断絶世界のウィザード   作:てんぞー

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パーフェクトコミュニケーション Ⅶ

 最終的にレベルは36まで上がった。結論から言えば34までは美味しかった。35からは露骨に経験値が減った。35からは同レベル帯になったからだろう。そして36になる頃には1周で入る経験値が30%程度になってしまっていた。まぁ、それでも4周すればレベルが上がるだけまだマシなのかもしれない大体1時間で1レベル上がるペースだと考えれば良い方だろう。少なくともスキルレベルに関してはかなり上がった。

 

 《氷魔法》が8まで上がった。数時間のID周回レベリングで魔法を格上相手にまとめ打ちする最大効率のレベリングでこの速度だ。思ってたよりも遥かに早い結果に割とビビっている。この調子なら明日ここに籠れば9か10は割と行けるラインじゃないだろうか、これ? 《氷魔法》をマスターしたらその枠に《土魔法》をセットし、作成魔法を新しく追加、更新する形になるかなぁ、なんて事を考えている。

 

 後ついでに《契約術》が3に、《結界術》が9になった。《結界術》はバフデバフに関連するスキルを習得しているが、これはほぼ使わずにパーツとして魔法に組み込む形で運用している。10にすれば師匠曰く、転移に必要なパーツが揃うので後少しの我慢だ。《契約術》の方は3になって召喚時間の延長効果を得た。これによってロリフィエルの召喚時間が15秒まで拡張され、攻撃行動が召喚中に2行動から3行動分増える事になった。そのおかげで戦闘能力を更に補強できた。

 

 他のメンバーも良い感じにレベルアップが進み、だいたいが34~35レベルまでレベルが上がってきている。装備に関してもほとんどがジュエルコースト系の装備で統一更新する事が可能となり、レベリング周回としては大成功といっても良い結果だ。ただここから更にレベルを上げるにはもっと上の領域のIDに籠る必要が出てくる。現状、まだまだどこがレベリング適正地みたいなマップが構築されていないので、他のプレイヤーからの報告や自分で発見する必要がある。

 

 確かこの海からはメゼエラ方面が近い、という話だった。

 

 A師匠の本場、本拠地、本国。流れから言えばそっち方面が40台~50までの狩場エリアなんじゃないかなぁ、と思っていたり。いや、エルディアから離れれば離れる程エリアの難易度が上がるならどっち方面でも良いから遠くへと行けば良いんじゃないか?

 

 まぁ、どっちにせよ、その手の情報はNPCから聞き出せば良いだろう。

 

 

 

 

 数時間に及ぶ周回が終わると空がオレンジ色に染まり、昨日も見た夕日が出た海岸線が見える。今日は普通にネトゲらしい集まりをしてしまったなぁ、というレベルの上がった達成感を感じながらIDの突入地点まで戻ってきた。

 

 そしてそれを待っていたように突入地点の横にエルディア兵が待っていた。

 

「あ……お待ちしておりましたアイン様方。パーシヴァル様から此方の話は区切りがついたので来て欲しいとのことでして。無論、皆様方も可能であれば出席して欲しいとのことです」

 

 兵士の言葉に腕を組みながら振り返る。

 

「どうする? 俺は強制だけど」

 

「んじゃおじさんたちは参加かなあ」

 

「若いのにこの手の話は任せると面倒な事になるしな」

 

「そこは2人に任せよう」

 

 とりあえず梅☆と略剣は参加確定。ニーズヘッグが背中に張り付いているのでこっちは聞く必要もない。頭の上に乗っかっているデフォルメフィエルはもしかしてサポートしますよって意思か? あ、虚空から伸びてきた手に掴まれて消えた。公私混同してるなこのAI。まぁ、それはいいや。

 

「他はどうする?」

 

「難しい話は面倒だからパス」

 

「元々補充ですしね、パス2で」

 

「という訳で俺達3人はパスです」

 

「んで俺もパス。興味ないから後で纏めだけ教えてちょ」

 

「あいあい。んじゃ行くのは俺達4人だけな」

 

 補充の3人組は部外者だから顔を出さない。土鍋は純粋に面倒がってパス。これで行くのは大人組にエルディア組の合計4人。まぁ、梅☆と略剣がいるなら悪い方向に話は転がらないだろうと納得する。とりあえず兵士に直ぐに向かうと返答すると、兵士がホテルの方まで案内してくれる事となる。とりあえず残してゆく4人組に軽く手を振ってからホテルへと向かう。

 

 

 

 

 ホテルの方へと向かって行くアイン達の姿を確認し、うし、と声を零す。

 

「んじゃこっちもこっちで動くか」

 

 軽く背を伸ばして体を捻る。必要な情報の大半は既に頭の中にインプットしてあるし、アインのおかげでAとかいう怪物爺の性格は掴めた。これでどういう風に話しかければいいのか、自分の中でロジックが構築できる。ここら辺、初見でもパーフェクトコミュニケーション築けるアインと略剣がやべーんだ。アイツら、初見相手でも絶対に印象を悪くしないとかいう頭のおかしい技能を持ってるから困る。俺みたいな凡人は何時だって努力しなきゃならんからな。はは。

 

「アレ? 土鍋さんなんかやる事あるんですか?」

 

 森壁がこっちを見ながら首を傾げてくる。それ、仕草的には女のもんだよなぁ、なんて感想を抱きながらもまぁ、と声を零す。

 

「余計なお世話かもしれねーし? 別に必要ねぇっちゃ必要ねぇからなぁ。でもこのまま知らないフリをして流すのも嫌だしな、俺。究極的に言うと俺達の自由の為の行動って感じ?」

 

「……?」

 

 アレキサンダーが腕を組んで首を全力で傾げている。言っている事が解らないだろう? そうに決まってるじゃん。口に出してないんだから伝わるはずがない。いや、そこで理解するなよアイン。梅はこういう時背中叩いて解ったフリしてるのバレバレなんだよなぁ。ニーズヘッグ? アイツ勘で正解にたどり着くからそういう所ほんとやめて。

 

「う―――ん、まぁ、いっか」

 

 腕を組んで夕日色に染まる空を見上げながら声を零す。

 

「俺さ、こっちの世界に来てやった事は何だったと思う? ハイ、不正解!」

 

「答えさせろよ!!!」

 

「全裸になってブレイクダンス」

 

「検証?」

 

「惜しい! 全裸になってブレイクダンスは3番目な」

 

 まぁ、つまりなんだ。頭脳労働担当として俺様は普段から馬鹿どもを支える為に色々とインプットしている訳で。そういう意味じゃ初期スポーン地点があの大崩壊の森だったのは良かった。古いだけに色々と蔵書があって図書館の探索は楽しかった。もうちょい時間がアレばスピードリーディングで片っ端から内容を頭の中に暗記しておけたんだが。まぁ、そこはしゃーないという話だ。という訳で、

 

「土鍋ちゃん、暴露しちゃうわよ。ワタクシ、大体各国の思惑とどこに進めたいのか理解しているのですわ!」

 

「なんですってお嬢様」

 

「ゼド君、ノリがいいな……」

 

 おほほほほ、とお嬢様笑いしながら愚民共の為に解りやすく説明してみる。こういう時アインの所で奴隷やってるミニAIがいるとすっげぇ便利なんだけどなぁ。どうせならこっちでも貸し出せてない? え? 無理? アレが特例? やっぱアイツ頭おかしいわ。頭のおかしい奴は頭のおかしい女と幸せにやっててくれ。いや、マジで。こっちは欠片も羨ましくもないから。誰がベアキラーを女として見れるって話だよ。

 

 あーあーあー、また余計な事考えている。良し! いつも通りだな、うん。おぉぅ、3人が困惑してる。まぁ、ええわ!

 

「ま、簡単に言うと俺が最初に行った場所は図書館だったんだよ。VRMMOだけどベースとなるのは自然に構築されたワールドとヒストリーなんだ。だったら図書館で情報探るのが一番楽だしな」

 

 一度見たもんは忘れないし。ぱららー、って流すだけでも割と覚えるもんだわ。

 

「ま、そう言う訳で軽く()()()()()()()()()()()()()()()ってのを把握した訳よ」

 

 という訳でぶっちゃけよう。

 

「エルディア、ここから北方にある帝国から侵略戦争受けてたんだよな。ゲームの下準備というか断絶で中断された感じ。解除したら戦争再開だわ」

 

「な、なんだって―――!?」

 

 お約束のリアクションありがとう。ちょうど3人だし最高に息あってたよ。




 土鍋とかいう頭脳労働担当。ゲーム開始直前に土鍋を買いに行く程度には頭が良い。
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