「華ノ舞い 紅ノ葉 陽日紅葉」
「月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦」
私は月の呼吸の斬撃の範囲の広さを警戒し、何回も使える型で応戦した。一撃一撃が重いが、それをいなすことは可能だ。そうして、黒死牟の月の呼吸と何度もぶつかっては消えてゆく。私はそれを見ながら斜めに近づき、刀を振った。
「華ノ舞い 炎ノ花 紅梅うねり渦」
「月の呼吸 参ノ型 厭忌月・銷り」
私が巻き起こした炎の渦を黒死牟は複数の斬撃で掻き消し、私は紅梅うねり渦で自身を守りながら少し距離を詰める。私は脚の動きを変え、ステップを踏むように地面を強く蹴った。
「華ノ舞い 水ノ花 水仙流舞」
「月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮」
私は黒死牟に近づこうとし、黒死牟はそれを妨害しようと斬撃を放つが、私は型の動きを上手く利用し、その斬撃を避けたり受け流したりした。
「華ノ舞い 日ノ花 日車」
「月の呼吸 陸ノ型 常夜孤月・無間」
「華ノ舞い 花ノ束 桜花しぐれ」
私は間合いに入った瞬間に縦に回り、黒死牟の腕を薄く斬り、私はそれを確認した後、すぐにその場から離れた。間合いに入った時にその場へずっといたら斬られるだけだからね。
黒死牟の広範囲から来る無数の斬撃を私は同じ広範囲の型で受け流した。
「月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦」
「華ノ舞い 炎ノ花 紅梅うねり渦」
黒死牟が刀を振らずにできた斬撃の渦を、私はすぐに炎の渦を作り、それで相殺する。
「華ノ舞い 花ノ束 桜花しぐれ」
「月の呼吸 弐ノ型 珠華ノ弄月」
「華ノ舞い 水ノ花 水仙流舞」
私は撹乱させようとするが、黒死牟によって跳ぶのを止め、その斬撃を防ぐ方を優先した。あの斬撃は確実に避けないと駄目だ。私は避けながらも適度な距離を保った状態で、攻撃に転じる機会を待った。
「月の呼吸 玖ノ型 降り月・連面」
「華ノ舞い 月ノ花 月光華・草奏」
黒死牟の斬撃が降り注いでくるので、私は連続で斬撃を放てる型を使い、斬撃が止むまで耐えた。いや正確にいうと、黒死牟の動きが止まったから斬撃も止んだのである。
私は黒死牟を見たが、黒死牟は全く動く気配がない。私はどうしてなのかすぐには分からなかった。
「.....何故...その型を使える.....」
だが、その言葉で漸く黒死牟が止まった理由に気づけた。
そういえば先程使った月光華・草奏は月の呼吸が基本となっているであろう型だ。月の呼吸は黒死牟しか使い手がいないのに、何故かそれと似た型が使えたらそれは驚くだろう。
あの間の原因が分かったが、どう説明しようか。私も詳しく説明するようにと言われて答えられるほど分からないし....。
......でも、嘘をつけばバレそうだ。嘘をつく時に口や顎を手で隠したり、鼻や眉毛、耳たぶなど顔の一部を触ったりする仕草があるくらいだから、透き通る世界でそういうのがお見通しの可能性はある。
「......この型を何故使えるかと言われましても、貴方の使った型と他の呼吸の型を組み合わせてできたとしか言えませんね」
「....ほう」
私の言葉に黒死牟が反応した。悩んだ結果、なるべく分かっていることを正直に言いながらも相手が納得する言い回しをすることにした。
嘘は言ってないから、バレていないみたいだ。私の意志でやっているわけではないが、華ノ舞いを私が使えるようになった時のことを(無意識に何故か起きることを抜きに)話せば大体そういう説明になるので。
私の話で黒死牟は何か興味を持っているようだが、私はそれを気にせずにこの際にと思って言いたいことを話した。
これはどうやったのかというような説明をしないといけなくなりそうなので、そうなる前に手を打つことにした。
「貴方は日の呼吸とか呼吸にこだわっていますが、私は日の呼吸や月の呼吸のことというように、日の呼吸だからこそ最強と考えていません。.....まあ、ある意味では私も自分の呼吸のことを気にしていますが、日の呼吸以上にこの型が体に合っているから、そのように考えています。...例えその呼吸が使えたとしても、その人のようになれるというのは別です」
「........!」
「同じものが使えても、その人にはその人に合ったものがあり、私には私に合ったものがあるのです。なので、私はその人と違った手段を使いますし、どんなものであろうともそれが私に合うものであるなら、私はそれを使ってみますよ」
私は黒死牟が反応しそうなことを指摘し、黒死牟の思考をそちらに向けさせた。黒死牟は私の話に分かりやすく反応した。私はその上で話し続けた。
私は私の戦い方でやっているので、縁壱さんとのことに私を巻き込まないでほしいということを伝えたいのだ。...なんだか巻き添えになっている気がしているので。
私の発言に黒死牟は私のことをじっと見ていたが、何故か笑った。私はそれに少し驚いたが、表面ではあまり反応していないように見せた。
「......そうか。私の呼吸に...それで対抗するというのなら....」
黒死牟の呟きが聞こえた瞬間、周りの空気が一気に重くなった。私は黒死牟が本気を出してくるのだと察し、私はすぐに受け流す体勢を取った。
受け止めるのは難しいと思ったからだ。
黒死牟は月形変則刃を出している。私はここからが本番だと気を引き締める。
「月の呼吸 捌ノ型 月龍輪尾」
「華ノ舞い 紅ノ葉 陽日紅葉」
黒死牟の広範囲の一振りに対して、私は何度も刀を振る。あちらの一振りだけにそこまでするのかと言われそうだが、それくらいしないと受け流しきれない。
一振りであっても、あの広範囲に何度も細かな斬撃を纏っているとなると、それらを私の一振りで防ぎきるのは難しいだろう。黒死牟が先程と違う様子であるため、ここからは一振り一振りを見過ごすわけにはいかない。それは察したのだ。
「.....確かに呼吸を混ぜたものであるが、対抗できている。それに、日の呼吸以外の呼吸と言うと....確かにその呼吸と似た部分がほとんどだ...。だが、それを一つにまとめたのは....なかなかだ」
「そうやって、呼吸は派生していったのではありませんか。自分の使いやすいものに形を変えていったので、今も受け継ぎ、呼吸は増えてきたのは分かっていますよね」
黒死牟は私の型を見て、興味深そうにしながら呟いていた。その呟きを聞き、私は(この型が頭に浮かんだということだけで、自分でというと違うため)どう反応したらいいのか分からず、とりあえず派生した呼吸のことを話した。
黒死牟はそのことについて特に何も指摘せず、無言で立っていた。私は刀を構えた状態で様子を見ている。距離を詰めて攻撃する方になりたいが、黒死牟の反応でどうしても躊躇してしまう。
「月の呼吸 漆ノ型 厄鏡・月映え」
「華ノ舞い 花ノ束 桜花しぐれ」
黒死牟が刀を振って飛ばした五方向からの斬撃を、私は華ノ舞いの動きで避ける。先程止まった時と同じ展開に感じる。
このままだと長期戦になる。いや、最終決戦なので長期戦になるというのは覚悟していたが、できることなら無惨の方が大変であるため、そちらに時間をかけたい。
なので、この戦いを早く終わらせたい。
あっ。それと、七海と禰豆雄の問題もあった。七海と禰豆雄の方は童磨が相手らしいけど、もう童磨を倒している頃だと思うので、そろそろ止めに行かないと.......。
「風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ」
私がそんなことを考えながら黒死牟の攻撃を避け、近づく隙を探していると、竜巻が私と黒死牟の間を通った。いや、正確に言えば竜巻のような風の斬撃であるが、私はそれに気づき、部屋にある柱に脚をつけ、くるりと一回転した後、柱を強く蹴った。
「華ノ舞い 雷ノ花 梔子一閃」
刀を思いっきり振ったが、その一撃は黒死牟の着物と刀の一部を斬るだけであった。黒死牟に刀を受け止められたので、私はすぐに力を上手い具合に抜いて体も捻り、黒死牟の斬撃をなんとか回避し、蹴った柱の辺りにまで戻ろうとした。だが、黒死牟は追い打ちのように斬撃を飛ばしてきて、私はそれを受け流そうとして....止めた。
それは諦めたというわけではない。
「岩の呼吸 参ノ型 岩軀の膚」
振り回された鉄球がその斬撃を吹き飛ばした。私はそれに驚いて口を開けそうになったが、それを我慢して着地し、体勢を整える。
「ほう。風の柱か。戦国の世で....剣技を...高め合った......あの時以来だ.....これほど高揚したのは....。...そして、素晴らしい....。極限まで練り上げられた肉体の完成形.....。これほどの剣士を拝むのは...それこそ三百年振りか....」
「不死川さんと悲鳴嶼さん。来てくださり、ありがとうございます」
聞こえてきた黒死牟の声は大きさが変わらなかったが、高揚していると感じ取れるものであった。それにより、黒死牟の機嫌が非常に良いことが分かる。特に悲鳴嶼さんに対しては凄く....。
まあ、私は日の呼吸のことがなかったら全然興味を持たれない人ですから。流石に悲鳴嶼さんくらいを望まないけど、少しでもいいから筋肉はついていいと思う。圧倒的に少ないから、ちょっと分けてもらいたいんだよね...。
......拗ねているのかって?はい、拗ねています。即答するくらいに。
でも、不死川さんと悲鳴嶼さんが来たのはとてもありがたいことである。このまま時間をかければかけるほど私が不利になるのは明白であったので、味方が増えるのは良かった。
今の黒死牟は何故か機嫌が先程よりも良い方であるため、とても助かった。
「南無。これが上弦の壱....元は呼吸の剣士だった鬼か。なんと憐れな...」
「おい、暴走しない方の生野。動けるなら俺達の援護をしろォ。その素早さならあの攻撃の合間に入り込めるだろォ。俺と悲鳴嶼さんが頸を斬れるよう、何でもいいから隙を作ってくれェ」
「分かりました。ですが、気をつけてください。あちらはまだまだ余力を残していますし、何か奥の手を残しているかもしれません。それに、先程刀の一部を斬ったはずが元に戻っているため、おそらくあの刀も血鬼術や鬼としての一部であるのだと思います」
「.....上等だァ。殺し甲斐のある鬼だァ」
悲鳴嶼さんは黒死牟を見ながらそう言いながらもいつ襲いかかられてもいいように、鉄球を振り回している。不死川さんも黒死牟から視線を動かさない状態で私に声をかけた。私はその判断が妥当だと考えて頷いた。
私自身が黒死牟の頸を斬れるかどうか不安なのだから。私は猗窩座の頸を斬ったり、童磨にも攻撃したりしていたが、鬼の中で二番目に強い黒死牟の頸が斬れるかどうかは別の問題である。
鬼は強いものほど頸が硬くなっている。それも当然だ。無惨以外の鬼は頸が弱点であるため、その弱点を防ぐためにも頸は硬いのだ。猗窩座の頸だって硬かったし、童磨の体の一部を斬る時も苦労した。
それでも上弦の参の猗窩座と上弦の弐の童磨に通じたからといって、上弦の壱の黒死牟も大丈夫だという話にはならない。
そのため、黒死牟の頸を私だけで狙うというのは危険なことであった。もし頸が斬れなければ私は無防備になってしまうため、すぐに殺されてしまう。
私も判断を間違えたら駄目だと分かっているから、隙ができるのを待っていた。だけど、黒死牟が私のことをかなり警戒しているため、全く隙を見せない。そのため、私は劣勢になっていた。
私は悲鳴嶼さんと不死川さんの黒死牟の特徴を教えた。報告に黒死牟のことを書いていたが、それはその時の私(原作を知らない)が見たら分かることを書いた。
流石にあの一度の戦いだけで詳しい情報が多くあっても、返って怪しまれる。原作を知っていたとしても、その知識は一気に全部を話すのではなく、大丈夫そうだと判断したものを話している。不信感を募らせるて、情報を信じてもらえないのは嫌なので。
最低限でも何か情報があったら対策は練れるから、私はそちらの方が良いだろうと思った。
不死川さんも悲鳴嶼さんも長年柱を務めてきた人達だ。原作でも不死川さんが経験から黒死牟の攻撃を避けられていた。だから、僅かな情報でもあれこれ考えられるし、それが戦いを有利にしたり生存できたりとかそういう道に繋げられる可能性がある。
なので、私は先程までの戦いで分かることを話した。それを聞き、不死川さんは今にも突っ込みそうな様子であるが、それを耐えて警戒していた。
だが、その様子から不死川さんが何をしてくるのか察せられるため、私も構えた。
「風の呼吸 参ノ型 晴嵐風樹」
「月の呼吸 拾ノ型 穿面斬・籮月」
「華ノ舞い 水ノ花 水仙流舞」
「岩の呼吸 弐ノ型 天面砕き」
最初に不死川さんが黒死牟に向かって走り出し、黒死牟は斬撃を放った。私はその黒死牟の斬撃を下に受け流した。不死川さんが斬撃を放つが、それを刀で防ぎ、その後で悲鳴嶼さんが上から跳んできて、黒死牟の頭に鉄球が落ちそうになるが、それも回避する。
味方が増えたことは心強いが、あの威力の斬撃を受け流す場所が限られてきたのはキツい。一人だった時は黒死牟の広範囲の攻撃でもあちこちに受け流すことができたが、今では受け流した攻撃が当たってしまう可能性があるので、どう受け流すかを考えないといけない。特に広範囲の攻撃だった場合は互いの斬撃で相殺し合えばいいが、中途半端だった場合はその斬撃があちこちに散らばることになり、避けるだけでも大変になる。
どうして私が悲鳴嶼さんと不死川さんと連携が取れているのかって?
柱稽古で柱同士が一対一で戦う訓練はあったでしょう。あれに私も何故か参加することになっていたのだ。
本当に私は柱ではないはずなのだけどね。そのため、隊士として柱稽古に参加する側だったよ。だけど、それなら向かった先でそのまま稽古をすればいいのではないかという話になった。
ちなみに、私もこの訓練を行うことになった理由として、上弦の鬼と何度も戦っているからだそうだ。それなら七海と禰豆雄も同じだが、あの二人と連携を取れるかどうか不安だという意見が多数あったので、それは無しということになった。
こうして、柱ではないのに、柱同士の訓練に参加しながら、私は柱ではないためにそれぞれの稽古をこなすこととなった。煉獄さんの場合は全然滞在しなかったため、義勇さんのところへ来た時にした。不死川さんも七海と禰豆雄の仲裁の方が忙しく、その時に不死川さんとも打ち合いになったのだが、一対一ではなかったために義勇さんのところで一、二度訓練をした。
ただし、七海と禰豆雄に見つかった時にはすぐに中止になるのだけど....。...だから、七海と禰豆雄をどうにか不死川さんが来ていることに気づかれないように、義勇さんとあれこれ考えた。だが、バレるのだよね.....。そういったことはあの二人に。
まあ、全体的にかなり厳しい予定になったよ。でも、そのおかげで黒死牟の戦いでの連携に私も問題なく加わることができたので、そこは良かったと思っている。
特に、悲鳴嶼さんは七海と禰豆雄の稽古期間が長かったからね。実際に見て、やはりこの人が鬼殺隊最強なのだなと実感しましたよ。
「風の呼吸 肆ノ型 昇上砂塵嵐」
「華ノ舞い 風ノ花 衝羽根旋風」
「岩の呼吸 肆ノ型 流紋岩・速征」
「月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦」
黒死牟が悲鳴嶼さんを狙ったところで不死川さんが斬撃を放ち、私も渦を描いてその斬撃を飛ばした。その斬撃を黒死牟が受け止めた瞬間、悲鳴嶼さんは次の型を使った。だが、黒死牟はそれも自身から発生する渦で防ぐ。
「風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐」
「華ノ舞い 岩ノ花 野蘭咲き」
「岩の呼吸 壱ノ型 蛇紋岩・双極」
「月の呼吸 拾陸ノ型 月虹・片割れ月」
「風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風」
その渦は私達の方にも来て、不死川さんが呼吸でそれを防ぎ、その間に私は黒死牟の頸を少しでも斬ることができたらと考え、自身の使える型の中(赫刀状態の時の型は除く)で最も威力の高い型を使った。悲鳴嶼さんも私の狙いに気づいて追撃する。だが、黒死牟はすぐに距離をとって別の型を使った。六つの斬撃のうちの三つは私と悲鳴嶼さんの攻撃で受け止め、残った三つは不死川さんの連撃で上手く防げた。
「風の呼吸 漆ノ型 勁風・天狗風」
「岩の呼吸 伍ノ型 瓦輪刑部」
「月の呼吸 拾肆ノ型 兇変・天満繊月」
不死川さんと悲鳴嶼さんが再び黒死牟の頸を斬るために隙を作ろうとしているが、その攻撃は全て黒死牟に防がれる上に避けるしかない状況となった。
一方で、私はその間に先程の野蘭咲きの影響で反対方向に吹き飛び、部屋の端の方にいた。あまりに遠くへいるため、黒死牟の斬撃は届いていない。この型の不便なところであるが、離れたい時には良い。
ただ、どれくらい吹き飛ばされるのかは分からないのがちょっとね.......。
でも、今回はかなり遠くまで飛ばされたおかげで、黒死牟の斬撃に襲われずに考えることができる。
黒死牟の戦い始めた時から透き通る世界を使っていたが、あまりに長時間も使い過ぎたので、このままだと疲れが原因で無惨戦は使えないという状況になりそうだ。
不死川さんや悲鳴嶼さんが来てくれて少し楽になったけど、もう終わらせた方がいい。
それに、どうやら悲鳴嶼さんも透き通る世界に入れたようだ。それなら、畳み込むのは今だね。
私はそう思うと同時に黒死牟に向けて走り出した。
「華ノ舞い 花ノ束 桜花しぐれ」
私は華ノ舞いで無数の斬撃を下に叩きつけたり飛び越えたりして進んでいく。私の行動を見て、不死川さんと悲鳴嶼さんが合わせてくれる。
どうやら私の意図に気づいたようだ。
「華ノ舞い 炎ノ花 紅梅うねり渦」
私は刀で描いた炎の渦を黒死牟に向けて飛ばし、その後すぐに呼吸を変えた。
呼吸の切り替えは肺に負担がかかるのだが、この呼吸とは付き合いが長い。透き通る世界は一瞬で解除することになるので、黒死牟が攻撃してくる前にまた入り直さないといけないけど......。
それでも、私はこの型を使った。
「ヒノカミ神楽 陽華突」
私の突きは黒死牟の刀を掴んだ指を刺し、刀を手から遠くに飛ばした。その後、私は華ノ舞いに切り替え、透き通る世界に入ろうとする。
武器が手元にないのだから大丈夫ではと思う方がいると思いますが、そういうことにはなりません。普通ならともかく相手は鬼であるため、しかも黒死牟の持つ刀は鬼の一部からできたものであり、その刀は何度も何処でも出現することができる。
なので、刀を遠くに飛ばしただけでは駄目なのだ。
「華ノ舞い 水ノ花 水仙流舞」
私は黒死牟の斬撃が来る瞬間に受け流しながら避けることができた。透き通る世界にはまだ入れなかったが、どうにか勘で二、三撃を避けている間になんとか再び入れた。
私は黒死牟の斬撃を受け流し続けた。だが、この状態で距離を取るのが難しい。
「風の呼吸 玖ノ型 韋駄天台風」
私が危機感を感じている間に、不死川さんが黒死牟の間合いに入り、広範囲から来る無数の斬撃を弾き飛ばすように刀を振るう。それを合図に、悲鳴嶼さんが黒死牟の斜め後ろから近づき、
「岩の呼吸 弐ノ型 天面砕き」
「風の呼吸 捌ノ型 初烈風斬り」
私が離れた瞬間、悲鳴嶼さんの鉄球が黒死牟の頭に当たるが、それでも頸を斬ることは叶わず、それを見た不死川さんが刀を振った。だが、その攻撃でも黒死牟の頸を完全に斬ることができなかった。
私は黒死牟が呼吸を使おうとしていることを透き通る世界から察し、私はすぐに頸を斬らないといけないと思い、刀を構え直した。
「華ノ舞い 雷ノ花 梔子一閃・瞬花周刀」
皮が一枚繋がった状態の頸を今度こそ斬るため、私は不死川さんの刀の反りを押した。一回転すると同時に思いっきり地面を蹴り、体を回転させながら刀は斜めに一周させるように振った。それにより、一瞬で斬ることができた。
猗窩座との戦いで似たような型を使っていなかったかって?
あー。梔子一閃・瞬花だね。あの型はまだ未完成だったんだよ。梔子一閃はその名前の似ているところから分かると思うが、雷の呼吸の霹靂一閃を基にしている。
前の時は連続で攻撃したい時に使っていたのだが、善逸の霹靂一閃を考えて思ったのだ。善逸は霹靂一閃を六連とか八連とかつけていたが、神速というものやそこから漆ノ型の火雷神ができたというように、速さの方に特化できるのではないかと。
そう思って試行錯誤したのだが、これがかなり難しかった。善逸が原作の遊廓の時に神速は脚が駄目になるから、二回しか使えないと言っていたように、脚の負担が想像以上に大きかったのだ。
それと、梔子一閃は霹靂一閃と違い、一度回ってからのステップを踏むという感じなので、速くするのは霹靂一閃よりも難しいのだ。霹靂一閃は踏み込みの強さとかが関係しているが、梔子一閃の方は回転するためにそれが難しいのだ。
なので、霹靂一閃・神速のようになるのは非常に難しかったのだ。だが、時間がかかりながらも回転や足踏みを調整していき、どうにか形にすることはできた。
無限列車の時は速くすることができても、まだ未完成な状態だった。だが、透き通る世界のおかげで猗窩座の頸を斬ることができた。
それでも次もこの未完成な型で成功するか分からないので、無限列車の後からずっとこの鍛練をし続け、柱稽古の時に完成させることができた。
頸を完全に断った後、私は黒死牟のことを警戒したが、黒死牟は灰となって消滅していくだけだった。原作では黒死牟の頸を斬っても死ななかったから、油断しないようにしていたのだけど......心変わりでもしたのかな?
私はそう思いながら消えた黒死牟の着物から出てきた笛を拾った。この笛をどうするのかと悩むが、せっかくなので供養しようと思い、持つことにした。
その時、凄い爆発音が聞こえると同時に激しい地震が起きた。私は何事かと思ったが、その後で聞こえた声で察した。
「おのれえええぇぇぇぇ!!竈門禰豆雄おおぉぉぉ!!生野七海いいぃぃぃ!!」
そんな鬼舞辻無惨の声が聞こえてきたら....ね...。
あの二人は私が戦っている間に何をやっているのかな.....。
私はそう思っている間に無限城に追い出された。このまま無限城に残っても危ないたため、身を任せておいた方がいいと分かっている。
そうしている間に私は着地の準備をする。前の時は怪我をしていたから、そのような余裕は全くなかったが、今はあれこれ考えられる時間がある。
私は問題なく無事に着地することができ、無惨の気配がする方向に悲鳴嶼さん達と向かった。
そこでは既に柱や隊士達が集まっていたのだが、一番目立つのは......。
「グギャアアアアアアァァァ!!」
「ここで会ったら百年目ええぇぇぇ!!」
よく分からない雄叫びを上げる禰豆雄と興奮状態の七海が無惨を斬り刻むところであった。
既に上弦の弍の童磨を倒したことで色々な意味で強くなっている。さらに凄い勢いで向かってくるため、無惨は顔を引き攣らせている。
ちなみに、一応他の隊士達も助けてくれているのだが、今回は七海と禰豆雄達の方が怒りをぶつけているため、かなり強くなっているのだ。
「......玄弥。しのぶさん」
「彩花!来てくれたのか....!」
「彩花さん。すみません。私達では二人を止められません」
「...分かりました。大方七海と禰豆雄が無惨の目の前まで来て止めることができず、そのまま吹き飛ばしてしまったのかな」
「その通りです」
私がため息を吐くのを我慢しながら端の方にいた玄弥としのぶさんに聞き、しのぶさんが謝りながらそう答えた。私は先程までの様子とその知識で予想はつき、その予想をしのぶさんが肯定した。玄弥も無言で頷いている。
色々起きて疲れたみたいで逆に落ち着いた。
私はもう一度七海と禰豆雄達の様子を見ていた。
さて、あの二人が何をしているのか分からないが、今はその未来を作ろう。
それがこの戦いの力になるだろう。