BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 -   作:津梨つな

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初めてでもデキました

 

 

 

「こ…これは…。」

「凄いでしょう?カナコに教えてもらったの!!」

 

 

 目の前には料理の詰まったパックが二つ。

 お祭りなどでよく見かける、プラスチック製のアレだ。

 輪ゴムは掛けてあるようだが、まさに「ギリギリ開かないようにしてます」といった感じの、はち切れんばかりのパック。と、満面の笑みを浮かべてそわつく金髪の美少女。

 きっとまた気紛れの一つなんだろうが…あぁ、これは絶対食い切らないといけないやつだな。因みに、"そわつく"というのは今考えた造語だ。そわそわするって感じ。

 

 

「これ、全部こころが?」

「ええそうよ!味見はカナコにしてもらったから、安心・安全は保障するわ!!」

「…横澤さん?」

 

 

 隣に寄り添うように立つ黒服さんを見る。

 相変わらず無表情のまま「ご安心を。」と短く答えが返ってきた。

 …そりゃまあ品質はいいとしてもよ。

 

 

「こころ、俺ってそんなに大食いに見える?」

「いいえ?でも、男の人だもの、たーっくさん食べて大きくなるのよ!!」

「う~ん、ちょいずれ。」

「???」

「まあいいか…それじゃ、こころ、横澤さん、いただきます。」

 

 

 差し出された割りばしを割り…くそ、2:8で割れちまった…。

 一つ目のパックに手を付ける。

 これは…

 

 

「ナポリタンか。」

「ええそうよ!最初に見た時から、名前がキュートでお気に入りなの!!」

「ナポリ…たん?」

「ブフッ…!」

 

 

 噴き出す横澤さん。…相変わらず無表情を保てない人だ。

 この人だけほかの黒服連中と少し違って、割かし表情が豊かだ。会話も必要最低限って感じじゃないし、たまにギャグも言う。

 ただ、流石に噴き出したのは初めて見たぞ…。そんなにツボかねナポリたん。懐かしの味だぞナポリたん。

 

 

「……おぉ、確かにうまい。」

「ほんと!?ほんとにおいしい!?」

「あぁ、味付けも全部こころがやったのか?」

「ええそうよ!!」

「ほほう、結構器用なんだなぁ。」

 

 

 見た目(第一印象)こそ壮絶なインパクトだったが、味は確かにおいしい。

 昔懐かしの喫茶店の味、って感じかな。…その時代そんなに知らんけど。

 

 

「でも、量はちょっと多いかもな。」

「そうかしら?」

「あぁ、お腹パンパンなるで。」

「…お空、飛べるかしら。」

「…気球とか想像してる?」

「ブフォッ!……ゴホッゴホォ…!」

「横澤さん、笑い過ぎだから。」

 

 

 腹の中にナポリタンが詰まった気球が飛ぶわけないだろう。ただただ重いボールだぞ。

 …相変わらずこころの想像力と発想力には驚かされるというか感心させられるというか…。

 

 

「カナコ、風邪なの??」

「い、いえ…〇〇さんが、まん丸でお空を……ゲホッゲホォ!!」

「落ち着け横澤さん。」

「…んー。それじゃあ、次はもう少しだけ減らしてみるわね!

 すこぉしだけよ?すこぉし。」

 

 

 親指と人差し指を突き出し、同時に目も細めながら()()のジェスチャーをする。

 別にそんなに微調整希望ではないんだけど。

 

 

「ん。よろしく頼むな。

 …それで、もう一個のこのパックは?」

「そっちはおかずよ!簡単にできるって教えてもらった、お肉と野菜の炒め物よ!」

「ほほぉ、予想外に家庭的なのがきたな。」

 

 

 蓋を開けると香ばしくもほんのり甘い香りが湯気と共に漂ってきた。

 うんうん、こっちは量も多すぎずおいしそうだ。

 さっきのナポリタンなんて蓋を押し退ける勢いで結構飛び出してたからな。

 ホイミスラ〇ムを押し込んだら足が出ちゃいました☆みたいなイメージだった。

 

 

「じゃぁ早速いただきます。

 ……おぉ、これは美味いな。」

「ほんとう!?」

「おう、俺、鶏肉大好きなんだよな。サイズも一口サイズで食べやすいし、程よく柔らかくもシャキシャキした野菜と相性ばっちりだ。」

「……!!」

 

 

 ぱぁっと顔を輝かせたこころが横澤さんと目線を合わせる。

 頑張ったんだろうなぁ…。嬉しさがこっちにまで伝わってくるようだ。

 

 

「これはいくらでも食べられちゃうなぁ…。」

「あたし、すっっっっごく頑張ったのよ!

 フライパンなんて、初めて触ったの!それで、じゅーって音が楽しくって、野菜が小さくなるのも面白かったの!!」

「そっかそっか…。」

「そうだわ!今度はうちに遊びに来てちょうだい!

 あたしがお料理しているところ、是非〇〇にも見てほしいわ!!」

「おー、そりゃ楽しそうだな。」

「ふふん、そうでしょうそうでしょう!

 出来立てを食べさせてあげるわね!」

 

 

 どうやら()()弦巻邸にお呼ばれされることになったらしい。

 勢いなのか本気なのか俺には判断できないが、きっと唐突に連行されるんだろう…。

 それより、

 

 

「だいぶ腹いっぱいだな…このナポリたんどうしよう。」

「ウグッ……ククッ……」

「横澤さん、無理して堪えずに笑っちゃえばいいのに…。」

「い、いえ…それは、失礼ブフッ…ですから。」

「……。」

「???」

 

 

 少し嵩は減ったが未だはみ出るナポリタンに蓋をし、

 

 

「横澤さん、これ、ホ〇ミスライムみたいじゃね?」

「ブフォォッ…ゴホッゴホッ……ィヒッ……」

「??…ここに来るとカナコもご機嫌ね!」

 

 

 

 




<今回の設定更新>

〇〇:時々こころの気紛れに付き合う運命。
   一人で弦巻邸に呼ばれたことはまだない。

こころ:美咲と料理の話をしていたら何となくやってみたくなったらしい。
    初めてだが中々器用な模様。

横澤さん:ゲラ。
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