BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 - 作:津梨つな
テーマ「純で粋」
一筋の金糸
雨が降るとそれだけで憂鬱になる。
ジメジメするし、どんより暗くなるし。
日中に部屋の照明を付ける時の心境なんか特に複雑だ。
そんな鬱陶しい雨も夕方には止み、夕飯の準備を始める頃には
地面も乾き始めていた。
「さて、と。材料は昨日買ったからいいとして…。
あぁ、この皿じゃ深すぎっかな…?縁が油塗れにならなきゃいいけど…。」
メニューはもう決まっている。
今日の来客のリクエストだ。
急に来たと思ったら「久々に○○の料理が食べたくなったわ!」だもんな…。
買い出しの後で本当助かった。
にしてもいつも
「おーい。あんまりその辺弄んなよー。
怪我したら怒られんのは俺なんだから…。」
机の上なんか、立派な塔ができてるじゃない…」
リビングを振り返って見てみると不思議そうな顔のこころが
俺の作業場になっているデスクを眺めているところだった。
こころがいきなり訪ねてくる直前まで作業をしていたため
参考用の資料集や何かが不安定に積み重ねられているのだ。
塔とは中々言い得て妙じゃないか。
ただ、やはりお付きの黒服連中から口を酸っぱくして言われているように
うちにいる間は兎に角安全に気を配らなければいけない。
ただでさえ何を仕出かすかわからない破天荒な子なのに、そんな危険地帯に自ら
赴かないで欲しいのだが…。
「あとで片付けるから…。
飯作ってる間、大人しくしてろよー?」
○○の部屋ってすごく面白んだもの!!
ここなら毎日来てもきっと飽きないわ!」
「勘弁してくれ…。
あんまり散らかさないようにしてくれな?」
全く…。
いいとこのお嬢さんってのはみんな
他に知り合いが居ないから何とも言えないが。
何だかんだ言いながらもすっかり慣れたもので、手元では着々と料理が進んでいる。
「さて、そろそろ焼きに入るか…」
なんだ?
「今火ぃ使ってるから行けねえなー。何かあったのかー?」
なんだろ。
ちょっと気になったので近寄っていくと、窓の外を指差し満面の笑みを浮かべるこころ。
「なんだ?外に何かあるのか?」
「あれをみて!…ね?綺麗でしょう!」
なるほど。
雲の隙間から光が差し込んでいる。
太さや広がりは様々、何本もの"道"のように射すそれは、雨上がりによく見る光景
ではあったが。
「あぁ、さっきまで雨だったもんな。」
「素敵ね…。雨の景色も素敵だけど、このたくさんの光の筋も凄く素敵!」
「…別に、珍しい景色でもないだろうに。」
「珍しくなんかなくたって、素敵な事に変わりはないでしょ?
それに、雨が降る度にこの光を眺められるのなら、雨降りだって悪くないわ!」
「…そっか。」
この子はたまにこういう事を言う。
独特な観点というか、「なるほどな」とつい感心してしまうような無邪気な思考を持っているらしい。
「雨の日の贈り物かもな。」
「それ!すっっごく素敵ね!
○○、詩人みたいな事言うのね!」
「……うるせ。」
因みに。
時間的にはすっかり夕飯から晩飯になってしまったが
こころも手伝った餃子はいい感じの仕上がりだった。
<今回の設定>
○○:主人公。
フリーのイラストレーター。
一度仕事を請けた関係で弦巻家と交流が生まれた。
こころのことは不思議な生命体程度の認識だが、
一緒にいるとインスピレーションが働く為何だかんだ可愛がっている。
こころ:主人公の作品に何かを感じ付き纏っている。
持ち前の天真爛漫さと金に物を言わせた行動で元気いっぱい
仕事の邪魔をする。
よく怒られる。
最近は主人公の作る餃子が好き。