BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 - 作:津梨つな
「あのね、お父さん…。相談があるんだけど…。」
夕食後、書斎でまったりしていると最愛の娘が訪ねてきた。
普段ここにいるときは寄ってこないのに珍しいこともあるもんだ。
「どうした、香澄。お勉強のことかい?」
「んーん。そういうのじゃなくて…。」
あぁ、相変わらず可愛い。
緊張しているのかワンピースの裾引っ張りおろし、もじもじと弄る。その指先も、居心地悪そうに彷徨わせる大きな瞳も。
全てが愛おしく、可憐だ。娘という贔屓目があるとしても、世界中の人類全員が可愛いと口を揃えて言うに違いない。
「えっと…えっとね??」
「なんだい?」
「きょう、がっこうでね?…ただしくんって男の子に、けっこんしてって言われたの。」
「…あぁ?」
結婚だぁ?
何処のクソ男がそんな寝言をほざいてやがんだ?
「それでね?お父さん、お母さんと仲良しだから、どうやったらけっこんしたあとに仲良しできるのかなって、ききに来たの。」
「なっ……!」
もう、結婚は決定していると…?
受ける気なのかそのプロポーズ…ッ!クソ!
「うんとね、ただしくんね、これくれたの。」
「はぁ…!?こ、これはぁ!?」
それは、プラスチック製の指輪。
最近の子供…侮れん。俺なんて結局婚約指輪は渡さなかったというのに…。
「そ、その…だな。香澄?その…ただし君というのは、どういう男の子なんだね。」
「えっ?…えっと…ただしくんね、いっつも優しくしてくれてね?
あっ、もちろん、みんなに優しいんだけど、私には特別だよっていって色々してくれるの。」
「色々…とは?」
勘弁してくれ…お父さんもうグロッキー寸前だよ…。
「うんとね、ぎゅーとか、ちゅーとかしてくれる。
くっつくとすっごく落ち着くんだぁ…。えへへ。」
「…お父さん、そういうのは良くないと思うな。」
「えっ、えっ!?ど、どうして??とってもいい子なんだよ??」
「それでも、お父さんは反対だ。」
「うぅぅぅぅぅ、じゃ、じゃあ!
一回あってみてよ!!きっとお父さんもただしくんと仲良くなるから!!」
「それは絶対にない。」
「うぅぅぅぅぅぅ……。
もうっ!お父さんのばか!!しらない!!もう一緒にお風呂入ってあげない!!」
「えっ」
どうしてこうなった。
唐突に娘がプロポーズされたとの話に真面目に回答していたら、一緒にお風呂に入る権利を失ってしまった。
走り去る愛娘の足音を聞きながら、おじさんは只一人呆然とするしかなかった…。
「最近の小学生…おそろしいな。」
危うく家庭崩壊の危機だぞ。俺だけだけど。
…くそ、もう香澄は親の手を離れるというのか…?見たくなかった現実だが、年齢など改めて直視すると涙が出そうだ…。
「許さんぞただし…。」
<今回の設定>
○○:香澄が大好き。
勿論、その下にも一人いるが、全く父親に懐かない為愛情の全てを香澄に
注いでいる。
ただ、香澄も懐いているわけではない。
香澄:小学2年生。
九九を覚えるために、最近手作りの表をトイレに貼った。
ただし:許さん。