断絶世界のウィザード   作:てんぞー

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海! 水着! ダンジョン! Ⅱ

「さーて、場が温まった事だしもうちっと真面目に話をするか」

 

 そう言って復活したパーシヴァルは話を続ける。

 

「エルディア第3王子パーシヴァルだ。つっても俺は王位の継承は諦めて兄上にぶん投げてるからな。兄上の補佐と軍事周りでアレコレやってる」

 

 最初に見せたあほっぽさとは裏腹に、紹介は今度はかなりまともだった―――いや、或いは最初にあんなインパクトを繰り出す事でこれからの話に気負わずに参加できるように場を整えたのかもしれない。王族という立場の人間なのだ、見た通りがその人の全てだとは思わないし、思ってはいけないだろう。中世ベースの王族なんて魔境で騙し騙されが基本だ。さっきのが全部演技だと思ってもいいかもしれない。

 

 まぁ、それはともあれ、話は聞き続ける。

 

「改めて礼を言うぜ。お前らが居なきゃ俺はまだ港の方で氷漬けにされたままだったろうよ。ほんと感謝してる。んで話はここからだ」

 

 パーシヴァルが言う。

 

「今、俺達の中で共通の認識として、一番信用出来ている稀人ってのはお前らの事だ。だから俺達が何かを頼むとして、一番信用できる所にまず話を持っていく。そして何か、大きく動くときはお前らを通して行動したいって思っている……ここまではいいな?」

 

 パーシヴァルの言葉に頷き、ニーズヘッグは最初から考えるのを放棄してこくり、と舟を漕いでいた。こいつは最初から話を聞く気がないし、パーシヴァルもちょっとそこだけはビビってる。流石ニグだぜ! 社会に全く適合出来てる感じがねぇ!! この感じこそニーズヘッグ!! うん、まぁ、君は寝てて。

 

「俺は大丈夫なんで……」

 

「そっちの子が大丈夫じゃないかぁー。まぁ、そこは置いて……ともあれ、港が確保できたことで船が使えるようになった。そしてそれは同時に海路も確保できるようになった、って話なんだが……言いたい事、解るか?」

 

 腕を組みながら頷く。

 

「海路の確保を行いたいけどできない場所がある、ってことですね」

 

「そゆことそゆこと」

 

 パーシヴァルは笑みを浮かべながら腕を組む。

 

「ポート・エルから向かえる場所で1番近いのはポート・アズで、これはメゼエラ領内になる。そしてこいつは現状既に解放状態にあったのを確認している。既にポート・アズには船を送って連携を開始しているからまぁ、問題はない。問題はそこからちょい東南に行った所にあるもんだ」

 

 南、となると更にメゼエラへと潜り込んだ所になるのだろうが、これはメゼエラ首都から少しそれたルートになる。となるとまた別の場所になってしまうのだろうが、パーシヴァルは告げる。

 

「ここはな、大陸最大のリゾート地なんだよ。ジュエルコーストって場所だ。太陽の光を受けて煌めく海と砂浜……それこそ価値のつけられない宝石の輝きの様ってもんだ。俺達の第1目標はここだ。アズからある程度までビーチにまでは近づけたが、上陸できる距離になると断絶だっけか? アレに阻まれて上陸できないらしい。つまりお前らの手によってどうにかしなきゃならねぇ」

 

 これが1、との事。

 

 そして2。

 

「次がエアポートの奪還だ。こいつはエルディアの北にある。徒歩で1日程、馬でなら……まぁ、半日で到着かな。大体それぐらいの距離だ。そこまでの道はちゃんと敷かれてるが今は断絶の影響かなんか道が飲み込まれたらしいな?」

 

 パーシヴァルの言葉にセワスチアンが視線を受け、頷いた。

 

「えぇ。現在北の街道は途中から森に飲み込まれております。元々は森の間を通す街道でしたがどうやら断絶の影響を受けて森が拡大されてしまったようでして……東街道も放置されていれば同じように浸食されていたかもしれませんが」

 

「ま、こっちの運がよかったって事だ! っつー訳だ、2個目の依頼はエアポートの奪還だ。軍艦、輸送艦、飛空艇が使えるようになれば色々と便利になるし他の国と繋がりを取り戻した時、今の環境におけるアドバンテージが取れる……その意味は解るよな?」

 

 頷く。他の国に対して有利なポジションを取れるという事だ。この男、既にこの断絶を解除した後のことを見据えて国家を動かすことを考えている。まぁ、でも実際、今この状況でアドバンテージを取れるのはエルディアかマルージャ辺りだろう。そしてマルージャは現在アドバンテージを取りに行くとかそういう余裕は一切ない。復興作業でちょっと忙しいだろう、あそこは。というか英傑ユニットがいないのだろうかあっちは? 絶対配置されてると思うんだけどなぁ。

 

 まぁ、それはさておき。

 

「となると2方面作戦で一気に進めたほうが良さそうですね」

 

「やっぱそうなるか……あぁ、後俺に畏まる必要はないぞ。さっきと同じノリで頼むわ。その方が気楽にできるからな」

 

「拝承、拝承」

 

「んじゃアイン。ぶっちゃけるけど……お前ら以外で使えそうな連中っているか?」

 

「そこそこいるかなー。知り合いで信用できそうなのはレオンハルトとレインの兄妹。それ以外にも粒ぞろいなのは割と揃ってる。大半は俺からはあんまり良く認識してないけど、知名度の関係で俺が声を掛ければ反応するのは結構いる。人海戦術でやっても良いし、精鋭パーティーによる断絶攻略を実行しても良い」

 

 まぁ、アビサルドラゴンの後に俺もちょくちょく有名プレイヤーとかを検索している。無論、スカウトする為にだ。有力なプレイヤーはなるべく味方に取り込みたい。まだ問題が解決していないスカウトか採用枠、この3つを埋める方法を今はちょくちょく悩んでいたりするのだが、その過程でやっぱり強いプレイヤーの名前は引っかかってくる。だからこっちから声を開ければここら辺はあっさりと解決する問題だと思う。少なくともアビサルドラゴンの時にプレイヤーたちのノリの良さは発覚している。

 

「成程な、結構影響力がある訳か」

 

「影響力があるというか、まぁ、なんというか―――で、パーシヴァルはどっちが良い?」

 

「んじゃそうだな、北を数に任せて南を少数精鋭でやるか。北の方は森の影響もあって数でやらなきゃならんけど、南は一旦船に乗らなきゃならねぇしな。それに……まぁ、コーストを取り戻すのにはあんまり公にしたくねぇ理由もあるからな。なるべくならお前に任せたい」

 

 王族が態々乗り出す理由なんだろう? そのレベルの案件で言うと大体予測がつく。それにパーシヴァルの声にあるやらなくてはならない、という感じのオーラはアークのそれと似ている部分がある。つまり、

 

「コーストに王族がいるのか」

 

「おぉ、流石に解っちまうか。正解だよ、正解」

 

 パーシヴァルが少し驚き、賞賛するように言葉を送ってくる。

 

「上の兄貴がな―――あぁ、第一王子ヴェルサス、その妻のリヒデア、んで北方の帝国の関係者が密会する為に集まってる……あぁ、内容はどんなのかは今は聞くなよ? 流石に込み入った話は面倒になるし、話すとなると強制的に俺達ん所に来てもらうからな」

 

「面倒は御免被るから聞かないよ。だけどそうか、現状トップに一番近い男の所在が割れてるのか……」

 

「親父の居場所も解ってるんだけどねぇ。あの親父殿の事だ。ぶっちゃけ迎えに行ってもその場にいないだろうし探すだけ無駄なんだよなぁ」

 

「一国の王が……」

 

「ま、そんな王様だから考えるだけ無駄無駄。それよりも持ち札でどーするかってのを考えないとな。という訳で、だ。俺達は正式な依頼としてコーストとエアポートの解放を求める……やってくれるよな?」

 

「クエストを断る様なプレイヤーはいないさ」

 

 作戦の細かい話や何時実行するかはもうちょい話し合うとして、

 

 少数精鋭―――恐らくは1パーティー単位で作戦を実行する事となると、最低で4人、最大で8人のパーティーで戦う事となる。

 

 そうなると3馬鹿が合流できるかどうかで話が変わってくる。

 

 最大8人でジュエルコースト解放作戦―――久々に身内で暴れるにはかなり楽しいシチュエーションなんじゃないだろうか、これは?




 という訳で次は水辺ステージだ。船旅を満喫しよう!

 テロ3人衆が間に合う様であれば、ついに身内フルメンツ+外部枠3人加えたフルパーティー攻略だ。
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