BanG Dream! S.S.B.N. - 少女たちとの生活 完結倉庫 -   作:津梨つな

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姉弟でデキること(姉編)

 

 

「ねーちゃーん。来たぞー。」

 

 

 とあるアパートの一室。「戸山★」と痛々しい表札が掛かった部屋のドアを、もう何度も使っている合鍵を使い解き放つ。

 入った玄関で靴を脱ぎつつ奥に呼び掛けると、居間の方から「入っちゃってー」と返事が返ってきた。

 

 

「んじゃ、お邪魔しまーっす!っと。」

 

 

 現在高校2年生。青春真っ盛りって時期を謳歌している俺だが、たまの週末にこうして姉の元を訪れることがある。

 姉はとっくに社会に出ていて、いい歳なのに彼氏の一人もできず独身生活をエンジョイしているらしく、寂しいからと呼びつけられるんだ。

 居間に入るとまず最初に感じたのは、空腹を刺激する香しい匂い。

 

 

「へいらっしゃい!」

「おーす。」

「違うよ〇〇、そこは「お久しブロッコリー!」だよ。」

「……なんだ、飯作ってたん?」

「す、スルーだ…。」

「珍しいじゃん、姉ちゃんが料理って。」

「ま、まあね?可愛い弟の為に、腕によりを掛けてあげようと思ってね~。」

「あそ。…手ぇ洗ってくるわ。」

「またぁ!?」

 

 

 そんなことばっか言ってるから彼氏できねえんだよ…。

 うちの姉には悪い癖がある。…所謂ブラコンとシスコンってやつを拗らせた結果なんだろうが、極度に俺を可愛がってくるんだ。

 因みに俺と姉の間にはもう一人姉が居るんだが、そっちはそっちで()()に合っているらしい。まるで天災のような姉なんだ。

 

 

「……あれ、何この歯ブラシ。」

 

 

 洗面所には見覚えのないコップと歯ブラシ。姉ちゃんのセットは隣にあるし、俺のものでもない。……ややっ?これは?もしかするともしかしないでもないやつかこれは。

 自前のタオルハンケチで手を拭き拭き居間の方へ戻る。

 

 

「姉ちゃん、あの歯ブラシ誰の?」

「んー?…あぁ、青い奴?」

「そ。」

「えへへ…あれはちょっと前に来た友達のかなぁ。」

「忘れ物?」

「うん。…暇だったら捨てといて?」

「は?返さなくていいの?」

「もう会わないしいーのいーの。」

 

 

 あぁ、またこれだ。…きっと相手は姉ちゃんの見た目とか第一印象に惹かれて寄ってきてしまった哀れなメンズなんだろう。

 そしてきっと、泊まることになったはいいものの、徹夜で弟・妹談義を聞かされ身も心もズタボロにされた悲しきメンズなんだ…。男はつらいよ。

 

 

「…自分で捨てろよな。」

「そういいながら捨ててくれるの、優しいよね~。」

「……捨てる前に言うなよそういうことは。」

 

 

 やらざるを得なくなるじゃないか。恐ろしい強制力だ。

 

 

「さて!今日の晩御飯完成で~す。」

「…何作ったん?」

「〇〇の好きな食べ物ばっかりだよ!テーブルまで運んでくれる?」

「あいよ。」

 

 

**

 

 

「我ながらよく平らげたものだ…。」

「育ち盛りだもんね。おいしかった?」

「おー。姉ちゃん風にいうなら、「キラキラドキドキする味だった!」だな。」

「もーやめてよー。本物はもっと可愛らしいんだから。」

「そこかよ。」

「へっへっへー。可愛いお姉さんを持って幸せかなぁ??んー??」

 

 

 絶妙に人をイラつかせる表情やめろ。

 

 

「……や、あしゅねぇの方が可愛い。」

 

 

 あしゅねぇ。俺にとって見たら二番目の姉だ。一番上の香澄姉ちゃんとは一歳差で、名前は明日香。

 香澄姉ちゃんが噛んで「あしゅか」と言ったのを皮切りに、香澄姉ちゃんからは「あしゅ」or「あっちゃん」、俺からは「あしゅねぇ」or「おい」と呼ばれるようになった。

 

 

「むー…。そうやって若いほうばっかり贔屓する…。」

「一歳しか変わんねえだろ。」

「二十歳越えたら大問題なの!!」

「越えてねえだろ!」

 

 

 まだ19だろあんた。

 

 

「でも、でも…」

「ほら、そんな細かいことしてたらあっという間に朝になるぞ?」

「え!!あっ、それは勿体ないね。」

「ん。…今日も、やるんだろ?」

「そうだね。…だから先にお風呂入っちゃおうか。」

「姉ちゃん先に入って来いよ。」

「りょ!」

 

 

 実は、俺がここに呼ばれるには理由がもう一つある。それはまぁ、飯だの風呂だのが全て終わった後、部屋を真っ暗にして行われるのだが…。

 

 

**

 

 

「あがったよ!!」

「おう……や、髪乾かしてから来いよ。ぽたぽた言うてるやん。」

「だって!もうっ!待ちきれないっ!」

「……はぁ。」

「やろうっ!はやくっ!」

「タオルとドライヤー。」

「へ?」

「タオルとドライヤー。持ってこいって言ってんの。」

「なんで?」

「素で訊くなよ…。そのままじゃ風邪ひくだろ?乾かしてやるから、持ってこいって。」

「…〇〇、天才?」

「はよ。」

 

 

 ったく。どっちが上だかわからないな、おい…。

 元気に駆けてく姉ちゃんの背中を見送りつつ溜息を零す。つか、乾かした後に俺も風呂入るんだよな…。 

 

 結局何やかんやあって、消灯の刻。

 

 

「はぁ…はぁ…!」

「姉ちゃん、息荒すぎ。……消すぞ?」

「うん!準備万端だから!!」

 

 

カチカチッ

 

 

 紐を二度引っ張り豆電球のみにする。これはお決まりで、真っ暗だとお互いの顔が見えずつまらないから、という理由から来ている。

 そのまま姉ちゃんの布団に腰を落ち着けると、もう待ちきれないと言った様子で目を輝かせる子供(ガキ)と目が合う。

 

 

「…わかったよ。……今日もいつも通りいくぞ?いいか?」

「う、うん!もう何でもいいから早くやろう!」

 

 

 今日も今日とて戦の幕が上がる。

 〇太郎電鉄。99年縛り――――

 

 

「…デビルと牛歩ととりかえしって…あんた鬼か。」

「お姉ちゃんは小悪魔なんです☆」

「やかましい!覚えとけよ!」

 

 

 姉弟の週末が、暮れる。

 

 

 




<今回の設定>

〇〇:高校2年生。割と充実した私生活を送っており、正に"リア充"に相応しい輩。
   そしてこの恵まれた家族構成。
   神は我々に何を御怒りなのか。

香澄:基本皆で遊べるゲームなら何でも好き。
   18から某大手ファッションブランドで働いていたりいなかったり。(適当)
   ギター?やったことないなぁ。
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