笹の葉の少女は幸せを願う   作:日々草

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笹の葉の少女は協力者を見つけた

「ここだ。」

 

 

私達は兪史郎さんに言われた行き止まりの場所の壁を通って、珠世さんと兪史郎さんの屋敷に着いた。

 

.....正直に言うと、壁を擦り抜けるって変な感じがした。でも....何か壁を擦り抜けたら違う場所にいるって、御伽話のようで少し心が躍った。

 

 

「いいか!あの方の失礼にならないようにしろ!特に、お前はな!炭治郎達はともかく、お前のことはどうでもいいんだ。それをあの方がどうしてもと言うから。」

「ははは.....。はい。」

 

 

兪史郎さんは私に対しては凄く厳しい。まあ、炭治郎と禰豆子は前世の時から仲は悪くなかったけど、前世の鬼殺隊でのことで炭治郎達以外の人間に関しては信頼できなくなっているよね...。お陰様で.....私に対する信頼は底辺レベルになっているよね.......。

 

私は内心嘆きながらも苦笑いして返事することしかできなく、私達は兪史郎さんに案内されて屋敷の中に入り、珠世さんがいる部屋の前まで来た。兪史郎さんが扉の前で止まり、扉をノックした。

 

 

「どうぞ。」

「只今戻りました。」

「お帰りなさい。」

 

 

珠世さんの声が聞こえ、兪史郎さんは扉を開けて挨拶した。その様子を見た後、珠世さんは微笑んでそう言った。

 

 

「お任せしてすみません。」

「この方は無事ですよ。貴女の的確な処置のおかげで大事にはなりませんでした。」

「い、いえ...。滅相もありません。私は薬を染み込ませた布を渡しただけです。」

 

 

珠世さんの言葉に私は首を勢いよく横に振って否定した。

 

 

「そんなことはありませんよ。怪我の処置が的確だったこともありますが、それよりも....その薬が良かったのだと思います。」

「い、いえいえ。そんな......。」

「本当です。こんなに効能の良い薬ができるなんて.....これを貴女が?」

「はい。私が調合した物です。これでも、二年前までは薬屋をしていたので...。」

 

 

珠世さんの言葉に私はまた首を横に振るが、珠世さんにはっきりと言われ、私は薬のことを話し始めた。

 

まさか私の薬を褒められるとは思わなかったよ.....。それにしても、珠世さんに褒められるなんて.......凄く嬉しい!嬉し過ぎます!

 

 

「以前されていた薬屋さんは...。」

「二年前に鬼に家を壊されたから、炭治郎達について行くことにしたのです。それに、私が暮らしていた近くの村から医者になった人がいて、その人が村に病院を建てると聞き、私はもう薬屋をする必要がないと思って止めることにしたというのもあります。」

「ご家族は....鬼に...。」

「いえ、違います!私の両親は七年前に病気で亡くなっていますので、鬼の仕業ではありません。親戚はいないので、私一人で患者を診て薬を売りながら生活していました。ですので、私以外に住んでいる人はいず、ただ鬼に家を壊されただけです。あっ!その時、炭治郎も禰豆子もいましたけど、私も炭治郎も禰豆子も外にいたから無事でした。」

「はい。そうです。」

 

 

珠世さんの質問に答えていくうちに、何故か自身の過去の話になり始め、炭治郎と禰豆子が話に出てきたところで炭治郎も話に参加して......結果、これまでのことを全て話すこととなった。

 

 

「.....そうですか......。炭治郎さんも...禰豆子さんも....大変だったのですね...。」

 

 

私と炭治郎から話を聞いた珠世さんはそう言って禰豆子を抱きしめていた。

 

....結局、全て話すことになってしまった。.....私が前世の記憶を持っていて...それも未来の記憶だということも....。えっ?炭治郎に頼んで誤魔化せばいいんじゃないかって?.......無理ですね。炭治郎は嘘をつくと変顔になるし....そう言う私も嘘がバレやすい。私も何故バレるかよく分からないけど.....前世の友達と嘘つきゲームをしても、私はすぐにバレる。何で分かるのかと聞くと、出ているから分かりやすいと言われた...。何が出ているのかは今も分からない........。

 

 

「彩花さんも....八歳で一人になるなんて大変でしたでしょう...。」

「い、いえ。精神が二十六歳だったので、八歳の身体で働くは大変でしたが、暮らしてはいけました。」

「たとえ精神が大人であったとしても、凄いことですよ。」

 

 

私の中身が大人だと知っても、珠世さんはそう言ってくれた。

 

 

「彩花さんは幼い頃から薬を作っていたのですよね?その薬の作り方はご両親に教わったのですか?」

「はい。薬の作り方や薬草について教わり、その知識を使って薬屋を始めました。それからしばらくして、私は少し調合を変えてみたり、効果を良くするために色々してみたり.....とにかくアレンジを加えていました。」

「....アレンジ?」

「あー。......未来にはある言葉です。新しく構成し直すという意味を持っています。」

 

 

珠世さんの質問に答えるために私がそう言うと、私のアレンジという言葉が分からず、炭治郎も禰豆子も珠世さんも首を傾げていたが、私が意味を伝えると理解してくれた。ちなみに、兪史郎さんは珠世さんのことを先程からずっと見ていた。その心の中の声は珠世さんを絶賛しているのだと大体予想できるので、無視することにした。

 

 

「貴女の才能は素晴らしいと思いますよ。周りの皆さんは何と言っていましたか?」

「......うーん....。...両親は天才だって褒めていたし、周りの皆さんも良く効くと褒めてくれるので、私は嬉しかったです.....。ただ....村の人達に毒を作る時は気をつけろってよく言われていました。」

「.......村の皆さんは気づいていたようですね...。」

 

 

えっ?.....何か気づいたの?珠世さんが苦笑いしていて、兪史郎さんは......何か呆れられたような目でこっちを見てくるのですが.....?...お父さんもお母さんも村の人達も何故か大袈裟なだけであって、そこまでの効力はありませんから.....。

 

 

「....ところで、あの男性はどうなさいましたか?」

「......気の毒ですが...拘束して地下牢に入れています。」

「.....そうですか......。」

 

 

私は話題を変えるためにそう質問し、珠世さんの話を聞いて思った。

 

そういえばこれは原作通りだけど...前世の記憶を持っているのなら、すぐに人間に戻せるのでは.....?

 

 

「それでは、話の続きを始めましょうか?」

「はい。」

 

 

珠世さんの言葉で話は元に戻った。珠世さんが話してくれたのは、原作で炭治郎に話したものと同じような話だった。珠世さん達のことを話しているなか、私はあれ?と思った。それは兪史郎さんが静かだったからだ。原作では炭治郎を殴ったり叩いたりしてはずだが....ああ!炭治郎があまり喋らないからか!.....まあ、炭治郎もこの話は二度目だから、何も言わないよね.....。私も原作で話の内容は既に知っているし、あんまり動揺としないと思うから兪史郎さんに何もされなくて済みそう....。

 

 

「二百年間で鬼にできたのは、兪史郎ただ一人です。」

「いえ。充分凄いことだと思います。」

 

 

私はこの話には思わずそう言った。

 

珠世さんに長生きしているのですねとは言わず....というより、下手にして兪史郎さんの怒りをかいたくないので...。あと、私のこの言葉は紛れもなく前世の時から思った言葉だ。本当に充分過ぎるくらい凄いと思うよ!だって、人を鬼に変えるなんて.....本来は普通にできないことだ。それを一回でも...長い時間がかかっても凄いと思うよ。

 

 

「鬼を人間に戻す方法はあります。」

 

 

珠世さんの話が鬼を人間に戻す方法についての話になり、私はその話に無言で頷いた。遂に来た.....。

 

 

「それで、炭治郎さんと彩花さんにお願いしたいことがあります。鬼を人間に戻す薬を作るにはたくさんの鬼の血を調べる必要があります。前世の記憶があるとはいえ、前世と今世が同じ物で人間に戻すことができるかどうかは確信もありませんので、もう一度調べ直した方が良いと思ってます。お願いしたいことは二つ。一つ、禰豆子さんの血を調べさせてほしい。二つ、できる限り鬼舞辻の血が濃い鬼からも血を採取してほしい。炭治郎さんには二度目ですが....。」

 

 

珠世さんの頼みを聞き、私は二周目でも鬼の血を集める必要があるのねと呑気に考えていた。

 

 

「彩花さん。どんな傷にも病にも必ず治療法があるのです。鬼を人に戻す薬は今はありませんが......必ずできます。」

「......私もそれは確信しています。...私はあまり関わったことがないのですが、未来でも新たな病気が発見されると、治療法を見つけようと頑張っている人達がいます。その人達は時間をかけていますが、必ず治療法を見つけているので、鬼を人間に戻す方法は必ずあると思います。」

 

 

珠世さんの言葉を聞き、私は自身の前世の世界のことを思い出していた。それと同時に、私自身に対しての悔しさがあった。

 

 

「....彩花、どうしたんだ?」

 

 

炭治郎の鼻はそのことをすぐに嗅ぎ取ったようだ。流石ですね.....。

 

 

「いや......。珠世さんは凄いな.....と思っただけです。私は鬼を人間に戻す薬があったことを知っていたのに...私に作るのは無理だと何もしていないのに.....諦めちゃった......。それで、その薬を作ろうとしている珠世さんを見て、私は...私自身のことが凄く情けないって思って.......。」

 

 

私はそう言いながら後悔していた。あんまり変なことを言わないようにしていて...少し途切れ途切れのようになりながらの説明だったが......。.....鬼を人間に戻す薬を作るのは私には無理だと思っていた。それで私は勝手に諦めた。まだ何もやってもいないのに.....珠世さんにしか作ることができないんだと思って、珠世さんに任せていた。でも....そんなの自分が勝手に無理だと決めて、勝手に諦めて勝手に任せてしまった。......そんな私自身が凄く情けなく感じる......。

 

 

「.....彩花は鬼を人間に戻すことについてどう思うんだ?」

「どうって....人間を鬼にすることができるのなら、鬼を人間に戻すことだってできるはずだと読み始めた時から思っていたの。それなのに.......。私なんかより他の人がやってくれるって思って....。」

 

 

炭治郎の質問に私はそう答えた後、また自分が情けなく感じた。

 

珠世さんと話して、やっと気づけたなんて...遅すぎるな.....私は。

 

 

「それなら良かった。」

「.....えっ?」

 

 

炭治郎のその言葉に私は驚いて炭治郎を見た。

 

良かったって?

 

 

「鬼を人間に戻すことができるって思っているんだろう?他の人ならできると思っていたなら、彩花も作れるように一緒に頑張ろう。」

 

 

炭治郎の真っ直ぐな視線に私は少しほっとした。

 

人間不信になった炭治郎を見て、私は心のどこかで原作とは別の人物になったのではと思うことがあった。......でも....それでもこの旅に付き合おうと思ってたけど、炭治郎が変わってしまったということは悲しかった.....。だけど、炭治郎の真っ直ぐな視線を見て、...原作の炭治郎と重なって....炭治郎は変わってないんだと感じられて、ほっとしたのだ。それと、炭治郎に責められずに一緒に頑張ろうと言われて、少し嬉しさもあった。

 

 

「.........うん。」

 

 

私は色々な感情が混じりながらも炭治郎の言葉にしっかり頷いた。

 

 

「......炭治郎さんはもう分かっていると思いますが、もう一つの願いは過酷なものになる。鬼舞辻の血が濃い鬼とは....鬼舞辻により近い強さを持つということです。そのような鬼から血を採取するということはとても容易ではありません。それでも、この願いを聞いてくれますか?」

 

 

珠世さんがそう聞いてきた。私も...おそらく炭治郎もその答えは決まっている。

 

 

「やります!」

「私もです!協力させてください!」

 

 

炭治郎と私の答えに珠世さんは笑った。それを見て、私は見惚れそうになったが、兪史郎さんに睨まれて姿勢を正した。

 

 

珠世さん....失礼ですけど、その笑顔を普通に向けないでください!私は兪史郎さんではないけど...美しすぎます!......って、叫びそうになったよ...。

 

 

「伏せろ!」

 

 

そんなことを考えている間に、どうやら兪史郎さんの術が破られたらしく、兪史郎さんが大声で叫んだ。すると、鞠が壁を突き破って現れ、屋敷を壊していく。兪史郎さんは珠世さんを、炭治郎は禰豆子と私を庇った。

 

 

......なんか....二年前の家を壊された時のことを思いますな...って、あの時のことはもう吹っ切れているし、今はそれどころじゃないよね.....。

 

 

壁が音を立てて崩れ、崩れた壁から屋敷の外が見えた。

 

 

「ふはっはっはっ!矢琶羽の言う通りじゃ!何もなかった場所に建物が現れた。」

「巧妙に物を隠す血鬼術を使われていたようだ。」

 

 

外に二人の鬼がいた。珠世さんと兪史郎さんの屋敷を襲ってきたということは......手鞠を使う鬼と矢印を使う鬼.....朱紗丸と矢巴羽ね.......。

 

 

「それにしても、朱紗丸........お前はやることが幼いというか....短絡というか.....汚れたぞ!お前の鞠で舞った散りで汚れた。ちっ!」

「うるさいのう。鞠のおかげですぐに見つかったのだからいいだろう。たくさん遊べるしのう!」

「ちっ!またしても汚れたぞ。」

「神経質めが。着物は汚れてなどおらぬわ。」

 

 

........仲良さそうですね.....。

 

 

「彩花!さっきの奥さんを地下に連れて行ってくれないか?」

「分かった!」

「禰豆子!あの矢印の鬼を頼む!」

「任せて!」

 

 

炭治郎の言葉を聞き、禰豆子は炭治郎と一緒に外に出て、私は眠っている奥さんを連れて地下に向かった。

 

炭治郎と禰豆子......あと、珠世さんも兪史郎さんも二周目だからか....何をすればいいか分かっているな...。私も早く戻って加勢しないと......って、あれ?

 

 

私は奥さんを背負って走りながらある事に気づいた。

 

炭治郎と禰豆子は二周目だから、原作と違って苦戦しないよね.....。鬼の戦い方も分かっていると思うし....。.........私が来なくてもすぐに倒せるんじゃない......?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

案の定.......私が戻ってきた時には全てが終わっていた。...いや。正確に言うと、炭治郎は矢琶羽の頸を斬っていて、禰豆子は朱紗丸をボコボコにしていたところだった.....。もう一度...今度は禰豆子のところを詳しく話します。禰豆子が朱紗丸をボコボコにして泣かせていたところでした....。.....本当に朱紗丸が可哀想だと思うくらいだったよ...。だから......私がそろそろ頸を斬るねと言って、私が朱紗丸の頸を斬りました....。本当に可哀想だったので、華ノ舞いの日車を使いましたよ。そしたら、朱紗丸は頸を斬られた時、まるで解放されたかのように涙を流していた。なんかごめんね....。

 

 

「お前、容赦なくなったな......。」

 

 

禰豆子にそう言って引く兪史郎さんを見て、私は心の中で同意した。ちなみに、珠世さんは朱紗丸の体に注射器を打ち、血を採取していた。

 

禰豆子の行動に関しては兪史郎さんの言葉に同意します...。私もたまに....あれ?禰豆子ってこんなに容赦なく戦ったっけ?って思ったもん。禰豆子、二周目から妙に鬼に対して容赦がなくなったのよね.....。いや、人にもか....。もしかしたら、炭治郎を守るために敵には容赦なく攻撃するようになったのかな?

 

 

そんなことを考えていたが、矢巴羽を倒し終えて戻ってきた炭治郎に抱きつく禰豆子の姿を見て、唯一、炭治郎が見ていなかったことが幸いだったかな?とそんなことを思うことにした。

 

 

「......ま....り......。あそ...ぼ....。」

 

 

その声が聞こえ、私は頸を斬られた朱紗丸を見た。少し遠くに鞠が転がっていることに気がついて、私はその鞠を近くに持っていった。

 

 

「はい。鞠だよ。あの世でたくさん遊んでもらってね.....。」

 

 

私はそう声をかけて立ち上がった。

 

 

「......お前は甘いな....。」

「わっ!?」

 

 

いつの間にか兪史郎さんが隣にいた。全然気がつかなかった....。

 

 

「この鬼は人をたくさん食った。それでも、同情するのか?」

 

 

兪史郎さんの質問を聞き、私は納得した。兪史郎さんには不思議としか思えないのだろう...。鬼にそんな感情を抱く私のことが....。

 

 

「......私はそれが同情しなくていいと言う理由だと思えないよ。確かにこの鬼はたくさん罪を犯したよ。.....でも、死ぬ最期くらいはいいじゃない。幸せになれる来世を願ってもいいじゃない。罪を犯しても次はそうならないようにと私は願うよ。踏みつけていいものじゃないから。...私は鬼も人間も.......罪を犯しても....それでも救われてほしい.....。たとえ、今が駄目でも....未来か来世で.....いつか必ず....。...甘いと言われても.....偽善者だと言われても...それが私だから。」

 

 

私の言葉に兪史郎さんは何も言わなかった。今の私の話は嘘ではない。前世の時から....私が鬼滅の刃を読んだ時から思っていた。死んでいく登場人物にも頸を斬られて亡くなる鬼にも私は同情していた。甘いのかもしれないけど......これが私だから....私は自分の意志を貫きたい!

 

 

「....そろそろ日が昇るから戻ろう。」

 

 

空が少し明るくなってきたのを見て、私は兪史郎さんにそう言った。兪史郎さんは鬼だから、日の光を浴びちゃ駄目だもんね。

 

 

「おい!」

 

 

私が珠世さんの屋敷に戻ろうとすると、兪史郎さんが声をかけてきた。私は何だろうと思いながら振り向いた。しかし、兪史郎さんは私の方を見ないで横を向いたままだった。どうしたのだろう.......?

 

 

「...お前は....醜女じゃないよ......。」

 

 

横を向いたまま言う兪史郎さんに私は思わず顔をほこらばせた。

 

 

「...ありがとうね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兪史郎さんと話した後、私達は日の光が当たらないように地下室に入った。

 

 

「.....それでは、俺達はそろそろ行きますね。」

「こちらも屋敷が見つかってしまったので、また新たな拠点を探します。」

 

 

私達も珠世さんもそれぞれにここを旅立つ準備をしていた。

 

 

「....あの。炭治郎さん。彩花さん。私達と一緒に行動しませんか?」

「「えっ?」」

「炭治郎さんも彩花さんも鬼殺隊に所属していないようですので、これからのことを考えると、私達と行動した方がいいと思うのです。」

 

 

珠世さんの申し出に私は確かに一理あると思った。これから先、大怪我を負ったとして、しばらくの間はどこかで休まないといけない。だが...そうなると、人がいっぱいいる宿に泊まらないといけなくなるので、炭治郎と禰豆子がそこでしっかり休むことができるか心配なんだよね....。だから、休憩できる時にしっかり休憩できる場所がほしいよね.......。

 

 

....まあ。私からすると、珠世さんと行動することには賛成かな。私達に利点はあるし......。....ただ、問題は炭治郎と禰豆子がどう思っているからかな...?いや.....そもそも兪史郎さんが許可するかな?

 

私がそう思って兪史郎さんの方を見た。すると、兪史郎さんは私の視線に気づいたらしく....

 

 

「.....別に構わない。」

 

 

予想外にも兪史郎さんは反対しなかった。私は声に出さずにありがとうと口だけを動かした。そして、私が勇気を振り絞って炭治郎と禰豆子に聞こうとしたのと....炭治郎が振り向くのは同時だった。どうやら同じことを考えたようだ。

 

 

「.....彩花はどう思う?」

「...私は一緒に行動した方がいいかな.....。三人でこのまま宛もなく、ただ鬼の頸を斬り続ける旅を....いつまでも続けられるとは思えないよ。だから、珠世さん達と協力し合った方がいいと思う。」

「俺もそう思うよ。珠世さんと兪史郎さんは信じられる人だから。」

「一緒!」

 

 

互いに同じタイミングだったことに困惑したが、言いたいことを言えたことは...聞きたいことを聞けたことは良かったと思う。珠世さんと兪史郎さんと一緒に行動するのは私も炭治郎も禰豆子も賛成のようだ。

 

 

「よろしくお願いします!」

「私達も頑張りますので!」

「がんばる!」

 

 

私達の言葉を聞いて、珠世さんは笑っていた。話も終わり、私達は先にここを出ることにし、禰豆子は私達の前を走り、炭治郎が禰豆子の後を追いかける。私も炭治郎の後を追おうとした時......

 

 

「...少し待ってくれませんか?」

 

 

珠世さんに声をかけられ、私は立ち止まった。

 

 

「彩花さんは鬼である私達のことをどう思っていますか?人であろうとも鬼であろうとも罪を犯そうとも同情すると貴女は言いました。貴女は私達に同情していますか?」

 

 

珠世さんの言葉に私は驚いた。珠世さんがあの時の私の話を聞いていたなんて....思ってもみなかったからだ...。

 

 

「....言っておきますけど.....私は人であろうとも鬼であろうとも罪を犯そうとも同情すると言いましたが、私が同情するのは人が罪を犯してそれを嘆いている時とその人が犯した罪の罰を受けた時とその人が死ぬ時の三つだけですよ。鬼であること自体に同情しませんよ。」

 

 

....しかし、訂正はしておこう...。私は鬼であること自体に同情しているわけではない.....。それに....

 

 

「私は珠世さん達に同情はしているとは思っていませんよ。...何より、私は禰豆子のことを普通の可愛い女の子だと思っています。それは偽りもない本心です。勿論、私は珠世さんも兪史郎さんも普通の女性と男性だと思っています。」

 

 

私は禰豆子や珠世さんや兪史郎さんを同情や哀れなどとは思ってない。むしろ、私には禰豆子も珠世さんも兪史郎さんも普通の人間に見える。これは私が原作を読んだ時から思っていることだ。

 

 

「.........。」

「...あの。そろそろ行きますね。炭治郎と禰豆子を待たせてしまうので......。」

「彩花さん。」

 

 

私は炭治郎と禰豆子の後を追うために珠世さんと兪史郎さんに声をかけて行こうとするが、再び珠世さんに声をかけられ、また足を止めた。

 

 

「何でしょうか?」

「.....住む場所が見つかったらお教えします。どうかお気をつけて。」

 

 

私が聞くと、珠世さんはそう言った。その時、私は珠世さんの目に涙の痕があることに気づき、泣かせてしまったのかと慌てたが、原作で見た珠世さんの過去のことを思い出して納得した。

 

私は普通の女性と男性に見えると言った....人間に見えると私に言われたことがとても嬉しかったのかもしれない。

 

 

「はい!」

 

 

私は珠世さんの言葉にそうはっきり返事をして炭治郎と禰豆子に追いつくために走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

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