「....それで、カナヲの相談というのは主に炭治郎達関連の話だよね?」
「うん......」
カナヲの相談に乗ることを決めた私は単刀直入にそう聞くと、カナヲは暗い顔をして頷いた。
やっぱり今のカナヲが悩むとしたら炭治郎達のことだろうとは思っていたけど.....どう助言すればいいのかな?カナヲが炭治郎達のことをどう思っているか具体的には分からない。冨岡さんは自分の思っていることをほとんど話してくれたから、私も話しやすかったんだよね....。...カナヲが今、どう思っているのかをもう少し知ることができたら、私も意見を出しやすいのだけど.........。
「カナヲ。とりあえず今の気持ちを頑張って口に出してくれる?まずはそこからだね」
「.....え、えーと...」
「少し難しいかな。例えば自分はあの時のことをどう思ったとか、自分はどうしたかったかとか、自分自身が今、思っていることを率直に言えばいいよ」
私はカナヲの思いを詳しく知るためにそう聞くと、カナヲは少し困っていた。私はすぐに何を聞いているのか分かりにくいのだろうか、それとも言葉に出しにくいのだろうかと思って、いくつかの例を挙げてみた。これでカナヲも少し話しやすくなったのかな。
「......私は....戦いが終わって、怪我をしていても戦ってくれた炭治郎に何をしなかった」
「うん......」
「私は見ていた。水柱様達みたいに炭治郎を殴ったり刀で斬ったりはしていなかったけど、何も言わないで見ていた。戦いで既に怪我をしていた炭治郎がさらにボロボロになっていくところを冷たい目で見ていた」
「..........うん....」
「炭治郎を庇った禰豆子にもどうして庇っているのって聞くだけだった。終わった時、私は後悔した。あの時、どうしてあんなことをしたのか私も分からない」
カナヲは私の例えを聞いて何を言えばいいのか分かったらしく、静かに話し始めた。おそらく自身の気持ちを言葉にしようとするのが難しいのか、あの時のことを思い出して話していた。私はそれに何も言わず、相槌を打ちながらカナヲの話に耳を傾けていた。
「炭治郎は私に言ってくれた。私は炭治郎のおかげで心のままに生きれるようになったのに...私は.....」
「.........」
カナヲの声が少し震えてきている。私はそれに気づいて何かを言おうと思ったが、カナヲが必死に言葉にしようとしている様子を見て、今は遮ってはいけない、邪魔しちゃダメだなと思い、何も言わずにカナヲが話すのを待った。ただ何も言わないが、放っておくことはできなかったので、励ますように背中を優しく撫でた。
「.......私は、炭治郎にも禰豆子にも色々なものをもらったのに....私は...何もしないで......助けようともしないで.....」
「....そんなに焦らなくていいよ。無理やり気持ちを吐き出そうとしなくていいから、一旦落ち着こう」
「私は.....私は...どうして.......あの時、炭治郎を忘れたの......」
「..........そう、だね...」
話を続ければ続くほどカナヲの声が震え、目からは涙が溢れて手に落ちる。私はカナヲの泣いている姿を見て、このまま気持ちを無理に吐き出させてもカナヲが辛くなるだけだから落ち着かせようと思い、優しく声をかけたが、カナヲはそれどころではないらしく、泣きながら後悔の言葉を呟いていた。私はそれを聞いて、どう対応すればいいのか悩んだ。
ここまでの話を聞くと、カナヲは炭治郎と禰豆子のことをずっと後悔しているのが良く分かる。あの時のことを忘れないで....忘れた日なんて一度もないくらいに......。
...話をまとめるとこうだろう。あの時、カナヲは何もしなかった。炭治郎を傷つけることはしなかったが、助けることすらしなかった。炭治郎が死んでいく姿を黙って見ているだけだった。自分の心を開花させてくれた炭治郎に、自分は炭治郎が大変な時に何もしてあげられなかった。カナヲはそれがとても辛いことなのだろう。カナヲはあの時のことを強く後悔している。そして、カナヲはあの時の自分を許せないと思うと同時に疑問を抱いているのだろう。
疑問を抱いているのはあの時の自分に起きたことなのは分かっている。あの時の自分に起きたことを私や炭治郎も含めて誰もが何故なのかと思っている。炭治郎のことをカナヲ達が忘れたこと、あれの謎が解けていない。どうして炭治郎のことを忘れるというようなことが起きたのか、誰もはっきり分かっていない。
私もそれに関して可笑しいと思っているが、それに捉われすぎて......いや、カナヲがあの時のことに疑問を抱いているのは私が原因か。そもそも私があの時の炭治郎を忘れたことに血鬼術が何か関係しているのではないかと言ってしまったのが原因だよね。きっと元からあの時に起きたことを気にしていたうえに、私もそう言ったことでさらに気にしてしまい、カナヲはあの時に何が起きたのかを考え、悩み苦しんでしまったのだろう。
.....しのぶさんに出会った時、善逸達が炭治郎のことを忘れた原因についてどう思っているのか、血鬼術の可能性はあるのかを知りたかったのだけど、いらない言葉だったみたいね...。私が余計なことを言ったせいで、さらに悩ませてしまったね....。これは責任を持って、この悩みが少しでも解決できるように手助けしないと........。
「....カナヲ、これで涙を拭いて。落ち着いたら少し深呼吸しようか」
「..........うん」
私はカナヲを落ち着かせることを優先した。このまま話しても話の内容が頭の中に入ってこないだろうから、きちんと話し合う前に互いに落ち着いていないとね。私は常備していた手拭いをカナヲに渡し、落ち着くまでの間、カナヲの背中を優しく撫で摩っていた。しばらく経ち、カナヲは落ち着いてきたらしく、私の言った通り深く息を吸って吐くを繰り返した。
....うん。少し乱れていた呼吸が大分安定してきたね。
「落ち着いた?」
「.....うん」
「そう。良かった」
私が確認するとカナヲは頷いたので、本当に落ち着くことができたようだ。私はそれに安堵しながら次は何を話すべきかを考えた。いや、何を話そうかの前に、質問の仕方を変えてみようかな。
「カナヲは炭治郎と禰豆子に会えたら、まずは何をしたいの?」
「....何をって.....会ったらすぐに謝りたい」
「...うん、分かっているね。それで良いと思うよ」
私は色々考えながらも会った時に炭治郎達に何をしたいのかと聞き、カナヲはそれに戸惑いながらもそう言った。私はそれを聞いて、分かっているなら良かったと思った。
カナヲは最初に何をするべきなのかを分かっている。ちゃんと理解している。何が原因でもどんなことをしても、最初に相手に謝ることからやらないと何も始まらないからね。
「でも!.....彩花はそう言うけど、良くないと思うよ。だって、私がやったことは....炭治郎に許されないよ...」
「一番最初に謝らないといけないのは分かっているのでしょ。謝罪は許されるためにする行動だけど、必ず許されるからするという行動ではない。そもそも自分の過ちを認めなければそれは形だけの謝罪で、本当の謝罪ではないと思っているよ。最初の一歩が大事なのだから自分のした過ちを認めて、一番始めにしなければならないことが何かしっかり理解している。それが分かっているのなら、その通りに動いていいんじゃない」
「いや、私がそんなことを言っても.....」
否定するカナヲに私は最初に何をしないといけないのか分かっているのだから、その行動をした方がいいと自分の意見を言った。しかし、カナヲは自分がそんなことをして、本当に良いのかと思って否定する。
まあ。私も同じようなことが起きたら、謝るべきなのは分かっているけど、私に会って謝られても迷惑なだけなんじゃないかと思うよ。でも.....
「冨岡さんにも言ったけど、許されるか許されないかはともかく、自分が後悔しない方を選んだらいいと思うよ」
「後悔しない方を.......」
「今のままだと、きっと後悔すると思うよ。カナヲも....炭治郎も.....」
「えっ!?た、炭治郎も!?」
私は正直に自分の思ったことを伝えた。カナヲが私の言葉に少し反応したのを見て、私は少し悩んだが、炭治郎の名前を出した。カナヲは炭治郎の名前が出てきたことに驚いていた。
これは個人的な意見なのだけど、私が同じ立場で謝らなかったら、ずっと後悔して引きずると思う。相手には悪いと思うけど、本当に会いたくないかどうかはその相手本人じゃないと分からないし、それなら相手がどう思っているのか怖くても、行動した方もいいと思う。
....それと、私が炭治郎もと言っているのには驚きだよね。だけど、こっちにもちょっと理由があるんだよね。
「うん......。.....前に話したでしょ、炭治郎のこと。対人恐怖症と心的外傷のこと、覚えている?」
「う、うん。覚えているよ」
「その治療法は話していなかったよね。実はその治療法が関係しているの」
「えっ!?どうして....」
私は炭治郎もと先に言いながらもそのことを詳しく話すかどうか少し迷ったが、カナヲに話すことにした。私は話す前にカナヲに那田蜘蛛山で話したことを覚えているか確認し、カナヲはそれに頷いた。
炭治郎のことを聞いて衝撃的な様子だったので、覚えているとは思うけど、これから話す内容に重要だから確認はしておかないとね。私はカナヲが頷いたのを見た後、あの時の会話を思い出しながら最初に何を話すべきか考えて言った。カナヲは私の話に驚いた。
まあ、その反応は最もだよね。このことが治療法と関係しているといきなり言われても、困惑するのが当然の反応だと私も思うから。
私はそう思いながら説明しようと口を開いた。
「対人恐怖症と心的外傷は薬とかで抑えてもその効果は一時的なもので、完全に治ったことにはならないの。対人恐怖症と心的外傷は心の病気。だから、その治療法は病気の原因である出来事を乗り越えないといけないの」
「それって......!」
「そう。カナヲの想像通り、治療法は炭治郎があの時のことを克服することなの。だから、私は炭治郎にそのことを話したんだ。と言っても、話したのはこの前。無限列車の....煉獄さん達と会った後のことなんだけどね....」
私が対人恐怖症と心的外傷の治療法について話すと、カナヲはその治療法が何なのか気づいたようだ。それで、カナヲは悟った様子で私の方を見た。私はカナヲの様子を見て頷き、続きを話し始めた。そして、炭治郎に話したその時のことを思い出しながら。
「ねえ、炭治郎」
「彩花、どうしたんだ?」
あれは無限列車の戦いが終わってからのこと。私達が珠世さんの家にお邪魔していた時だった。私と炭治郎は珠世さんの家の中の居間のようなところで禰豆子達を待っていた。禰豆子は鬼を人間に戻す薬のために珠世さんに血の検査をしてもらっているので、今はいない。珠世さんは検査でいないし、兪史郎さんも珠世さんについて行っているのからいない。ちなみに、獪岳は鬼殺隊の任務があるため、この時は別行動をしている。
つまり、ここには私と炭治郎の二人しかいない状態だった。座布団の上に座っている私は向かい側に座って出されたお茶を飲んでいる炭治郎に声をかけた。炭治郎は私に声をかけられ、湯呑みを持った状態で私の方を見た。
「少し聞きたいことがあるんだけど、いいかな?炭治郎にとって辛いことなのは分かっているんだけど、き、気になっていることがあって....」
「俺にとって辛いことって.......まさか...!」
「......そのまさかなんだよね....」
私は言いにくそうにしながらも聞いた。少し緊張していたこともあってか、何度も言い間違えてしまう。そんな私の様子で、炭治郎は私が何を聞こうとしているのか分かったようで、湯呑みを持つ手が一瞬震えた後にそう言った。その様子を見て、私はきまりが悪い様子で静かに頷いた。
炭治郎には悪いと思っている.....。でも、聞いておかないといけないことだ。本当ならもっと早く行動しておかないといけなかったのだけど、炭治郎の様子からまだ駄目だと思って止めていた。私が知っている原作と炭治郎の経験した前世がどのくらい違うのか確認したいということで少し話を聞いていて、最初は時間をかけて少しずつ話していた炭治郎も普通に話せるくらいまでになったので、タイミング的にはそろそろ良いんじゃないかと思い、ずっと引き延ばしたことを聞いてみることにしたんだけど....。
「.......彩花、聞きたいことって何だ?」
「えっ!?話しても大丈夫なの!?」
「大丈夫なのって、彩花に何度も色々聞いてきたし、俺も少しだけど慣れてきたからな」
「.....色々とすみません...」
少し間を空けて、炭治郎が言った言葉に私は驚いた。私の様子を見て、炭治郎が苦笑いしてそう言うので、私は申し訳ない気持ちになって謝った。
先も自分で言っていたけど、炭治郎の言う通り何度も聞いていたからね、私。炭治郎の様子を見ながら行き過ぎたと思ったら話を変える、その後に禰豆子に怒られるというのを繰り返して....。......それらに関しては大変申し訳ありませんでした...。
「いや、彩花が聞くことは俺達にも必要なことだったんだから、今回もそうなんだろう」
「.....うん、まあ....そうだと言えばそうなんだけどね...」
炭治郎がそう言ってくれているが、私はこれから聞こうとしていることを思うと、言うのを躊躇してしまう。炭治郎にとって大事なことであるのは間違いないのだけどね.....。話しかけたのだから、もう言うしかない。
「ごめんね、炭治郎。どうしても聞いておきたいの。炭治郎は鬼殺隊のことをどう思うの?」
「...どうって....?」
「あっ、ごめん。言い方が悪かったね。どう思うというよりも......炭治郎は鬼殺隊との関係をどうしたい?」
私は炭治郎に話そうと思って言ってみたが、尋ね方があまりに省略しすぎて炭治郎に上手く伝わらなかったみたいで、炭治郎は首を傾げた。私はその様子を見て、謝りながら言い方を変えて改めて聞いてみた。すると、炭治郎は私の質問に戸惑った様子を見せた。
それが正しい反応だよね.....。うん、分かるよ。そういう反応されるのは想像通りだもんね。炭治郎と禰豆子の気持ちが分かっている私はそれも含めて話すのを止めていたからね。
「炭治郎の気持ちは分かっているよ。炭治郎にとって鬼殺隊は自分を殺した人達であり、禰豆子を斬った人達であり、もう会いたくないと思っている人達でもある」
「....それが分かっているなら...「ただ.....」......ただ?」
私は炭治郎に起きた前世のことからどうしようと思っているのかは分かっていることを伝えた。炭治郎がそれを聞いて、何か言おうとしていたが、続きがあるために悪いと思いながらもその言葉を遮った。
「炭治郎はきっとこのまま鬼殺隊とは会わないようにしようと思っているのは分かっているよ。でも、そのままではいけないと思うの。個人的にはとても複雑な気持ちだよ。炭治郎にされたことやその気持ちからして、会わない方が良いのは分かっているけど、炭治郎の体調などを考えると、このままじゃ駄目だと思っているの」
「俺の体調........もしかして戦いでのことか?それなら、彩花が渡してくれた薬があるから大丈夫じゃないか」
「それでは駄目なの」
私は自分の悩みをそのまま言葉にして話した。炭治郎は私の話を聞き、薬を飲んでいれば大丈夫だと言っているが、私はその言葉に首を横に振って否定する。
「炭治郎に渡している薬は抑制剤や気分安定剤などで発作を抑えるための薬なの。ただ、そういった薬には眠気や頭痛などの副作用があるし、中毒になられたら発熱や発疹、嘔吐、失神などの症状まで出てくるから、あまり薬を使ってほしくないの。私があまり副作用のない薬を作って、今もそれらを色々改良しているけど、それでも少しは副作用があるから、薬物の乱用には気をつけるようにと言っているの」
「彩花が薬はできる限り使うなって何度も言うのは、そういうことだからな」
そう。私と炭治郎の会話の通り、私は最初に炭治郎に薬を渡す時にあまり使わないように、薬は私の言った量を使うように、多く使うのは駄目だと言っていた。薬に頼り過ぎないようにするためなのと飲む薬の量が多くないようにするためである。頼り過ぎて薬を飲み過ぎれば中毒になってしまうし、体調が悪くなる。それに、炭治郎が対人恐怖症や心的外傷を治したいのなら、薬に頼り過ぎる状況は逆効果である。
と言っても、鬼殺隊に会えば発作が起きてしまうので、薬を何度も飲まないといけない状況が起きるかもしれない。そう考えて珠世さんと協力して、なるべく薬の副作用が弱くなるように改良してはいるが、それでも副作用はあるから、薬を使ってほしくないというのが私の願いだ。
「それに、私が作っているのは抑制剤だから、症状を和らげるだけで病気そのものを治す薬ではないの」
「.......治せる薬はないのか?」
「ごめんね。それはないの。炭治郎の対人恐怖症と心的外傷は心の病気だから、心そのものを治すことはできないの。抑制剤なら神経や血質を良くする効果で落ち着かせることができるけど、それは一時的に抑える効果があるだけで、元をなんとかしないと治すことはできない。炭治郎の病気の元は心の傷だから」
私は付け加える形で炭治郎に薬のことを話した。炭治郎に治せる薬はないのかと聞かれ、謝りながら首を横に振り、私は心臓の部分を指しながら説明を続けた。
「癌や胃腸炎とかの病気もその病原体を絶たないと治すことはできない。それはどんな病気でも同じなの。炭治郎の場合、その病気となった原因は......」
「前世での、あの時のことというわけか.....」
私は最後の言葉が言いにくく、口に出そうかと悩んでいると、炭治郎がその続きを言った。私と炭治郎の間に重い空気が流れている。
薬は頭痛や腹痛、嘔吐、発疹などの見えるものや痛みを神経や血管の流れ、器官の動きを良くすることで治すか和らげることはできるが、心を治すことはできない。まあ、心を治す薬はない方が良いと私は個人的に思っているのだけど。何故かと言うと....分かりやすく説明してみると、次のようなことである。
例えばの話だ。心的外傷はトラウマなどが原因だから、治すとしたら手っ取り早く言うと、そのトラウマとなった原因を克服するか取り除く、或いは変える方が早い。確か、何かの授業でやった記憶についての実験の話で、野菜嫌いの子どもに野菜が好きになるということがあったらしい。つまり、これを利用して、トラウマの原因となった記憶を別の記憶に変えることで、トラウマをなくすことができるようになる。
ただ、それは偽物の記憶を植え付けることによるものだということだ。それによって助かる人はいると思うが、それが小さな薬でできてしまうということになると、それが必要な人はいるだろうに、私はそのことに恐ろしさを感じてしまう....。
.......まあ、今の時代...大正時代ではそんな技術はまだないと思うから、そもそも無理なんだけどね.....。私もそんな専門的なことは流石に分からないし.......。
とにかく、そういう訳で炭治郎の対人恐怖症や心的外傷は薬では治せない。一時的に抑えることはできても治すことはできない。原因となった記憶を消すことも変えることもできないのだから、治療法は炭治郎がトラウマを克服するしかない。ただ、そのトラウマとなった原因が問題なんだよね...。
「......炭治郎が対人恐怖症や心的外傷を治そうとしているのは、これからの戦いを気にしてだよね....」
「......これから、もっと強い鬼が出てくるからな。その戦いの最中、俺が動けなくなったら、禰豆子や彩花に迷惑をかけるだろう。足を引っ張るようなことはしたくないんだ」
私が炭治郎の治したい理由について確認すると、炭治郎はそう言って拳を強く握った。
ここからの戦いは上弦の月の鬼との対決が怒涛の勢いで来るからね....。炭治郎が倒れた時、私達が対応できないことがあると思うし......。
「.....炭治郎はそれがなかったら治そうと思わなかった?」
「.......えっ?」
炭治郎の言葉を聞き、私は炭治郎にそんな質問をした。それを聞いた炭治郎は驚いていた。
まあ、私も炭治郎と同じことを思うよ。でも、絶対にこれは聞きたい。これからの治療のためにも確認しておきたいこと。ただ、炭治郎に人と関わる意志があって治したいのか、この戦いのためだけに治したいのか......これは今後のために必要なことだから....。
「意地悪なことを聞いているのは分かっているよ。でも、私は確認しておきたいの。炭治郎が対人恐怖症や心的外傷を治したいと思っているのは鬼との戦いが理由なのか、それとも他にも理由があるのかを、私は知りたいの。他の人のことを気にせずに正直に炭治郎の気持ちを知りたい.....。炭治郎はどうしたいの?戦い以外で対人恐怖症や心的外傷を治したいと思うことがあるの?」
「...俺は......治したいかというと.....治したいな...。....彩花には迷惑をかけ「私は言ったよ、他の人のことは気にしないでって。炭治郎自身の気持ちでどう思っているのかが知りたいの」......俺は........」
私は炭治郎に頼み込むような感じでもう一度聞いた。炭治郎は少し悩みながらも私の答えようとしていたが、私に迷惑をかけると言いそうだったために私が炭治郎の言葉を遮ってしまった。私に遮られ、炭治郎は何と答えようかと悩み、黙ってしまった。
まあ、こんなすぐに結論を出せると思っていなかったからね。できればいっぱい悩んで、答えを見つけてほしいな。.....だけど、いきなり私がそんなことを言ったから答えは出ないし、私のこの質問にも疑問を抱いているし、困惑しているな....。
「...少し話を変えるね。突然こんなことを聞かれれば戸惑うことは分かっていたから。そもそもこの話は私が意図的に隠していたようなものだしね」
「そうなのか?」
「本当ならもっと早く話すべきだったのだけど、炭治郎がそれを受け入れることができなさそうだったから話していなかったの。いつか受け入れる時が来たら、話すことにしようと思ってね。炭治郎の様子を見て、もうそろそろ話してもいいかなと思っていたんだけど.....決定打は煉獄さん達に会った時かな....」
「.....煉獄さん達に...会った時......?」
私は炭治郎が悩んでいるというより、困惑してきている炭治郎の様子を見て、話を変えてみることにした。
私から見たら感じたことだけど....炭治郎は私と別のように感じているかもしれないと思うけど.....聞いてみた方がいいよね。
「...炭治郎はどう思ったの?煉獄さんや善逸達を見て、どんなことを考えたの?」
「....俺は.........」
私が炭治郎に煉獄さん達のことをどう思ったのかを聞くと、炭治郎は一瞬悩みながらも話し始めた。
「......なんで俺達のところに来るんだと思った。俺を殺したのも、禰豆子を殺したのも、お前達の仕業なのに....!なんで俺達に!俺達に会って、どうするんだ!!今更謝りたいだって...!!」
炭治郎の叫びを私は何も言わずに聞いた。炭治郎が拳を強く握っている様子を見て、私は罪悪感を感じていた。だが、どんなに罪悪感を感じても、この話を炭治郎にさせているのは、こんな質問をした私が原因だ。
炭治郎もそれは分かっているらしく、私の方に身を乗り出して言った。
「彩花はどうしてこんなことを聞くんだ!あいつらが俺達にしてきたことを彩花も知っているだろう!それなのに......」
炭治郎の言葉を聞き、私は内心それに同意していた。
炭治郎の気持ちは本当に分かる!信じていた人達に裏切られ、殺された。そんなことがしたのに、謝ろうとしてくる。炭治郎からしてみたら、裏切ったのに何で謝るのかという気持ちを鬼殺隊に抱くのは全く不思議はない。そして、それを知っている私が炭治郎に鬼殺隊に対してどう思っているのかを聞くことを可笑しいと思っている。それでも....。
「.....炭治郎。私は....炭治郎に過去...あの時のことに囚われてほしくない、受け入れてほしいと思ったの」
「過去に......囚われる...?」
「今の炭治郎はあの時のことで心が揺れている。それじゃあ、炭治郎は対人恐怖症や心的外傷を治すことができないし、きっと前にも進めない」
私は炭治郎に静かに話しかけた。炭治郎は私の言葉に疑問に思っているようだが、私は気にせずに自分の思ったことをそのまま伝えることにした。
表面上は大丈夫に見えても内側は誤魔化せない、今の炭治郎の様子からして、間違いなくそうなんだなと私は感じた。
「今もあの時に負った炭治郎の心の傷は消えていないし、同時に鬼殺隊が裏切ったことを受け入れようともしていない。....炭治郎は鬼殺隊を許せないと思っているけど、鬼殺隊のしたことを自分自身も認めたくないとも思っているのでしょ。また、その確認をしたくないとも思っている」
「..........!!」
私は今までに見聞きして感じたことを炭治郎に率直に言った。
話を何度も聞き続けたのは前回の状況を詳しく知るためにという意味があったが、他にも意味があった。それは炭治郎が鬼殺隊に対して何を思っているのかを確認することだった。炭治郎は前回で鬼殺隊とあんなことがあったのだから、鬼殺隊を恨んでいるし、殺したいと思うほどに憎んでいるだろうというのは私の勝手な妄想だ。何かが起きたから、こう思うのが当たり前だと考えるのは駄目だ。それは本人の思っていることとは違って私の偏見になるから、本人から聞かないといけないと思った。実際に聞いてみて、炭治郎は憎しみを抱いたり恨んでいたりしていないんだということが分かった。というより、恨みや憎しみではなく、恐怖に近いものを抱いていると私は感じた。認めることへの恐怖を....。
...だけど、それは認めないといけない。それが辛いことであろうと、どれだけ大切なことなのは分かっている。.....だって........。
「今の炭治郎は過去の.....炭治郎と禰豆子に会う前の私に少し似ていると思うから、どうもそう話してしまうんだよね」
「...彩花にもそんな経験があったのか?」
「それは違うよ。ただ、今の炭治郎と前の私の様子が少し似ていたような気がしたの。あの時の私はこの世界には鬼がいること、鬼が人を食べて、それを防ぐために戦う人達がいるこの世界を受け入れられなかった。私はこの世界の現状を知っていても何もしなかった。どれほど過酷な戦いをしているのかを知っていても、私は自分の周りを守るだけで、炭治郎達のような鬼と戦う人達と関わる気なんてなかった」
私が似ていると言うと、炭治郎が頭に疑問符を浮かべながら私を見てきた。私は昔のことを思い出しながら話し、外の様子を見ていた。
位置的にはあっちが私の家があった方向かな。まあ、それはいいかな。.......あの時の私はここが鬼滅の刃の世界だと知り、まず考えたのはこれからの方針だった。いくつか考えてみたけど、真っ先に候補の中で消したのは鬼殺隊に入って鬼と戦うことだ。
私は怖かった。平和な世界で生きていたことで、鬼という人を食う未知の生き物と戦うのが怖くてしょうがなかった。だからこそ、私は鬼殺隊として鬼と戦う道を選ばなかった。
....戦ったり殺し合ったりすることを拒んだ。
「....あの時の私は知っている自分が関わることで変わってしまう可能性があるからという理由で、私はあの家で一人で暮らしていた。だけど、それだけじゃなかったの。私が未来を変えてしまう恐怖の他に、本当にこの世界に鬼がいるという事実を確認したくなかった。鬼のことは村の人達から聞いただけで、私は実際に見たことはなかった。だから、私は鬼への対策を用意したけど、鬼なんていないんじゃないか、もしかしたら村の人が子どもに良く聞かせるようなものなのではないかと言い聞かせていた。鬼を実際に探した時もあったけど、私は探しておきながら存在しないことを祈っていた。私には鬼がいるこの世界が怖くて仕方がなかった......」
私はあの時の自分が時々思っていたことを、関わってしまうことで原作を改変させないようにするためだけでなく、ここにいることが現実逃避なのではないかと考えていたことを話した。
鬼滅の刃の世界だと気づいた時から思っていたが、一人暮らしになってからはそう思うことが多くなっていった。
「...私が前世にいた世界は平和だった。だから、私は人食い鬼がいるという現実がとても怖くて目を逸らし、私のいないところで起きている悲劇を本当は知っていても、知らないふりをしていた。当たり前のように平凡な毎日を過ごして行けると思い込み、あの家から動こうとしなかった。....今に思うと、あの家は私にとって自分の世界ようなものだった.....。....私はここが鬼のいる世界だと認めたくなかった。認めたくなくて、私は自分の世界に閉じ籠っていた。自分の世界の外に出ることを拒絶していた。関わることすらも.....」
「......それでも、彩花は俺と禰豆子に声をかけてくれたし、俺を助けてくれた。だから、関わる気はなかったのは違うと思う」
「あれは...私がほっとくことができなかっただけだよ。目の前で倒れているのを見たら、見て見ぬふりなんてしたくなかった。だけど、私は炭治郎達がこれから起きることを知っていても、何もする気はなかったんだよ。私はいない存在だからと、私が関わらない方が知っている通りに進むと思ってね」
私が転生したことを受け入れられなかった、現実逃避をしていたと言うと、炭治郎が私にそんなことはないと言ってくれたが、私は首を振って話を続けた。
......本当に、私はなんで気づかなかったのかな。獪岳にバカと呼ばないでと言っていたが、私は大馬鹿だ。ここは現実だと自分で言っていたのに、原作通りに進むと思っていた。ここが鬼滅の刃の世界だからと.....。炭治郎達が原作通りに動き、原作に出ない私はそれに関係ないのだと.......。
「まあ、....それは違ったんだけどね。炭治郎と禰豆子に会った時、やっとそのことに気づいた。知っている通りに事が進むなんて絶対に決まっているわけじゃない。ここは私が読んだような物語の世界じゃない。ここは現実なんだと、私は関係ないからと言って、現実から逃げてはいけないのだということが分かったの。どんなに受け入れたくないと思うことでも、ちゃんと向き合わないといけないんだって気づいた...。.......遅すぎだったけどね.....」
「彩花....」
私は自分を嘲笑いながらそう言った。そんな私を見て、炭治郎が何か話をしようと言いたそうにしていたが、私はそれに気づかないふりをした。
向き合っていなかったのは事実だからね。私も苦しかったんじゃないかと聞かれたら頷くが、それはこの世界がどういう世界なのかというのが何度も頭に思い浮かぶからだ。頭に思い浮かんで現実を思い出し、そのことで悩んで苦しんでいた。今はその現実を受け入れてこの状況をなんとかしようと悩むことはあれど、苦しむことは無くなった。あの家に引き籠っていたのをきっかけに、私は受け入れることの大切さに気づくことができた。これは私の我儘だ。炭治郎にこのまま苦しみ続けてほしくないと思い、下手すれば心の傷を広げてしまうことをしているのは分かっている。
だけど...あの時のことをずっと気にしている炭治郎が苦しみ続けるならと、後でそのことによって塞ぎ込まないようにと思って、今日話しかけてみることにした。
「......それに、私がこのことを言い出したのはそれだけじゃないの。....炭治郎。少し現実的なことを聞いていい?」
「現実的なことを?それは一体.....」
「炭治郎は今のこの状況のままで鬼舞辻無惨や上弦の鬼と対決して勝てると思う?」
「........えっ?」
私は自分の願いから止めているだけではなく、他の理由で聞くことにした。炭治郎は困惑していたが、私は単刀直入に聞いてみることにした。
鬼殺隊に入らずに鬼舞辻無惨とその他の上弦の鬼に勝つことができるのか。これは私が旅に出てすぐに考えたことだ。私の知る原作や炭治郎達の知る前回は鬼舞辻無惨を討ち取ることができた。しかし、それは炭治郎だけの力で勝ったというわけではない。炭治郎達の知る前回は私が実際に見てないから分からないが、今までに聞いた話の流れからしておそらく炭治郎だけが頑張ったというわけではなさそうだし、私の知る原作もたった一人の力で勝ったという話ではなかった。原作も炭治郎達の前回も個人の力ではなく、全員が戦って得た勝利なのだと私は思っている。鬼殺隊全員が隊士や柱、隠など関係なく協力したからこそ、原作で鬼舞辻無惨を討伐できたと思っている。
......だけど....この状況では.........。
「相手は鬼舞辻無惨や上弦の鬼などの強い鬼が多い。逆にこっちは味方として、手で数えられるくらいの人数しかいない」
私は自分の思っていたことを話しながら炭治郎の様子を見ていた。炭治郎は私の言葉に驚いたような顔をしていた。その顔を見て、炭治郎も同じことを考えていたんだなと思った。
異世界転生とかの話で一人や少人数が敵軍相手に無双して勝つ話があるけど、これに関しては無理だと思う。いくら今の炭治郎達が二周目でも大勢の鬼には敵わないし、おまけに圧倒的に実力不足の私がいるからね...。
「.....だから、鬼殺隊と和解しようと...」
「いや炭治郎達の気持ちからして、すぐに和解することは私も流石にできないと思っているよ。だから、協力関係を結べるくらいでいいよ。私も滅茶苦茶酷いことを言っているのは自覚しているよ。でも、このまま状態を続けられるほど現実はそんなにあまくないからね」
私は炭治郎の言おうとしていることを先に理解し、それを否定した。
さっきも言った通り、ここは現実なんだ。だから、思い通りにすることなんてできない。かつての私がそうだったように......藤の花を植えて、念のために他の対策をしておけば私の家族は大丈夫なんだと信じ、両親が流行り病で亡くなった時のように....。
.......ここは漫画の世界なんかじゃなくて現実だ。現実的に考えればこっちが不利なのは間違いない。そして、それは炭治郎も分かっている。ただ、全てを水に流すことなんてできない。だけど、そんなことを言っている場合でもない。許すことが無理でも、せめて受け入れることができればと私は思っている。敵の敵は味方だと言うしね。少なくとも協力関係くらいにはなれると思う。
「確かに...。......だが....」
「炭治郎。言っておくけど、私は炭治郎に鬼殺隊を許すようにと言っているわけではないの。ただ、今のままだといずれは私達で対処できなくなるし、鬼殺隊もこの状況には多分混乱しているところがあると思うの。鬼殺隊は炭治郎と禰豆子に負い目があるから、それを上手く利用すれば協力してほしいと言えばできるんじゃないかなと思ったの。煉獄さんとかは謝りたいって言っていたし」
「.............」
炭治郎は反論しようとしたが、私はそれを遮って言った。
割と厳しいことを言っているのは私も分かっているよ。でも正直に言うと、私だって本当は説教したいくらいにあの時の鬼殺隊のこと、怒ってますからね。禰豆子の怒りが凄すぎて、逆に冷静になるから止める側にいるのですけど。私の気持ちからして、償いの意味を兼ねて協力しろという考えの方が強いような気もするけどね。
今のままの方が炭治郎の心は無事。だけど、その代わりに現状が悪くなっていく。......選択しないとね。と言っても、炭治郎達の心境的に鬼殺隊との和解が難しいのは分かっているから、妥協案としてこの案を考えてみた。.....不安要素は多いけど。私も酷いことを言っている自覚はあるけど。
「鬼殺隊がどのような行動をするのかは私も分からないよ。でも、炭治郎と禰豆子が許すかどうかは分からなくても、あちらから何かしらの行動を起こすと思うの。それを見て許すかどうかはともかく、そんな鬼殺隊を受け入れてみるのはどうかな?私がさっき言った乗り越えるとは許すとかの意味ではなくて、受け入れることだから。一度受け入れてみて、鬼殺隊がどのような行動をするのかを見て、炭治郎と禰豆子が鬼殺隊を許すのか許さないのかを決めた方が良いんじゃないかな....」
「......だが、俺は...」
私の話に炭治郎は不満そうな顔をしている。炭治郎の気持ちは分かるけどね....。
私は炭治郎達の気持ちを尊重したいが、どうしても鬼殺隊のことも気がかりになっている。私も炭治郎も鬼殺隊もあの時の真実を知らないし、鬼殺隊のこれからの行動も分からない。炭治郎は今世では善逸達の誰とも話していないから、今の善逸達が何を考えているのか知らないし、私の方も善逸達の考えていることは知っていても、次の行動はどうなるかはっきり分かっていない。その行動が炭治郎のことを傷つけると私が判断したら止める気ではあるが、精いっぱいの誠意を見せると言うのならばそれを止めるかどうかは悩む。
まあ、このことに関しては私が勝手に決めるわけにはいかないし、そもそも炭治郎達の問題に私が口を挟む方がおかしいと思うけど......でも、私はあの時の件をはっきりさせておかなければならないと考えている。お互いにやきもきしていると思うし。
「そうだよね。とても複雑な気持ちだろうし、もう信じたくない、受け入れられないと思うよね。それは.....心的外傷や対人恐怖症の症状を見ているから分かるよ。心的外傷はとんでもない恐怖や命の危険を感じる経験などが原因だし、対人恐怖症は自分が他人を不快にさせていないかというような不安、自信の欠如が原因なのだからね。炭治郎は受け入れることに恐怖を感じているし、またあの時と同じことが起きたらという不安も感じているよね」
「.......!」
私の言葉を聞き、炭治郎はまた拳に力を込めた。
炭治郎はおそらく無意識なのだろう。あんなことが起きて恐怖を感じていてもまだ善逸達を信じたい、あの時のことは間違いだったのではないかと思いたいのだろう。
だけど、いつかは受け入れないといけないのだろう。私的には最終決戦の前くらいに決めてもらえたらすっきりできると思うけど、これはそんな簡単に決められる問題ではないからね。あんまり急かす気はないが、もうすっきりさせておいた方が良いよね。難しいことだけど.....。
「炭治郎。...もうそろそろ言ってもいいかなと思っていたから言うね。あの時のことは、炭治郎と禰豆子でもなくて....鬼殺隊でもない、別の原因があると私は思うの」
「別の原因...?」
「うん。炭治郎達から聞いた話だと、まるで炭治郎を鬼だという認識をしていたようだし、善逸達の反応からして、自分がどうして炭治郎にあの時のことをしたのかも分かっていなかった。だから、これらのことを考えると、何かしらの力が働いているように思うんだよね。鬼殺隊の人達を庇うような言い方だと思うけど、私はそのことが気になっているの。....ごめんね。炭治郎達に黙っていて」
私は炭治郎にあの時のことを聞いてからずっと思っていたことを話した。炭治郎は私の言葉に不思議そうにしていたが、とりあえず私の話を聞いてくれるらしくて黙って聞いていた。私はもしあの時のことが鬼殺隊自身の意志で行動したのか、そうではなくて他の原因があったのかどうかという風に考えていたこと、実際に善逸達と会ってその可能性が高まり、私の知っている話と炭治郎達が前回で体験したことや今回のこととの違い以外にあの時のことを少しでも多く知ろうとしていたことを話し、可能性とはいえこのことを炭治郎達に黙っていたことに対する謝罪もした。
炭治郎に淡い期待を持たせたくなかった、それが本当なのか確信してから伝えようと思っていたと言っても、炭治郎にずっと黙っていたことには変わらないから謝らないと。
「まあ、どんな事情があっても鬼殺隊が炭治郎を殺したことは変わらない。殺された側の気持ちは炭治郎だから分かることで、私が語ることなんてできないよね。それに、その時の恐怖を覚えているのなら、また善逸達を信頼して裏切られたらと、次も信頼している人達に裏切られたらと思って怖くなるのも当然だよね。炭治郎はそういう意味もあって、受け入れることができない」
「............」
「炭治郎がそう思っているなら、私は炭治郎がそのことについて考える必要がないようにあの時の真相を突き止めるよ」
「......!?」
私はこれまでに見聞きして思ったことを話した。炭治郎はそれを聞いて無言だったが、次の私の宣言には驚いた様子だった。
私の宣言に炭治郎も驚いているみたい。炭治郎に話す前に一度この話を獪岳に話してみたら、『何を言ってるんだ、こいつ』と言いたげな呆れた顔をしていた。というか、実際に言っていた。しかも、『バカか、テメェは』が後ろに追加された。
....でも、私は本当にあの時に何があったのか知りたいし、真実をはっきりさせたい。あの時のことは原作とは違う流れになったのにも関係していると思うし、あの時のことをはっきりさせたいのは炭治郎達も同じなんだと思う。そういう意味でも、あの時の真相をはっきりさせておきたい。
「私ね、個人的にあの時のことが気になっていたから真相を知りたいと思っていたのだけど、それと同時に、あの時の真相を知れば炭治郎の心が少しでも軽くなるかもしれないという期待もあったの。勿論、逆に炭治郎を苦しめてしまったり、悩ませてしまったりする可能性もあるけど....それでも、炭治郎が苦しみ続けることになるのなら、その時は知る方が良いと考えていたの。対人恐怖症や心的外傷が悪化する可能性はあるけど、真実を知って吹っ切れる可能性もあったからね。どっちに転ぶかは分からないけど、炭治郎があの時のことに囚われずに前を向く可能性があるなら、それに賭けてみようかなと思ったの」
初めはそんな淡い期待のような気持ちであの時のことを知りたいと思った。そして炭治郎達から色々話を聞いたり、鬼殺隊の様子を見たりして、その思いが強くなった。この先がどうなるかは分からないけど、今の状況がこのまま続けば、炭治郎も鬼殺隊も互いに苦しみ合うことは分かった。炭治郎がこれを聞いてさらに苦しむうえに鬼殺隊との溝が深まる可能性はあったけど、それでも炭治郎達の心が少しでも軽くなる可能性もまたあった。
真実を知れば苦しむ可能性があるが、このまま放っておいても苦しみ続けるのならと思い、この真実を知ることに賭けてみることにした。
「炭治郎は知らなかったと思うけど、私はもう行動に移しているの。少しでも早く炭治郎が立ち直るようにね。対人恐怖症や心的外傷の治療法を思い出せる限り試していたんだよ」
私はもう何もかも話すような勢いで、そのまま治療法を試していたことを話した。
対人恐怖症の治療法として環境を整え、相手に対して目を合わせられるようにしたり、自分から話しかけたり、受け答えをしたりという訓練をしていた。ちなみに、獪岳を相手に試していました。獪岳なら練習相手にぴったりだと考えていたら、獪岳に他意はないだろうなと思いっきり睨まれた時はかなりビビってしまった。いや、何で分かったのだろう?
「.....前から気になっていたんだが、寝る前やあの時のことを話す前....それとさっき、よくお香を焚くのは........」
「......やっぱりバレていたのね...。.....炭治郎の想像通りだよ」
私はそう言い、話しかける前に火をつけて隣に置いていた小さなお香を机の上に出した。
炭治郎を落ち着かす方法として、薬以外でも色々なものを考えてきたが、最も効果的なものは匂い関係のものじゃないかなと考えた。そう思った理由は、炭治郎は鼻が良いからという何とも単純な理由なんだけどね。でも、リラックス効果の香りなら、何かしらの良い効果があるんじゃないかと期待したんだよね。この時代でアロマを作ることは難しくても、お香ならできるのではないかと思って、色々な花や薬草などで作ってみたのだ。
ちなみに、お香の作り方は昔学校で作ったことがあったので、その時の作り方を思い出しながら作った。
「彩花は何故かよくお香を焚いていたからな。理由はよく分からなかったが、その匂いを嗅ぐと、妙に肩の力が抜けて安心できたんだ」
「まあ、リラックスできるようにと思って作ったからね」
炭治郎の感想を聞きながら私はお香を作った時のことを思い出した。
いやー、薬とは違うから苦労したよ。リラックスの効果があるものを何度も何度も試行錯誤したものか....。
ラベンダーとかリラックス効果のあるものとしてすぐに思い浮かびそうなものはこの時代で手に入れるのが無理だった。それで代わりになりそうなものはないのかと思って、他のリラックス効果がある薬草とかと良い匂いのする花を何パターンも組み合わせて、試しに自分で使ってみるという作業を繰り返して漸く完成したんだよね。
「あの時のことや今ならともかく、寝る前に焚くのは何でだ?」
「寝る前に焚くのは夢の中であの時のことを思い出させないようにしているからなの。それに、夢の中ぐらいは炭治郎に安心して休んでほしいからね」
炭治郎に質問され、私はそう答えた。
夢はその人の体験だ。睡眠中の脳はその人が今まで見聞きした情報を整理するため、その過程で自分が見聞きしたことや体験したことが断片的に表れ、脳の中でストーリーとして作られていったものが夢なのである。そんな夢の中でも、悪夢を見ることがある。悪夢は何らかのストレスを感じた時に見たり、心的外傷で睡眠中に見たりすることがある。起きる時はフラッシュバックで発作を起こし、睡眠中は悪夢として見るようなことになれば、炭治郎も精神的に耐えられない。こういう場合は夢と現実の区別がつかなくなったり、不満状態や抑鬱状態、自殺の原因になったりする可能性がある。
だから、夢の中であの時の出来事を再び思い出してしまうことで、心の傷がさらに深くなるうえに眠れなくなってしまうと考え、私は毎晩お香を焚いて寝ていた。匂いの強いお香ではないが、炭治郎の鼻だとお香が近すぎればそう感じるのではと思って、お香を置く位置にも注意した。
「炭治郎。対人恐怖症や心的外傷は炭治郎の意志とその努力次第で治すことはできるの。でも、炭治郎の事情は分かっているから、私は強制しないよ。私は炭治郎が受け入れないと決めたのならその意志を尊重するし、別の方法を考える。受け入れると決めたのなら全力でサポートするよ」
私は自分の考えをそのまま伝えた。
これは紛れもない私の本心だ。対人恐怖症や心的外傷は炭治郎の心の問題だから、私ができるのは向き合えるようにサポートすることだ。私が勝手に決めるわけにはいかないし、私自身で炭治郎本人の意志を尊重すると心に決めているからね。もう既に先走って行動したけど。
「....もし、鬼殺隊が俺や禰豆子にしたことに何も思っていなかったら、俺達を敵だと認識したら、どうするんだ?」
「......その時は私がなんとかするよ。このことを提案したのは私だし、私が問い詰めるよ。あの時の鬼殺隊が炭治郎達にしたことは私も許せないことだと思っているし、私が納得するまで色々と話そうと思っているよ。それに、どんな人が相手でも私は言いたいことははっきり言いたいし、気になることは分かるまで聞きたい。だから、鬼殺隊の誰が目の前に現れても、私は怯まずに立ち向かうから安心して。言い出したのは私だし、私が言い出したことで何かが起きたなら私がその責任を背負う気でいるから」
「...彩花は何で鬼殺隊とも話をしようと思っているんだ?鬼殺隊との仲を取り持ちたいのか?」
炭治郎の質問に私は想定していたが、少し悩みながら答えた。
炭治郎にとって、私の行動は不可思議過ぎるように見えるだろうね。炭治郎達の意志を尊重すると言っていて味方であるが、その一方で鬼殺隊の方も気にしている。私が一体何をしたいのかと思うのは当然よね......。だけどね...。
「片方の意見だけでは真相が掴めないことだってあるからね。双方の意見を聞いて、判断したいの。.....それに、仲を取り持ちたいという思いもあるかもしれないけど、あの時にもし....というような思いをして互いに後悔するよりも、互いに言いたいことを言った方がいいと思ったの。そのためにも、今回の真相はきちんと突き止めておかないと。また同じことが起きる可能性だってあるから、その対策をしないといけないし、何よりも意味の分からないままだと後味が悪いでしょ。炭治郎も鬼殺隊もあの時のことを互いに気がかりに思っているのは同じなのだから。.....まあ。あの時、その場にいなかった私ができることはそのくらいだと思うけど。......それと....」
私は今回の真相をどうしても知りたい。その為に片方の意見だけで判断するのは危険だし、何か他の情報を知っている可能性もあるから、鬼殺隊とも話をしたい。個人的に鬼殺隊に対して思うことはある。けど私があの時の件に口出しするのは烏滸がましくても、私はできることをする。それは変わらない。だから、私は決めた。
「それと、あの時と同じことは起こさせないよ、絶対に。私があの時の真相を突き止めるから。だから、あの時と同じことが起きたらと恐ろしく思う必要はないよ。何もかも疑心暗鬼になって苦しむ必要もない。私は炭治郎がこれからを真っ直ぐに進んでほしい。鬼殺隊とどうするのかを決めれるように。周りはきちんと見ているから、炭治郎は自分の意志でやりたいことをしてね」
私は炭治郎の目を真っ直ぐ見てそう言った。炭治郎に苦しんでほしくない、前を歩んでほしいという私の気持ちは本音だ。あの時と同じことを繰り返したくないというのもそうだ。あの時のことを知らないと、また同じことが起きるかもしれない。炭治郎はもう二度とあの時と同じことが起きてほしくないと思っている。私も同じ気持ちだ。信じていた仲間に裏切られることもその気持ちも、想像するだけでどんなに辛いことなのか分かる。炭治郎から話を聞いているなら尚更だ。あの時と同じことを繰り返してはいけない。繰り返すわけにはいかないんだ。
炭治郎達も鬼殺隊もお互いのことで精一杯だ。それなら私がやらないと。それに......。
「...彩花は何でそこまで信じられるんだ、鬼殺隊のことを。彩花は知っていても、あまり話したことはないんだろう?」
「......私はね。動物も人間も、生き物なら守り守られながら生きていっているのだと思っているの。親が子を守るような、子が親を守ろうとするような与え合い、支え合っている関係。....でも、全ての関係がそういう関係ではなく、傷つけ合うこともある。だけど、時に傷つけ合うことがあってもそれを許し合い、色々なことが起きてもそれを助け合いながら乗り越え、成長していく.....それが生き物なんだと私は思っているの。そういう考え方だから、私は誰かを信じてみたいと思っているのかもしれないかな....」
まあ......私はそういう考え方と価値観なんだよね、前世から。炭治郎に何でと聞かれても、私はこの考え方だからとしか言えない。例え甘い考えだと言われても。一応その考え方を分かりやすそうな例えを使って言ってみたけど、逆に分かりにくくなってしまったかも。でも、私の言いたいことはちゃんと言えたと思っているのだけど。
「まあ、鬼殺隊があの時の責任を取る気はないと考えているなら、流石に諦めるかな。過去のことでも自分のやったことなのに、その責任を取らないで相手や別の誰かに押しつけようとするのは駄目だし、それには私も弁護できない。自分が背負わないといけない責任から逃げるのはね。まだまともに善逸達と顔を合わせられないのに、こんな話をしてごめんね。でも、そろそろ話しても大丈夫そうかなと思って話してみたの。...これを言い出したのは私。私は私のしたことへの責任を取る覚悟はしているよ。だから、私のこの身勝手な行動に付き合ってくれるかな」
私は炭治郎に向けてそう宣言した。
私が炭治郎にその宣言したのは私の本心を伝えるためであり、私自身を追いつめるためでもある。この提案が私のエゴだということは分かっている。私が鬼殺隊のことを信じたいが故に、まだ気持ちの整理がついていない炭治郎にこんな話をしてしまったのは申し訳ない。ここは現実だと分かっていても、私はまだ原作を信じているらしい。でも、時間もそう長くない。早い段階でやらないといけない。それに私が知りたいと思った、やりたいと思ったことだから、それで失敗したら悪いのは私だ。
だからこそ、私はこの行動に責任を持つ。炭治郎達は巻き込まない。私がしたことだから、何か起きても私の自業自得だ。こんな話をしてしまったので、できるだけ炭治郎に長く考える時間を与えたいと思って、今話したのだけど....これが吉と出るか凶と出るか私も分からない。一種の賭けだ。
.....さてと、炭治郎には話せた。...残る問題は.......
「あっ、禰豆子。........ちょっといい?」
「何?」
「えーと、いやお願いというか色々話したいことがあるのだけど.....」
私は禰豆子の姿が見えたので、『来たー!?』と内心叫びながら恐る恐る声をかけた。
どうしてそんなにびくびくしているのかって?それは禰豆子にこの話をするのが怖いのです。だって、これを言えば禰豆子にキレられるのは分かっていること。キレられる側もそれを止める側も嫌だ。もう充分に理解していますから。だけど、話さないといけないんだよね、話したらどうなるか分かっても!
「........ということを炭治郎に話したの」
私は炭治郎に言ったことをカナヲにも話すことにした。
結局炭治郎はまだ悩んでいる最中で、私も炭治郎がどうしたいのかは分からない。だけど、炭治郎も私の意見に何か思うところがあったらしく、何やら考えている様子だ。おそらくカナヲ達とどう向き合うのかを考えているのだと思う。ちなみに、あの後の禰豆子とのことは....あまり触れないでね....。
「......彩花は私達のことを信じているの?」
「うん...。.....いや、信じているというよりも納得がいかないの方が近いかな。カナヲ達が私達を敵に回すという判断をする人達ではないことは、なんとなくだけど分かっているからね。信頼関係とかと言うと、少し微妙な関係になっているのだと思う」
カナヲにも炭治郎の時と同じことを聞かれ、私は苦笑いした。
カナヲの方からしても、私の行動はあまり理解できないものだろうね。あの時のことを知っているはずの私がどうしてこうも気にかけてくれるのかって。まあ分かるけど、流石に原作で知っているからとは言えないなあ。
「それに私からしてみたら、後はカナヲ達の対応に丸投げしたという感じに近いかな」
「丸投げ?」
「あの時のことに関して、炭治郎には炭治郎の思っていることが、カナヲもカナヲで思っていることがあるでしょ。私はあの時にいなかったし、炭治郎でもカナヲでもその場にいた人ですらない。そんな私が断言なんてできないし、よく分かっていない私が言って傷つく場合もあるだろうから、あの時のことを話でしか知らない私はあまり余計なことをしない方がいいと思っているの。....て、結構口出しているけど......」
私は苦笑いしながら話を続けた。私が言っていることって、訳せば丸投げします、投げやりしますと言っているものなんだよね。相談にのると言いながらとても申し訳ないのですけど。
「...さっきの話でも言っていたけど、あの時のことはお互いに一度話し合わないと後悔すると思っているよ。だから、カナヲは自分の思っていることを正直に言った方がいいよ。もう何度も言っているけど、謝罪は自らの非、罪を認めて相手に許しを願うという意味を持っている。自分の罪を認めているカナヲならできるよ。相手の気持ちを思いながらも自分の心から思っていることをそのまま伝えることができる。最初は二択からという感じでもいいから、それでも考えたり答えを導き出せたりできる力があるのだから、ゆっくりで良いから何を話すのかを決めて」
「彩花....」
私はあの時の件を丸投げしてしまったこともあり、困ったことがあれば相談にのると言った。炭治郎だけがどうするのか決めるのはなんだか違うし、カナヲ達も決断しないとね。
そう考えていたのに、冨岡さんが切腹すると言ったからそれには驚くと同時に怒ってしまったのだろう。今炭治郎が向き合おうとしてくれているのに切腹すると言い、おまけにその知らせを私に届けさせようとしているから、全く何をしようとしているのですかと思ったよ。だけど、流石に冨岡さんの頬を叩いたのは駄目だよね。反省しないと。
「炭治郎にも言った通り、私はあの時の真相を突き止める。あの時と同じことは繰り返させないから安心して。私ができるとしたら手伝うぐらいしかできないけど.....他にも何か相談したいことがあるなら、良ければ相談くらいは乗るよ」
「うん.......」
私はカナヲにも宣言した。なんだか自分にプレッシャーを与えるためにこの宣言をしているけど、やり過ぎて調子に乗ってしまいそうだ。だけど、こうやって頼られていることに少し喜んでもいいよね。....さてと......。
「それと、そのまま知らないフリをしていましたけど、盗み聞きは駄目ですよ」
「えっ......?」
私は後ろで私達の話を聞いていた人達に向けてそう言った。カナヲを含めた人達が驚いていたが、私はそれを無視して立ち上がった。
いや、だって視界の端に小さくても影が見えれば気づきますよ。...気がつかなかったのかな?
「気配を上手く消せても、影が少しだけ見えていたのですよね。次に来る時はちゃんと声をかけてくださいよ。話しかけさえしてくれれば入れますから。はははっ」
私はそう言いながら笑ってカナヲの手を引き、後ろから誰かの声を耳にしながらその場を去った。カナヲも私が手を引いた時は驚いた顔をしていたが、私の笑っている様子を見て不思議と笑みがこぼれてた。
炭治郎達のことも大切だけど、こっちも何とかしないといけないことだよね。気がかりだと思うのもあるけど......仲直りができるならできた方が良いと私は思う。
だって.....モヤモヤしたものがない、すっきりしたハッピーエンドの方が互いに良いでしょう。
私はそう思うのだけど、お節介かな? 申し訳ないけど....それでも私の我儘に付き合ってくれると嬉しいな。
体調の関係で次回まで少し時間がかかります。楽しみに待ってもらえるとありがたいです。