と禰豆子って、逆行者だったんだ......。でも、これで色々と納得した。鱗滝さんとの会話も....手鬼のことも...藤襲山で場所を把握していたことも.....。考えてみたら、ヒノカミ神楽が使えたことも.......錆兎と真菰ととても親しそうな様子も....機能回復訓練に近い鍛練も...他にも気になることがあった.....。あの時の話からして、鱗滝さんも逆行者なのだろう...。そして、炭治郎と禰豆子の過去が.....前世が重かった....思ったよりも重かった......。最後の鬼舞辻無惨との戦いが終わった後、まさか鬼殺隊とそんなことがあったなんて........。それは炭治郎が鬼殺隊に関わりたくないと言うのも分かるし、炭治郎と禰豆子が人間嫌いになるのも分かる.......。殴られたり蹴られたりされたら、鬼殺隊ではない私や他の誰かでもあの時のことを思い出してしまって、またやられるんじゃないかと思って怖いよね...。禰豆子もそれで炭治郎に私を近づかせないようにしていたんだと思う.....。真菰が言っていたあいつらは鬼殺隊のことだったということね.......。信じていた仲間に突然刀を向けられた時に感じた悲しみや苦しみ.....恐怖と絶望......その時の炭治郎の心中を考えると....私も心が苦しくなってきて、涙が出てきたよ.....。....うん?それって...真菰も逆行者だったりとかするのかな?....もしかしたら、錆兎も.......。
「炭治郎.....。もしかして、鱗滝さんも...真菰も錆兎も前世のことを知っているの?」
「ああ....。鱗滝さんも錆兎も真菰も二年前の.....俺達がここに来る何日か前に記憶が戻ったらしい...。」
あー。......つまり、錆兎と真菰が前世の記憶を思い出したのは亡くなった後のことだったのね....。
「.....彩花は俺達の話を信じてくれるのか?」
うん?....そうか。普通は前世の記憶のことを話しても...それを信じると言うとね.......。
「炭治郎が嘘をつけないのは分かっているし、前世の記憶が存在するのは分かっているからね。」
「えっ?」
炭治郎と禰豆子は私を信じて話してくれた...。それなら、私も炭治郎と禰豆子を信じて話しておかないとね......。
「炭治郎...。禰豆子....。実は、私も前世の記憶を持っているの.....。でも、炭治郎と禰豆子とは少し違うの。」
「!?前世の記憶を!!?」
「ちがうって?」
「私は令和という時代の....今から百年以上先の時代で生きた記憶があるの。」
「令和?....百年後!?」
私は自分にも前世の記憶があることを話した。炭治郎達が前世のことを話したのに、私は話さないなんて不公平でしょ!まあ。でも...漫画で知ったということは話さないでおこう.......。自分の人生が誰かによって作られたものだというのは嫌だし...腹立だしいよね........。今は私の話に困惑しているから、それどころの話ではなさそうだしね。
「私にとっては御伽話のようなものだったから...実際にこの世界に転生して、初めは本当にびっくりしたよ。」
私は生まれた時とここが鬼滅の刃の世界だと分かった時のことを思い出しながら笑ってそう話した。
嘘は言ってない。御伽話=漫画だからね。
「......彩花は未来から転生してきたのか.....?」
「....うん...。そうなるね.....。私のいた世界には過去に大正という時代があったから...。」
これも嘘ではない。実際に大正時代はあった。
「鬼のことも確かに村でお年寄りから聞いた話で知ったのもあるけど.....御伽話を読んでいたから、ある程度知っているのもあるよ。......黙っててごめんね。話しても信じられない話だし、未来のことを話して歴史を変えたくなかったから話せなかったの。でも、炭治郎達が話してくれたのだから、私も話しておこうと思ってね....。だけど、私のいた未来のことは聞かないでね。未来のことを話して歴史やその未来が変わってしまうのはちょっとね.....。」
私の話を区切りに、...炭治郎も禰豆子も黙ってしまった.....。
....どうしよう...。この際にと思い切って話したけど.......やっぱりまずかったかな......。
「...彩花。一つだけ未来の話を聞いていいか?」
「えっ!?.......いいよ。」
「ありがとう。....彩花のいた未来では...鬼はいないのか?」
あっ。....そうだよね......。炭治郎達にとって、未来では鬼がいないのかどうかというのが.....一番気になることだよね.......。
「.....私の知った限りでは鬼はいないよ。鬼はもういないって書いてあったからね....。」
「.......そうか...。」
私の話に炭治郎は少し嬉しそうな様子だ。
私の話は嘘ということではない。私のいた世界では鬼はいないからね。それに、私の知る限りだと....最後の戦いが終わってからの話が鬼のいない世界っていうタイトルだったはずだから、鬼はいなくなったはずだ。.........と言っても、私は最終話を見ていないから、もう鬼がいないっていうことが確定していないのよね......。...なんで私は最終話を見ていなかったのだろう.....。いや、最終話を見る前に亡くなっちゃったからね.......。
「彩花....。話してくれてありがとう......。」
「ううん。こっちこそ、私に話してくれてありがとうね。」
炭治郎の言葉に私はそう言った。
私はともかく.....炭治郎と禰豆子は仲間に裏切られた辛い記憶なのに私に話してくれた。話してくれた炭治郎と禰豆子に感謝したいくらいだよ....。私は少し誤魔化しているところがあるから罪悪感が.......。それに、その話を聞いてやっと分かったよ...。明らかに原作と変わっているっていうことがね....はっきりと分かったよ!
「持っている記憶は違うけど、同じ前世の記憶を持つ者同士、一緒に頑張ろうね。」
「ああ。.....それと....彩花。草笛を吹いてくれないか?なんかまた見そうなんだ......。」
「うん。いいよ。」
私は炭治郎の頼みを快く引き受けた。実は、炭治郎は初めて会った時から時々悪夢見ていた。最初は熱が出ていたから、高熱の影響かなと思っていたのだけど、修行中も悪夢を見るので、これは別に原因があるなあと思っていた。何故炭治郎の寝る前に草笛を吹いているのかというと、初めて会った時に眠れないのなら気分転換にと私が草笛を吹いたことがあったんだけど......その時は悪夢を見なかったらしいの。それで、もしかしたらと思った炭治郎に悪夢を見て苦しんでいる時に草笛を吹いてくれと頼まれて草笛を吹いてみたら、炭治郎は落ち着いた寝ていたの。それ以来、炭治郎は私の草笛を積極的に聞きたがるようになった。本当に音って凄いよね...。
あと、悪夢の件はおそらく前世の時の亡くなる前のことを見ているのではないかと私は思っている。悪夢を見る時に、炭治郎はどうしてと言いながら涙を流して苦しんでいるので、先程聞いた前世の話と一致しているところがある。
「今日は......紅蓮華にしようかな....?」
「うん。その曲が、いい!」
「はいはい。」
私は戸からちょうど取れる場所にある葉っぱを取って、葉っぱを折りながら紅蓮華を吹こうかと言うと、禰豆子は楽しそうにそう言った。紅蓮華も何度も吹いていたんだよね......。結構難しかったけど.....。まあ。それは置いといて、炭治郎から聞いた前世の話に戻すのだけど..........
明らかに原作崩壊しているよね!本当にこの世界で一体何が起きているの!!前世の記憶とか....私、原作の皆さんが逆行した世界に来ちゃったの!もう!私は完全な部外者だし、鬼滅の刃の世界に転生したと分かった時は何でって思ったけど...原作の皆さんが逆行した世界って.....もはや私、転生する世界を間違っていませんか!って思うくらいだよ!
思った以上に原作崩壊し過ぎているこの世界に、私はどうしてこの世界に転生しているのかなと思った。でも、早く吹いてと言っているみたいに目を輝かす禰豆子とそれを笑って見ている炭治郎を見て、叫び出したいほどの気持ちもだんだん落ち着いてきた。
........たとえ、どんな世界でもこの世界で私は生きると決めた。それに、嫌だとか間違っていませんかとか言っても変わるわけない。どんな世界でも、私はしっかり生きて行くよ。
私はそう心に誓い、草笛を吹き始めた。