BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 -   作:津梨つな

42 / 67
まったりじかん

 

 

「にーちゃんっ!おつかれぴーぽー!」

「おつかれぴー…?」

「はやりの言葉なんだよ!はい、にーちゃんもぴーぽー!」

「ぴ、ぴーぽー。」

 

 

 結局なんだかんだで長引いた花音ちゃんの束縛期間が終了し、久々の何もない自由時間を満喫していた。

 ドアを蹴破る勢いで突入してくる、流行に敏感な妹にもすっかり助けられた期間だった。

 今じゃなんとか普通の知人程度に落ち着いてくれたようで助かったが、たまに発作のようにメッセージが来る。色々事情があるんだろうし、あまり邪険にもできないのが大人としての対応だろうね。

 

 

「今日はなにして遊ぼっか!!」

「そうだなぁ…昨日やった"トランノ"とかいう遊びはもうしないのか?」

「うーん、片付けが面倒だなーって。」

 

 

 トランノ―――何やらはぐみのクラスで流行っている創作ゲームらしく、トランプとUNOをそれぞれ二組混ぜて使う。俺も一度説明されて何となくやっただけだから詳しくはないが、それぞれに付与された「防壁(バリケード)」「戦士(ファイター)」「策士(タクティション)」「神秘(ワンダー)」のクラスを上手く操り、お互いが事前に自由に設定付けた「戦略基地本部(マザーベース)」の統率力(HP)を削り合うターン制のカードゲームだった。

 デッキなど考える必要がない上、試合中は設定した人物のロールプレイを強要されるため、むしろ素面でプレイするには向いていないといった奇特なゲームだ。

 はぐみの言うように、計四組みものカードを使用するため片付けが酷くしんどい。まるで賢者タイムに部屋を掃除するかのような心境だった。

 

 

「そうだよなぁ……。兄ちゃん、今日は割とごろごろしてたい気分かなぁ。」

「そっかー。そういう日もあるよねー。………えいっ。」

「兄ちゃん、ごろごろしたい気分なんだってば。」

「はぐみもだよ!」

「肩車しながらそれ言うかね。」

 

 

 軽快な掛け声とともに程よく引き締まった両の腿で頬を挟んでくるはぐみ。真夏なら暑苦しかっただろうその体温もこの季節は心地いい。

 そのまま尻滑りの要領でベッドまで移動、頭を打ち付けないように倒れこむ。

 

 

「おりゃー。」

「わぷっ!……あははははははは!!にーちゃんにーちゃん!今のもっかい!」

「もう疲れたからしなーいよ。」

「えー!じゃあ明日もやってー!」

「はいはい、また明日な。……じゃあもっとそっち詰めて。」

 

 

 普通のシングルベッドだ。そんなにワクワクされた目で見られてもこれ以上楽しいことはないし、何より真ん中に陣取られるとごろごろできないだろう?

 押されてケラケラ笑いながら転がるはぐみを端に寄せ、隣を深く沈み込ませ寝転がる。

 

 

「…ふう。」

「………にーちゃん、疲れた顔してるね。」

「そりゃまぁ働いたあとだからなぁ。」

「ふーん……。じゃあ、はぐみ静かにしてるね?」

「退屈だったら部屋に戻ったら?今日は遊ばないんだし。」

「んーん。今日ははぐみもここで寝る。」

「…そか。」

「ん。」

 

 

 暫しの沈黙。二人の呼吸と、時折体勢を変える際の衣擦れの音だけがこの空間を支配している。

 休息。正にその言葉が示すような空間に、ここ暫く距離を感じていた安らぎを味わう。

 

 

「……ねぇ、にーちゃん。」

「んー。」

「にーちゃん、少し痩せたね。」

 

 

 何やらあちこちまさぐっていたと思ったらそんなことか。

 

 

「あぁ。兄ちゃんは、たまにすごく痩せるんだ。」

「…ダイエットしてるの?」

「どうかなぁ。」

「はぐみもした方がいいかな…」

「…お前それ以上薄くなったら風で飛んでっちゃうじゃんか。」

 

 

 細い上にちっちゃいんだから、ダイエットなんかしたら平面の住人になっちゃうぞ妹よ。

 

 

「そ、そんなに軽くないよ!」

「……どうかな。肩車しても重いって感じないくらいだもんなぁ。」

「むー。はぐみ、重い女だもん。」

「はっはっは、それはまた違う意味だろう。」

「すっごい重いよ。…かのちゃん先輩くらい。」

 

 

 それは……すごく重いなぁ。いろんな意味で。

 あの子の将来も何かと心配だし、将来犠牲になるであろう子も少し心配だ。何があの子をああしてしまったんだろうかね。

 

 

「……それは洒落になってないからやめなさい。」

「…あっ。」

「??」

「……お風呂、入るの忘れてた。」

「そうか、はぐみは夜派だったなぁ…」

 

 

 俺は朝シャン派。少しくせっ毛気味なこともあって、朝のセットが大変なんだ。

 朝派とはいえ、夜じっくり湯船に浸かったりすることもあるが、ね。

 

 

「うんっ。にーちゃんも一緒に入る?」

「んー………今日はいいや、面倒だし。」

 

 

 一度体を横たえてしまうと何もかもが億劫になる。そうしてやがては眠気に勝てずに…。

 今日は疲れた。このまま沈んでいきたい。

 

 

「じゃあ、お風呂入ってきて、ちゃんと髪の毛も乾かしたらここに来てもいい?」

「いいけど、俺寝てたらごめんな。」

「うんっ!じゃあ、はぐみの隙間だけは空けといてねっ!」

 

 

 元気よく廊下を駆けていく音を聞きながら、はぐみの気配と共に俺の意識もフェードアウトしていった。

 平和な一日…明日も頑張ろう。

 

 

 

 







<今回の設定更新>

○○:呪縛から解き放たれた。別に花音に対して嫌いだとかそういうのはないので
   ご安心を。
   トランノは仕事の休憩時間にルールブックまでこさえただけに、ちょっと
   やれなくて残念。

はぐみ:たまには癒しの元気っ子。
    笑顔と白い歯は最強。
    意外と長風呂派。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。