蒼穹の一閃   作:hareth

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 エリア中央に降り立った白疾風。目は予想通り赤く輝いている。すでにこちらに気づいているのだろうが、様子見を前提に動くことにする。攻めるのは一先ずイヴだけだ。

 

「ノルンさん、メディスさんは様子見を徹底してください。目が慣れたら攻撃に参加よろしくです」

「了解よ」

「わかった。エイデンは落とし穴を頼む」

「りょうかい!」

 

 事前の打ち合わせ通りエイデンはエリア5に続く道に落とし穴を仕掛け始める。イヴは正面から足音を立てて接近し、白疾風が飛びかかる素振りを見せた瞬間に前転回避。

 着地地点を予測して動いていたノルンはその場で煌炎剣リオレウスを抜刀、溜め斬りではなくそのまま振り下ろした。

 

「硬ェ」

「口悪いですよ、ノルンさん」

「知ってる」

 

 手応えは芳しくなくつい愚痴をこぼしたノルンだが、斬った場所が刃翼だったので仕方がない。

 白疾風は攻撃を食らいつつも再度跳躍をし、エイデンの目の前に着地。すでに穴は掘り終えて網も張ってあるからエイデンの方に振り向きさえすれば簡単にハマるだろう。

 が、姿勢を低くした白疾風を見てイヴが声を張り上げた。

 

「ビターン!!」

 

 その声にエイデンは、すぐさま雷盾斧ヴァンクロムを剣モードで抜刀しガード体勢を取る。距離が一番離れていたノルンは背筋に悪寒が走った瞬間に身を投げ出し、尻尾の正面から退避する。

 尻尾が叩きつけられた瞬間に真空波が大地を切り裂いた。

 

「あれが真空波……これは食らったらやばいな」

「だいぶわかってきたわ。攻撃のテンポはやっぱり変わらないわね」

「ならメディスは攻め始めてくれ。僕はもう少し様子を見る」

「わかったわ」

 

 メディスがオオシナトを飛ばし気を引く。それに釣られた白疾風は足元にあった落とし穴を踏み抜き――はせず、そのままエリア5へ跳び去った。

 

「…落とし穴が効かないのは痛手だな」

「そうね…いや待って」

 

 メディスが落とし穴を確認すると、仕掛けられていた網がそのまま残っていることがわかった。落とし穴が効かないのであれば網を斬り裂くはずなのだ。

 つまり、落とし穴が効く可能性はまだあるということだ。たまたま引っかからなかったのか、それともわかってて回避したのかはわからないが。

 

「まだかかる余地はあるな」

「そうッスね」

「それと、多分見えていない左目から狙うより見えてる方から狙った方がいいかもしれません」

 

 イヴの推論に目を丸くする3人。すぐさまイヴは説明する。

 

「上手く言えないんですが…見えていない左目を意識しすぎて、必ずと言っていい程獲物の右側に回り込む癖がついてる様です。なので武器を出していると遅くなるお二人はソレを狙って攻撃すればいいと思います」

「了解ッス」

「あぁ、わかった」

 

 次は全員で攻勢に出る。ノルンとエイデンは常に白疾風の行動を予測しながら、イヴは基本的に囮でメディスは遊撃でほぼ常に白疾風を追うことになっている。

 

 エリア5に入った瞬間尻尾から棘を放つ奇襲を仕掛けて来た。いち早く気づいたイヴが抜刀し、飛竜刀【双紅蓮】で器用に棘を弾く。それを見た白疾風が今度は棘を上空に飛ばした。

 

「時間差で来ます、散開して!」

 

 イヴは頭上に飛竜刀【双紅蓮】を掲げ、防御体勢を取る。メディスは尻尾を振っている白疾風に正面から突っ込んでいき、ノルンとエイデンはそれぞれ左右に分かれて接近する。

 

「せいっ!」

 

 イヴを狙った刺鱗を斬り払い3人に続く。白疾風はイヴからみて右側、つまりエイデンの方に飛びかかった。イヴの予想通りだった。

 頭を下げて回避したエイデンはそのまま雷盾斧ヴァンクロムの剣を抜き、振り返った白疾風の頭に斬りかかった。手応えは浅い。攻撃があたる寸前でバックステップをしたようだ。

 

「やっぱ、戦い慣れてるッスね。でも…」

 

 バックステップした先にはノルンが煌炎剣リオレウスを構えていた。

 

「ど……っせいッ!」

 

 力を込めた一撃は頭に見事命中。その一撃の重さに驚いたのか悲鳴を上げる白疾風だが、すぐに動き出した。

 

「流石にあれだけじゃ無理か」

「でも結構いいところ入ったんじゃないですか?積み重ね、ですよ!」

「ああ!」

 

 ポジティブにノルンを励ますイヴ。先程の棘鱗を斬り払ったので砥石を飛竜刀【双紅蓮】に当てていた。

 赤いエキスを回収したメディスが飛円切りで右刃翼を斬りつける。火属性特有の爆炎が刃翼を焼くのもお構いなしにエイデンを狙う。狙われたエイデンは左右に振られる刃翼から逃げていたが、いきなり方向変換し翼の下をくぐり抜けるようにしてかわした。

 

「まだよっ!」

 

 メディスの警告でエイデンは再び身を投げ出す。間一髪エイデンの背後を真空波が通っていった。警告がなければ直撃していたエイデンは、冷や汗を掻きつつ次の行動に備えた。

 その真空波を飛ばした白疾風は、周囲を巻き込む形で回転し横に広い真空波を飛ばしていた。狙いは一番遠くにいたイヴ。

 幸い真空波の下が空いていたので、身をかがめてやり過ごした。そこに飛び込んでくる白疾風には対応できず飛ばされた。

 

「イヴ!」

「心配…無用です…!!」

 

 イヴは回復薬グレートを一息で飲み干し、左刃翼を攻撃しているメディスとスイッチ、太刀の基本3連携で牽制する。

 その隙を見てノルンが落とし穴をエリア中央に設置していた。白疾風の背後で罠を仕掛けているノルンを悟られないように、イヴはさらに深く斬り込む。

 

「ギャオォォォン!」

「くっ…!」

 

 そこで白疾風の咆哮。本能のままに耳をふさぐイヴ。白疾風はその隙にイヴの前から飛び立ち、メディスとエイデンの前に着地した。そこではすでにエイデンが雷盾斧ヴァンクロムを斧モードで振りかぶっており、横薙ぎに振るう属性解放斬りが白疾風の頭部に吸い込まれた。が、怯まない。

 

「ッスよね」

「頭下げなさい!」

 

 エイデンが反射的に右側転回避。頭上を鞭の様に撓る尻尾が通り抜けた。しかし白疾風の攻撃の先はエイデンではなかった。

 

「……! ノルン!」

「終わった、寄せろ!」

 

 ノルンはギリギリで真空波を回避していたようだ。加えて落とし穴も仕掛け終わっている。報告をうけたエイデンが盾を構えながら、白疾風を引っ張っていく。

 

「無茶すんなよ!」

「問題ないッ……ッス!」

 

 ギリギリまで引き付けて白疾風がエイデンの背後へ回り込んだ瞬間、落とし穴は作動した。カモフラージュされていた粘着質なネットが後脚と尻尾を絡め取り、穴に引き込んで動けなくする。

 

「効いたな、攻めろ!」

「りゃぁぁぁぁああああああ!」

「ッ……!」

 

 イヴの飛竜刀【双紅蓮】による気刃連携とメディスの斬竜旋ヘルダイトの強化連撃を、左右の刃翼に叩き込んでいく。特に右刃翼は2回ほどイヴの"鏡花の構え"が入っていることから脆くなっていると考えられる。しかし、

 

「ギャォオオォンッッ!」

「嘘でしょっ!?」

速すぎる(・・・・)っ!」

 

 通常のナルガクルガ、及び通常の白疾風からしたら遥かに短い時間で落とし穴の拘束から脱け出した。そして間の悪いことにメディスの斬撃が刃翼に当たってしまい、

 

「しまっ……!」

「メディスさんっ!」

 

 着地した瞬間、横凪ぎに振られた尻尾に直撃してしまった。

 その威力は凄まじいもので、メディスは大きく転がりながらエリア5の東の岩壁に叩きつけられた。

 

「ノルンさんエイデンさん、引いてっ!」

「わかった!」

「了解ッス!」

 

 すぐさま2人がメディスを担いでキャンプの方へ向かっていった。

 イヴは正面に白疾風を見据え、口角を吊り上げた。

 

「さぁ、リベンジと行きましょうか!」

「ギャアァアァァアアオォォォンッッッ!!!」

 

 飛竜刀【双紅蓮】を勢いよく抜刀、飛びかかってきた白疾風を迎え撃った。

 

 

 




お久しブリーフ

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