BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 -   作:津梨つな

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バレ…そう?

 

 

 

「お、お邪魔するわ。」

「お邪魔しま~っす。」

 

 

 姪が来た。

 …それはまあいつもどおりなのだが、今日は客人が一緒だった。心なしか、友希那も緊張しているようだ。

 

 …いつも遊んでいる友達とかじゃないのかな??

 

 

「おう、いらっしゃい。…で友希那、その子は?」

「えっと……。」

 

 

 歯切れが悪い。いつもあんなに冷たく言い放つのに。

 友希那とは対照的に明るく、敢えて悪く言うなら"チャラい"雰囲気のその子は、もごもごと言葉を探す友希那を優しい眼差しで見守っている。

 …とりあえず、玄関から上がらないかい?二人共。

 友希那が一生懸命テンパってるので声には出さないが。

 

 

「友希那…そんな言いにくいことじゃないっしょ?」

「や…別に、そんな…。」

「とりあえず、二人共上がらないかい?」

 

 

 立ってるのも辛いので言ってしまった。すまん友希那。俺も歳だ。

 

 

**

 

 

 二人を居間に通し、茶を出す。今日は仕入れたてのアールグレイだ。

 

 

「あ、ありがとうございまーっす。」

「いえいえ…。いつもうちの友希那がお世話になってます。」

「ちょ…」

「あはは~、こちらこそ、友希那にはお世話になってるんで…」

「えっ…」

「そうなの?面倒見良さそうだけどね、君。」

「そうですか~?…あ、アタシ、リサっていいます。」

「リサ…?」

 

 

 会話に入れずオロオロする友希那を放置し会話していると、ついに友達の名前が判明した。それも幾度となく聞いた名前。何度も俺に話してくれた彼女を見やると、真っ赤な顔で俯いてしまっていた。

 

 

「…あぁ、友希那の恋人さんか。」

「えっ…なっ…!」

「え~、アタシって恋人だったの?友希那ぁ。」

「リs…あなt……もうっ!!」

「あれ~、友希那どうしたの~?顔真っ赤っかじゃ~ん。」

「ばかっ…ばかっ…!!」

 

 

 駄々っ子のように力ないパンチを繰り出す姪っ子。なんだこれは、今まで見たことのない可愛さだ。

 

 

「んん"っ…それで、リサちゃんはどんなご用事で?」

「あ、そうでした。なんかー、友希那が家で料理してるところ見ちゃったんですよー。

 前はそんなことする子じゃなかったんですけどー、なんでかなーって。」

「あぁ…。急にやり始めたら違和感あるよな。」

「そうですね~。…で、問い詰めてみたら、ここで教えてもらってるって言うんで、ついて来てみたんですよ。」

 

 

 友希那…思っくそバレてんじゃねえか…。駄々っ子パンチしてる場合じゃねえぞおい。

 

 

「友希那…。」

「う、うるさい。…昔から嘘が通じないのよ、リサだけは…。」

「幼馴染なんだっけ?」

「あ、はい。家も隣だし…。」

「へぇ~。」

「も、もういいでしょう。リサ、帰るわよ。」

「あれ?今日は料理していかないのか?ゆきにゃ。…な」

「ゆきにゃ?」

「ッ……!」

 

 

 ついうっかり。

 友希那が猫に目がないという情報を仕入れた俺は、ここ数日猫グッズで攻め続けているのだ。この呼び名は、猫耳をつけて燥いでいた友希那に捧げたものだ。

 

 

「ふうん…?」

 

 

 あ、リサちゃんも猫みたいな瞳をしている。あれは獲物を捕らえた瞳だ。逃げろ友希那。

 

 

「これは、その…違うのよリサ。そこの馬鹿が急に言い出して…」

「おい。」

「あはははは!!お二人、仲良いんですねー!!」

「そんなことないわ。」

「…おい。」

「あっはっはっは!!!!」

 

 

 …結局、今日は料理はしなかった。

 まあ、サプライズしたい相手がそこにいるのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。

 

 終始、リサちゃんに二人して弄られ、俺はひたすら友希那に冷たくされるという心の折れるような時間を過ごした。なんとか、料理を習うきっかけや最終目標についてはバレずに済んだが、俺はしょんぼり気味のまま、手をつないで帰るふたりを見送った。

 

 ―――今日は、姪が、遠い。

 

 

 




<設定更新>

○○:今回はいじられる側。
   リサとは初対面。

友希那:今回は可愛い成分少なめ。
    料理はおあずけです。

リサ:すき。

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