BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 - 作:津梨つな
十月も折り返しを終え、「今年も後十週を切り~」などと言うようになってきたテレビを見やる。…成程道理で冷えるわけだ。
両親は大真面目な顔で炬燵を出すか否か揉めているし、俺自身も通勤時にコートを着るべきか迷っている。季節は秋の初め、冬の準備期間、か。
「にーちゃんにーちゃん。」
「んー。」
すっかり定位置となりつつある膝の上から顎を上げ見上げる様にして名を呼ぶ妹。…うん、今日もいい体温だ。
「はぐみね、マフラーほしいなぁって。」
「……急だな。明日でよければ買いに行くよ?」
「違うの!あのね、はぐみが「マフラーほしいな」って言ったら、にーちゃんは「じゃあ兄ちゃんが作ってやるよ」って言うの。」
「それは…そういう遊びか何か?」
「そういうものなの!」
ははぁん。こりゃまた何かに影響されたな?
小さな問題があるとすれば、影響元が何かの媒体なのか
「そうかい…」
「じゃあもっかい行くよ?」
「うん。」
「はぐみね、寒がりさんなの。」
「……変わったが?」
「もう!そこは、「じゃあ兄ちゃんが作ってやるよ」でしょ!」
「俺は一体何を作るんだい…?」
その会話は怖すぎる。そこまで分かるならもういっそ全部テレパシーでやれ。
「もっかい!」
「はいはい。」
「……………。」
「……………?」
「………あっ、はぐみからか。」
「……兄ちゃんが作ってやるよ?」
「まだ何も言ってないでしょ!何を作るの!!」
「マフラーかなぁ。」
「マフラー!?いいねぇ!!!」
みんな聞いてくれ。うちの妹が凶悪な程に可愛い。
どんなにキツイ仕事でも、帰るとこの子が迎えてくれるんなら頑張れると…そう思わない?
「折角だから本格的な手編みにするか。」
「できるの??」
「あぁ、兄ちゃんに不可能はないぞ。」
「…かのちゃん先輩相手にはタジタジだったよね。」
「言うな。」
「えへへへ……かのちゃん先輩の話は、対にーちゃん用の切り札だねっ!」
「捨てちまえそんな切り札。」
明日は折角の休日だし、はぐみを連れて買い物に行くのもアリかもしれない。
そんでもって毛糸やら飾り用の道具やらを買って、適当にうまいもんでも食って帰って来よう。
「じゃあ明日買い物行くか。」
「はぐみもっ、はぐみも行くよっ!」
「わかってるわかってる。…一緒に行こ、な?」
「うん!毛糸、買うの?」
「そうだよ。はぐみの好きな色で作ったるからな。」
「ほんとっ?…何色までいいの??」
「………ほどほどでだな。」
レインボーのマフラーとか、嫌だろ?…俺だったら着けたくもないし、着けてる奴と歩きたくもない。
「かんがえとく!」
「うん。…んじゃ明日は」
「ねーねー。はぐみも作りたい!!」
「…マフラー?」
「そう!!」
「作ってどうすんの?」
「にーちゃんの!にーちゃんの作る!」
「…………はぐみ…」
あ、泣きそうだ。何だい妹よ。いつからそんなできる子に育ったんだい。
はぐみの手編みを貰えるって?それはもう、実質首にはぐみの手を巻くようなもんじゃないか…!
「よしわかった。…じゃあ朝から材料買いに行って、午後は二人でマフラー作ろうな?」
「やったっ!!じゃあはぐみ、今日は早く寝るねっ!」
「夕方五時にする宣言じゃないがまぁいい……あれ?ってことは俺も…」
「にーちゃんも早寝だよっ!一緒に寝ないと寒いんだからー。」
……やっぱり一番心地良い温度ってのは、人肌なんだなぁ。
<設定更新>
〇〇:シスコン末期患者。
家でずっと妹を抱いていたり、シングルベッドで添い寝したりするのは
暖を求めての事ですから。決して如何わしくないですから。
はぐみ:新しいことにどんどん挑んでいきたい生粋のチャレンジャー。
とっても女の子してる。
にーちゃんと一緒だと、大体何でも楽しい。