断絶世界のウィザード   作:てんぞー

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海! 水着! ダンジョン! Ⅲ

1様『うーい、今お前らどこらへん? ちょっとフルPT推奨クエでたんだけど』

土鍋『1日距離かなぁ。強行軍で明日の朝には到着出来ると思う』

1様『マ? かなり早いやん』

土鍋『これでもそっち行くのに数日かかってるんだよなぁ』

略剣『移動手段もテイミングした動物使い潰しながら移動してるなぁ』

1様『それで数日距離か。街道復活しても飛行か馬車がないと辛そうだな』

土鍋『そもオンゲで数日距離の移動って何? って話だけどな!』

 

 まあ、そら解る。とはいえ、こうやって連中が明日到着できるならまずは固定の5人が揃う。そうなると後は3人どっかからスカウトするか拾うかすれば良いだろう。今回の話に関しては王家からちゃんと報酬も出るし、乗っかってくるプレイヤーは多いだろう。問題はその選別をどうしたもんか、って話になってくるのだが。それに王家からの話をプレイヤー側にも広げないとならない。とりあえずこれをツブヤイッターの方に投稿するとして、

 

 パーシヴァルは最速で明日から行動開始できると言っていた。

 

 たぶんだが―――アビサルドラゴン討滅で解放されたその日から既に次の計画を実行する為の準備を開始していたのだろうとは思う。

 

 こんなに直ぐに船を動かせるもんなのか? と疑うが、ガラドアを見る限り変質とか壊れてさえなければ時間が止まった様にそのままになっているから、そのまま使用できる感じなんだよなぁ……。昨日丸一日準備する時間があったし、その間に色々とテストしたのか? あー、でもこの世界ファンタジーだし魔法的な手段があるのかもしれない。確認作業だって使い魔みたいなもんを飛ばせば船に乗って確かめるよりも早いし、千里眼だって存在するかもしれないしなぁ。

 

1様『まだ固定の勧誘してねぇんだけどなぁ』

略剣『今回ので探せばいいじゃん』

1様『それはそうだけどよー。あぁ、まぁ、いいや。そっちは移動に集中で』

梅☆『おkおk。そっちもガンバ』

1様『ういよー』

 

 とりあえずこれでジュエルコーストに挑む5人は確定した。後は3人を引っ張ってくるのと、エアポート奪還作戦に参加するプレイヤーを募集する方法だ。まずはそっちをツブヤイッターで告知、広場で参加希望者を募ることにしよう。その間にこっちはスカウトできそうなやつを探す。いや、エアポート奪還の募集の時についでにちょっと聞いてみるか。

 

「んじゃ、ちょっと街の方にでますか」

 

「せめて起き上がってからやらんか弟子よ」

 

 視線を上げればそこには師匠がいる。当然だ、ここは師匠の部屋で先ほどまで修行させて貰っていたのだから。おかげで《火魔法》のレベルが9になった。これで《火魔法》のカンストまであと1レベル。明日、ジュエルコーストに行く前には魔法エディットを解禁できるだろう。魔法エディット関連でアビサルドラゴンから報酬もあったので、実はかなり楽しみにしている。だってそうだろう? 誰だって自分の考えた最強の魔法には興味がある筈だ。

 

 そんな風に先のことを床に転がった状態で考え、連絡してた。

 

 だって起き上がるの辛いもん。

 

 

 

 

 という訳でいつも通り日課をこなしたら今度は街に出る。ツブヤイッターで告知してからまだ30分しか経過していないのに、城下町の中央広場にはかなりの数のプレイヤーが集まっていた。イベントの開始とさえも思えるほどのプレイヤーの数と様子は、それこそアビサルドラゴンの時よりも多いように見える。或いはアビサルドラゴンの時は見送ったプレイヤーたちが今度は参戦しているのかもしれない。中央広場の噴水の縁に腰かけつつ、辺りを見渡しておーおー、と声を零す。流石にこれだけいるとここが見えない奴も出てくるだろう。

 

 配信画面を開き、どこからでも見えるように配信設定を確認しつつ、配信を開始する。

 

コメント『何故告知しないんだ??? わこ』

コメント『いつもの。わこわこ』

コメント『待ってたんだよお前のことをぉ!!』

コメント『わこつですー』

コメント『ボスおなじみの突発イベント』

コメント『見慣れたイベントテロ』

コメント『わこつ』

 

「おーおー、勝手言ってくれるなぁ。まぁ、もうちょい人を待つから待て」

 

 上から鳥の嘶きが聞こえた。視線を見上げれば大きめの鳥が上空を旋回しており、徐々に高度を落としてくるのが見える。片腕を突き出せばその上に着地した鳥の脚には文章が括り付けており、それを取り出して、確認する。

 

 まぁ、なんというか細かい部分を補足する為の内容だった。どうやって参加者とそれ以外を認識するとか、そういう感じの奴だ。あっちもあっちで動きが早い。本気で断絶後の世界のアドバンテージを取る為の地盤を確保しに来ている感じがある。

 

 期待されてるなぁ。

 

 すぐそばでサンドイッチを頬張っているニーズヘッグの姿を見て、笑みを零して手紙をインベントリに入れる。

 

コメント『そういうとこやぞ』

コメント『解ってるんか??? 解ってやってるんか??』

 

 何を言っているか良く解らん。が、とりあえず。

 

「良く集まってくれた。また王城から……いや、王家、先日解放された港にとらわれていたパーシヴァル王子からの依頼だ。ここにいるって事は受ける意思があるってことだけど問題ないよな?」

 

「ないぜー!」

 

「態々顔を出して説明する辺り律儀だよなー、ボス」

 

「前回も楽しかったし、今回も期待してるぜー!」

 

「おーしおーし、良い反応をありがとう。顔を出すのは誠意だと思ってるからな」

 

 人間、ネット上の付き合いってのがかなり便利になったが、やっぱり顔も知らない相手というのは信用し辛い部分がある。人は”生”である事に執着する部分がある。見て、感じて、聞けることに信用を置くとも言える。だからこそこういう説明は告知だけではなく、実際に顔を見せて説明するのが一番だと思っている。自分が自然とこうやって人を集めて説明する部分にはそういう考え方があるのだ。だからやり取りをするならなるべくフェイス・トゥ・フェイスで。これが一番話が通じる。

 

 という訳で。

 

「王家の方からエアポート奪還依頼がまず1つだ。こいつは参加者が多いなら多い程良いって感じで、参加者報酬と達成者にボーナスが出る。北の街道の森、アレを攻略した先にエアポートがあるからそれを奪還して欲しいって話だ。今日フライングするってのはちょっとやめて欲しい。城の方で参加者を選別する手段として今トークンを用意しているから、やる気のある奴は明日北門でトークンを受け取りつつそのまま森の方へと向かってくれ。パーティー、ソロは問わない。ただ焼き討ち始めるとガチギレされるだろうから放火とかはなしな」

 

「マルージャの二の舞は嫌だもんな」

 

「せやな……」

 

コメント『どうして』

コメント『哀れの国マルージャ』

コメント『マルージャ? 特徴は森がある事と哀れな事かな……』

コメント『やっぱ田舎は駄目だな』

 

 ほんと身内がすみませんね。

 

「んで、2つめが高レベル向け。というより俺個人向けの話。ちょっと船に乗った遠征先のエリアを攻略しよう、って話。フルパーティー推奨なんでTDHをそれぞれ1枠ずつ募集。募集内容はツブヤイッターで上げたもんと一緒で。最速で明日から俺達とポート・エルから向かえるって奴どれぐらいいる? あぁ、いや、待て。無理な奴は解散して大丈夫な奴だけ残ってくれ。エアポート奪還に関しては今ので大体全てで、後で王城から詳細なクエスト内容がメッセで送られてくると思うから」

 

 だってそういう事の為のアプリなんだろ? うちではフィエルの便利アプリになってしまったが。

 

 という訳でエアポート組は一旦解散。

 

 それから此方のコースト攻略サイドに参加できそうな人を募ってみるものの、結構な数が残った。

 

 その数、総勢50程。つまり今のエルディア側におけるトップレベル層の人間だ。ここから一緒に同行できる3人を選ばなくてはならない。

 

 ……どうしたもんかなぁ、これ。




 次回、自己主張の激しい奴ら。
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