蒼穹の一閃   作:hareth

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企画小説です

ということでおはこんばんちわ、キリンです

雷を操ることはできないので首が長い方のキリンですね()

それはさておき、この小説はこの企画が終了し次第連載小説に切り替わります

同時に名前も本垢に直します

連載楽しみにしていてください

それでは、ごゆっくり……

追記 連載スタートしました、harethです
よろしくおねがいします!


一章 鎌蟹の異変、そして火竜
1.


 ジメジメとした気候。

 

 雰囲気の悪い曇り空。

 

 ところどころに湧き出る臭気を放つ毒の沼。

 

 そこを朱く毒々しいトサカが群れを成して駆け回る。

 

 そのなかの一際大きい個体を懸命に追う、赤紫を身にまとう白髪の少女。

 その少女を援護するかの如く、周囲の小柄の朱を自分の背丈を超えるのではないかと思うほどの巨大な剣で薙ぎ払う青年。

 

「イヴ、イーオスは任せろ!」

「了解ですっ!」

 

―――太刀使い、イヴ。

 

―――大剣使い、ノルン。

 

 彼らはドンドルマで活動する新人ハンター達の一角である。

 ここ、クルプティオス湿地帯……通称「沼地」でメジャーなモンスターであるイーオスの親玉、ドスイーオスの狩猟依頼を受けて2人はここに訪れた。

 鳥竜種の中ではかなりの生命力を持つドスイーオスだが、ここまでの約十数時間の戦闘でようやく瀕死まで持っていくことができた。

 ノルンがイーオスを討伐し終えたところでイヴの方を見ると、なめらかな体捌きでドスイーオスの攻撃を躱しカウンターを入れている。斬り払いで側面に移動したイヴの代わりに正面へ出て強烈な抜刀斬りを頭部に叩き込むと、ドスイーオスの体から力が抜けていくのを感じとれた。討伐完了だ。

 

「ノルンさん!やりましたね!」

「そうだな。それじゃ溶けないうちに剥ぎ取り済ませて帰ろう」

「そうですね!では、いただきますっ!」

 

 鳥竜種は絶命してしばらくすると特殊な液体を分泌し剥ぎ取れなくなってしまう。なので鳥竜種の素材を集めるときは時間との勝負になる。

 

 狩りとはモンスターとの命のやり取り。どれだけニンゲンに被害をもたらしたとしてもモンスターはただ生きているだけ。ニンゲンへの被害が大きくなり無視できない状況になったときに初めて討伐許可が下りる。だからモンスターと相対するときは敬意を払って、その上で討伐する。命を自分の糧として頂くのだ。

 

「……」

 

 だが、ノルンにはどうしてもその志を向けることができない相手がいる。

 狙われたのはおそらく偶然。とある種のとある個体ではあるが、その種の話になると普段の穏やかな彼からは想像もできない獣がその正体を現す。

 

 真紅で彩られた灼熱纏いし古龍、テオ・テスカトル。

 

 それが仇の種族の名であった。

 

 

 


 

 3年前、デデ砂漠近辺に存在した小さな村がテオ・テスカトルに襲撃され壊滅した。その際、ノルンはうまく逃げることができたが家族とは別方向に行ってしまっていた。

 

 後の古龍観測所の報告によりギルドから派遣されたとある太刀使いのハンターによって撃退されたとの報告があった。

 

 これで生き残りを探せる、家族とも再会できると思っていたノルンはここでまたも悲報を受ける。空から突如飛来してきた隕石によって周辺地域に甚大な被害が出たとのことだった。無論壊滅状態だった村もその被害で跡形もなくなってしまった。

 

その村には復興のために作業に出ていた村長や大工たち、そしてノルンの家族もいた。

 

 生存者0名。天涯孤独となったノルンは当時付き添ってくれた前述のハンターについていき、ハンターになることを決めドンドルマへと移り住んだ。そのハンターも2年ほど前から連絡ができないでいるが……。

 

 現年齢16歳。半年ほど前に訓練所を卒業し、ようやくハンターとして生活していけると思ったその矢先のこと。自分が住ませてもらっている宿舎の前に、今隣でドスイーオスをはぎはぎしている美少女が倒れていたのだ。宿の女将は『アタシが面倒見てやるよ。なに、子供が1人増えたくらいどうってことないわ!』と、頼もしい言葉を吐いていた。

 

その後目を覚ましたこの少女―――イヴ・ワカミヤはノルンや女将たちとすぐに打ち解け、彼女自身もまた『ワタシの元いたところを探すためにハンターになりますっ!』と言って飛び出して行き、先月卒業(ノルンよりも速い)した。 

 


 

そして現在、ひとまず腕を上げるためにドンドルマ周辺を中心としつついろいろなところへ狩りに出ている。

 

 イヴの装備は最近ドンドルマ周辺に現れるようになったジャギィの長、ドスジャギィの素材で作られたジャギィシリーズに氷刃と呼ばれる冷気を放つ太刀だ。

 ノルンは砂竜ドスガレオスの素材で作られたガレオスシリーズ、武器は陸の女王と恐れられる雌火竜リオレイアの素材を用いた大剣ヴァルキリーブレイド。イヴがまだ訓練所に通っていたころにノルンが即席パーティに参加してもらって作った新品だ。

 

 それはさておき、狩猟を終わらせた2人は帰路に着く。クルプティオス湿地帯からドンドルマまでは約5日程かかる。それまでゆっくりしながら帰らせてもらおう。

 

 

 

 

 ドンドルマは山間部に山を切り開かれてできた大きな街である。

 シュレイド地方にある街ミナガルデや、最近交流の増えてきた砂漠都市ロックラックよりも工房や鍛冶技術が発達しており、その機構を利用した兵装もこの街の防衛システムに組み込まれている。ガンランスのような特殊な機構がある武器の発展も速いという。

 

 ドンドルマに到着したのは日が沈んでしばらくたった後だった。そのころには集会酒場は多くのハンターで賑わっていた。給仕係やキッチンアイルー達が忙しなく働いている。

 

「すみませーん、精算お願いしまーす」

「はーいお待たせしました!……ノルンさんにイヴさんですね、お帰りなさい!」

「はい!ただいまですっ!」

 

 狩りの証明となるモンスターの素材を出し精算してもらう。

 

「……はい、無事狩猟されたものと確認できました!こちらが今回の報酬金になります!」

「ありがとうございます、預かってもらっていいですか?」

 

受け取った報酬をすべて預けておく。大金を持ち歩いていると危ないし、そんなたくさん持っていても邪魔になるからだ。

 

「はい、承りました!」

 

もちろん全て自分で管理するという人も珍しくない。ノルンとイヴは預けることの方が多いのでよくお世話になっている。

 

 集会酒場は基本的に誰でも使用できる公共の施設である。クエストカウンターが近いということもありハンターが多く利用しているが、よくよく見てみれば雑貨屋の店主や工房のアニキ共、行商人らしき人までもがこの酒場を使っている。肉と酒の匂いで充満するこの場所がノルンは好きである。イヴは最初こそ慣れていなかったものの、今ではその場のノリに合わせることができる程度には慣れてきていた(それでも苦手ではあるらしい)。

 

「あら、こんばんわ。今帰ってきたところかしら?」

 

 そういってノルン達に話しかけてきたのはこの酒場によく出没する竜人族のお姉さん。「姉さん」とみんなからは呼ばれているのでノルン達もそれに倣っている。

 

「姉さん、ただいまですっ!」

「おかえりなさい。その様子だと首尾よく狩れたみたいね」

「怪我無く帰ってこれました」

 

 この酒場ならどこにでも現れる姉さん。今日もこれからの食事に付き合ってくれるそうだ。と言っても酒を飲みながらノルン達の話を聞くというような感じではあるのだが。今日も床に就くのは遅くなりそうだとノルンは小さく笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 3日後、ノルンは朝早くから集会所にて次の目標を選んでいた。コンビで狩りを始めて早1か月、そろそろ装備を強化していきたいところだ。

 

「とは言っても、僕たちの腕で狩れる相手も限られてるしなぁ……。リオレイアだって先輩ハンターに連れて行ってもらった感じで正直何もできなかったし……」

「お、ノルン君じゃないか!」

「…あ、テアンさん」

 

 ノルンに声を掛けてきたのはこの街の同業者でノルンをリオレイア狩猟に連れて行った張本人の1人、テアンである。

 

「先日はありがとうございました」

「いやいや、そんなに畏まらないでよ。あのときリオレイアの体がおかしいってこと見つけてくれなかったら僕たちがやられてたんだし」

 

 最近のドンドルマ周辺はどうもおかしい。ロックラック地方に主に生息しているはずのドスジャギィやユクモ地方で主に出没するジンオウガなどがドンドルマ周辺の狩場に現れるようになったり、リオレウスやリオレイアの体つきもよりハンターや獲物を攻撃するのに適した姿へと変わっていることが報告されている。

 

「まぁそれはともかく、これから狩りに行くの?」

「そんなところです。そろそろ防具新調したいなって思ってて」

 

 そう話してるうちにノルンは視線を掲示板に戻し、やがてある契約書を手に取った。

 

「ショウグンギザミか」

「ってなると行先は僕と同じになるかもね」

「えっ?」

 

と、驚くノルンにテアンは話した。なんでもラティオ活火山近くにある新興の街、マンテに用があるという。行先も同じならばついでにとテアンはノルンたちのパーティに参加するのであった。

 

「マディリアさんは?」

「別行動だよ」

 

 

 

 

「火山ですか?」

「あぁ、ショウグンギザミを狩ろうと思ってな。そろそろイヴも装備を新調した方がいいんじゃないかってな」

 

 今回の狩猟目的は自分たちの装備強化。お互いの目的のためには経験を積み、己を強化し続けなければならない。よってノルンは防具を、イヴは武器ととある防具の作成のためショウグンギザミ狩猟に出向くのだった。

 どちらも似た者同士の武器なので正直バランスは悪いのだが、今回はガンナーであるテアンも同行するのでパーティのバランスは問題ない。最初こそテアンとは別行動をするがダイミョウザザミと似通った部分があるので油断しなければ二人でも十分と言える。

 

「でしたらピッケルと虫あみも持って行った方がいいですね」

「そうだな」

 

 ノルンもとある火属性大剣を作成するために火山に用事がある。いろいろな意味で彼らには都合がよかった。

 爆弾は嵩張るし、金銭的にも使う余裕はない。罠は一応二種類持っていく。音爆弾はダイミョウザザミの様な殻に閉じこもる行動をしないので持っていかない。爪の攻撃で裂傷状態になる可能性があるためサシミウオとこんがり肉も持っていく。ここまで準備すると結構な荷物だ。

 

「準備できたか?」

「できました!テアンさんの準備が終わり次第出発しましょう!」

「そうだな」

 

 街の外に繋がる門には既にテアンの姿があった。

 テアンの装備はハンターSシリーズに雷砲サンダークルス改。雷撃弾と貫通弾の速射に対応していて、その他通常弾や麻痺弾などにも多数対応している一品だ。防具には自動マーキングのスキルによってペイントボールいらずの狩りができるようになっている。

 

「テアンさん、お待たせしました!」

 

 いやいや、今来たばかりだ。そんな恒例のやり取りを行い、火山行の定期便に乗せてもらう。

 

「ところでショウグンギザミについてどこまで知ってる?」

「主に火山、沼地で目撃される甲殻種の大型モンスター。苦手属性は雷。近縁種のダイミョウザザミとは全く逆の性質を持っていて、爪の鎌による攻撃はとても素早い。グラビモスの頭殻を背負っているときはブレスをしてくる可能性があるので注意」

「あとは攻撃範囲も広いからそこも注意、です!」

 

 そこまでわかってるなら大丈夫そうだ、とテアンは頷く。かつて初見でヒプノック2頭狩りを行ったときのことを思い出しているようだ(あれは不可抗力でそうなってしまっただけであるらしい)。

 台車に揺られることおよそ3日。ラティオ活火山、通称「火山」に到着した。ここからは狩場に入るので気を引き締める。

 

「ショウグンギザミはエリア6にいるみたいだ」

「ありがとうございますっ!」

 

 スキルの効果でショウグンギザミがどこにいるかは筒抜けだ。

 テアンは先に用事を済ませてから狩りに参加するとのことなので一旦別行動とする。ドラグライト鉱石やマカライト鉱石を集めてくれとの依頼らしいので先に済ませた方が楽だ。

 

 

 エリア6は火山の奥深くで、横穴から溶岩が流れ落ちるのを見ることができる。絶景ではあるがここは狩場。突き落とされたら命はない。

赤く光るこの場所には不釣り合いな蒼が、鎌を持って動き始めたような奴がそこにいた。鎌蟹ショウグンギザミだ。

 

「……結構大きいな」

「でも、グラビモスの頭殻は背負ってませんね」

 

今は剣士だけなのでそこまで心配する必要はないが、ブレスをしてこないという確証が得られたのは大きい。

そしてやはり爪は細い。その分重量が落ちているので機動力が上がっているはずだ。要注意だ。

 

「じゃあ、僕が先に出るから横から頼む」

「了解ですっ」

 

小声で大まかな立ち回りを話す。そしてノルンはヴァルキリーブレイドに手をかけ走り出す。近くにはウロコトル―――最近見かけるようになった―――がいるので足元には注意が必要だ。

 

「……ッ!」

 

 足の関節に抜刀斬り。どのくらい速いかはまだ確認できていないので溜め斬りはしない。出会いがしらの一撃は、足関節を軽く掠める程度の効果しかなかった。手ごたえはやはり硬い。

 ショウグンギザミがノルンを正面に捉える。が、ショウグンギザミの右側には大きく回り込んだイヴが氷刃を振りかぶっていた。

 

「セイッ!」

 

 基本連係の上段、突き、斬り上げを右前脚に。そして斬り払いで離脱する。その間ノルンはそのまま斬り上げに繋げ、側転で離脱。ショウグンギザミはノルンとイヴを巻き込むようにその場で回転し、爪を振ってきたが空振る。

 そして今度はイヴを正面に捉え、そのまま潜行した。

 

「足元注意!」

「はいっ!」

 

 ノルンとイヴは互いに離れる。ノルンは、潜行の直前にイヴの方を見ていたので狙われるのはイヴだろうと考えているが、己の直感に身を任せ足を動かす。

 直後ノルンの背後から飛び出し、爪で引っ掻いてきた。ひっかくという動作なのに地面は抉れ、とてつもない力で爪を放ってきていることがわかる。

 4回ほどそれを続けてようやく地面に出てきた。出てきたところをイヴが右側から斬撃を加える。先ほどと同じように基本三連係を入れて斬り払い。イヴもよくわかっていない相手だからか、前回のドスイーオス程大胆には動いていない。

 攻撃をされたことで位置を把握したのかショウグンギザミはイヴを爪で斬り払う。が、やはり既に離脱しているので空振る。目に見えないという程の速度ではないが、なんとも言えない圧迫感のようなものがあり正面で捉えられたら避けることは難しいだろう。

 

「ひとまず怒らせよう。完全に把握しておかないとテアンさんと連係が厳しくなる」

 

 ショウグンギザミが爪を広げて突進してくる。やはりこれも圧倒的に速いわけではない。ドスイーオスの方が速い。ただその巨体で押しつぶしてくるような圧迫感が故に、動くことを躊躇させられる。イヴは無傷で躱したものの若干冷や汗をかいていた。

 呼吸を整える隙を作るために、ノルンは左爪めがけて斬撃を放つ。運よく関節に入ったのかミシミシと嫌な音がした。その音に構わず続けて薙ぎ払い、斬り上げに繋げる。さらにそこに呼吸を整えたイヴがノルンと入れ替わるようにして斬撃を入れる。今度は基本三連係から気刃斬りⅠを入れて離脱する。

 

「キシャアアアアアアッッ!!」

 

 口から泡を吹き出し、大きく爪を開いた。怒りを呼び覚ました様だ。そして潜行する。

 

「「!?」」

 

 何をしてくるかが読めない。殻交換か、潜行強襲か、はたまたノルンたちの知らない行動なのか。潜行してから数舜。ショウグンギザミの気配が消えたので警戒を解いた。

 

「なかなか硬いですね」

「そうだな、斬る場所を選ばないと弾かれる。斬れ味が落ちたらすぐに研ぐようにしよう」

「そうですね!」

 

 会話しながら砥石を己の得物に当てる。たったあれだけの攻防で斬れ味は落ちてしまっていた。今用意できる最大限の装備ではあるがやはり斬れ味が少し足りない。甲殻種というのもあるだろうが厳しいものがある。

 

「テアンさんは移動したことには気づいてるからそろそろ合流できるかもしれない。だいたい動きは読めてきた?」

「あとは怒ってるときにどのくらい速くなるかがわかれば大丈夫です!」

 

 満面の笑みを浮かべて頷くイヴ。それに頷き返して立ち上がる。クーラードリンクを飲み、携帯食料で腹を満たしエリア5に足を進めた。そこで彼らが目にしたものは―――

 

「は?」

「えっ?」

 

―――全身を黒く染め、口から黒と紫の泡を吐き出し狂乱するように暴れまわるショウグンギザミの姿だった。




感想、評価お待ちしてます

(正直企画小説でクロスオーバータグ使うのまずいんじゃないかって思ったりしてます
こんな作品しか書けず申し訳ございませんでした)

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