BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 -   作:津梨つな

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がちゃがちゃ

 

 

「にーちゃん!がんばれぇ!!」

 

 

 あぁ、どうして俺は、ゲーム一つでこんな窮地に立たされているんだろうか…。

 

 

**

 

 

 遡ること3時間前。

 いつも通り仕事を終え、迎えに来ていたはぐみと同じバンドの花音ちゃんと並んで帰る。

 はぐみはともかく、この花音ちゃんが一緒に帰る理由は一体何なんだろうか。

 そういえば、妹がいつもお世話に…といったところ、お世話しているのははぐみの方だと二人して訂正されたが果たして…?

 

 

「お兄さんは、普段ゲームとかしますかぁ…?」

「んー…昔はやってたけど…働き出すと、どうも時間がね…。」

「そうなんですかぁ…。」

「あ、あのお話??」

「そうだよぉ。もしよかったら、やってもらおうと思ってぇ…。」

「何の話?」

 

 

 ゲームか。

 若い子の間で流行ってるとか、そういう感じかな?二人には共通のものっぽいし…。

 

 

「あのねにーちゃん、今、"がるぱ"ってゲームが流行ってるのは知ってる??」

「あー……何か、プールで撮ったCMとかは見た気がする…」

「そう!それ!それにね、はぐみたちハロハピも出てるんだけど…。」

「えっ!?…まじ?」

「まじもまじですよぉ。」

 

 

 なるほど…。愛する我が妹が遂にゲームデビューか…。

 これは、買わねばなるまい…!

 

 

「ほほう、そりゃ買いだなぁ!…GE○とかTSUTAY○で普通に買える?」

「………。」

「………。」

「な、なんだよ二人ともそんな顔して…。」

 

 

 「てめえ何言ってんだ?あぁ?」みたいな顔やめろ。

 君ら二人同じ表情筋してるんだね。

 若干引き気味で様子を伺っていると、オラついた表情の妹が半笑いで訊いてくる。

 

 

「に、にーちゃん…冗談とか…じゃないよね??」

「え?え??」

「あ、あはは…お兄さん、おもしろいですねぇ…。」

「え?引かれてる??かのちゃん、引いてんの???」

「えっとねにーちゃん、すまほのゲームって、大体お金かからないんだよ??」

「えぇ!?」

 

 

 まじ?

 ガラケーからスマホに変えてそろそろ一年。…確かにゲームなんかまともにやらなかった。

 というか、未だに"アプリ"っていう言葉が馴染んでない。

 そうかぁ…ゲームはお金かからないのかぁ…。俺、まだ子供の頃のスーファ○の感覚だったわ。

 

 

「無料なら…うーん、やってみるかぁ…?」

「…お兄さん!」

「うぉぅ!?…なんだいかのちゃん??」

「ぜひ…ぜひやりましょうよぉ!」

「めっちゃ推すやんか。」

「もう、これはおこですねぇ。はぐみちゃんも頑張ってるんですから、それを見てあげてください!」

「…確かにねぇ。」

「あっ、で、でもでも!にーちゃん忙しいから…無理にやらなくても…」

 

 

 グイグイ来る花音ちゃんと押され気味の俺。その間でオロオロし続ける妹。

 うん、ごめんねはぐみ。この前の誕生会で見る限り、花音ちゃんってもうちょっと大人しい子だと思ったんだけど…。

 お兄ちゃんの目が腐ってたみたい。

 

 

「よしわかった。興味もあるし、やってみようかな…?」

 

 

 ここで「やるぞ!」ってきっぱり言い切れないあたり…俺は男としても兄としてもパッとしないんだろうなぁ…。

 

 

「ふ、ふ…」

「ふ??」

「ふぇぇええええ!!!」

「おわっ!な、何だァ!?」

「んー、多分喜んでるんだと思う。」

「あ、はぐみには慣れっこなのね。」

「ん、よくこうやって鳴く。」

 

 

 鳴く…。

 

 

「じゃあ、詳しくは帰ってから教えてくれな?」

「ええぇぇぇ……。んんっ、お兄さぁん?」

「おかえりかのちゃん。」

「ただいまぁ。えっと、お兄さん、これ、私の連絡先ですぅ。」

「え、なにこのアルファベット。メアド?」

「えっ」

「…あぁ、そっかぁ。あのね、かのちゃん先輩。

 にーちゃん、LIN○はやってるけど、電話番号の検索しかやったことないと思う…。」

「ふぇぇ…。」

 

 

 あ、これは何となくわかったぞ。

 馬鹿にされてるか、呆れられてるな。

 

 

「わ、わかってるし??安心してくれかのちゃん。」

「ふぅーん…?」

「その冷たい目やめて!お兄さん傷ついちゃう!」

「にーちゃん、帰ったらはぐみが教えてあげるね!」

 

 

 いい子…。はぐみのお兄ちゃんで、お兄ちゃん鼻が高いぞ。

 帰ったらまたぎゅーしてあげよう。というかさせて。

 

 

「今ちょうど、イベントでガチャがあるのでぇ、私たちが出たら教えて欲しいなぁって…。」

「なるほど、その報告用の連絡先ってわけね…。

 仕事みたいだな…。」

「頑張ってくださいねぇ…。あっ、もちろん…

 全員引けなかったら罰ですからねぇ。」

「えっ…」

「あっはははは!!それいーねぇ!」

「なぁはぐみ、そのガチャって、お金かかるのか?」

「うん!いっぱい!」

 

 

 …………。

 はぐみ、帰ったらお仕置きだ。

 

 

「ばいばい!かのちゃん先輩!!」

「じゃぁねぇ、はぐみちゃん…。お兄さんも……ふえぇ。」

 

 

**

 

 

 で、帰宅後。

 内容はよく知らなかったが、音ゲーと呼ばれるジャンルらしい"がるぱ"をインストール。

 はぐみに教えてもらいながらチュートリアルをこなす。

 ははぁん、こういったゲームは初めてだけど、なかなかやり込めて楽しい。

 音楽も全部いいし、難易度も幅広くてやりやすい。なにより、ハロハピの曲もいっぱいあって、それだけで幸せだ。

 …はぐみ、カバーとかもやってんならその都度教えてくれりゃいいのに…。

 

 

「ここだよ!ここ!ここでガチャ回すの!」

「……高くね?」

「えー…でも、かのちゃん先輩楽しみにしてると思うよぉ?」

「うーん…取り敢えず一回やってみるか。

 10連ってのでいいか。」

 

 

 綺麗な演出の後…おぉ!

 一枚目からはぐみ!!なるほど、イラストにしてもやっぱり可愛いなぁ我が妹は。

 

 

「に、にーちゃんすごいよ!!4人も出た!」

「ぉお!!俺ってもしかしてなかなかの強運!?」

「すごいすごい!すごいよぉ!!

 写真撮っていい??」

「いいぞー。」

「わぁい!!ハロハピのみんなに見せるんだ!」

 

 

 写真を撮った後、何やら操作をするはぐみ。ニコニコしていてすごく可愛い。

 俺としても、無事任務を達成できて一安心…

 

ヴヴッ

 

 小さな振動とともに何やらメッセージが届いたようだ。

 …あぁ、花音ちゃん。

 

 

「ひっ…。」

「どしたのにーちゃん。」

 

 

 届いたメッセージをみて思わず背筋が凍る。

 

 

『お兄さん』

『そーゆーことしちゃうんですねぇ』

『私だけ仲間はずれですかぁ』

『それとも私だけ嫌いですかぁ』

『ねえ』

『おにーさん』

『お兄さん、無視ですかぁ』

『お返事はぁ』

『お金、まだあるんでしょう』

『お兄さん?』

『私が出るまで許しませんよぉ』

 

 

「あちゃあ…。かのちゃん先輩、久しぶりにコレになっちゃったかぁ…。」

「なに…これ…」

「あのね、かのちゃん先輩ってね、仲間はずれとか凄い嫌いなの。

 寂しがり屋さんなのかな。」

「いやもうそういうレベルの話じゃないんだけど…。」

「あとは、きっとにーちゃんのこと好きとかそんなんじゃない?」

「これ見てそうは思わないかなぁ…。」

「だって、今日だって一緒に待ちたいって言ってきたのかのちゃん先輩からだよ?」

「えぇ…。」

 

 

 絶対布教のためだと思うけど…。

 なんにせよ怖。

 

 

「あのさ、これってもしかして、花音ちゃん出るまでやらないとまずい?」

「うん!」

「うんって…。」

「にーちゃん、もうやるしかないんだよ。

 さいはまげられた。」

「曲げるな投げろ。」

「それ!…かのちゃん先輩、たまに凄く怖いことするからなぁ…。」

「怖いことって?」

「……とにかく怖いことだよ。がんばってね!にーちゃん!」

 

 

 斯くして、花音ちゃんを求める俺のがるぱライフが始まった。

 万が一のことを考えると、愛くるしい妹の応援も手放しには喜べなかった。

 

 

「にーちゃん!がんばれぇ!」

 

 

 …腹括るかぁ。

 

 

 

 







<設定更新>

○○:強運なのか不運なのか…。
   稼ぎはそんなにない。

はぐみ:ちょっと大人になってきた。
    ハロハピの活動も順調らしく、"がるぱ"なるゲームにも楽曲が収録されているそう。
    もうちょっと花音の危なさに気付いて欲しい。

花音:ふえぇ…ふえぇ!?ふぇええええええ!!
   ( ^∀^)ふぇええええええい!
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