BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 -   作:津梨つな

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浸食

 

 

 

「なんだこの状況。」

「○○くん、ほら、あーんして…?」

「アァン」

「ふふ…おいしぃ?」

「…まぁ…自分で食うよりかは。」

「よかったぁ♪緊張して手が震えちゃったよぅ。」

 

 

 もう一度言おう、なんだこの状況。

 

 特に何かイベントがあるわけでもない普通の日。…の晩メシ。

 いつもと違い、食卓を囲むのは俺と母さん。…と花音さん。どうしてこんな素敵…いやいや、困った状態になってしまったかというと…

 あー…説明するより楽なので、回想、入ります。

 

 

**

 

 

「ただいまぁ~」

 

 

 ん。

 母さんが帰ってきたみたいだ。課題をやる手を止め、玄関へ迎えに行く。

 

 

「おかえり、お母さ……」

「○○、今日はお客さんもいるからね。…ささ、入って入って~。」

「ふぇぇ…お邪魔しまぁす。」

「か…おねーさん…。」

「あれ?○○、知り合いなのかい?」

「知り合いっていうか…うん、まあ、そんなとこ。でもどうして?」

「実はねぇ、かのちゃんは、母さんの職場にバイトで入ってきたのさ。

 いい子だし仕事もできるし、ついついお話してるうちに仲良くなっちゃってね?」

 

 

 い、意外だ…。

 花音さん、あんなにふわふわしてるのに仕事できるんだ…。というか今更だけど、母さんがなんの仕事してるか知らないや。

 

 

「話してみたら大学に合わせて一人暮らしを始めたって言うからさぁ、一度うちにご飯食べにおいでっていったのさ。

 あと、さっき聞いたんだけど、家もすぐそこのアパートだって言うじゃないか。…是非いっぱい遊びに来てって、言ってたところなのさ。」

「…マジか。」

 

 

 花音さんの方を見ると、すっごいドヤ顔の後にウインクまでセットでくれた。

 …計画通り、とか言いそう。

 

 

「○○くん、急に来ちゃってごめんねぇ?迷惑だった…かな?」

「ぐっ…。べ、別にいいですけど…。」

「ふふ、よかったぁ。…あ、ご飯、お手伝いしますね。」

「あら、そうかい?助かるわぁ。…かのちゃん、料理得意??」

「一人暮らしなので、そこそこですかねぇ…」

「ん、じゃあこっちこっち、一緒にやりましょー。」

 

 

 そのまま騒がしくキッチンへ行ってしまう二人。一先ず俺も課題へ戻るが、全っ然集中できない。

 花音さんが?ウチに??料理を作ってくれるって?つーかいっぱい遊びに来てって?あーだめだ。…変なことばかり考えそうになる。ウチだぞ!母さんもいるんだぞ!?

 

 悶々としたまま、課題も手につかなくて…椅子に座ったままぼーっとしてると、次第にいい匂いが漂ってきた。

 …居間に行っておくか。ついでに手伝えることがあれば手伝っておこう。

 

 …違うぞ?料理しているところが見たいとかそういうのじゃないからな?

 

 

「母さーん、何か手伝うことあ…る?」

「あ!○○くん、お手伝いに来たの??えらいね!」

「ぁ…ぅ、あ…」

「あら珍しい。年に一度あるかないかだわ!!もう一人でご飯用意できてもいい歳なのに全く…。」

「ふふ、そうなんですかぁ?それでも自分から言ってくれるなんて、可愛いじゃないですかぁ。」

「かのちゃんが言うならそうなのかねぇ。…ほら、突っ立ってないで、お皿とか並べときな。」

「あ…う、うん。」

 

 

 食器棚から使いそうな食器類を選んでお盆に乗せていく。往復してもいいけど、楽できるところはしないとね。

 そろそろいいかなと、取っ手に手をかけたとき、後ろから忍び寄ってきた花音さんが耳元に近づいてきて、

 

 

「おねえさんのエプロン姿、どう?」

 

 

 いやもう吐息が擽ったくて内容が全然入ってこない。

 改めて花音さんを見てみると、……うん、たまんないわこれ。何度か見たこともある私服ではあるが、ピンクのエプロン一枚でここまで変わるとは。

 エプロンってのは、花音さんの魅力を何倍にも増幅する課金アイテムのようなものかも知れない。

 

 

「…ふふ、気に入ってくれたかな??」

「…似合ってます、よ…。」

「ふぇぇ?よかったぁ…」

 

 

 ただこれで大体確信を得た。花音さん、やっぱこの一連の流れ、計画通りだろ。エプロンなんて普段持ち歩かないもんな。

 

 

**

 

 

 つまり、そういうことさ。

 出てきた料理は美味いし、自然な流れで母さんも仲良くなってるし。花音さんの作戦勝ち感が凄い。外堀から埋めるって言うんだっけ。

 

 どうでもいいけど、さっきから()()()をしてくれているのは嬉しいけど、恥ずかしいのと花音さんが全然食べてないのが気になる。

 

 

「かの…おねーさんも、自分の分食べなよ。俺、自分で食べられるからさ…。」

「えぇー?嫌なの…?」

「い、いやじゃないけど…。それでも、おねーさんもご飯食べに来たんでしょ?じゃあ自分も食べないと。」

「それもそうだよね。…じゃあ、○○くん、あーん…して?」

「えっ」

「あらあら、○○。…お姉ちゃんが出来たみたいで良かったわねぇ。一人っ子だもんねぇ。」

 

 

 あ、その程度の認識?

 これなら多少過激な事しても笑いで済ませられるかもしれん……はっ、いかん、また余計な妄想が湧いて…

 

 

「じゃあ…おねーさん、ぁ、あーん…?」

「あぁん…。」

「ッ…!」

 

 

 女の人の…というかおねーさんが無防備に口を開けている姿、すごくドキドキする。ただご飯を口に入れるだけなのに、体が熱くなるような、む、ムラムラするような…

 

 

「ゥ…えい!」

「あっ!」

 

 

 これ以上、いけない。耐え切れなくなり、口に入りかけていたご飯を自分で食べてしまった。

 

 

「もぅ…○○くん、いじわる??」

「はははは!恥ずかしがっちゃってまぁ…!」

「う…二人してからかうなよー!!」

 

 

 結局一回も花音さんの口にご飯を入れることはできなかった。

 花音さんは「また今度挑戦してみよ?」なんて言ってたけど、食事のたびにこれを繰り返すのかと思うと複雑だ。せめて母さんがいなければ…。

 

 

**

 

 

「○○くん?寝ないの?」

 

 

 さらに母さんの余計な好意により、花音さんがうちに泊まっていくことに。母さんは「親睦を深めるため」とか言っていたけど、もう意味がわからないよ…。

 

 

「も、もう寝ますよ…。」

「そ?…折角お風呂入ったのに、ずっと布団に入らなかったら湯冷めしちゃうよぉ?」

「…花音さん、布団入るの早いですね。」

「だって、お母さん公認で一緒に寝られるんだよぉ?…ちょっとワクワクしちゃうよねぇ。ふぇぇ。」

「もう……少しは自分を大事にしてくださいよ。」

「いーの。ねね、早く入って入って。」

 

 

 うちも持ち家でもないし一軒家とかでもない。

 部屋も収納も限られているので、泊まっていくといってもこうなってしまうのだ。いや、だからって一緒に寝るのはまずいって…両方小さな子供じゃないんだから…。

 花音さんも「気にしませんから!」とか言ってたけど、本当、無防備すぎると思う。

 

 

「…流石に二人は狭いですね。」

「ふふっ。私の家のベッドは元から二人サイズだったからね。…いっぱいぎゅーってできるから、これもこれでありだねぇ。」

「もう、さっきも言ったけど、女の子なんだからもう少し自分を大事に…」

「いいって言ったでしょ??私の全部、ぜーんぶ、○○くんにあげるんだからね?」

「っ……!!」

 

 

 さっきの()()()の時もそうだったけど、時々そういう艶かしい声を出すのはずるいと思います。

 

 

 

 




<設定更新>

○○:羨ましいやつ。
   親からもほぼOKが出ている状態なので、今後はこいつの度胸次第で展開が変わります。

花音:普段はおっとりとした感じだが、主人公のことに関しては頭が回る。
   実はかなり行動力を秘めているらしく、自分でも認識していなかった力のため
   愛の力だと本気で思い込んでいる。

母:多分色々気づいてる。
  けど仲良さそうだしまぁいいか、程度にしか考えていない。
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