BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 - 作:津梨つな
テーマ「検証:戸山香澄はどのポジションもイケるのでは?」
呑んで見上げる夜の華(嫁編)
…ッバァアアアアアアアーーーーーーン
「!?」
早めの晩酌と洒落込んだ俺達を、突如爆音が襲う。
「いかん…伏せろ香澄!!」
「えぇ!?あっ」
喜々として枝豆を啄んでいた妻を巻き込み、カーペットに突っ伏す。
手に持っていたほろ○いはきちんと卓袱台に置いたが、香澄の手からは一粒の青豆がこぼれ落ちてしまった。
が、それどころじゃない。敵襲だ。
「○○くん、あのね」
「くそ…鳴り止まねえ…!何時から日本は銃社会になったってんだ…」
「今日ね、街でね」
「なんだよ、声殺しとかねえとお前が殺されんぞ。」
「えー!?
どうして私が!?…まだ悪いことしてないのにー。」
「やかましい、命あっての物種だろうに。」
香澄とくだらない問答をする一方で、窓の外ではまだ破裂音が鳴り響いている。
チラと窓に見えるのは濛々と上がる煙と繁華街のネオンの様な鮮やかな光。
…光?
ゆっくりと体を起こし窓へ寄る。
「………。」
「あぁ!私のお豆ちゃんがぁ!!
…うぅ、どうしてこんなに埃まみれに…」
「香澄。」
「うぅぅう。…なに。」
「ちょっと、お前と俺のと飲み物持ってこっちおいで。」
「なにぃ…?」
ちゃぶ台に避難した俺のほ○よいとよくわからんサイダーを持って香澄が近づいてくる。
未だ落ちてしまった枝豆を気にしているが、もういいだろう。
彼は犠牲になったのだ。
「…花火だ。」
「もー。さっき私が言おうとしてたのに、聞かないのは○○くんでしょー。
お豆ちゃん…。」
「豆はもういいだろう…。
お、そろそろピークかな?」
単発の序章が終わり、大小を組み合わせた連撃が夜空を彩り始めていた。
近くの民家からは、会場に行かずともひと目見ようと出てくる人影がちらほら見える。
「うわぁ…。キレイだねぇ…。」
「あぁ…。昔の香澄だったら「キラキラードキドキー」って言ってたろうな。」
「もー、馬鹿にしてるでしょ?似てないし。」
渾身の裏声はお気に召さなかったようだ。
出会った頃の香澄は、独特な感性から擬音成分多めの日本語を発する女の子だったが
学生生活が終わり数年経った今ではすっかり聞かなくなってしまった。
香澄曰く「もう大人だもん、そういうもんでしょ」とのことだったがやはり少し寂しい。
「お前の唯一のアイデンティティだったのに…」
「唯一って…もっと色々あるでしょー!」
「あの髪型も辞めちゃったしな。」
「あー…あはは。あれね。
あれはその、○○くんが言ったから。」
「やめろって?」
「ううん。
一緒にお出かけした時の、下ろした時の髪型が、可愛くて似合ってるって…。」
そんなこと言ったような言ってないような。
何にせよ覚えていてもらっていたとは。嬉しい。半面恥ずかしい。
髪型なんか褒めたのか俺…。
「あの髪型も可愛くて、その、好きだったよ。」
「……ありがと。」
いつの間にか夜空は落ち着きを取り戻しつつ、一時的に煌めいていた空間も
ただ煙が立ち込めるのみとなっていた。
雰囲気から察するに残るは数発、あって目玉が一発か。
「なぁ。」
「んー?」
「…もっとこっち寄れよ。」
「えー?どしたの、急に。」
「…いいから。」
「えへへ…。じゃあ、詰めるね?」
香澄の体温が近づいてくる。
肩が触れ合う位置で並び、残り僅かとなった花火を眺める。
「…○○くんと結婚できてよかった。」
「え?」
「…○○くんと一緒になってからは、あの花火みたいにキラキラドキドキする毎日で
ずぅーっと幸せだなーって。何か改めて思っちゃった。」
「…そっかぁ。花火マジックだな。」
「えへへ、そうかもね。」
一晩の宴もクライマックス。
「ねえ、またあの髪型、してみよっか?」
「……へ?」
ドーン!と。
最後の大輪が、静かに空に咲いた。
<今回の設定>
○○:主人公。
香澄とは高校1年の時に出会い、お互いの大学卒業に合わせ結婚した。
裕福とは言えないが一緒にいられる毎日に幸せを感じている。
酒はジュース感覚で飲めるものしか飲めない。あまり強くない。
少し口が悪い。
香澄:Poppin'Partyに所属していた。
今もバンドメンバーとは交流があるが、結婚して引っ越したせいで疎遠に
なりそう。
キラキラだとかドキドキだとかは言わなくなってしまったが、今でも作詞や
作曲で活動中。
個人でカバーアルバムも出している。
酒は飲めないが強炭酸でフラフラになるほど酔える特殊体質。