断絶世界のウィザード   作:てんぞー

104 / 135
パーフェクトコミュニケーション Ⅵ

 初週は25分。

 

 ロリフィエル召喚からの道中纏めでタイム短縮が可能となったので2週目は20分。ここで全員のレベルがほぼ30に上がる。これによって全員が《決戦技》を習得し、俺にモーション作成の依頼を投げてくる。アレ、作成するのにかなり時間を必要とするんだからほんと覚悟してろよ。梅は定期的に肉を奢ってくれるからいいけどさ。お前ら本当に加減しろよ!

 

 とか言いながら3週目突入。《決戦技》を使えば道中の雑魚を一瞬で殲滅できるという発想が出現した。最初のまとめではゲージが足りずに発動させる事が出来ないが、1ボス~2ボスの間であれば発動できる事が判明したので道中の雑魚を全て集め、一気にロリ召喚で纏め、範囲型に設定された決戦技を放つ事で一気に殲滅する事で更にタイムが短縮できる事が判明する。これによってついに攻略タイムが18分を切る。

 

 4周目。1ボスは無理だけど2ボスで決戦切った場合タイムどうなるの? って話が上がる。DDは4人、これまでは道中が1発、3ボスの奥義フェーズで3発ぶち込んで即座に破壊する事でフェーズを終了していたが、それを止めて1発こっちに回したらどうなるんだ? という話だ。結論から言ってしまえば全体のタイムが伸びた。1発程度だと十数秒の差であり、大きくタイムに関わるのは3ボスのフェーズ中の行動なので、火力をそっちに集中させた方が良いという結論が出た。という訳で前回よりもややタイムを伸ばしつつクリアする。

 

 5週目。作業ゲーになる。

 

 6週目。タイムアタック。

 

 7週目。口と体の動きを切り離せるようになったので本格的に雑談枠始まる。

 

 

 

 

「実はさ、俺DMでいくつか仕事の依頼を貰っててさ」

 

「あー、ボス有名になったもんな、最近」

 

「明らかにエフェクトとかモーションとかめっちゃ手が込んでるのを組んでるのよな。アレどうなってるん?」

 

「アレはまだVRが簡易だった時にVRドローイングとかチャットとかでアバター作成やワールド作成で積み上げたスキルよ。割と界隈の人間ならそこそこできるんじゃねーかなぁ、とは思ってるんだけど。アレに慣れてりゃあそこまで難しくはないし。いや、まあ、話を戻すけどDMで仕事来るようになってさ」

 

「うん」

 

「まあ、まだ募集してないし全部断る事前提で聞いてくれよ? 魔法1種3万出すから10種作ってくれって話が出来ててさぁ……」

 

「うっわぁ、どうなんだろうな。相場的にそれ」

 

 土鍋が最低限のヒーリングをしながら腕を組んで首を傾げる。その言葉に略剣が敵を纏めつつうーん、と唸る。

 

「割と絵関係はプロに仕事を頼んで1枚5万とかあるあるって話なんだよな。その事を考えると3万ってのはちょっと安いかもな。クオリティがクオリティだし。ただそれ以上に一度に数を依頼するってのがちょっとアレだなぁ、とは思う」

 

 だよなぁ、とメテオを落としながら相槌を打つ。

 

「ぶっちゃけこれはまだマシな方なんだよ。1週間以内に1万で仕事してくれってバカが来ててさ」

 

「草。相当酷いの来たな」

 

「だけど一番酷いのは自分は配信者だから無料でやってくれって奴。偶にバカッターで流れてくるの見たけどマジでいるんだなああいうの」

 

「草」

 

「手元狂うから笑わすのやめろ」

 

「いや! マジでだって! 日本語読めない馬鹿ってマジでいるんだって」

 

「愚かね」

 

「本当にな」

 

 いやあ、配信やってるとこういう馬鹿が絡みに来るんだなぁ、って話だった。ちなみにだがこの手の依頼はその内取ろうとは思っているが今はまだかなぁ、って感じでもある。理由は当然ながら今が忙しいからだ。やらなきゃいけないコンテンツとレベリングが多すぎるし、自分用の魔法を創る時間だけで時間が過ぎて行く。その中でいきなり他人の依頼なんて面倒を見てはいられないだろう? やる以上はちゃんと納期に間に合う様にクオリティをしっかりと作り込んでやっていきたいのだから。

 

 まぁ、有名になってきた影響でフォロワーも増えてきたし、やっぱ最新ゲームで目立つと一気に話題に乗っかれるんだなぁ……って感じはある。ちなみにだが身内用のモーションやエフェクト作成はこの作業マラソンの合間にちょくちょく進めている。ぶっちゃけ、思考操作でウィンドウを動かすことが出来るので、戦闘中は両手を使ってはいるものの動きは周回で固定されているので、空いた脳味噌の領域でホロウィンドウを操作している。マルチタスクで動かせるのはだいぶこのVR環境に慣れてきた証だ。

 

 ちなみに思考操作で一番上手なのは土鍋。アイツは脳味噌の作りが人とは違う。

 

「というか依頼の話で思ったんだけどアインとニグは就職先どうするんだよ」

 

「え、私は永久就職予定よ。私が社会に出てもどうしようもないし」

 

 それはどういう意味でどうしようもない、って事なんでしょうかね……。いや、まあ、言いたい事は解るのだが。だからそのにやにやとした視線を向けるのは止めてくれ。その内責任を取るつもりではあるから。まあ、その内な!

 

 と、話している間に2ボス撃破。完全に流れ作業で処理するようになってきた。7週目になると既にレベルは34にまで上がっており、クリアして入ってくる経験値も少しずつ控えめになってきている。とはいえそれでもまだまだ美味しい事実は変わらない。正直、ここにこもるだけでレベル38~40までは狙えるんじゃねぇかこれ? と思っている部分がある。何よりもスキルレベリングにも最適で、《氷魔法》のレベルは既にこの7周で2レベ上がっている。やはりIDにこもるとスキルレベルの方も上がるのが早いみたいだ。

 

 いや、この周回は駄弁りながらやってないと眠くなるんだけど。

 

「俺は、まあ、ちょっと色々と就職先探してるかなぁ……」

 

「アレ? アインさんまだ内定決まってないんですか?」

 

「ゼド君はなんだっけ、大学生?」

 

「うん。でも既に内定取ってあるからその内社会人かな、って感じで」

 

「はー、既に就職先決めてるの偉いなぁ……アレキと森は?」

 

「学生でーす」

 

「俺はフリーターだしなぁ……といっても貯金あるし資格もあるから貯金が減ってきたら就職するかなぁ、って感じだわ」

 

「資格か技術があるとマジで違うからなぁ」

 

「鍋は彼女さんがいるでしょ!」

 

「毎月振り込まれる30万のお小遣い」

 

「大丈夫? 足りてる? 足りてない? 追加しよっか?」

 

「マジで止めろ。止めろ止めろ! オラ! 解散するぞ解散!」

 

 鍋が杖をトレイター・シャドウに投げつけながら半ギレで中指を突き立ててくる。土鍋のリアルでの彼女は……まあ、うん……ちょっと言葉で表現できるもんじゃないかなぁ……って感じのもんはある。金あるし、家も凄いし、優しいし、美人だ。

 

 だけど俺達は皆、絶対にあの娘の前で土鍋の悪口を言う事はしない。

 

 そしてニーズヘッグも絶対に彼女の近くでは土鍋に近づかない。というか大体俺にくっついて腕を組んでアピールしてる。

 

 アレ絶対上位捕食者でしょ。

 

 まぁ、うん。そういう感じの人だ。

 

 ヤで始まってレで終わるタイプの人。

 

「俺だってな! ちゃんと金稼いでるんだぞ! 生活費諸々ちゃんと稼いでるんだぞ!? だけどお給料を超えるお小遣い貰い続けるってどういう事だよ! なんで収入増えたらお小遣いも増えてるんだよ! 働かなくてもいいよアピールはもういいんだよ! クソがああああ―――!!」

 

 トレイター・シャドウにそのまま吠えながら飛び掛かる土鍋がマウントポジションを奪って怒りとストレスを発散するかの如くゴリラパンチを顔面に叩き込み続けている。その姿を見るとアイツ、かなり抑圧されているように見えるけど、

 

 実の所、かなりラブラブなので心配する要素は何もなかったりする。

 

 そんなこんなで、何でもないレベリング周回は続く。




 鍋は鍋で割と面白い環境にいるキャラクター。

 次回でレベリング終わってお話進みます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。