影浦雅人の『兄貴』   作:瑠威

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時は少し遡って…


第16話

 

「おお…かっこいいね」

「当たり前だろ。なんだって俺の兄貴なんだからな」

 

 

 風間隊のランク戦を観戦していた影浦静雅の実の弟である影浦雅人と、その友人である北添尋は目をキラキラとさせていた。特に菊地原の首をちょんぎったところがかっこいいと雅人は感じ、いつか絶対に真似してやろうと心に決めた。

 

 

「わかってたことではあるけれど、シズさん凄く強いじゃん」

 

 

 一瞬で三輪と荒船をベイルアウトさせた所を見て北添は言う。北添は何度か街中で喧嘩している静雅を目撃していたので、実力は知っているつもりだったが、まだまだ知らないことは沢山あると思った。

 

 

「ゾエさんもあんな風にスパーンてできるかな」

「ゾエ、そもそもてめぇはアタッカーじゃねぇだろ」

「お、それは盲点だった…」

 

 

 昔馴染みの北添と雅人は一度、隊を作ろうと考えた。それはもう静雅に憧れてである。残念なことに静雅は風間隊に取られてしまったが、早く隊を作ってB級ランク戦に出て、静雅と試合をしてみたいと思っていた。その為、今期のランク戦に間に合うよう隊員を募集したのだが…。

 

 

「カゲが怖いからって皆逃げ出しちゃったよね」

 

 

 あんまり女ウケしない雅人の人相のせいで、肝心なオペレーターが見つからない。基本的にオペレーターは女性が担うことが多く、雅人の顔と凄みを怖いと思わない女性がいなかったのだ。

 

 

「カゲ、落ち込まないで。ゾエさんはカゲが優しくて単純な男だって知ってるから」

「うるせぇ黙れ殺すぞ」

「せっかくゾエさん励ましてあげたのに」

 

 

 「変なモン刺してくんな」と言う雅人にもサイドエフェクトがあった。感情受信体質というサイドエフェクトらしく、様々な感情によってチクチクと針に刺されるような痛みが雅人を襲うらしい。

 

 

「なあ」

 

 

 ある意味いつも通りの掛け合いをしていた雅人と北添に話しかけた女性が一人。髪の長さはだいたいボブぐらいで茶髪の目がキリッとした女性だ。

 

 

「え、ゾエさん達に話しかけた?」

「ん? アタシはそのつもりで話しかけたぞ」

「…いつもカゲの顔が怖いって言って避けられてたゾエさん達が女の子に話しかけられた…!! ゾエさん感動しちゃって泣いちゃいそうだよカゲ…!」

「…けっ。勝手に泣いとけ」

 

 

 オロオロと泣き出す北添を見てゾッとした女性は「大丈夫か!?」と駆け寄る。彼女はアタフタと自身のポケットを探り、ハンカチを手渡してあげようとする。が、残念なことに彼女はハンカチを所持しておらず「すまん、ハンカチ持ってない…」と北添に言った。

 

 

「だいじょぶ、だいじょぶ。ゾエさん自分の持ってるから」

「おお、女子力高いな!」

 

 

 ちなみに彼女はハンカチを持ち歩かないタイプである。自然乾燥派だ。雅人もその分類で、この場で唯一北添だけがハンカチを持ち歩いている。

 

 

「…で、俺らになんか用かよ」

 

 

 北添のせいで話がそれた。うだうだと茶番を見るつもりのなかった影浦は早く話せと彼女を急かす。

 

 

「お前らはあの人の知り合いか?」

 

 

 女性の指すあの人とは現在進行形でズルズルと忍田に引き摺られブースを後にした静雅のことである。知り合いも何も静雅は雅人の兄なのでそれを伝えた。…北添が。

 

 

「兄弟!? …確かに言われてみれば面影があるな!」

「それがどうしたんだよ」

「いや、私もあの人をかっこいいと思ってな!! そしたらたまたま近くでお前たちが話してるのを聞いてついつい…」

 

 

 目をキラキラとさせながら静雅の魅力について語る彼女を見て北添は珍しいと思った。雅人があまり女ウケしないように、静雅も女ウケはあまり良くない。視力が悪い癖にずっと裸眼で生活しているのもあって、年々目付きは悪くなっていく一方だ。そのせいで、ただチラッと見ただけなのに睨みつけてきた、なんて難癖つけられ喧嘩することも少なくない。

 

 

「お前、兄貴の良さが分かんのか」

「え? ふつーカッコイイって思うだろ」

「それが残念なことに少数派だったりするんだよ」

「マジでか!?」

「マジマジ」

 

 

 北添はうんうんと頷き、雅人は静かに彼女を見つめている。さすがの彼女も雅人からの視線に気づき「な、なんだよ…」と顔を赤らめた。

 

 

「お前、名前は」

「アタシか? アタシは仁礼光だ!」

 

 

 ふん!!と胸をはり、ついでに年齢も彼女は口にした。北添が「おお、ゾエさん達の1個下ね」と呟く。

 

 

「ポジションは」

「オペレーターだ!!!」

「どっかの隊に属してんのか」

「いいや。アタシも最近入ったばっかだかんな。どこの隊にも属してないぞ」

 

 

 ブンブンと首を横に振る。サラサラな光の髪が左右に揺れた。

 

 

「じゃあ俺の隊に入れ」

 

 

 おお…珍しくカゲから女子に話しかけてる…と感動していた北添だが、最後の言葉を聞いて涙腺は崩壊した。カゲが、告白みたいなことをしている!!

 

 

「おいゾエ、何泣いてんだ!!」

「シズさん…カゲは確実に成長してますよ……ゾエさんカゲが成長した場面に出くわして嬉しい」

「いちいち腹立つ野郎だなゾエ…!! まずてめぇから殺してやろうか!?」

 

 

 急に想像していないことを言われた光は目を丸々とさせていたが、やがて嬉しそうに顔を綻ばせると大きく頷いた。

 

 

「いいぞ!!」

「ア…?」

 

 

 一瞬、空気がシーンとした。仁礼は「いいぞ」と言った。何に? 雅人が北添を殺すことに? いや、きっと違う。そんな掛け合いができるほど仲がいい訳では無い。じゃあ何に? それは──。

 

 

「カゲ!! ヒカリちゃんが隊に入ってくれるって!!」

「ふふん、アタシのサポートでお前らを1位にしてやるよ!!」

「良かったねカゲ!!」

「ふはは!! これからは私のことをヒカリさんとよぶんだな!!」

「ねぇカゲ、なんで無視するの!!」

「だぁぁぁあ!! てめぇらうっせぇんだよ!!!」

 

 

 自分の目尻に溜まった涙を一掬いしたゾエは優しい笑みを浮かべて言う。

 

 

「ヒカリちゃん、この勢いでカゲのことも貰ってあげてよ」

「流石にそこまでは面倒みきれんな!」

「…ゾエ、調子に乗んのも大概にしろよ」

 

 

 ゾエはカゲの手によってボコボコにされた。

 

 

「ちょっと冗談言っただけなのにさ、カゲってばもう短気なんだから…」




ランク戦で作者がどんな戦略つくんのかな、とか楽しみにしてる人は今すぐそれを消した方がいいです。作者、センスないんで本当にガッカリすると思います。そもそも、この小説自体にあまり期待しない方がいい。完全な自己満夢小説です。
合わないと思ったはすぐブラウザバック!!これ読者の皆さんお約束してね!!

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