ゴーレム君の守衛隊   作:志賀 雷太

9 / 13
闖入者=ちんにゅうしゃ


1章 6話 闖入者コンビ

 

 門の突破を果たした十四人の賊たちは、予定どおり、即席の二人一組に分かれて散開していた。

 

 そのうちの一組は、販売店や飲食店が建ち並ぶ通りを駆けながら、辺りをきょろきょろと見回していた。そのコンビの片割れ……大柄な男は、眉をひそめて訝しがるように呟く。

 

「おかしい……街灯が一つもない田舎の村じゃあるまいし、ただの一人も見かけねぇってのは明らかに異常だ……ということは、だ。つまり、俺たちが侵入したことが既に知れ渡ってるってところか? 随分と早いじゃねぇか」

 

 彼の言うとおり、街には人の姿がなかった。腹を空かせて食事処に向かう労働者の姿も、愛娘の笑顔に出迎えられたくて足早になる父親の姿も、道端での談笑に花が咲いてしまい帰宅が遅くなった母親の姿も。だが、彼らとて遠からず気がつくであろう。路上が無人となっているだけで、建物の中には人の気配があることに。親の目を盗んで、カーテンの裾をめくっている少年の瞳に。

 

 しかし、彼の片割れである細身の男は、興奮のせいか必要以上の大声で騒いでいた。

 

「へぇー、そうなんスか? なら、邪魔が入らないから楽でいいッスね! おかげで……ほら! 片づけきれなかったであろう、あれやこれやそれがこんな簡単に手に入るんスから!」

 

 細身の彼は店先に置き去りにされてしまった商品を手に取り、嬉しそうに眼を細めた。

 

 それを見ていた大柄の男は呆れ果てたように肩を落とし、彼の手から商品を叩き落とした。

 

「あ!? ちょっと! なんてことするんスか! 物は大切に扱わないとダメッスよ!?」

 

「それは俺たちみたいのが言う台詞じゃねえぞ、馬鹿野郎。あのな……俺たちは、あの堅牢堅固と名高い王都を襲撃しているんだぞ。その見返りがこんなもんじゃあ、割に合わないんだよ」

 

 細身の男は落とされた商品を元の場所へと戻してから、視線を大柄な男へ向けた。不服さを隠すつもりがないのか、隠す知恵がないのか、ともかく彼は唇を突き出してぼそぼそと喋った。声音からして少しばかり拗ねているようだ。

 

「じゃあ? これから俺たちはどうすればいいんスか?」

 

「はぁ……事前に作戦説明があったじゃねえか。お前もいただろう。聴いてなかったのか?」

 

「俺をなんだと思ってるんスか! ちゃんとこの二つのお耳で聴いてたッスよ! ただ、覚えられなかっただけッス!」

 

 その返答を聴いて、大柄な男は自分の頭を掻きむしった。イライラを処理しようと頭の中をこねくりまわす。

 

 こいつのこの緊張感の欠如はいったいなんなんだ? さっき言ったとおり、王都に侵入して盗みを働くって、とんでもない大ごとのはずだろうが! ペアは即席でつくったとはいえ、俺だってこいつのおつむが弱いことは知っていた。仲間うちでは周知の事実であったし、俺だって同じ評価を下していた。下してはいたが……こいつの方が一枚上手だったということか……なんで俺は負けた気にされられているんだ? わかんねぇ……わかんねぇよ。

 

 男の中でごった煮になった行き場のない感情は、細身の彼の評価を更新することによりお茶を濁すことにしたようだ。

 

 こいつの馬鹿は、例え大地が裂けようと、星が落ちようと、雷に撃たれようと、まともになることはないだろう。馬鹿に付ける薬はない。こいつは生きるうえで重要な何かを母ちゃんの腹の中に忘れて来たに違いない。こいつに期待をしてはいけない。期待をしただけ馬鹿を見る……なんて嫌なダブルミーミングなんだ……。

 

 いっそのこと、彼をまったく無知な存在であると仮定すれば良いのではと、男は閃いた。そう、無垢な子供のように扱ってみようと。

 

「まったく、お前ってやつは仕方がないな。簡単に説明するとだな、現物は無視して、通貨を狙えってことだ。盗みの基本だぞ。具体的にはまず、高級品を扱っているような店とか、見るからに裕福そうな家を探すんだ。わかったか?」

 

 大柄で不衛生な男が爽やかに話しかける光景は、却って不気味さを演出していた。しかし、幸か不幸か、この場には頭が軽い観測者しかいなかったのがせめてもの救いだ。

 

 すると、彼の気持ちが通じたのか、細身の男は親指を立てて見せた。少し開いた口内から汚れた歯をかすかに光らせて。

 

「なぁるほぉど! そいつは……完璧な計画ッスね!」

 

 男は直感的に理解した。たぶん、こいつよりもその辺の子供の方が賢い。

 

「そうだな」

 

 正気に戻ってしまえば、彼について考えるだけ時間の無駄であったと悟ることができた。

 

 こいつは馬鹿だが自分も阿呆だ。今だって、なにを呑気に立ち止まって会話に花を咲かせているんだ。井戸端会議をしている場合じゃない。

 

 冷静になった途端に男は強い焦燥感に駆られていた。

 

 そんな彼の気持ちなど露知らず、細身の男は楽しそうに己の未来を思い描いていた。

 

「じゃあじゃあじゃあ! これが終わったら、俺たちもいよいよ大金持ちッスねー! そうしたら、美味い飯が食えて、いい身体つきのねーちゃんがいっぱいいる町に住みたいッスー! あぁ、夢が無限に広がる……なんか素敵じゃないッスか?」

 

「そうだな」

 

 大柄な男は適当な相槌を打って、馬鹿の戯言を聞き流した。

 

 さてさて、馬鹿と阿呆が織りなす楽しい楽しい談笑会はここまでだ。

 

 焦りから、彼の足は前へと進む。そうして彼が合図もなしに駆け出すと、細身の男は数秒間だけあっけに取られたあと、急いでその背中を追いかけるのであった。

 

 

 

 

 

 それから暫らくの間、二人は本来の目的どおりに標的となる建物を探した。彼らが行く先々に並んでいるのは平屋か二階建ての木造家屋がほとんどだ。石造の建物もなくはなかったが、いずれもこぢんまりとしている。表構えから察するに、それらは工房や飲食店だと思われた。すでに五十軒以上の建物を見てきたが、賊たちの期待に適う物件はいまだに見つかっていなかった。

 

 ここ、生活地区は最も建物が多い区画であり、暮らしている人々のほとんどは庶民である。

 

 そのことは予備知識として賊たちぜ……ほぼ全員が知っている。当然、この区画に標的となるような富裕層の邸宅や潤沢な資産を持つ店が少ない可能性も彼らは予想していた。

 

 本当はさらに内側にある行政地区に行ければ良かったのだが、実行するには困難を極める。なぜなら、地区の境にも外周同様に壁が立っているからだ。もし行政地区に行こうとするのであれば、先程と同じようにゴーレムや守衛隊が防衛しているであろう門を再び突破しなくてはならない。そのためにはゴーレムの無力化、ひいてはあのわけがわからない威力の爆弾が必要となる。しかし、彼らが調達できたのはあの一つだけであった。このような理由から、彼らは生活地区の中で標的となる建物を探すことになっていた。

 

 では、彼らがハイリスク・ローリターンの賭けに出たのかと思えば、そんなこともなかった。

 

 現況において賊たちは街のあちこちに散らばってはいるが、彼らが探索している範囲はまだまだ王都の入り口付近である。王都の大きさからすれば、生活地区の中であろうとも行政地区に近いあたりには裕福な人間が住んでいる可能性もある。例えば、行政地区に住まいを構えられない成金の商家とか、行政地区に通勤する親がいる家族とかだ。

 

 大柄な男はここまで観察してきた街の様子から、探索はひとまず切り上げて、もっと地区の奥へと向かうべきだという考えに至った。とりあえず、仲間たちとの合流を果たさなければ。

 

 彼が行動指針を改めたその時……静かな路地に響く足音が、二人分から三人分に増えていることに気付いた。この時点で彼はおおよその状況を察することができていたが、彼は不確定情報を嫌う性格であった。

 

 彼は走る速度を緩めずに視線を後方へ向けた。すると、先程交戦した隊員たちと同じ服装をした男が追いすがって来ていた。反射的に舌を鳴らしてから、並走している細身の男を見る。彼は口を半開きにしたまま、左右に並ぶ建物群を交互に見渡していた。状況の変化にいまだ気付いていないらしい。しかし、自分に向けられる視線には気付いたらしく、なぜ見られているのかわからずに首を傾げていた。大柄な男はうなだれてから、端的に状況を伝えるために口を開いた。

 

「後ろから追っ手が来ている! 絶対に足を止めるなよ!」

 

「え? まじっスか? それってやばくないッスか?」

 

「だからそうだと言っている!」

 

「うひぃ、捕まったらいったいどんな目に合わされるか……がくぶるッスよ。あ、そういや捕まったら豚の飯を食わさせるって噂、あれ本当ッスかね?」

 

「んなもん知るかっ! 知りたきゃ一人で勝手に捕まれ!」

 

「えー。ちょっと気になっただけなのに、そんなに怒らなくてもいいじゃないッスかぁ」

 

「冗談言ってる余裕はねえんだよ」

 

「うーん……いっそのこと戦うってのはどうッスか? 二対一だからこっちの方が有利ッスよ!」

 

「却下だ」

 

 大柄な男もその選択肢は検討していた。確かに戦闘に持ち込んだ場合は数の利はこちらにある。しかし、相手は国の兵隊だ。力量では相手が優っている可能性が高く、安心できる勝率ではないことぐらい予想がつく。それに、今でこそ追っ手は一人しか確認できていないが、応戦しているうちに増援が来るだろう。先程の交戦では不意打ちと人数差のおかげで優勢に戦えたが、ここは相手側の本拠地であることを忘れてはならない。人海戦術で追い詰められるより先に事を成し、迅速に撤退するべきだ。

 

 応戦は相手の思う壺。肝要なのは速度と逃走。それが彼の出した結論であった。そしてそれは間違っていない……はずだった。悲憤の根源は、この場に常識の通じない男が存在していたことにある。

 

「お! 運は俺たちに味方しているみたいッスよ!」

 

 本人がその事実に気付く気配は微塵もなかったが。

 

 彼は、とある大衆食堂の店先を見つめていた。開かれた扉の前で、愕然とした表情と五体が凍りついたように固まっている……そんな看板娘の姿を。

 

 

 

 

 

 十数分前……大衆食堂アツマ亭は非常に混雑していた。

 

 フロアの座席には夕飯を食べに来ていた客たちが座っており、また、避難勧告を受けた人たちが所在なげに立ち尽くし俯いていた。この事態について、地域住人に愛される店としては避難活動に協力できることは喜ばしくあったが、一方で問題や責任を背負い込んだと考えると素直に喜べないのがなんとも悲しかった。

 

 避難者はフロア内に収まりきる程度の人数で済んでおり、従業員は厨房の中であれば自由に動くこともできた。調理も通常どおりにできただろう……が、フロアがそのような状況であるために配膳ができない。仮に避難者がいなかったとしても、避難を要するような状況下において火の使用は避けたかった。

 

 要するに、現在のアツマ亭はすべての営業活動を中断せざるを得ない状態であった。

 

 店内にいる三者三様の者たちは時が過ぎ去るのを所在なく待ちわびることしかできなかった。せめてもの救いは、店内が恐慌状態に陥っていないことだった。

 

 とある女性は口寂しさに泣き出しそうになる赤子を小声であやしている。

 

 とある老婆は手持ち袋から布を取り出して、隣にいた女性に「洗濯したばかりだから使っておくれ」と言って手渡していた。

 

 とある男性は押し寄せる尿意から気を逸らそうと明日の仕事内容を思い浮かべている。

 

 とある老爺は青年に感謝の気持ちを伝えつつ、譲り受けた椅子に申し訳なさそうに座った。

 

 身じろぐことすら遠慮がちになってしまう店内で、テーブルに置かれた空のジョッキや、骨だけが鎮座している皿、ソースが付いたフォーク、野菜が残っているプレートなどだけが、世俗を穏やかに傍観していた。

 

 そんな中、突如としてテーブルを叩く音が鳴り、周囲の注目を集めた。衝撃がそれなり大きかったのか、テーブルの上で平皿に置かれていたフォークがとび跳ねた。人々の視線が向かう先を辿ると、テーブルに握り拳を置いた男性がイスに横向きに座っていた。彼は眉間にしわを寄せて、店の入り口あたりに向けて大きな声を飛ばす。

 

「おーい! 誰でもいいけど外がどんな感じなのか見てくれよ! これだけ押し込められちゃあ息が詰まってしょうがない!」

 

 その一声を皮切りにして店内に似たような意見が生まれ始めた。しかし、その意見に憤慨する者たちも現れ始め、咎める声や反対意見も飛び交うことになり、先程までの静寂を忘れたかのように店内はいろめき立った。その反面で、入り口近くに立っている者たちは無言を保ち、嫌そうな表情を浮かべたまま誰も動きはしなかった。

 

 この突発的な言い争いにおいて、多数決の原理から扉を開けない結論に収束するかと思われた時、発案者の男が勢いよく立ち上がった。付近に立っていた人たちが渋面を浮かべる中、彼は不満が爆発したように開口する。

 

「もういい!! 誰も行かねえってんなら俺が行くさ! それなら文句ねえだろ」

 

 そう言い放って、男は人混みを掻き分けて扉へ向かおうとする。論点がずれていることを指摘する声も上がったが、彼は聴く耳を持たないようだ。ある者は彼を止めようとして人混みに阻まれたどころか、転倒騒ぎを誘発しそうな有様であった。

 

 誰しもがこのままでは暴力沙汰や傷害事件が起きてしまう可能性を予期した。

 

 そして、ミルはそれを見過ごせるような太い神経を持っていなかった。ましてや従業員としての責任感と暴力を恐れる優しさが、不幸にも彼女を後押ししてしまった。

 

「ま、待ってください! あたしが見て来ます! だからお客様は………………あの……席に……戻ってくれますか?」

 

 迫り上がった感情に負けて制御を失った結果、ミルは店全体に響き渡るような大声を上げてしまった。場のざわめきが静まりかえった途端に、彼女は気恥ずかしさを覚えて言葉に詰まった。声量が尻すぼまりになっていくことは彼女にしては珍しいことであった。

 

 なお、彼女が悔いるだけの成果は出ていたらしい。罰の悪そうな男の姿を見れば、それは一目瞭然であった。

 

 ミルが入り口の方向を向くと人垣は僅かな隙間をつくりだし、彼女はその道を丁寧に通り抜けて行く。

 

 その間、彼女は自分の背中に突き刺さるさまざまな感情のこもった視線がどうにも気になって仕方なかった。

 

 同情の視線は数が多く、最もわかりやすかった。すれ違い際に少年から向けられた視線は……好奇心? この仕事を始めたてのころ、見送りに立つ弟たちが似たような視線を送っていたことを思い出した。人の良さそうな顔をしたおばさんは……心配? 自分より少しだけ年上に見えるお姉さんは……不安と応援の混ぜこぜ? 帽子を深くかぶっているおじさんは……自責? なんとなく読み取れたのはそれぐらいのもので、残りの視線はばらつきがあるうえに難解に思えた。

 

 ついに扉に手かける段階に至っても、彼女は背後に刺さる無数の視線から意識を逸らすことができなかった。これも職業病の一種なのだろうかと考えてから、すぐに否定して自分の思考を嘲笑った。気にならない方がどうかしている。

 

 彼女の図太さのない神経が、彼女にこのような状況をもたらした。そして、次にはーー

 

 ミルが扉を押し開ける。そして一歩を踏み出した時点においても、やはり背後ばかりが気にかかってしまった。これが、事態の認識を遅らせてしまったのかもしれなかった。

 

 状況を理解した彼女が短い悲鳴を上げた直後、その強張った体が動き出すよりも早く、細身の男に手首を掴まれた。そのまま路上へと無理やりに引っ張り出される。彼女の背後から男の腕が首にまわり、喉元にはナイフが添えられた。

 

 彼女は反射的に悲鳴を上げてしまうと思ったが、実際に喉を通り抜けたのは、掠れた空気が抜ける音だけであった。

 

 顔の向きは変えられないので視線だけを落としてみたが、あてがわれたナイフは視認できなかった。ただ、顎にあてられた金属特有の冷たく固い感触が、命を握られている実感を嫌がる彼女に教え込んでいた。彼女は声を出すことはおろか、ほっそりとした指先の一つさえ動かせなくなっていた。

 

 一方、すっかり凍りついてしまった彼女とは正反対に、細身の男は歓喜に満ちた表情をしており緊張感がまるでなかった。

 

「やったッスよー! 人質確保ッス!」

 

「てめぇ……なにしてくれてんだ馬鹿野郎が」

 

「え? なんで俺が怒られてるんスか? 意味わかんないッスよ」

 

 細身の男は相方から叱責を受けても疑問符を浮かべるばかりであった。それを見た相方は苦虫を噛みつぶしたような表情をして大柄な全身を震わせた。今、彼の脳裏にはさまざまな思考が一瞬にしてよぎっていた。

 

 これぞまさに最悪なパターンじゃねえか……ありえない選択肢をわざわざ引き寄せやがった。本当にどうしようもない馬鹿だ。人質をとってどうするつもりだ。交渉材料にすんのか。こんな開けた場所で、俺たちはここにいるぞーって大手を振って喧伝するつもりか。相手からすれば厄介かもしれないが、俺たちからすれば詰みの一手でしかない。国家を相手にしていることを忘れてるんじゃ……いや、考えてもいないんだろう。国家がテロに屈するわけがない、完全に交渉する相手を間違えている。時間の浪費も論外だ。まるで後先を考えちゃいねえ。仮に追手の足を止めれたしても、それは人間一人を連れての逃亡劇になる……完全にお荷物だ、間違いなく逃げ切れない。詰みを崩すためにはこいつを説得するしかないが……無理だ。時間もおつむも足りていない。そうこうしているうちに敵の増援が来るだろう。こいつを人質から強引に剥がすのはどうだ……説得よりはまだ可能性があるだろうが、その間に追いつかれてしまえば捕まるだけの隙になるだろう。どうあってもリスクが付き纏うーー

 

 思考を凝らした果てに、彼が最善だと思えるような答えは見つからない。

 

 ーーいや、違うだろう。もっと最善の選択があるじゃないか。

 

 大柄な男の口元が弧のかたちに歪んだのは一瞬のことであった。

 

「いや、そうだな。俺が間違っていた……訂正しよう。よくやった」

 

「はぁ、びっくりさせないで欲しいッス」

 

「この後の方針だが、俺は仲間を呼んでくる。それまで時間を稼げ」

 

「おお! それは良案ッスね。了解ッス!」

 

「頼んだぞ!」

 

「はいッス!」

 

 ーーほら。俺たちにとっての最善ではなく、俺にとっての最善が。

 

 駆け出した彼は、最後に道化を一瞥してほくそ笑むのだった。

 




賊コンビに名前をつけるかどうかで悩みました。
書き終えたあとになっても悩んでいるくらいなので、おそらく本音では名前をつけたいのでしょうね。(自己分析)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。