笹の葉の少女は幸せを願う   作:日々草

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笹の葉の少女は責任をとる 前編

 

 

 

あつい.....。...体が熱い。だけど....それ以上に意識ははっきりしている。頭の中に色々な情報がすんなり入ってくる。いつもよりも速く動ける。華ノ舞いの時に起きていたものと違って、主導権は私のままのようだ。この現象が何なのかよく分からないけど、今までのものとは明らかに違うようだ。それとも、これは単純に興奮状態になっているだけなのかな....。

 

 

それに......何故かこの状態だと透き通る世界も使えるようだ。

 

透き通る世界とは五感を開き、体の血管や筋肉を透けて認識できる状態のことだ。殺気を感じさせないで動くことができ、相手は攻撃されると悟ることがない。筋肉の動きを見て、相手の次の行動を予測することもできる。

さらに、自分の体の血管や筋肉を認識することができ、動きに必要のない血管や筋肉を止め、長時間動き続けても疲れない体になる。

ちなみに、透き通る世界は視力を失っても他の五感を通じて入ることができ、原作で盲目の悲鳴嶼さんも入ることができていたし、炭治郎は嗅覚から入っていた。

 

 

透き通る世界に入るには様々な厳しい鍛錬から無駄な動きを削ぎ落としていき、その末に辿り着く境地なのである。私は炭治郎達との鍛練や柱稽古でこの透き通る世界に入れるようになることを目標にしてきた。その結果、低い確率で透き通る世界に一瞬だけど入ることができたが、実戦で使えるかとなると、使うことができてもそれに頼るのは止めた方がいいというくらいだった。

なので、透き通る世界はあまり使おうとせず、それ以外で自分のできることをした。

 

 

ただ、今回の戦いで透き通る世界に入れるようになった方が良かったのだというのはよく分かった。何故なら、今の私には先程まで分からなかった血鬼術が見えるようになっている。

 

 

彼女の使う血鬼術は幾つも組み合わせたものであった。彼女の使える血鬼術は二種類であるが、その血鬼術を連結したり、多重に重ねたりしていた。そうすることで見えないようにしたり、錯乱させたりすることができたのだ。

 

 

こういう仕組みをしていたからこそ、あの血鬼術になるのだということが分かり、私は凄く戦いやすくなった。血鬼術の原理が分かるため、次にどうすればいいのかも分かり、先を読むことだってできる。

 

 

「血鬼術 鉄砲水 凍雨水砲(とううすいほう)

「華ノ舞い 妖狐ノ花 狐空円輪」

 

 

私は上弦の伍である彼女の血鬼術を斬り(もしくは弾いて方向を変え)ながら彼女へ近づく。彼女は焦った様子を見せていたが、冷静に次の血鬼術を使い、私の動きを封じようとする。私はそれに気づいていたが、それでも真っ直ぐに進んでいく。

何故だか、それで止まらなくてもいいと思ったのだ。

 

 

「血鬼術 砕氷雨(さいひさめ)

 

 

私はその血鬼術も全て斬ったり弾いたりして防いだ。それら血鬼術の氷の塊も炎を纏う刀で斬ると、跡形もなく消えてしまった。

いや、消えたのではない。蒸発や昇華が起きたのだ。僅かに白い煙のような気体が見えたから、間違いないだろう。

蒸発とは液体から気体になる変化のことであり、昇華とは固体から直接気体になる変化である。

 

 

最初の方は私もこの型について何も知らないため、どうなっているのかは分からなかった。だが、何度もこの型を使ったことで分かった。刀が纏っている炎は凄い高温なのだ。水の時はあの刀を近づけるだけで水が蒸発し出し、水蒸気へと変わっていったのだ。そして、刀が近づけば近づくほどに水はどんどん蒸発していき、やがてその水の血鬼術は全部水蒸気に変わった。つまり、斬ったように見えて、何も斬っていないということだ。

氷の時はその氷を斬ると、斬られたところから炎が氷に燃え移り、その炎があっという間に氷を包み、氷を一気に水蒸気へ変えたのだ。

 

 

「華ノ舞い 天陽ノ花 珠沙炎天」

「血鬼術 波浪壁(はろうへき)

 

 

私が別の型を出すと、彼女は血鬼術の水で目の前に壁を作り、それで防御しようとした。だが、水でできた壁は一瞬で破られ、その一太刀は彼女の肩を斬り、彼女は斬られた肩を押さえ、私から距離を取った。

 

 

また新しい型だ。空に刃先を向けて、上半身を捻りながら曲線を描いた。すると、斬撃が飛び、彼女の血鬼術で作られた水の壁に当たると、その斬撃が水の壁を数秒で蒸発させ、彼女の肩を斬り裂いた。

どうやらこの型は妖狐円輪よりも威力が違うようだ。いや、熱が違うと言った方がいいのかな。使ってみた側の感想なのだけど、刀から伝わってくる熱気が明らかに違ったのだ。

 

 

あと、気がかりな点がある。今までに出てきた華ノ舞いは全部刀の色や模様が変化したのだ。日車の時は刀が黒色に向日葵の模様になって、水仙流舞の時は刀が青色に水仙の模様で、紅梅うねり渦の時は赤色に梅の模様で、陽日紅葉の時は日車と同じ黒色であるが、紅葉の模様が描かれていた。しかし、今回はこれらとは違った。妖狐円輪と珠沙炎天は両方とも赫刀で彼岸花の模様のままだった。華ノ舞いの中で初めての出来事だ。この二つの型は他の型とは少し違うのだろう。

 

 

それと同時に、私は試していないが、赫刀と透き通る世界を発動させている時は他の九つの型は使えないのだという予感がしたのだ。

これは個人的な考えだが、今までに使えなかったものを使えるようにするための代償みたいなものだと考えた方が良いだろう。

 

 

まあ、突然赫刀と透き通る世界が使えるようになるのは明らかに不自然だし、何か裏があってもおかしくない。未だに華ノ舞いやこの仕組みに関しては謎だらけだし、分からないことがまた増えたが、それについては後で考えよう。

今はそれどころではないし、情報不足であり、華ノ舞いについての情報も調べる方法も心当たりがカナエさんぐらいしかいない状況だから、結論づけるのは早いと思っている。

とにかく、ただ実際に起きて感じたことを中心に戦うのが優先だ。そういった今後のことはこの戦いを終わらせてからだ。

 

 

そんなことを考えているうちに、彼女の怪我が回復したようだ。彼女は傷口を押さえていた手を元通りに戻った肩から離し、私を睨みつけた。

ここから本気で攻撃してくるとすぐに察し、私も彼女に刀を向けながら一歩前に出た。

 

 

「血鬼術 鉄砲水 凍雨水砲」

「華ノ舞い 妖狐ノ花 妖狐円輪」

 

 

彼女が反撃として上から水の弾を降らしてきたが、私はその水の弾を妖狐円輪で防いだ。その行動から、私はあることに気づいた。

 

まさかと思ってもう一度妖狐円輪を使ってみたら、それによってこの二つの型の構造に気づくことができた。

妖狐円輪は防御と回避の方に徹していて、珠沙炎天は攻撃の方を重視している。これを繋げることで攻撃と防御の両方ができるということだ。つまり、この二つの型は交互に使うことで良いバランスになるのだ。

 

 

「華ノ舞い 天陽ノ花 珠沙炎天」

「血鬼術 鉄砲水」

「華ノ舞い 妖狐ノ花 妖狐円輪」

 

 

私は波の壁を斬り、もう一度近づいていった。そのまま彼女の間合いに入ったと思った瞬間、彼女は別の血鬼術を使った。彼女も何度も血鬼術を斬られたことで、この型がどういうものなのか気づいたようだ。

いくら水を蒸発させることができても、至近距離から水の弾を放てば全てを防ぐことは難しいだろうと思ったのだろう。私は彼女の間合いに入ってすぐに頸を狙おうとしたが、彼女の血鬼術を見て、別の型に切り替えた。

 

 

うん。やっぱりこの二つの型は切り替えやすい。おそらくこの妖狐円輪と珠沙炎天は互いに繋がるようになっている型なのだ。だから、この二つの型は日輪刀の色も模様も変わらないのだろう。

原作でいうと、日の呼吸(ヒノカミ神楽)に近いと考えている。日の呼吸は十二の型を繰り返すことで円環となり、それが十三番目の型になるのだ。

 

そのため、原作では炭治郎が最終決戦で無惨を追い詰めようと日の呼吸の型を全て繋げようとした。とりあえず全ての型を繋げることができていたが、それで十三番目の型が完成したとなると、そこは微妙なところだと私は個人的に思っている。私はただ繋げられればそれで十三番目の型だとは思えないのだ。

何度も何度もそれを繰り返していくうちに、それらが重なって一つの型になるのではないかと私は考えている。と言っても、私は最終話を読んでいないので、もしかしたらそこに描かれているかもしれないし、あくまで私の予想とかなのだけどね....。今の私はもう聞くことができないから.....。

 

 

だが、日の呼吸の型を全て繋ぎ合わせることができれば一つの型になるというのは本当だと思うので、呼吸の型を繋ぎ合わせれば他の呼吸の型とは違う別の型になるのは確かなのだろう。

おそらくこの型も........。

 

 

「血鬼術 水魔奔流」

 

 

彼女はこのまま攻め続けられたら不利だと思ったようで、手を下に向け、血鬼術を使った。すると、地面から水が噴き出し、この周辺一帯が水溜まりに変わった。それにより、足元が水に浸かることになった。その水溜まりから波が出てきて、その波は私を飲み込もうとしてくる。さらに、渦も発生し始めた。その渦は大きいものから小さいものまであり、どの渦も引き込もうとする力が強く、引っ張られそうになる。

 

 

だが、私はそれを気にせず真っ直ぐにその波や渦のある道を通った。勿論、刀を地面に向け、呼吸を使った状態でだ。

水を蒸発させることができるのなら、斬りながら進めば私の通れる道を一つくらい作るのは可能だと思ったのだ。

 

 

少し適当で力技のように感じるが、それで良いと思う。それに、原作での炭治郎達の戦いの中って、割と力技に近いくらいメチャクチャなことをして、それが戦いに勝利するきっかけになったことがある。そのため、力技で勝利することは何も悪くない。

ただ、力技で勝つというイメージが持てず、私が押し合いで勝てるほどの力を持っていなかったため、力技で勝とうとすることに違和感を感じている。

 

 

ずっと原作を思い出して、どう行動するのかと考えながら戦っていた。

だが、それで直接戦って勝てるのかというと、微妙なところであったため、私は勝てる確率を上げようと準備をして、こちらが優位にするために相手に気づかれないように行動しながらもその機会を待ち、その絶好の機会がきたらそこを逃さないように突く。そうしていたので、力で強引になんとかするということにどうしても違和感を感じてしまうのだ。

 

 

でも、できるのではと思ったのなら、今はそれを突き進まないと。他の方法を考えて、そちらの方が良さそうならこの方法を使うのは止めるけど、何もないならこの力技で行く。だって、その方が手っ取り早いからね。

 

私はそんなことを思いながらあの激流を押し進み、彼女の間合いに入った。

 

 

「華ノ舞い 天陽ノ花 珠沙炎天」

「血鬼術 千波帯(せんはおび)

 

 

私は彼女に向けて刀を振るが、彼女は波を操って私の刀を受け止め、水が蒸発するまでに後ろに下がった。その後、私がまた彼女に近づき、彼女は再び同じ血鬼術を使って距離をとった。これの繰り返しである。

キリがない。

 

 

だけど、焦っているのは彼女の方だろう。表面上ではそんな様子を見せていないが、彼女がこの状況をまずいと感じているのは確かだと思う。

 

水と炎。こう並べてみると、有利なのは水のように感じる。だけど、私の刀に纏っている炎はどうやらとんでもなく高温らしく、水が当たっても消えることはなく、逆に水を蒸発させる。どんなに水の血鬼術を増やしても、血鬼術の水の温度を上げ下げしようとも、蒸発してしまえばその水が無くなってしまうので意味がない。

 

 

「血鬼術 鉄砲水 凍雨水砲」

「華ノ舞い 妖狐ノ花 妖狐円輪」

 

 

あちこちに噴き出した水で囲まれた空間で、その上に水の弾が雨のように降っている。それでも私はこの勢いを失速させたくなくて、そのまま真っ直ぐに突っ込むことにした。

 

捨て身のようにも感じるが、もうここまで進んだのなら押し切った方が良いと考えた。それに、不意をつける機会にもなる。

 

 

「華ノ舞い 天陽ノ花 珠沙炎天・周」

 

 

私は彼女の間合いに入ってすぐに、私が自分の周りを中心に、円を描くように刀を振った。それによって、円の斬撃は目の前にいる彼女とその周囲を斬り、私は刀を斜め後ろに振り下ろす態勢になった。すると、その方向から紺色の何かが風に吹かれて飛んできた。その紺色の何かは布だった。いや、よく見ると、それは着物の切れ端だった。

 

 

この着物の切れ端が誰の物なのかはすぐに分かった。

まず私の着ている着物は色が緑系統だ。紺色には見えない。それなら何処かから飛んできたとも考えられるが、炭治郎や禰豆子もまた紺色の布がある着物を着ていないし、獪岳や鬼殺隊の人達は全員隊服であり、この切れ端の布は隊服ではない。

隊服は弱い鬼の攻撃を防げるくらいの耐久性を持つので、布の性質が全く違うのだ。それに、隊服は黒系統の物が多い。紺色はおそらくないだろう。

そのため、この布の切れ端が誰のものか分かる。......紺色の着物を着ているのはこの場で彼女以外にいないのだから。

 

 

私が後ろを振り向くと、彼女が左肩から斜めに斬られていた。私が刀を振った向きに斬られていることから、私があの円の斬撃で彼女を斬ったのは間違いないだろう。

 

私が正面の方を見ると、先程までいた彼女の姿はなかった。おそらくこれは蜃気楼という現象を利用した血鬼術なのだと思う。彼女の使える血鬼術を組み合わせてできるものとして、蜃気楼はそれに当てはまる。

 

 

蜃気楼とは遠くから届く光が直線的に進まず、途中で屈折するために景色が通常とは異なって見える現象であり、光の屈折が温度の異なる空気の境界で起こる。

蜃気楼は温度構造の違いにより、「上位蜃気楼」と「下位蜃気楼」の二つの種類がある。その光の屈折でできた虚像が実物の上に見えたり、虚像が実物の下に反転して見えたりするものだが、彼女が利用したのはおそらく「下位蜃気楼」の方だろう。

彼女は光の屈折を使うのが上手い。そこまで操れるのなら、光の屈折の一種である蜃気楼も再現することも可能だ。最初の戦いの時は光の屈折で私の目を欺き、血鬼術を私の意識から外したところで発動させていた。

 

 

蜃気楼の血鬼術を発生させるために彼女がしたことを説明しよう。彼女の血鬼術で辺りが水溜まりになり、そこから波や渦が発生していた。あれらで嵐のように荒れていて、激しい波もあったために波で視線を遮り、彼女の姿を見ることが難しくなった。彼女から一度でも視線が外れればその一瞬の隙で血鬼術が使える。

おそらく彼女はその時に水面に映った自らの姿に光の屈折などを利用して、それを蜃気楼として表に出し、彼女自身もまた光の屈折で姿を消していたのだろう。そうすれば入れ替えられる。

 

まあ、透き通る世界に入っている今の私にはそれに気づけるのだけどね....。

分身を作っても、彼女のは光の屈折を利用して作った幻だ。透き通る世界で見れば本物と偽物の区別がつく。筋肉や血管のないものは偽物だとすぐに気づくことができたし、そもそも水の固まりのようなものが地面から出てきたことも分かった。

 

 

きっと彼女は私が透き通る世界に入っていることに気づいていない。透き通る世界に入っているのかを判断するのは難しい。痣や赫刀は見れば分かるのだが、透き通る世界は雰囲気で分かるような感じだ。殺気がなくて植物と対峙しているという感覚らしいが、透き通る世界だとすぐに見抜けないし、確信も持ちづらいと思う。でも、これがきっかけで勘づいたかもね。

 

彼女は目を見開いて驚いている間に、私は彼女の間合いに入り、刀を振るう。

 

 

「血鬼術 氷棚針(ひょうほうばり)

「華ノ舞い 妖狐ノ花 妖狐円輪」

 

 

彼女は焦りながらも血鬼術を操り、地面から針のように尖っている氷塊を出した。だが、彼女も頸を斬られていないとはいえ、かなり深く斬られたことで動揺し、体勢を崩したようで、少し時間を稼ぎたかったのだろう。

彼女を守るように立ち阻む氷柱だったが、私はその氷柱を全て斬り、彼女との距離を一気に詰めた。彼女はまだ体勢を整え終えていないらしく、避けようとしたが、上手く動けない様子だ。

 

 

「血鬼術 鉄砲水」

 

 

避けられないと悟った彼女は水の弾を地面に向けて出し、その衝撃で砂ぼこりが舞った。おそらく目くらましをするつもりだろう。私が彼女から視線を外し、私がこれ以上攻めてこないようにした。だが、私はそれを気にせず、地面を強く蹴った。私の勢いが止まらないことに気づき、彼女は歯ぎしりしながらも体勢を整えられたようで、何らかの血鬼術で迎え撃とうとしているようだ。

 

.......いや、何か違うような気がする。

 

 

「血鬼術 波浪壁・登」

 

 

彼女は地面を強く踏み締めると、彼女のいた場所に水の柱ができた。一瞬で彼女が消えたように思えるが、透き通る世界に入っているおかげで動きがゆっくりに見えているので、彼女が上に行ったところをはっきり見た。

 

私が彼女を追いかけるために型を使おうとした瞬間、私の頭の中にはある一つの型が思い浮かんだ。おそらく何度もあの二つの型を繰り返したことで成功したのだろう。そんなことを思いながら、私は空に浮かんでいる彼女の後を追い、近くにある家の壁や屋根を蹴り、彼女と同じ位置にまで上がった。

 

 

「血鬼術 千波帯 水禍織(みずかおり)

 

 

彼女は私が同じ位置まで飛んできた瞬間、彼女の周りから複数の水の衣が現れ、それが彼女を中心に広がっていき、私も包み込もうとしてくる。

 

 

空中に逃げたのは彼女の罠だったようだ。空中では身動きが取りづらくなる。そのため、絶好の機会だ。だが、それはこちらにとっても同じなんだよね。

 

私は先程頭の中に浮かんだ型の通りに空中で体を捻って回転させ、刀を振った。

 

 

「華ノ舞い 爆炎ノ花 華昇乱舞」

 

 

私は空中で炎を纏った刀を振り、八の字や円を幾つも描いた。それは八の字や円の炎の斬撃になり、複数の斬撃が彼女を巻き込んで、遠くで見ればまるで花火が上がったような形となった。

 

 

やはり妖狐円輪と珠沙炎天は日の呼吸と同じみたいだ。なので、この二つの型も日の呼吸と同様に上手く組み合わすことができ、新しい型になるのではないかと考えた。

考えていたが、まさか本当に二つの型を組み合わせたら新しい型ができるとはね。

 

 

私はその型で彼女を斬った。彼女は私に斬られたことを驚いているようだ。

 

まあ、あの型は一瞬で多重の斬撃を放ち、それらが私を中心に半径十メートルくらいの球の範囲で飛び回り、私以外のものを斬るみたいだからね。

反撃することができず、一方的にやられたことに唖然としているようだ。それに、私の行動にも驚いているのだろう。

ずっと宙にいたが、長い時間が経って跳ぶために上へ行く力は勢いを無くし、重力がその力を上回った。私と彼女は重力に従い、下へと墜落していく。

私は地面に着く前に自分が斬った彼女へ手を伸ばした。そんな私を見て、彼女はまた驚いた顔をした。これも予想外なのだろう。

 

 

.....悪いけど、まだ終わっていないことがあるからね...。

 

 

 

 

 

 

「......どうして、アタシにトドメを刺さなかったのよ」

「....まだ聞きたいことがあるのです。なので、聞かせてもらいますよ」

 

 

現在、私の目の前に彼女がいた。

いたと言っても、彼女はバラバラなんですけどね.....。

...まあ、彼女をバラバラにしたのは私なのですけれどもね....。逃げないようにするためとはいえ、ね.....。

 

 

頸は斬っていない。だが手足を斬られたことで、彼女はその場から動けなくなっていた。しかも、その斬られたところに炎が燃えていて、再生することもできなくなっている。私に攻撃することも血鬼術を仕掛けることだって、これでは無理だろう。

 

 

「聞きたいこと?そのために、態々アタシの頸を斬らなかったということかしら?」

「...頸を斬ってしまえば時間に制限ができてしまいます。貴女はあまり話したくなさそうなので、話をする時間は長い方が良いと思いました」

 

 

彼女が私に向けて冷笑を浮かべながら言い、私は気にせずに思ったことをそのまま話した。

 

そう。先程の話の通り、私はまだ彼女の頸を斬っていない状態なのだ。つまり、彼女は灰になる心配がないのだ。別の心配はあるのだろうけど.....。....それに、頸を斬るのかどうかはこの話し合い次第にしようと思っているからね...。

 

 

「話すって、もう話は戦う前にしたじゃない。一体何を話そうとしているのよ?」

「確かに。戦う前に話はしましたけど、あれは私の言ったことへの答え合わせのような感じでしたよ。私は貴女に対して何も質問していませんでしたから、そろそろ私にも質問させてください」

 

 

彼女が不思議そうな顔で言うが、私は戦う前に話したことを思い出しながらそう言い返した。

 

あの時に話したことって、彼女を転生者だと思った理由とか、私を殺そうとしていると思った経緯とかそういう話をしていた。だが、その時に話したのは主に私であって、彼女は私の予想の答え合わせをしたような形で、自分から話をしていないのだ。

 

 

「質問...ね....。アタシはもう話が済んだと思っていたのよ。何を質問する気なのか知らないけど.....」

「どうして貴女は今回で鬼舞辻側に付いたのですか?」

 

 

彼女は心当たりがないという様子でそう言うが、私の質問を聞いて、目を見開いた。

明らかに彼女は動揺している。この質問が予想外だったのか、それとも.......。

 

 

「....何でそんなことを聞くのかしら?アタシがどうなろうが、貴女には関係ないじゃない」

「確かに鬼舞辻側に付くと決めたのは貴女自身です。関係のない私がそれを知る必要なんてないでしょう。ですが、私はそれでも知りたいと思ったのです。前回のことで貴女がどんな人間なのか分かったから、もっと知りたいと思いました。本当なら、貴女はこのことを誰にも話すつもりなんてなく、貴女を思うなら聞かない方が良いのでしょう。それでも、私は聞きたいと考えてしまいます。......ですけど、私はこのまま引きたくないです。

私の身勝手でこんなことになってしまって、申し訳ないと思っています」

 

 

彼女の惚けようとする様子を見て、私は丁寧な口調を意識しながら誠意を込めて謝罪をした。

あの反応からして、おそらく私の想像したことが当たっている可能性が高くなった。それなら、私の行動で彼女の思惑が失敗になったということは確かなようだ。なので、私は彼女に謝った。きっと彼女にはこの方法しかないと考え、色々準備をしてきたのだろう。それを私が台無しにしたのは間違いない。

それでも、ここまで来てしまったのならいっそのこと聞こうと思い、私は彼女のことを話してほしいと頼んだ。

 

 

しかし、彼女は私の言葉に何も反応せずに黙ったままだった。それがどういうことなのかは分かった。分かったし、予想していたことだから衝撃を受けていないが........。

 

 

「.....話す気はないということですね。それなら、私の予想を話しても良いですか?」

「まさか気づいたの!?」

「憶測ですよ。確信は持っていないし、証拠もない。私が勝手にこうなのではないかと思っているだけですよ。...なので、確認してもらってもいいですか。私のこの予想が合っているのかどうかという、この答え合わせをしてもいいですか?」

 

 

私は彼女の様子を見て、聞き方を変えようと考えた。確認するという形でなら良いのかと聞いてみると、彼女は驚いた様子でそう言った。彼女の反応を見て、私はまだ何かあるのだというのを確信しながら彼女の質問に答え、もう一度聞いた。

 

しばらくの間は私も彼女も無言でいたが、やがて彼女は折れたようで大きく溜息を吐いた。

 

 

「.........いいわ。そのくらいのことなら別に.....」

「ありがとうございます」

 

 

彼女は諦めた様子でそう言い、私は彼女に深く頭を下げた。

 

彼女には触れてほしくなかったかもしれないことだ。それを土足で踏み込むことをしているのは分かっている。でも、私はここで終わりにしたくない。だから、私の考えていることが合っているのかどうかを知りたい。...彼女には悪いと思っているけど.....。

 

 

「単刀直入に言いますと、貴女は最初から炭治郎達と敵対する気なんてなかったのではありませんか?」

「....!どうしてそう思ったのかしら?」

 

 

私の言葉に彼女は眉を顰めてそう言った。私の言葉が外れだと言っているような行動だが、一瞬だけ別の反応をしていた。それはまるで狼狽えているかのようにも見えた。

だが、本当に一瞬であったため、私の言葉に対してどう思っているのかを正確に予想するのは難しかった。彼女の反応を見ながら話しているが、これだけでは情報が少ないし、真実かどうかは私の予想を全て話してからにしよう。

 

 

「前回のことで原作と違うところは炭治郎が亡くなっただけではありませんでした。無限列車では猗窩座が現れなかったし、最終決戦ではどうやら誰も死亡していなかったようでした。最終決戦のことは炭治郎や善逸達にちゃんと確認しましたよ。最終決戦で無惨と戦った時、その場には柱九人や炭治郎達全員がいたのかと聞いてみました。そうしたら、『柱も炭治郎達も全員そこにいた。誰一人として、欠けていなかった』と教えてくれました。

 

 

まあ、禰豆子は原作通りに終わりぎりぎりに来ていたようですが...それ以外は色々と変わっていました。

原作では無惨との最後の戦いにいた柱は義勇さん、甘露寺さん、伊黒さん、不死川さん、悲鳴嶼さんの五人でした。...この点でもう原作と前回の違いがよく分かると思います。

柱が九人全員いたということはそこに煉獄さん、しのぶさん、時透君、宇髄さんもいたということになります」

 

 

私は一度そこで話を区切り、彼女の様子を見た。

 

彼女は私の話を口を出さず、反論しようともしなかった。ただ、黙って聞いているだけだった。

そのまま続けていいということだよね....。

 

 

「煉獄さんは最終決戦の前にある無限列車で猗窩座との戦いで亡くなりました。しかし、前回では猗窩座が現れなかったことでこの戦いも無くなり、煉獄さんは生き残ることになりました。ですが、このような疑問が残りませんか。どうして猗窩座が現れなかったのかと」

「それは......猗窩座が無限列車へ絶対に現れるって決められているわけじゃない。ここが原作と全て同じだとも限らないわよ」

「私も同じことを考えました。この世界は漫画ではなく現実なのだから、全てが原作と同じように進むわけではない。炭治郎のこともあるし、この世界で無限列車に猗窩座は現れないということになっている。そう思っていました。

ですが、今回では無限列車に猗窩座が現れた。これらから、前回で無限列車に猗窩座が現れなかったのは、猗窩座が無限列車に現れることができない何かが前回で起きたのではないかと私は考えました」

 

 

私は彼女に質問形式で聞いてみると、彼女は少し思案した様子でそう答えた。私はそれに頷きながらも彼女の言葉を否定した。

 

 

無限列車のことは何度も考えた。炭治郎の死以外で原作と違うところであり、私が最も疑問に思ったところだ。

原作だと猗窩座が無限列車のところに来たのは無惨からの命令だった。猗窩座は無惨の命令に忠実だったので、それを無視することはないだろう。

 

そうなると、無惨が命令を下さなかったのか、猗窩座が行けない事態だったのかの二択に絞れた。

だが、無惨の性格から魘夢の目で炭治郎(耳飾りを身につけた鬼狩り)がいると分かって、そのまま放置しようと考えるわけがない。魘夢に何かあったのかと思ったが、炭治郎達の話を聞く限り、それもないと考えた。となると、猗窩座を邪魔する者がいたと考えた方が良いのだろう。

 

 

と言っても、邪魔する者がいたというのは可能性があるだけだ。だが、確実に言えることは猗窩座が介入できなくなるほどの何かが起こった。これは確かだと考えた。

 

 

「他にもありますよ。最終決戦での上弦の鬼との戦いでしのぶさんと時透君が亡くなる筈でしたので、私は前回の最終決戦での出来事を二人に聞いてみました。すると、何やら不自然な点があったそうです。

 

 

しのぶさんの時は童磨が行動しようとすると、一瞬だけ動きが止まったり、何か痙攣のように揺れたりということが起きていたようです。私はこれを聞いて、その動きを不自然に思い、誰かが何かしたのだろうというのはすぐに気づきました。

それを見たしのぶさんがふざけているのかと思ったくらいですから(まあ、これはしのぶさんの個人的な感情からだと思いますけど)。

私達に分かりやすい表現でいうと、テレビのバグのようなものですね。画面が乱れているように見えるようです。

毒を打った時にそれが起きるので、しのぶさんは毒が効いているのかと思っていたそうですが、童磨の反応からそれは違うというのは分かったそうです。どういうことなのかと調べてみたそうですが、何も分からなかったそうです。

 

 

時透君の時はなんだか物思いに耽っているようで、一瞬動きが止まることが多々あったそうですよ。時透君は流石に物思いに耽るのが長過ぎなのではないかと疑問に思うくらいには。ただ強かったため、片腕を斬られ、切断をした方がいいかと考えるほどの大怪我を負ったようです。片腕を失っていないことでここも何かが起きたのだと分かります。

肩を刀で貫かれて身動きが取れなくなったそうです。ここも違いますよね。この変化にもそう行動が変わるようになったのだと考えました。

まあ、一番気になるのは物思いに耽る件ですけどね。

特に、時透君が柱に押しつけられた後に相手の懐へ入って刀を刺した時にも、黒死牟は何かを思い出したように、何処か遠く見ていたそうです。その様子は時透君達が何か罠があるのかと考えるくらいに異質だったようですよ。

 

 

宇髄さんに関しては亡くなったというわけではありませんが、遊廓の戦いで左目と左腕を失っていました。

ですが、宇髄さんはどうやら五体満足で生き残ったと言っていました。

その時も不自然なことが起きたようですよ。妓夫太郎に追い詰められ、宇髄さんもその時は流石に腕一本を斬られる覚悟をするくらいだったと言っていました。

ですが、妓夫太郎のその一撃は宇髄さんの左腕の皮膚を薄く斬るだけだったそうです。腕が無くなると思っていたから、幸運だったと思ったようです。

その時、宇髄さんはあの時のあいつは目を押さえて、あのクナイに塗られた毒がまだ解毒し切れていなかったのかと呟いたのを聞いたそうです。ですが、その直前の妓夫太郎の動きから解毒していたのは間違いなく、使った毒が後から効果があるような複雑なものではなかったため、そこを妙だとは思っていたそうです。

 

全員がおかしいとは思っていたようですが、どれも目撃者が一人しかいないので、気のせいなのではないかと考えていました。それと、その後で色々なことが起こり、私が再び聞くまで忘れていたようですよ。まあ、そうなるように操作したのかもしれませんけど」

 

 

私は鬼殺隊から聞いたことを全て話した。その話を聞いて、彼女は私から目を逸らした。しのぶさん達の話も聞いて、彼女なりに思うところがあるのだろう。それとも、自分のやったことを言われて、それが気まずくて現実逃避でもしているのかな。

 

 

でも、鬼殺隊だけが分かる情報もあるから、鬼殺隊へ行ってみようと思って行動したが、鬼殺隊にいたことで得る情報は本当に多かった。私の想像以上だ。特に、これらの情報はその場にいた本人だけしか知り得ないものなので、鬼殺隊に会わないと分からないことだ。

捕まるという形でも鬼殺隊に行って話をしようと考えたのは正解だったみたいだ。そうしなかったら、私はこのことに気づけなかっただろう。

 

 

「貴女が煉獄さん達を助けてくれたと私は思っていますが、どうなのですか?」

「.......それに証拠なんてあるのかしら?アタシが煉獄さん達の死亡フラグを折ったという証拠は」

「ありませんよ。先程私が言った通り、これは私の憶測ですから。....ですが、私は無限列車や遊廓の戦いを経験して、原作の通りに行動していたら煉獄さんは亡くなっていたとか、宇髄さんはあの時にあれが起きなければ片腕と片目を失うことになり、引退していたのではないかとか、そういうことを思うくらいのことがありました。いや、危機感を感じたということが何回もありました。

原作は原作、前回は前回、今回は今回ですが、この不安から私は警戒していました。そうしているうちに私は戦いの中であることに気づきました。

これは現場に出た私の勘でしかありませんが、原作と同じことになる可能性はあったと思ったのです。そう感じたのは一度や二度ではなく、何度もありました。だから、私はその違和感が原作の流れと仮定し、その流れに沿うような形で動こうとしているのが分かります。ですので、前回もそれが起きたのではないかと思っています」

 

 

私が彼女に聞いてみるが、彼女は証拠があるのかと聞いてきた。私は最初の推理小説みたいだという話がまだ続いているのかと思いながら、私のこれまで感じてきたことを言った。

 

思えば原作に関わるようになってから、それを目安に行動していたが、その中で疑問に思うことが幾つかあったのだ。それらをよく見ると、原作のようになろうとする流れがあることに気づいた。

その流れを確信したことで、彼女が前回で関わっているのだと気づくことができた。それと同時に、今回の彼女の行動にその流れが理由であることも勘づいた。

 

 

「....それが仮にアタシであったとしても、炭治郎の件はどうなのかしら?炭治郎の件はアタシの所為なのよ。煉獄さん達を救済したのに、なんで炭治郎を殺すことになるのよ。なんで炭治郎だけを殺すのよ。意味が分からないわ...」

 

 

彼女は顔をしかめながらそう言った。その言葉を聞いて、私は彼女がどう思っているのかを察した。

 

この彼女の言葉は....おそらく自分自身が思っていることなのだろうと。

 

 

「その答えは今の貴女からよく分かりますよ」

「はっ?」

「確かに貴女は炭治郎を殺されるきっかけになってしまった。だけど、貴女は炭治郎のことを殺す気なんてなかった。そうでしょう」

 

 

私は彼女に向けて微笑みながらそう言うと、彼女は目を見開いた。

どうやら大当たりのようですね。流石の彼女もこれには動揺も隠せないようだ。

 

 

「な、何を言っているのよ。アタシが殺す気なんてなかったって.....。....何を確信にそんな......。...それに、煉獄さん達を救済したこととアタシが炭治郎を殺したことに何が....関係性があるとでも.....」

「...まあ、あると言ったらあると思いますよ。煉獄さんの時はどうなのか分かりませんが、宇髄さん達の時はどれも鬼が何か幻覚のようなものを見ているのではないかと思える行動をしていました。

だけど、宇髄さん達は見えていない様子でした。上弦の鬼には見えるのであって、宇髄さん達には見ることができません。それなら、上弦の鬼だけ(特定の人物)に作用する血鬼術なのではないかと考えました。そう仮定すると、色々繋がるのですよ。

それと、炭治郎の時は周りの記憶から炭治郎のことが消える、炭治郎を仲間と認識できないということになった。

 

一見バラバラのように見えるかもしれませんが、これらの共通点は五感と脳が関係するということです。

つまり、脳に何らかの影響を与え、見たものや聞いたもの、察知したものなどを別のものに変えたり、不都合なものを消したりできるというですね。

貴女の使う血鬼術は精神に何らかの影響を与えるものだと考えていましたが、精神というよりも脳の方が正しいと思います。本当は脳に影響を与え、記憶や認識、感覚を操作できる血鬼術なのではないですか?

....別に何かしらの関係を疑ってもおかしくはないでしょう。前回で貴女は鬼であり、無惨からの支配を解いていたというのなら、貴女は例え他の鬼の邪魔をしても、無惨から呪いで殺されることはないのですから」

 

 

動揺している彼女の様子を見ながら、私はそれでも話を続けた。その様子から知られないようにしていたのだということが分かり、ますます申し訳なく思った。

 

 

彼女と話す前はまだ彼女の血鬼術のことを把握しきれていなかった。そのため、彼女の血鬼術への認識にズレがあり、それによって私も彼女への評価を誤ってしまった。

彼女の血鬼術は普通とかそういう単純な次元ではなく、初見殺しとか反則のようなものだ。それは分かっていたが、私はこの戦いまでそれを過小評価していた。その血鬼術の範囲と具体的な力を理解して、漸く真相に近づけたと思う。

 

 

「それに、貴女はこう言っていますよね。『炭治郎の件はアタシの所為』と。貴女がそう言っているのは、前回で炭治郎に起きたことの原因が自分自身であり、また同じことが起こらないように貴女は前回と同じ行動しなかった。

そして、あの時の件から鬼殺隊の方に行かず、貴女は鬼側につくことを決めた。....まあ、鬼側にはついたけど、鬼殺隊の情報は話していない様子なので、個人的な考えから、でしょうか」

「.....!アタシがこっち側に入ったのは生き残るためなのよ!償いとかそういうのじゃないわ!」

「...私は貴女がそのために鬼側についたと思えません。別の意味があると思っています。

もし生き残るためというのなら、無惨側に入らない方が生存率は高いのではないでしょうか。煉獄さん達の救済の件を否定しても、貴女は前回で逃れ鬼となっているのなら、無惨の支配から抜け出すことが可能であるため、無惨に従う必要はありません。まあ、無惨が追手を放つことになりますが、前回で鬼側からも鬼殺隊からも逃げ延びていたのですから、絶対にこうしておかなければという感じではない筈です。生き残るためと言っていましたが、それなら貴女が柱や炭治郎達を殺した方がその確率が高くなります。貴女の血鬼術ならそれが可能ですし、鬼側から追手が来ても逃げられますので。それなのに、貴女は炭治郎達を殺そうとしなかった。しかも、地上に着いた時の様子から、貴女は何かを待ち望んでいたような様子でした。

それに、貴女は鬼殺隊の情報を鬼側に何も伝えていないことから、既に無惨に忠誠を誓っていないし、鬼殺隊を不利な状況にするつもりもないと分かります。そのことからも、貴女は鬼殺隊が無惨を倒してくれることを望んでいるのだと考えています」

 

 

私の話を聞いて、彼女は動揺しているのを隠さずにそう叫ぶように言った。それに対して、私は自分の推測を話した。

と言っても、彼女が償いのために自ら悪役になろうとしていることは確信しているんだよね。彼女が童磨以外を原作通りにしたことで、私は彼女が生き残るためというのは違うと思った。

それに、彼女の血鬼術が分かってみればますますその可能性が高くなってきた。

 

 

私の予想だと彼女の使える血鬼術は隠密に適している血鬼術だ。本来なら表に出ず、裏から動けば相手を倒せるはずだった。

 

 

だが、彼女がこうも色々準備したのはおそらく私に血鬼術が効かなかったからなのだろう。血鬼術を使えば私なんてすぐに殺せたはずだ。おそらく彼女ならすぐに殺そうと動いた。

しかし、血鬼術が私に効かず、いつものようにはいかないと考え、物理で倒せる水の血鬼術も使うことにした。血鬼術を二種類使い、それらを組み合わせたもので戦えば私に通用すると考えたのだろう。彼女の様子からして、水の血鬼術をかなり鍛えたようだったし。

その結果、私には脳や五感などを操作する血鬼術が真正面であっても一斎効かず、水の血鬼術で対抗した。

 

どう組み合わせたのかというのは、おそらく脳や五感などを操作する血鬼術を私にかけるのではなく、水の血鬼術の方にかけたのだろう。魘夢の血鬼術は夢に関係するもので、すなわち脳とか心とかそういう精神的なところを攻撃する血鬼術であった。

そして、今回の彼女の血鬼術も脳や五感などを操作する、精神そのものを攻撃できるものだった。これらのことから考えると、私は精神を攻撃するような血鬼術が効かないということになる。

 

 

まあ、水の血鬼術にかけた方の血鬼術は私に予想通り効いたのだけど、どうして自分の精神的なものにかける血鬼術が効かないのかというのは何一つ解けていない。

でも、それは彼女に聞いても分からないことなので、そのことに関してはこれ以上考えるのを止めよう。

今は彼女のことだ。

 

 

「貴女が無惨側になった本当の理由は.....前回でやってしまった炭治郎の時のことに対する償うためだったのではないですか?」

「....!どうして...そんな........そんな筈がないわよ!アタシが鬼側に入ったのは鬼だからであって....敵として貴女達の前に立ち塞がったのよ!貴女のことも殺そうとしたし、そんな奴をよく救済してくれたとか、償おうとしているとか言えるわね!...それに、アタシは今回では何もしていないじゃない!炭治郎の件を償うために、なんで前回で救済した人達を今回は救わないのかしら!」

「.....私は貴女がとても頭の良い人だと思っています。それは鬼や鬼殺隊の両方から逃げ切ったことからも戦いでの血鬼術からも分かりました。そんな貴女が前回のあの時に血鬼術に誤作動をするということが起きるのかというと、私は微妙なところだと思いますよ。

ですので、貴女に予想外な何かが起きたのではありませんか?前回では煉獄さん達を助けていた貴女が今回はやっていないことにも、貴女が私を殺そうとしていることにも関係しているのではないでしょうか?」

 

 

私の質問に彼女は大声で否定した。それを見て、私は彼女がここまで否定するのは認めたくないという気持ちが強いのだろう。

それ故に、彼女は答えを言っているような態度をしていても、それに気づいていないようだ。

 

 

「......貴女って、本当に何者なのよ?なんでそんな核心に迫るところまで来るのかしら?転生者だから勘づかれるとは思っていたけど、ここまで見破られるのは流石に予想外よ。それとも、それが転生特典なのかしら?いや、貴女の先程の力も気になるわね。そっちが本当の転生特典なのかしら?」

「それは分かりませんよ。ここまでの話は鬼殺隊や炭治郎達の話を聞いて、私がただこうなのではないかと思ったことを言っているだけですので、ほとんど勘です。.....あの力に関しては私も知らないことばかりなうえに初めてのことだったので、むしろ私が教えてほしいのですよ。

....それより、私の憶測は正解ということでよろしいでしょうか?」

 

 

彼女は私を睨むように見ながら自笑するかのようにそう言った。なので、私も正直に答えた。

彼女はしばらくの間私を凝視していたが、やがて肩の力を抜き、溜息を吐いた。

 

 

「...もう潮時かしらね.....。....いいわ。この際だから、アタシのことを全部話してあげるわよ」

「あの時のことを、前回で起きたことを全て話してくれるということですか」

「ええ.....。アタシの考えが少し入っているけど、それでも構わない?」

「構いません。むしろ、本当のことを話してくれることに感謝しています」

 

 

彼女は話を逸らすのを止め、素直に話すと言った。私が確認すると、彼女は取り繕うのを止めた様子で私に聞いてきた。私はそれに微笑みながらしっかり頷いた。

 

全てを話してもらえるのだから、その話に文句を言う気はない。話してもらえるだけでも感謝するべきなのだ。

 

 

「...全く。話す気なんでなかったのよ。....それじゃあ、アタシがこの世界に転生した時から話すわね。何処から話せばいいのか分からないから」

 

 

そう言って、彼女は語り始めた。私はそれを一言を聞き逃さないように彼女の話に注目した。

 

 

 

 

 

いよいよだ。現状がどうなっているのかは分からない。

だけど、これでこの戦いは終わり、一つの終止符を打つことができる。それだけは確信できた。

 

 

 

それと、彼女の話次第で、私は............しようと思う。

 

 

 

 

 






華ノ舞い


妖狐ノ花 狐空円輪

刀を回転させた状態で八の字を描きながらステップを踏んで前に進み、自分に向かってくる攻撃を全て斬ったり弾いたりする。


天陽ノ花 珠沙炎天

刀を回転させた状態で上半身を捻り、大きく円を描く斬撃。


爆炎ノ花 華昇乱舞

刀を回転させた状態で体全体を捻りながら八の字を描いたり大きな円を描いたりして、大小とある多重の斬撃を放つ。


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