BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 -   作:津梨つな

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全てを"掛"ける覚悟はある?

 

 

 

「ねぇ。…ねぇってば。」

「あーー??」

 

 

 一作業終わり、掘り出した一昔前のアニメのDVDを見ていると、姪が袖を引っ張る。ちょっとまってくれ、今いいとこなんだ。

 

 

「…もう。そんなに面白いの?」

「んー…。まぁね……。」

「ふーん…?…ちょっと詰めて、私も見るわ。」

「ん。」

 

 

 主人公が留年するヒロインを置いて高校を卒業してしまうシーンだ。主人公とシンクロするように俺の視界もぼやける。

 

 

「はぁ……。ええ子や……。」

「……あなたって、こういう子が好みなのかしら?」

「そういうつもりで見ているわけじゃないけど…。でも、ま、ロマンっちゃロマンだよな。」

 

 

 年上って感じが全くしない後輩のような年上で、気弱で一途。ゾッコンレベルで好かれた上にとことん尽くされるって、もう最高じゃん。

 

 

「そう……。」

「はぁ……何年かぶりに見たけど、やっぱ涙腺に来るなぁ…。」

「…あなたが泣いているの、初めて見たかもしれないわ。」

「流石に姪の前で頻繁に泣く叔父じゃなぁ…。」

「案外可愛いとこあるのね。」

「…馬鹿にしてんだろ。」

「さぁ?…それより、今日もやるわよ。」

 

 

 あれ、君いつのまにエプロンつけたの。髪も纏めちゃって…俺が視界を奪われている間に何があったし。

 

 

「お、自分で結べたのか。」

「えぇ、おかげでね。」

「ほー。別にいいんだけど、リボン結びが縦になっちゃってんぞ。」

「…あぁ。何回やり直してもこうなっちゃうのよ。向上心の現れかしらね。」

「調子いいこと言っちゃって。」

 

 

 さて、と。今日は何を作ろうか…。

 

 

「友希那。何かやってみたい料理とかあるか?当然、最後は弁当を作るのが目的だから、弁当に入ってそうな献立とかでもいいぞ。」

「そうね…。さっきのキャラクターは料理とかするのかしら?」

「あのヒロインの子?…たしか、料理はそこそこできるはずだな。このあとも、一人暮らしの主人公の家に飯をつくりに通うはずだ。」

「随分饒舌に話すのね。」

「お前が訊いたんだろう。」

「なんだかちょっとムカつくわ。」

「めちゃくちゃだなおい…。」

 

 

 心なしか当たりが強い気がする。嫌なことでもあったのか。それとも月の――

 

 

「ポテトサラダっていうの、作ってみたいわ。」

「お?おぉ、結構な所行ったな。」

「そうなの?難しい??」

「まあ、今までの料理歴をみてみたらな。」

「はあ。」

「考えても見ろ。お前今まで、市販の粉使ってホットケーキ焼いて、新しいエプロンつけて燥いだくらいだぞ。

 今回は味付けの要素もあるし、工程も少し長い。結構な差だ。」

「…あのあと、エプロンつけろってしつこかったわよ。…父さんが。」

「あぁ、写真送ったらめっちゃ喜んでたもんな。兄貴。」

「ちょ、何勝手に…」

「ポテトサラダだったな?材料用意するから、スマホで手順でもざっと見ときな。」

 

 

 納得していない様子でスマホを操作し始める友希那を尻目に買い出しへ出る。

 帰ってきた頃には、調理器具も用意されていて、まさに準備完了といった様子の友希那が待っていた。

 

 

「ふむ、早速作るか。」

 

 

**

 

 

 正直なところ、あんまり俺が教えることってないんだよな。

 最初こそ基礎的なことを教えはしたが、今は本人が意欲的なこともありどんどんと上達している。元々センスはいい子だ。掴み始めたらそこからは早いのだろう。

 

 

「おぉ、なかなかいい見た目じゃないか。」

「盛りつけはネットの画像を参考にしたわ。」

「うんうん。うまそうに見えるぞ。ただ問題は量の加減だな。これじゃがいも何個使った?」

「え?…ひと袋、全部使うものなんじゃないの?」

「やっぱりか…。次は、飽く迄おかずの一つということを頭に入れてやってみような。…これじゃ二人分くらいの主食の量だ。」

 

 

 まさかポテサラ一つで大皿を満たせると思わなかったよ。

 

 

「…それもそうね。お弁当箱はこれくらいだったもの。」

 

 

 指で"◇"を作ってみせてくる。手ぇちっちぇぇ…。そのサイズだとおにぎりも入らないぞ。

 

 

「ま、まあ食べてみなさい。料理は味で勝負だもの。」

「あぁ…早速いただくよ。」

「はい、箸。」

「おう………んん???」

 

 

 一口食べてみると何かが足りないことに気づく。口いっぱいに広がるじゃがいもの、土の香りを彷彿とさせる甘さ。そして物凄い自己主張のマヨネーズ。

 ……だけ?

 

 

「これ、何入れた?」

「何って……キューピーよ。」

「はぁ?」

「これ。」

「キューピーじゃなくてマヨネーズだ。キューピーだと、ここにゴロゴロ人形が入ってることになるぞ。」

「猟奇的ね。」

「うっとりした目をすんな。」

「チューブが小さくて物足りなかったけど、とりあえず絞りきったわ。」

「全部!?」

「あとはこれ。」

「テンポだけなら料理番組みたいだ。…で、これは、胡麻?」

「そうよ。出てきた写真に黒い粒が写っていたから、これはきっと胡麻だと思ったの。」

「なぜ胡麻。」

「真ん中にぱらぱら撒いてるように見えたから、アンパンを思い出したのよ。」

「あれ胡麻じゃねえだろ…。」

「…しらないわ。」

「とりあえず、色々違うからな。…どーすんだ、この大量のマヨじゃが。」

「2,3日食いつなぎなさい。」

「バカ言え。いいか?味付けはなぁ―――」

 

 

 その後も、普段とは違って真面目に説明を聞きメモを取る。最近はやっぱり料理に対しても真剣な姿勢になりつつあるんだよな。友達のリサちゃんのためとは言え、いい傾向だ。何より可愛い。

 因みに、最初の大量のじゃがマヨは兄貴が食ったそうだ。

 

 愛娘の手料理だ。さぞかし嬉しかったことだろう。

 

 

 




<設定更新>

○○:学生時代は泣きゲーにはまっていた。
   今回も"人生"とも称されるあれのアニメを久々に見て涙腺が崩壊した。
   もちろんメインヒロイン推しで、そこに幻想を抱いているせいで恐らくずっと独身。

友希那:料理が楽しくて、ノっている時期とも言える。
    おかげでどんどん豪快に、悪く言うと雑になってきている。
    「少々?少々ってどれくらいかしら…。全部入れちゃいましょう。」
    エプロンはすごく気に入ったようで、家でも時々つけていたり(料理はしない)
    歌練習の最中も部屋に置いてあったりする。
    でも恥ずかしいので主人公には言っていない。
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