影浦雅人の『兄貴』   作:瑠威

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この話を書いてる時に、違う小説の内容にビビっと来てしまい、投稿ボタンを押してしまった…。掛け持ちなんてエタル確率が上がるだけってわかってるのに…。
掛け持ち小説は暇つぶし更新ですから!!息抜き小説ですから!!
こっちの小説を優先して投稿しますから!!安心して!!
暇でしたら、良ければ見に行ってください。まだ1話しか投稿出来てないけど。また兄妹ものだけど。

あ、モブsideです


中学生編
第9話


 

  中学に入学して2日がたった。まだイマイチ、クラスメイトに慣れていない彼らは周りのクラスメイトに頻繁に話しかけ、格付けしているように見える。

  え、僕はどうなんだって? 僕は世間一般的に言われる『陰キャ』という部類に所属していて、見た目からそれが滲み出ているからか、『陽キャ』と呼ばれるキラキラした一軍からは一切話しかけられることは無く、中学に上がると同時に引っ越してきたという要因もあり、ボッチだ。

  転校デビューを夢見ていた俺は、隣の席の子に話しかけようと試みる。しかし、自分から話しかけようにも右隣の席の真面目そうな女子に話しかける勇気はないし、かと言って、左隣の男子は目付きオーラ全てが怖いので顔を向けるのさえ躊躇ってしまう。前の女子は時代遅れのギャルで肌は褐色色、金髪、化粧濃いの三拍子。もちろん話す勇気は無いし、話しかけたいとも思わない。1番最後尾の席なので、後ろはいない。

  やっぱり必然とぼっちになってしまうこの現実に、静かに僕は涙を流してしまった。

 

 

「ギャハハ!! でさぁ、あのモブがぁ、ばかでばかでマジ笑えるぅ」

「つぅかぁ、アイツ太り過ぎじゃね?」

「あんな目ぇ釣り上げてぇ、ブヨブヨの腹出してさぁ怒ってたくなぁい? あーゆーのを、身の程知らずって言うんだよねぇ」

 

 

  ギャハハと品のない声で笑う前の時代遅れのギャル達。達と言っても昭和ギャルの格好をしているのは、前の席に座っている金髪の女だけで、他の取り巻きみたいな女2人は茶髪のピアスぐらいだった。スカートは超短い。

  このクラス、目の前のギャル達のせいで荒れるかもなー、と少し先の未来を想像する。既にいじめのような発言をしているので、性格は絶対に悪い。まあ怖くて、注意できる程僕は性格出来上がってないし、やっぱり怖い。これ重要だよね。

 

  でも、それ以上に今は左隣が怖くて怖くて仕方がない。トントントンと細長い左指でリズム良く人差し指で机を叩いている。足は苛立ちを表しているのか、貧乏ゆすりが凄い。目付きはさっきよりもつり上がっているように見えるし、何なら赤のどす黒いオーラまで見えているような気がする。自分は絶対に主人公とかにはなれないタイプだとわかっているため、そんな特殊能力はある筈ないのだが、見えてしまっているような気がする。僕、もうすぐ死ぬのかな。良く死ぬ間際にそんな力に目覚めて逝く奴っているだろう? 僕もその1人かもしれない…。

 

 

「おい、そろそろその足と手を止めろ。うるさい」

 

 

  ヤンキーの若頭と言われても納得できる左隣の彼に注意したのは窓際に座っていた奥の男子だった。小柄で、制服は人一倍ダボッとしている。何となく落ち着いた雰囲気を纏っていて、クールという言葉が似合いそうな子だった。

 

 

「あ゙?  つゥか何でテメェがいンだよ」

「同じ中学校に入学したからに決まってるだろう」

 

 

  「静雅と家も近いし当たり前だ」と小柄の彼は怯えることなく言い放った。どうやら同じ小学校から来た顔見知りの仲らしい。

  怖い彼にビビる素振りを見せない小さい彼は、怖い彼とは違う威圧感があった。あんな小柄なのに一体全体どこからそんな圧を出しているのか。顔もイケメンなので多分モテるタイプ。野球とかやってそうだな。

 

  小柄な彼が獣のような彼に取って食われるんじゃないかとハラハラしてチラチラと見ていれば盛大な舌打ちが聞こえる。それと同時に椅子の倒れる音もして、ザワザワとざわめいていた教室が一斉に静かになった。もちろん、悪い意味で隣りにいる彼らは注目されている。

 

 

「ハッ、丁度いい。前々からテメェの事が気に食わなかったンだァ。決着つけようぜェ」

「決着?」

 

 

  威圧的に、そしてニヤリとよく悪者が見せそうな笑みを浮かべ小柄な彼に言った。やはり小柄な彼は怯むことなく「何で決着をつけるんだ?」と的外れなことを聞いている。

 

 

「あ゙? ンなもン拳に決まッてンじゃねェか。馬鹿か?テメェは」

 

 

  クツクツと小柄な彼を馬鹿にするような笑みを浮かべ笑っている彼に声を大にして言いたい。馬鹿は君だ。小柄な彼のことはよく知らないが、普通決着をつけようと言われ、拳を想像する人間は少数ではないだろうか。

  そりゃあヤクザとかマフィアとかは別かもしれないけど、喧嘩とか疎遠な普通の一般人なら野球とかサッカーとかスポーツを想像するのが世間的だと僕は思う。

 

  小柄な彼は数秒、考えた素振りを見せたあと、「いいだろう」と頷いた。

 

  ──え? 頷いた??

 

 

「OKしちゃうのかよ!?」

 

 

  思わず、思わず声に出してしまった。シーンと静まりかえっていた教室には、こだまするよう僕の声が響き、聞いていないフリをしていたクラスメイト達が一斉に僕を見る。

  それと同時に、獣のように目付きを釣り上げた怖い彼は、真っ黒な瞳で僕を見た。目だけで殺されそうなほど威圧的で、思わず漏らしてしまいそうになる。

 

 

「あ゙?誰だテメェ」

「………すみません、なんでもありません」

 

 

  このまま、謝らなければ、小柄な彼よりも先にボコボコにされて、窓から捨てられる未来が見えた。そんな未来は回避したい。まだ死にたくない。だって僕、中学生だもん。

 

 

「けっ」

 

  怖い彼は僕に興味を無くしたかのように視線を落とし、教室から出ていく。それを追いかけるように小柄な彼も教室から出ていった。

 

  彼らがいなくなった瞬間、重苦しい空気が一気に消え、クラスメイト達の活気が戻っていく。

 

 

「お前、すげぇな!!」

 

 

  僕の元に近寄り、肩を組みながらクラスメイトは言った。陽キャに属している男だ。

 

 

「あの雰囲気で、思わずでもよく言えたよ!!」

「一言でも喋ったら殺される雰囲気はあったよな!」

「物音すらたてちゃいけないみたいな雰囲気だった!!」

「あいつが死神に見えてたよ、俺…」

「ちっちゃい子大丈夫かなっ!?  あんな怖い人に勝てっこないよ……」

 

 

  ザワザワ ザワザワ

  先程の静けさが嘘のように皆は喋り出す。それほどまでにさっきは緊張感があったということだろう。

 

 

「なあなあ、勇者!」

「……」

「無視すんなよ、勇者!!」

「え、僕?」

 

 

  クラスメイトの1人が僕のことを勇者と言い始めた。きっと、さっき声に出した事が原因でそう言われてるんだと思う。

  それから皆は勇者という言葉を僕に向けて言ってくる。わずか入学2日目で僕のあだ名は勇者になった。そして、まさか夢にも思ってなかった、陽キャの仲間入り!! 見事な中学生デビュー!!

 

  あの一言がこんなことになるなんて。

  人生、どう転ぶか分からないね!




※ギャルたちはこの後、担任に絞られたらしい。どれぐらい絞られたかって言うと、濡れた雑巾がカピカピになるぐらい

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  • 宇佐美栞
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