笹の葉の少女は幸せを願う   作:日々草

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笹の葉の少女は斬れた

「.....うーん.......。」

 

 

私が目を覚ました時には辺りは暗く、すっかり夜になっていた。

 

 

「大丈夫か?」

「......炭治郎?」

 

 

体を動かすと、近くに炭治郎がいた。気を失う前の記憶を辿りながら周りを見渡していると、狐面を右に被って花柄の着物を着た少女...真菰がいた。

 

 

「.......えーと....。こんばんは........。」

「ふふっ。こんばんは。」

 

 

私が挨拶すると、真菰は笑ってそう返してくれた。私、またやっちゃったよ.......。挨拶以外に言わないといけないことがあると思うのに、錆兎と真菰のことを知っているのはおかしいから言わないようにと思ったら、何故か挨拶しちゃう....。なんか顔が真っ赤になったような気がする...。

 

 

「あの女の子は真菰っていうんだ。」

「真菰.....。じゃあ、あの男の子は......。」

「錆兎だ。」

 

 

よし。上手く名前を聞くことができた。これで名前を呼んでも怪しまれない........って...あれ?

 

 

「炭治郎と錆兎と真菰は知り合いなんだ....。」

「ああ。俺も彩花のように鱗滝さんに岩を斬れと言われた時に鍛練をつけてくれたんだ。」

「へえー。」

 

 

この話は原作通りだね......。

 

 

「錆兎は強かった?」

「うん!とっても強かった!剣技も綺麗だった!私もあんな風に強くなりたいな.....。」

 

 

今の私の実力では錆兎に倒されてるけど....錆兎のように強くなって.....いつか勝てるようになりたいな...。

 

 

「........きっとなれるよ。私が見てあげるよ。」

 

 

真菰が私にそう言って微笑んでくれた。私は真菰の笑顔を見て、顔がまた赤くなったと思う。

 

真菰、可愛い!原作の時の炭治郎、分かるよ!確かに真菰の笑顔、凄く可愛い!

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、私は真菰に呼吸や型を見てもらうことになった。私は草笛や吹き矢で呼吸を使うことは身についているが、刀を振った状態で呼吸を使うのはできていなかった。だから、私は刀を振った状態でも呼吸が使えるように体に叩き込む鍛練をした。

 

 

「なるほど....。」

「分かった?」

「うん!こんなに分かりやすい指摘をしてくれてありがとう!」

「あはは...。彩花は炭治郎によく聞いていたけど.....。」

「.......できれば、もう少し擬音語が減ってくれれば....。」

「彩花は頑張って理解しようとしたよ...。」

「うん.....。」

「心外だ。」

「「ふふっ!」」

 

 

私が真菰の的確な指摘に喜びながら炭治郎の擬音語が多い説明を必死で理解しようとしていた時のことを思い出し、涙が出そうになっていると、真菰が肩をポンと軽く叩いて頷いてくれた。その様子を見て、炭治郎が心外だという顔をし、私と真菰はそれを見て笑い合った。

 

真菰が私の無駄な動きや癖を的確に指摘してくれたおかげで、だんだん改善されているが..........

 

 

 

「....やっぱり力負けしちゃうよ...。」

 

 

何十回目か分からない錆兎との鍛練に負けて、私は地面に突っ伏した。地面に突っ伏した私の近くで炭治郎と真菰が苦笑いしていた。

 

 

真菰に指摘されて、呼吸も刀を振った状態でもできるようになってきたんだけど、やはり男の子と女の子の力の差は大きかった。

 

 

「真菰はどんな戦い方をしているの?」

「私は炭治郎や錆兎よりは弱かったけど、女の子にしては力は強かったから。それに.......足の速さで錯乱させたりとかしたよ。」

「......速さか....。」

 

 

そういえば、真菰は素早かったって言われてたっけ?私も素早さを上げるために脚を鍛えようかな.....。それに、錯乱させるくらいの速さなら、それ以外にも鬼の攻撃を避けれるように反射神経を鍛えようかな...。

 

 

今世は男の子の方が良かったかも......あるいは、原作の甘露寺蜜璃さんのような特殊な体質を持ちたかった.....と今、色々思っています。それか.......しのぶさんのように別の方法を探すか....それとも、戦い方を少し変えるか.......と色々考えています。それに、もう一つの悩みが......

 

 

「...何かがおかしいのよね.....。」

「前よりは大分良くなっているよ?」

「何がおかしいんだ?」

 

 

私の言葉に真菰と炭治郎が首を傾げた。私にはもう一つの悩みがある。

 

 

「いや。......炭治郎は覚えているよね?私が何故か呼吸のようなものを使った時のこと...。」

「ああ.......。あれがどうしたんだ?」

 

 

私が炭治郎に聞き、炭治郎はあの時のことを思い出し、それがどうしたのかと聞いた。

 

 

「...実は........水の呼吸を使っていると、何か少し違和感を感じるんだよね...。」

「違和感?」

「違和感というか....何かやりにくいという感じというか......よく分からないけど、水の呼吸を使う時になんとなくだけどそんな感じがするの。でも、華ノ舞いを使った時は体が勝手に動いたんだけど....でも、違和感というのがなくて.....動きやすい...という感じがしたの......。ほとんど感覚みたいなものだから....多分気のせいかも.......。」

 

 

私も本当によく分からないけど、水の呼吸を使う時と華の舞いを使った時は何か違う感覚がしたのよね......。この感覚が何なのか分からないし、多分気のせいなのかも...と何度もそう思い直し、気のせいだと言い聞かしていた。

 

 

「.....多分、彩花にとっては華ノ舞いが一番体に合った型なんじゃないかな。」

「私の体に...一番合った型....?」

「そうかも。きっと彩花にとってはその型の方が体に合っているの。だから、彩花は水の呼吸を使うとやりにくく感じるんだよ。先に体に合った型を使ったから、何か違うと感じるようになったんだと思う。」

 

 

炭治郎と真菰の言葉に私は納得した。気のせいじゃなかったんだ....。確かにそうなのかもしれないね.....。

 

 

「水の呼吸よりもそっちの方が体に合っているんだから、そっちの方で鍛練した方がいいと思う。」

「でも、私は華ノ舞いがどんな型なのか分からないし、唯一使った型は体が勝手に動いただけで、それもどんな型か分からないんだよね....。」

 

 

華ノ舞いって口には出ていたけど、どんな動きをしていたのかは分からない。私には何も見えていなかったから、その華ノ舞いの型も再現できない。

 

 

「それなら、炭治郎が分かると思うよ。」

「ああ。.....彩花が使っていた華ノ舞いの型は......俺のヒノカミ神楽と似たような型をしていたんだ...。」

「それって......私の華ノ舞いと炭治郎のヒノカミ神楽は同じものということ?」

「いや.......。」

 

 

真菰が今度は炭治郎に聞くと、炭治郎はその時のことを思い出して少し考えながら話し始めた。私は炭治郎の話から華ノ舞いとヒノカミ神楽は同じものじゃないかと考えたが、炭治郎は首を横に振った。

 

 

「彩花の華ノ舞いの動きは確かに俺のヒノカミ神楽の火車に似ていたんだが........少し違うんだ。」

「えーと......炭治郎のヒノカミ神楽と彩花の華ノ舞いは何が違うの?」

「俺のヒノカミ神楽と彩花の華ノ舞いは炎を纏っていたけど....俺は燃やすような炎だが、彩花の炎は燃やすというより暖めるような感じの炎で.....鬼の腕を斬った時も俺はスパッという感じだったが、彩花はサーという感じで....「用は炎も斬り方も違うということね。」...そうだ。」

 

 

炭治郎の話に真菰が再び聞くと、炭治郎が説明してくれていたが、途中から擬音語が入り始めたので、私がざっくりと話をまとめて終わらせた。

 

 

「....それなら、炭治郎のヒノカミ神楽を見てみようよ。彩花も何か掴めるかもしれない。」

 

 

この話で私は何故かヒノカミ神楽も習得することになった。

 

 

 

 

 

 

あと、速くなりたいとか言ったからか....狭霧山で鬼ごっこをすることになった。蝶屋敷の機能回復訓練で鬼ごっこがあったな...と思ったけど、こっちの狭霧山の方が難易度高くない!?蝶屋敷と違って空気が薄いし、範囲が広いし、障害物も多いし!しかも私が鬼で、炭治郎と真菰を捕まえないといけないが.......全戦負けています。

 

 

 

それと、鬼ごっこの件もあって....反射神経を鍛えないとな...と常々思うようになりました.......。....何せ障害物が多くて避けるのが大変なので.....それを炭治郎と真菰に相談したら、お湯の掛け合いをすることになった。ルールは簡単。先にお湯をぶっかけたら勝ち。湯呑みを押さえることはできるが、掛けようとした湯呑みを押さえることはできない。.......いや、それも蝶屋敷の機能回復訓練の薬湯の掛け合いをお湯にしたバージョンじゃん!いつの間にか機能回復訓練が混ざってるよ!薬湯がお湯に変わったのは....俺がやった時は薬湯だったんだが、薬湯の匂いを落とすのが大変だからと炭治郎が言ってお湯になった。ちなみに、水ではなくお湯になった理由は水だと風邪をひくからだそうだ。まあ、お湯で良かったよ...。ずぶ濡れになったから.......。(これも炭治郎と真菰に全部負けました......。)

 

 

薬湯か.......。山籠もりする前以来作ってないな...。修行の時はたまに使っていたけど、その薬も持ってきた薬と一緒に全部鱗滝さんにあげたし....修行が終わったら、また薬を作りたいな.....。せめて、傷薬くらいは作っておきたい....今後のために。

 

 

 

 

 

 

 

 

修行を始めて、もうすぐ二年が経つと思う......。

 

 

「.......彩花。」

「...何?」

 

 

夜になり、私が二年間ずっと続けている.....もう日課のようになっている草笛を吹いていると、炭治郎が声をかけてきた。一年も山籠もりをしているので、私も炭治郎も髪が伸び、肩くらいの長さになっている。特に炭治郎の髪はボサボサだ。まあ、私も少しボサボサだけど.......。

 

 

「明日、錆兎と戦うんだよな....。」

「うん。真菰には大分勝てるようになってきたからね。...炭治郎にはまだ勝てないけど......。炭治郎のおかげで色々掴めることもできたし。」

「ははっ。でも、華ノ舞いは一つしか使えないだろう。」

「一つでも使えるんだから、成果はあったよ。それに、他は分からないのだから、今、分かっている一つが使えるようになったのは良かったよ。ヒノカミ神楽も使えるようになったしね。」

 

 

炭治郎のヒノカミ神楽を見て、それを教えてもらったんだけど....何故かヒノカミ神楽が使えたんだよね...。私も驚いたよ!だって、ヒノカミ神楽は始まりの呼吸である日の呼吸で、しかも、日の呼吸を使えたのは緑壱さんと炭治郎達竈門家だけなんだよ!なんで私が使えるの!?適正があるの!?....って内心大騒ぎしていたんだけど.....大変申し訳ないのですが....ヒノカミ神楽も私には違和感があるのです...。本当に申し訳ないのですが、やっぱり私には華ノ舞いの方が合うようです。そして......ヒノカミ神楽と華ノ舞いは別のものだと再確認できました。本当に私の華の舞いって、何なのでしょう.......。でも、ヒノカミ神楽と水の呼吸で鍛練して、炭治郎の(擬音語がやたらと多い)説明をなんとか聞いて、草笛と吹き矢をそのまま続けて......やっと華ノ舞いの日車を使うことができたよ.....。あと、この時に知ったんだけど....華ノ舞いを使う時だけ痣が出て、左目の色が変わるらしい...。らしいと言うのは、私は見てなくて炭治郎と真菰が教えてくれたことだからだ。私もそれを見ようとしたんだけど....華の舞いを止めると、痣が消えて左目も戻るらしく.....私は見ることができず、炭治郎と真菰が教えてくれて分かる状況だ。それに、そういったことを繰り返して、漸く自分がどうすれば力の差を埋めることができるのかが分かり、それを身につけて体に合うように鍛練をした。

 

 

それと、鬼ごっことお湯の掛け合いも毎日やり、自分の戦い方を見つけてからは調子が良くなり、真菰に勝てるようになった。まあ、炭治郎にはまだ勝てませんが.........。とにかく、山籠もりを始めてから一年が経過して大分成果が出てきたと思うけど.....油断はしないようにしよう......。

 

 

「あのさ.....彩花。彩花はこれからどうするんだ?」

「どうするって?」

「.......鬼殺隊に入るかどうかだ...。」

「あー....。」

 

 

炭治郎に言われて、そういえば鍛練のことばかり考えていて、修行を終えた後のことを考えていなかったことに気づいた。鬼殺隊に入って....今、この世界で何が起こったのかを調べたいけど....なんか炭治郎と禰豆子のことが不安というか...ほっとけないというか.....そんなことを感じちゃうから...炭治郎と禰豆子と一緒にいようかな......。でも、炭治郎と禰豆子はこれからどうするつもりなんだろう?鬼殺隊に入ることを反対って言っていたし.....鬼殺隊に入らないことになりそう....。

 

 

「.....炭治郎と禰豆子はこれからどうするの?」

「俺と禰豆子は.......旅をしながら個人で鬼狩りをしようかと考えている。」

 

 

やっぱり鬼殺隊には入らないのね....。それなら.....

 

 

 

「それなら、私もついて行っていい?迷惑じゃなきゃいいけど....。」

「良いが........彩花は本当にそれでいいのか?」

「えっ?」

 

 

私は炭治郎の言葉に首を傾げた。良いのか.....って?

 

 

「俺と禰豆子の旅は本当に危険な旅だ。それでも彩花はついて行くのか?......俺は反対だが...俺達と旅するより鬼殺隊に入った方が安全だ。怪我をしてもすぐに治療してもらえるし、生活にも困らない。それか、鱗滝さんの家でこのまま暮らすならそれが一番安全だし、俺達も賛成だ。わざわざ俺達と一緒に行って、危険な目に合う必要はない。華ノ舞いのことは俺達が調べるから....。」

 

 

はあ........。炭治郎は頭が堅くて説得が大変だから.....この際、はっきり言っておかないとね...。あのね......。

 

 

「炭治郎。私はその旅が危険だって最初から分かっているの。それに...鱗滝さんの家にこのまま住むつもりなら、呼吸を習得してないし、刀も握ってないし.....そもそも始めの山下りで夜明けまでに山の麓に着いていないよ!それと、私は怪我をしても治せるよ!炭治郎が怪我しても私が治すつもりなんだから!何より、鬼殺隊だって炭治郎が反対しているのに入ろうと思えないよ!だから、私は炭治郎と禰豆子について行くよ!」

 

 

私は正直に話した。だって、本当のことだよ!炭治郎と禰豆子が大変な目に合うのは原作を読んで知っているし、それに備えて強くなろうと頑張っているのだから!鱗滝さんの家に住むなら、私は山籠もりをしてまで呼吸を習得する必要がないし、肩が壊れそうなくらい刀を振ろうともしていないし...なんなら夜明けまでに山を下ってない!怪我だって....私が怪我しても自分で治そうと思っているし、炭治郎が怪我しても治そうと考えて...薬をどのタイミングで作り始めようかと考えているのだから!それに.....なんといっても、炭治郎が反対しているし...鱗滝さんも鬼殺隊の話が出た時に渋い顔を(天狗のお面でよく分からなかったが......。)していたし、そんなところに入ろうと思えないよ!何があったのか調べやすそうだけど、原作と同じ鬼殺隊かどうか分からなくなったからね...もう分からないよ!とにかく、鬼殺隊に入る気も鱗滝さんの家に住み続ける気もないからね!

 

 

「そうか.....。.......あっ!」

「ど、どうしたの?」

 

 

私の話を聞き、炭治郎は考えていたが、何かを思い出したかのように突然大きな声を上げた。私はそれに驚きながらもそう聞いた。

 

 

「いや........。実は鬼殺隊の最終選別をやっている藤襲山という山に...少し因縁のある鬼がいて.....その鬼をどうするかと考えて....。」

「因縁?.......藤襲山.........あ、うぐっ......。」

 

 

炭治郎の話を聞き、私は原作の最終選別の話を思い出し、因縁の鬼とはどういうことか分かった。

 

あの鬼だ.....。自分を捕まえた鱗滝さんを憎んで、鱗滝さんの弟子達を殺し続けた手鬼のことだ。....いや、年号が変わっている!!と叫んだ鬼って言う方が分かりやすいか...まあ、どっちでもいいか....。

 

 

因縁の鬼が誰か分かって声を上げそうになったが、私は咄嗟に両手で口を塞いで、声を上げずに済んだ。今の私が手鬼のことを分かるのはおかしいから、叫んだら不自然だもんね......。

 

 

「...炭治郎は.....どうするの?その鬼の頸を斬りたいの?」

「そう、だな......。だが、それには鬼殺隊の最終選別を受けなければならない...。そうしたら、鬼殺隊に入らないといけなくなる....。」

 

 

ああ.....。確かにそうだね....。それにしても......鬼殺隊に入るのをここまで渋るなんて...一体鬼殺隊は何したの!?........これは考えても分からないから後回しにして......鬼殺隊に入らないで藤襲山に行って、手鬼の頸を斬る方法ね....。それなら...........

 

 

「.....炭治郎。成功するか分からないけど....その鬼の頸を斬りに行くことができるかもしれない.......。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「........随分と....顔つきが変わったじゃないか.....。」

 

 

雪が降っている日の中、私は錆兎と向かい合っていた。炭治郎と真菰は離れたところから私達の様子を見ている......。私は錆兎を見た。錆兎は私と戦う時はいつも木刀を持っていた....。しかし、今は刀を持っていた。

 

 

.....これって....原作で見たのと同じ展開じゃないかな......。ただ、錆兎と戦うのが私だということと炭治郎が真菰の隣で見ていることを除いて........。

 

 

「今日こそ勝つよ。」

 

 

私も錆兎も互いに刀を抜いて構えた。先に刀を振るのが速く、強い方が勝ちになる.......。

 

 

私と錆兎は同時に動いた。先に相手に刀が届いたのは........私だった。私が先に錆兎の狐面を斬った。錆兎の狐面が真っ二つに割れ、錆兎の顔が見えた。錆兎は笑っていた。悲しそうな.....嬉しそうな....安心したような顔だった。私が錆兎の顔を見ていると、足音が聞こえた。私が足音が聞こえた方を見ると、真菰がいた。

 

 

「...彩花。よくやったね。....今のを忘れないでね。......勝ってね....アイツに........。私達は彩花のことを信じているよ.....。」

 

 

そう言って私に近づいてきて......

 

 

「負けないでね....。.......あいつらにも...。炭治郎と禰豆子のことをお願いね。私達全員が見守っているよ.....。」

「....あいつら?」

 

 

去り際に真菰が私にだけ聞こえるくらいの声量でそう言った。私がすぐに振り返るが、真菰の姿はなかった。気づくと、目の前も錆兎の姿がなくなり.....真っ二つに斬られた大きな岩があった。私はそれを瞬きしながら見た後、炭治郎の方を見て笑った。炭治郎もそれに笑顔を浮かべて頷いた後、空を見上げた。私も空を見上げて、静かに目を閉じた。

 

 

 

錆兎の狐面を斬ることが...岩を斬ることができた.....。これもあの鍛練のおかげだ......。

 

私が水の呼吸とヒノカミ神楽の型を練習している時に気がついた。知っている型の中で一番動きがしっくり来る型はどれだろうと思い、やっているうちにそのことに気がついた。実は.....私が特にしっくり来る動きだと感じるのは、水の呼吸の拾ノ型の生生流転の回転しつつ連続で斬る動きとヒノカミ神楽の円を描くように斬る動きが一番しっくり来ることに気がついた。そこで、私は刀を回転させながら円を描くように回るような動きはどうかと考え、試してみることにした。鍛練ではバランスをとれるように不安定な場所などで素振りしてみたり(呼吸や型の練習もそこでしてみた)、目が回らないように何度も回ってみたり、刀を回してみたり、刀の回転のスピードを速くできるように鍛練したりなど......色々と...そんなことまでしなくてもいいんじゃないと真菰に言われるくらい鍛練をした。

 

その結果......無事に成功。思った通り、刀の回転が私の力不足を補ってくれた。

 

 

 

 

錆兎.....真菰...ありがとうね....。おかげで、岩を斬れたよ......。

 

 

 

 

しばらくすると...足音が聞こえてきた。私は目を開いて、足音が聞こえる方を見た。来現れたのは鱗滝さんだ。

 

 

「.......彩花。お前は凄い子だ。」

 

 

鱗滝さんは真っ二つに斬られた岩を無言で見た後、私の頭を撫でた。私はそれに照れくさくなって顔が赤くなりながらも炭治郎に視線を向けた。炭治郎も鱗滝さんの足音......というよりも匂いで分かっていたらしく、視線をこっちに向けていた。私は頷き、炭治郎も頷き返して鱗滝さんに話しかけた。

 

 

「鱗滝さん。俺と彩花は鬼殺隊に入りません。鬼殺隊に入らずに禰豆子を人間に戻しに行きます。」

「それは....とても険しいが...良いか?」

「はい!」

「構いません!」

「.....そうか。」

 

 

炭治郎も私も迷いはなかった。鱗滝さんも炭治郎と私が既に覚悟を決めていることは分かっているようだ。

 

....少し言いにくいけど......私が決めたことなんだよね.......。

 

 

「あの...鱗滝さん。少し言いにくいのですが....最終選別っていつですか?」

「何?......日輪刀なら宛がある。」

「いえ、そういうことではありません。鱗滝さんも覚えていると思います。藤襲山にあの鬼がいることを...。」

「まさか!その鬼の頸を斬るために.....。」

「はい!そうです!」

 

 

私の言葉に鱗滝さんは日輪刀を貰うためかと思ったようだが、炭治郎がそれを否定した。私と炭治郎が藤襲山に行こうとしているのは手鬼の頸を斬りに行こうと考えたからだ。

 

 

「....だが.....そのために、無理して関わろうとしなくとも.......。」

「いえ、関わる気はありませんよ。」

 

 

鱗滝さんがあの鬼の頸を斬るためだけに最終選別に行かなくてもいいと言おうとしたが、その前に私がそれを制止した。

 

まあ、炭治郎もそれで迷っていたからね....。

 

 

「それは一体.....」

「藤襲山って、普通に入れますよね?」

 

 

炭治郎に相談された時に、私は思ったの......。藤襲山って....一年中、藤の花が咲き誇っていて、その中に鬼が閉じ込められているけど.....その二つ以外は普通の山だよね.......。つまり、人の出入りは自由だ。それなら.........

 

 

 

「最終選別が始まる前に、藤襲山に行ってその鬼の頸を斬りに行こうと私達は考えています。」

 

 

 

 

 

 

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