断絶世界のウィザード   作:てんぞー

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海! 水着! ダンジョン! Ⅴ

「じゃ、採用はグル1のアレキサンダーさん、6グルの森壁さん、5グルのゼドさんで」

 

 それぞれ剣盾のタンク、バリアヒーラーの人、そして連携型多型刃の人。

 

「理由はとても簡単で火力ゴリラよりも安定して動けるタイプを選んだ。今回はクリア優先でタイム度外視なんで、事前に詰め詰めで整えるよりも、ふわっとした感じで邪魔にならず安定してクリアできそうなメンツを選びました。という訳で本日の面接は以上です。これは固定用という訳ではないんで、後日固定枠採用の為に新たな募集をするからそっちの方でも宜しく。そっちは安定感よりも火力を優先すると思うんで。では解散で!」

 

「お疲れさまでしたー!」

 

「クッソぉ、でもまだチャンスはあるか……」

 

「俺も固定探そうかなぁ……」

 

「駄目だったか……ダメだったかぁ……」

 

 悔しそうにするやつ、落ち込む奴、切り替えて新しい事に挑戦しようかと考える奴。だが大体は納得している感じがあった。レオンハルトとレインがかなり落ち込んでいるのは無視する。いや、お前ら割と組んでるから別のプレイヤーの動きや考え方もデータとして頭に叩き込みたいから今回は許してくれ。という訳で時間を結構拘束してしまったのでお詫びにニーズヘッグが調べた美味しい屋台を紹介して、解散させた。

 

 という訳で残るのは採用された3人になるという訳で、

 

「じゃ、改めて宜しく。もう知っているかと思うけど俺はアイン。うちの固定におけるコール担当。俺が大体ギミックの散開や集合を口に出す担当な。ちなみに変に畏まる必要はないし、普通に話しかけて欲しい。俺、あんまり敬語とか好きじゃないんだよな」

 

 とりあえず軽いパンチを入れながら自己紹介をする。それに合わせて横に立ったニーズヘッグが腕を組みながら頷く。

 

「ニーズヘッグよ。ニグという呼び方はボス専用だから駄目よ」

 

「おぉぅ、開幕から凄いジャブを叩き込まれたなぁ……」

 

「こら」

 

「ヴヴヴヴヴ……」

 

 ニーズヘッグの頭を軽く小突くと低い声で唸られてしまった。そんな風に所かまわず他の人を威嚇しない! 第一そこにいる連中全員男でしょ! 攻略対象でもライバルでもなんでもない普通の男のPCでしょ! 最近こいつもだいぶポンコツ化が進んでいるというか距離感狂ってきてないか? なんかシャレム遊び始めてから狂い始めている気がするが。

 

 ニーズヘッグの頬を引っ張っていると苦笑しながらゼドが頭の裏を掻く。短い金髪、上はオーソドックスな半袖シャツスタイルだが、下は武器を携帯する為にタイトなジーンズにベルトを何重にもぐるぐる巻きにして複数の刃を携帯している。装備している複数の刃武器を切り替え、使い分けながら特殊な連携スキルで他のプレイヤーと合体技を繰り出すのがゼドのスタイルだ。

 

「えーと、此方こそよろしくアインさん。改めてゼドです。こうやって選ばれた以上、今回のミッションは全力で取り組ませてもらうよ。宜しく」

 

「なら次は俺だな」

 

 アレキサンダーは他のタンクと比べると鎧部分が少なめになっている。ベースは革鎧で、プロテクターの様に鎧をパーツで装備している。防御力自体はフルプレート系よりも低いだろうが、その代わりに敏捷性と機敏さを上げている。どちらかというと状況のカバーやサポートに強いタイプのタンクだろう。

 

「俺はアレキサンダー。やるなら徹底的に遊びつくしたいところに面白い話をしているからな! こりゃあプレイヤーとして参加しないのは嘘って事になるだろう? 宜しくなボス!」

 

「では最後に森壁です。前に出たり壁になったりするよりも後ろからバリア飛ばしてるほうが楽だろうなぁ、って思ってヒーラーやってるからちょっと蹴られた他の人に申し訳なさ感じてるかな……あはは……」

 

「いや、そこは真面目に考えて選ばせて貰ったんで自信を持って欲しい。という訳でとりあえずフレンド交換して、明日の朝再集合って事にするけど他に何か質問とかある? こっちの身内も明日には全力で到着するからすり合わせとかはその時にやる予定だけど」

 

 ゼドが軽く手を挙げた。

 

「あ、こっちの《連携》スキルの詳細、皆に送っておくんで一応見ておいてください。たぶん読み込むというかはっきり理解するのに時間がかかるタイプなんで。一応今の所できる事全部出しておきますんで」

 

「了解了解」

 

「こっちは特にないかな?」

 

「では一旦解散で!」

 

 お疲れ様ー、と互いに挨拶を交わし合ってから集まりを解散する。まぁ、個性的なメンバーが集まった割にはかなり無難なメンバー選びになってしまったなぁ、とは反省している。まぁ、これは固定とは別の人だからアレだが。正直、大型コンテンツ用の固定補充だったら今の中で誰を選ぶかなぁ、という話になるとまた全員入れ替えるかなぁ、と思う。

 

 まずタンク枠はアレ、斧の人一択だな、と思う。プレイヤースキル、火力、気合、全部申し分ない。恐らく今日出てきていたタンク勢の中で一番DPS出せるのがアイツだったと思う。だけど武器が大きすぎる。アレが前に出るとメレー枠と殴る位置が被った時、場所を取りすぎて相手のサイズ次第では全体のDPSを落とすかもしれない理由になってしまう。ああいうタイプはまず事前にある程度話して、お互いの動きとかをすり合わせる必要がある。今回のイベント的に、それを全体で共有して練習するだけの時間はない。

 

 ヒーラーもバッファーの方が個人的にはありがたいなぁ、と思っている。ぶっちゃけバリアだけなら俺が《結界術》のレベルを上げれば似たような事が出来るだろうし、全体軽減をタンク側で習得するという手もある。だからバリアの重要性は減るし、その分バッファーを入れて全体の火力を補強した方がレイド戦における攻略スピードを上げる事が出来るだろう。だから個人的にはあの無法ギタリストか、あの踊り子……そのどちらかを採用したかなぁ、という感じになる。今回の場合は安定力を高めるという事と、まだ他に軽減手段が薄いという事でバリア型ヒーラーに軍配が上がった。

 

 んでDPS。レインかレオンハルト。あの兄妹のどちらかを採用する。これだけは変えられない。あの2人が生物としてのレベルが違う。だけど他のDDの強さとか、考え方とか、ある程度の広いデータが欲しいのも事実なので今回はあえて落とした。それに《連携》特化とかいう面白いビルドをしている人にも興味がある。これで面白い方向性に進むなら《連携》、うちでも取り入れていいかもしれない。

 

 ともあれ、本日はこれにて一旦解散。時間も良い感じなので昼休憩に一旦ログアウトする。

 

「悪いな、ニグ。お前からしたら面倒な事だろ」

 

「良いわよ、別に。私には無理だし。ボスが出来ない事を私がすれば良いだけだもの」

 

 そういう所、ほんとありがたい。そう思いつつ一旦ログアウトする。

 

 

 

 

 そして戻ってきたらイェン兄妹の所で今度はスポンサー話詰めようか、と思ったのに。

 

「―――で、どうだ?」

 

「―――どうなの?」

 

 スポンサーの話を、詰めようと思っていたんだ。その為に屋台へと向かった筈なんだが―――今はそんなところではなく、服飾店にいた。なんでこんなところに? と人は思うだろう。大丈夫だ、俺もそう思っている。しかも状況は今現在進行形でかなりひっ迫している。先ほどまで店内にいた筈のフォウさんはさっさと店外に逃げてしまったのでこの世で最も使えない男ランキング1位にも輝いている。そしてそんな状況の中で、

 

 左側には水着姿のイェンが。

 

 右側には水着姿のニーズヘッグが。

 

 俺を挟み込む様に水着姿をアピールしていた。

 

 ……は? なにこれ??




 お待たせ♡
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